磯野家の奇妙な冒険~ある日、家族全員スタンド使いになってしまった~ 作:XX(旧山川海のすけ)
次の日。
「ゴメン磯野君。僕の家のお父さんはスタンド能力を持ってないんだ」
親が警察官だというクラスメイトは、カツオの「キミのお父さんはムーディ・ブルースに覚醒してない?」という問いに申し訳なさそうにそう答える。
カツオは少し驚いた。
カツオのクラスメイトは皆スタンド使いになったのに、そんなこと、あり得るんだろうか?
でも
(警察関係者は、スタンド能力を明かしたがらないかもしれないよな)
犯罪者たちは知りたがるだろうし。
警察を出し抜くとか、ミスリードに導くためのヒントになるかもしれないから。
だとしたら、言わないだろう。
仮に目覚めていたとしても。
なのでカツオは
「そっか。ごめんよありがとう」
そう言って、それ以上追求しなかった。
親に口止めされているなら、無理に決まってる。
そこに
「どうしたの磯野君」
花沢さんがやって来た。
彼女の家は不動産屋で、彼女自体はラブ・デラックスのスタンドに目覚めている。
多分彼女はこの件には役に立たない。
だがカツオは「相手が自分の役に立たないからと相手をしない」ような人間が腐った少年では無いので
「ちょっとさ、ムーディ・ブルースのスタンドの使い手を探しているんだ」
そう、正直に話した。
別に隠さないといけない話でも無いわけだし。
「どうしてムーディ・ブルースが欲しいの?」
「ちょっと確かめたいことがあるんだ」
実は家に泥棒が入ったみたいで。
疑惑という形でそう正直に伝える。
確定事項なら警察に任せろよという話になるから。
花沢さんは
「ええっ、磯野君ち泥棒が入ったの? ツイてないわねぇ」
カツオの言葉に驚きと同情の気持ちを示して。
続けて
「だから家の中で何が起きたかを調べたいわけ?」
そう返して来た。
一部誤解があるがカツオは頷き
「あくまで『かもしれない』だよ。だから警察には言えないんだ」
そう訂正を交えつつそう返す。
花沢さんは「あ、そういうことね」と言い頷いて
「だったらウチの妹を連れて行ってあげようか?」
そんなことを言って来た。
花沢さんには妹がいる。
確かゆきこという名前だった。
花沢さんがスタンド使いになったのだから、彼女の妹もそうなっていてもおかしくない。
一体それがどんなスタンドで、それがこの件にどう役に立つかは分からない。
だけど
カツオは花沢さんの妹と直接話したことはあまり無いので
「ええっ、いいの?」
まず反射的に言ってしまう。
花沢さんは親しい間柄だが、だからといって相手の家族に何かを頼むのは当然というわけではない。
だからまあ、ある意味当然の返しではある。
さっきまでクラスメイトの父親にお願いしようとしていたわけだけど、これとそれとは別の話だ。
花沢さんは
「アタシに任せてよ」
そう言って、カツオの背中をバンバン叩き。
頼もしい感じでアハハと笑った。