「……ふう」
ティフォンを蹴り飛ばした右足を地面に付けて一息。パテルの姿を騙れば動揺を誘えるとでもあいつは思ったんだろうが今回に限っては寧ろ逆効果、遠い過去に逝ってしまった後輩は思い出として留めて置くもので生存を焦がれる物ではない。それを理解できなかったあいつの完敗だ……ま、それは今考えるべき事ではない。
「資料で見た事はある。全ての
「正直自分でも驚いたけどね。実際そうなんだから納得するしかない……現にこうクィリヌスになると口調が昔の自分に戻っちゃう」
「私としてはそっちの方が馴染み深いですが……さて、そういう事なら私は席を外した方がいいみたいですね」
「うん、ロムルスの事お願い。マルスがそんな真似する奴じゃないとは知ってるけどティフォンの悪あがきがないとも限らないから」
「あの女狐め、お陰で興が冷める所だったわ……ま、奴の事は今どうでもいい。仕切り直しだユノ……いや、クィリヌス。相手にとって不足なし、真の最強がどちらか今日こそはっきりさせようではないか!」
「……レムスさん、ご武運を。
エンネアちゃんをロムルスの所に向かわせてこれ本当に一対一。
「うん……無論出し惜しみはなし、かな?」
「当然だ。情けも何も要らぬ、お前の限界と私の限界のぶつけ合い!全てを曝け出さずに手加減していたなどと言い訳は通さんぞ!」
「だよね……なら、吠え面かかないでよ?」
「此方の台詞だ、さあ死合おうクィリヌス!奴如きに全力を出してはいないだろう!?」
「そっちもね。じゃ……行こうか」
やっぱりというかなんというか、マルスの奴ティフォンの事舐め腐ってた。
お互いの詠唱が開戦の合図、地面を蹴ると同時に鎧と武器を身に纏い、瞬きする間に大剣と槍が交差する。
「全力は12分?そんな悠長になぞしていられるか5分で終わらせる!」
「もっと短くても全然いいんだけど、ねっ!」
改修して術式をまるっと変えた
「
「さあな、どうでも良い事。必要なのはお前が私と対等であること、ただそれだけだ!」
前回の反省か鍔迫り合いに甘んじるつもりはないらしく即座に体勢を崩して切り込んでくるのをスレスレで回避、微妙な隙に刺突を差し込んでみるがそれは先刻承知のようで次撃への以降ついでに軽く弾かれる。惰性で槍を使ってしまったが強引にでも距離を詰めてくるマルス相手には相性が悪い、さっさと別の武器に変えるべきか。
「原初にして究極の力がその程度である訳がない!解放しろ、そして私に見せろ、最強を!」
「注文が多いね、だったら」
「はっ、随分と大雑把な攻撃だ!
「そりゃあ通ると思って撃ってないからね!」
ティフォンに前仕掛けたのと同じ円状に展開した槍の投擲を試すが寝ぼけてんのかと言わんばかりに一蹴される。ま、最初から通すというより仕切り直しの時間を作るためだ別に問題ない。
「結局この手に限るっ!」
「素手で剣に挑むか!良いぞ、それが最強の力!」
「リミッターが外れてるだけさ!」
槍を籠手に錬成し直して格闘戦に移行、剣の腹をどうにか弾きながら拳を叩き込みにかかる。無駄なウェイトを捨てたことで手捌きは早いが当然一撃の破壊力は彼方が上。出力を身体機能全振りしてないと戦えたもんじゃない、下手に
「かつての貴様は我が剣を受け止める事はできても捌き切るまでは至らなかった……だがこの状況はどうだ。我が全力を振るっても倒れぬ所か弾き返すその余裕!やはりお前が、お前こそが我が運命の……!」
「悪いけど運命ってのは信じてないんだよね。未来は変えられる、自分の意思で変えられる!」
「だが変わらぬ事もある。何者にも変え難い好敵手、それがお前だ!これを運命と言わずしてなんと呼ぶ!」
「ただ強いだけの事を運命と呼ぶなら随分と軽いね!」
どうにか剣を捌く中で隙を探してみるがそこら辺は理解してるようで反撃に移ろうとした瞬間次の斬撃が飛んでくる。砲撃に魔力を回す余裕がないのにどうこれを突破しろって……いや、そうだな。
「……ほう?」
「あーあ気づくか、まあ一回やった手だしね」
「一度隙を作った手を潰さぬ理由がない。敢えて乗ってやるかと思ったが……それは貴様への侮辱だ!」
「そっちもそっちだね……まあありがたいけど!」
意識を剣に集中してパリィで反動を大きくすることに集中したらすぐ気付かれ距離を取られる、前にやった姿勢を崩してドーンはさせねぇぞって事だろうがあまりにも判断が速い。あっちもあっちで大剣をぶん投げて隙を作ろうとしてきたがそれも前回やられた手法だ、こっちも対策してない筈がないだろう。
「まともに受けるだけ無駄ってね!」
「そう来なくては張り合いがないっ!」
「ラッシュの速さ比べと行こうか!」
そのまま拳を拳で弾き合うラッシュへ移行。少し崩そうと姿勢を調整すればすぐ合わせてくる、このままじゃどちらかが根負けするまで埒が開かない。で、あれば……
「そ、こ、だ!」
「ぐ……」
魔力を別に回したせいで鈍ったラッシュの穴を突かれ腹部に1発被弾。鎧に回した魔力を解放しどうにか崩れず踏ん張って……
「……そうくると、思っていた」
「はっ……だから、面白い……!」
「肉を斬らせて、骨を、断つっ!」
「ガッ……」
叩き込まれたマルスの腕をホールドし、クロスカウンターのように此方もマルスの腹部に1発叩き込む。
「5分どころか3分で終わらせよう、マルスっ!」
「舐めるなっ!その程度で終わるか、終われるものかっ!」
「いいや終わらせる、それがお前の言う最強の証明だ!」
「何を、おぉ!?」
そのまま背負い投げ、踵落とし、空中蹴りの連撃。やっと見せた隙に叩き込めるだけ叩き込んで漸く仕留めるチャンス、相変わらず底が見えない強さと執着心だ……いい加減、きっぱりと終わらせてしまおう。
「さあフィナーレだ、
「ほざけっ!
詠唱と同時に飛び上がったマルスを迎え撃つように少し屈んで魔力を右足に充填。前回は必殺同士で相殺しあって膠着したが2度同じヘマはしない。
「
「
剣を再度錬成して上空から突撃してくる奴を見据えながら術式構築。威力が想定通りなら……多分、行ける。
「
「ゴーッ!」
落下してくる剣の一撃に合わせるように右足を振るい円錐状に構成した結界を展開、切先に合わせて拮抗させる。
「その程度か!?我が剣がこの程度貫けぬとでも」
「思ってないよ。必殺ってのは必ず殺すと書く、一度で拮抗し合うのなら二段構えで撃てばいい!」
右足が接地した瞬間再度チャージ。結界が破壊される前に……よし、間に合った。
「
溜め込んだ魔力を放出してジャンプ、結界の真ん中目掛けて右足をターゲット。
「
「ク……クク、ハハ、ハハハ!」
中心に据えた右足で結界を押し出すように飛び蹴り。狼奈達の使っていた
「つ、ら、ぬ、けっ!」
「あぁ、砕かれるか、我が剣が……」
貫通力でぶち抜く。目論見通り押し出した結界が剣を破壊し……
「……終わりだよ、マルス」
「見事、だ……」
そのまま、マルスを貫いた。
「あぁ……良い、実に、良い。至福のひと時、だった……」
「満足……したんだね、その顔を見るに」
「ああ、したとも。私は全力を以てお前と戦い、そして敗れた……遺恨も不満もない、私は、今世界で1番満たされている……」
本人を打ち抜いた必殺で当然マルスの変身は解除、デバイスは見事にぶっ壊れてクレーターの中心で満足そうに横たわりやがってる。負けたのに勝ったような面しやがって、無敵かこいつ。
「……敗者に情けはいらん、もう、よい」
「別に殺すつもりじゃないし」
「いいや、「マルス」は此処で死ぬ」
「……」
……確かにそうではある。彼女本来の記憶を呼び覚ませば当然偽りの人格であるマルスは消え失せる、当然の帰結だ。
「最初から、そのつもりで?」
「此処でお前がくたばっていようが、バッカスは私を切り捨てる気でいただろう……私は戦うことしか考えぬ、己が美学を曲げられぬ。奴にとってこれほど扱いづらい駒はいない」
「……」
「だから、決着を付けたかったのだ。私が私で居られるうちに、最強を決めるために」
「そう、か」
……侮辱するような真似はしない。こいつなりの覚悟と信念があって、そうしたのだから。
「横槍もない、利用される事もない、真の決着。私は、満足した。最後に合間見えたのが……お前で、本当によかった」
「ったく……付き合わされるこっちの身にもなってよ」
「知らんな、お前の都合など……」
「こいつ……」
ごめん、やっぱ一言二言は言いたいかも。
「……はあ、最後までほんと面倒な事ばっかりしてくれて。何回死を覚悟したか」
「私も自分の死を覚悟したのは、お前と戦う時だけだった……やはり、運命だな」
「だから私は運命なんて信じないっての……」
『ユノ……いや、クィリヌス。準備はできている、あとは……』
「うん、サポートよろしく」
既に精神ダイブの準備は終わっている、後はマルスに触れるだけ。
「過去に決まった道筋は変えられない、けど未来の進路は幾らでも変えていける。だから運命なんて信じない、私は私が行きたい道を行く」
「お前らしいな……だからこそ、気に入った」
「別に嬉しくないし私は既婚者……でも、敬意を表してこれだけは言っておく」
触れるために少し屈み。
「お疲れ様マルス、さようなら」
「……よい、ものだった」
最期の挨拶を交わして、私はマルスの精神世界へダイブした。
貴方の変身ヒロインは何処から?
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セーラームーン
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まどマギ
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シンフォギア
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