磯野家の奇妙な冒険~ある日、家族全員スタンド使いになってしまった~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第15話 メカニカルサーカス

 泥棒に捕まったワカメはバタバタ暴れている。

 声には出していないが、全力で「離して!」という気持ちを行動で示していた。

 

「ワカメを離せこのド腐れ犯罪者がぁッ!」

 

 カツオは妹が泥棒に拘束されたので、思わずジョジョを彷彿とさせる罵倒を口にした。

 だが、動かない。

 

 カツオが動けば泥棒がどんな行動に出るか分からないから。

 

(どうすればいいんだろう……? ワカメが捕まってしまうなんて)

 

 カツオは焦り、思考する。

 妹がこうなってしまうことを恐れて、来るなって言ったのに。

 

 ワカメに怒りを向けたくなるが、今はそれどころじゃない。

 妹とこの家を守る方法を考えないと。

 

 そのときだ

 

「……弓と矢だ」

 

 ぼそり、と。

 

 泥棒がはじめて口を開いた。

 

 これまで一言も発さなかったのに。

 

 カツオは

 

「えっ」

 

 驚き、目を向ける。

 サングラスとマスクで顔を隠す男は

 

「弓と矢を寄越せ」

 

 何故か、小声でそう繰り返した。

 

 大声は出していない。

 あくまで、小さく。

 

 何故だ……?

 

 困惑した。

 その意味を考える。

 そこに何か意味があると思った。

 

 しかし

 

 泥棒はワカメの首に腕を食いこませるようにして締め上げる。

 ワカメが激しく暴れた。

 

 そこでカツオの思考は吹っ飛んだ。

 

「やめろって言ってんだろ! 弓と矢を持ってこればいいのか!?」

 

 妹を守らないと!

 その思考でいっぱいになった。

 

 そのときだ。

 

 突然、泥棒が苦しみ始めた。

 ワカメを押さえ込んでいた腕が外れる。

 

 泥棒の腕から逃れたワカメが、畳の上に着地して距離を取る。

 

 ……その顔は少し強張っていたが

 

 してやったり、という色があった。

 つまりこれは

 

 ワカメの計画通りということか……!

 

 そう思ったカツオが

 

「ワカメ」

 

 何をやったんだ?

 と訊ねる前に

 

「お兄ちゃん」

 

 ワカメが話し始めた。

 こんなことを

 

「……私のメカニカルサーカスの能力は『人形やぬいぐるみのような、生き物を象ったものを操る能力』よ……」

 

 うん。

 それは知っている。

 

 だけど、今はこの場にそんなものは無かったはず。

 何が起こったんだ……?

 

 そう思ったカツオの前に。

 

 ワカメはスカートのポケットから何かを取り出した。

 それは……

 

 釣り糸(テグス)だった。

 

 円形のボビン巻き。

 

 これをどうしたのか……?

 

 そうしている間も、泥棒は苦しみ続けている。

 

 ワカメが語ってくれたこと。

 それは

 

「ようはそれが生き物を象ってると思えればいいんだよ」

 

「これをハリガネムシの模型ということにして、私の力を使ったの。……それで泥棒の首を絞めた」

 

 見ると。

 泥棒はその首を目を凝らさないと分からないくらい細い糸で首を絞められていた。

 

 この状況だと、時間をどう弄ろうと時間遡行でもない限り脱出は不可能……

 

 あっ、なるほど。

 それについてカツオは驚く以外無かった。

 

 ぬいぐるみや人形を操る能力を、こういうふうに使うなんて……

 

 釣り糸(テグス)を低クオリティのハリガネムシの模型であると扱い、自分の力を使う。

 

 スタンドに強いも弱いも無い。

 ようは使い方次第……!

 

 それを思い知らされた。

 

 自分の応用について理解してもらったと思ったのか。

 

「すごいでしょ? お兄ちゃん?」

 

 ワカメは不敵な笑顔でそう続けてきて。

 

「ああ、すごいよ! すごいよワカメ!」

 

 それに頷くしかないカツオ。

 

 それを見て満足したのか。

 ワカメは

 

「さあ、とどめよ!」

 

 強い言葉で呼びかける。

 スタンドバトルで決着がついたときに行われることは何か?

 

 それは

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」

 

 2人のスタンドが泥棒を囲み、殴る蹴るの暴行を叩き込んだ。

 

 オラオララッシュ。当然の結末である。

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