磯野家の奇妙な冒険~ある日、家族全員スタンド使いになってしまった~ 作:XX(旧山川海のすけ)
その日。
「それじゃあ、留守番お願いね」
「お昼はちゃんとお蕎麦の出前を取るんだよ?」
サザエとフネはそう言って、玄関から出て行った。
タラちゃんを連れて。
タラちゃんを波平の兄の海平の家に預けに行くためだ。
……タラちゃんは「この町を杜王町のようなスタンド使いの町にしたいですー」という欲望を叶えるために、弓と矢で無差別にスタンド使いを増やした。
その悪戯についてサザエに叱られたのに一切反省をしなかったから、しばらく海平の家に預けて反省させようと家族会議で決まったのだった。
そして波平とマスオは今日は共に休日出勤。
結果、カツオとワカメの兄妹は、2人留守番を任されることになった。
「いってらっしゃい」
「行ってらっしゃいお母さん、お姉ちゃん」
玄関で手を振り、3人が出ていくのを見送る。
腰縄を付けられて強制連行されるタラちゃんは
やめるですー、児童虐待ですー
そう言って暴れていた。
玄関の引き戸が閉まった。
スタンド使いを拘束するのは
海平は波平と双子の兄弟なので、連動して目覚めたとのこと。
海平のスタンド能力が気になったが、スタンド能力は個人情報。
カツオは訊ねたいのをグッと我慢した。
姉と母を見送り、2人は
「さぁ、宿題しよーっと」
ワカメは学校の宿題をしに自室に行き
「お昼は何を食べようかな」
カツオは居間で、お昼に注文する蕎麦を決めるために。
電話の横に引っ掛けてある蕎麦屋のメニューを手に取った。
そして居間に行くと
台所の方に誰かがいた。
屈み込んでごそごそしている。
ニット帽を被った誰かだ。
こちらからでは顔は見えない。
性別は男で、服装は濃い緑色のジャンパーとジーンズ。
その誰かは磯野家の台所の、流し下の戸棚を勝手に開けて中を見ていた。
……泥棒だ!
「何をしてるんだよ!」
カツオは思った。
今は僕しかこの家を守れる人間はいない、と。
(姉さんと母さんに留守を任されたんだから、戦わないと!)
今の自分はスタンド使い。
それは決して無茶な選択肢ではない。
カツオは即座に自身のスタンドを発動させ、台所にいる不審者に立ち向かう。
相手は大人だけれど、自分のジャイアントスターで全力でぶん殴れば深刻なダメージを与えることが出来る。
大怪我をさせてしまうだろうが、どうせ姉が帰って来ればクレイジーダイヤモンドを使って直して貰えるのだ。
だから、気にしなくていい!
殺さなきゃ良いんだ!
全身の骨をブチ折って動けなくしてやる!
(当然の報いだゴキブリめ! スタンド使いの家に泥棒に入ったことを後悔させてやる!)
そう暴力行使の予感に興奮するカツオの存在について、向こうも気づいたらしい。
顔を上げ、こちらに顔を向けて来た。
その顔はサングラスと白マスクで隠されていて……
そしてその男、泥棒は……
自身のすぐ傍に、突如バイクを出現させた!