磯野家の奇妙な冒険~ある日、家族全員スタンド使いになってしまった~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「ええっ! お兄ちゃんそれってどういうこと!?」
廊下の向こうからワカメが声をあげる。
そしてダダダッと走って来る音が。
カツオは叫んだ。
「馬鹿ッ! 来るなッ!」
居間は今は戦場だ。
危険だ!
しかし。
焦るカツオの意思とは裏腹に、ワカメは居間に飛び込んで来た。
同時に
「メカニカルサーカス!」
ワカメは顔に右手を当てて仁王立ちし、自分のスタンド「メカニカルサーカス」を発動させる。
ワカメのシャウトに応え、出現するワカメのスタンド「メカニカルサーカス」
銀色衣装の軽業師……そんなイメージの女怪人。
それがメカニカルサーカス。
ワカメは台所に立つ泥棒に視線を向ける。
「お兄ちゃん、泥棒ってあの人?」
「そうだ! いつの間にか台所に入っていたんだよ!」
ワカメの冷静な言葉に、カツオは緊張感を伴った早口で応える。
ワカメのスタンドの能力は「生物を象ったものを操る」
そんな能力でこの場をどうするつもりなのか?
だからカツオは思っていた。
何故、ここに出て来たのか?
安全なところに隠れていろと思った。
しかし……
ワカメの目は、自信に満ちていた。
(ワカメのやつ、何故そんなに自信満々なんだ?)
まるで勝ちを確信している。
そうとしか思えない目の輝き。
「泥棒の人、何でウチに泥棒に入ったんですか?」
ワカメは泥棒に呼び掛け。
1歩踏み出した。
ゆっくりと。
そのまま続ける。
「ウチは持ち家ですけど、両親が貴重品を全て持ち出してますから盗めるものなんて無いですよ?」
ゴゴゴゴ、という音が聞こえる気がした。
カツオは思った。
まあ確かに。
一度この家に強盗が入ったことがあったから、印鑑と通帳は外出するときは持ち出すようにしているとか前に聞いた覚えがある。
父と母とで分割して、だ。
外で片方が襲われても財産を全て奪われない工夫をしてるんだ。
……でも。
姉と母のアクセサリーは家にあるだろ?
全て持ち出してるってのは言い過ぎじゃ……?
ふとそう思ったが
(ワカメは泥棒に盗みを諦めさせたいのかもしれない)
だとすれば、余計な口を出すべきではない。
相手の能力がラスボスで出て来てもおかしくない能力なのだ。
割に合わないとこの家から出て行ってくれるなら、それでいいかもしれない。
カツオは頭が回る少年なので、すぐにそう思考が至り、結論付ける。
「今なら見逃しても良いですよ。どうしますか?」
ワカメはそう呼び掛ける。
だが
ブオン!
泥棒はそれに応えなかった。
返事を返さず、バイクのエンジン音を立てた。
泥棒の姿が消える。
そして次の瞬間。
ワカメが泥棒に羽交い絞めにされていた!