磯野家の奇妙な冒険~ある日、家族全員スタンド使いになってしまった~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「花沢さん……」
追いつかれてしまった。
どうすればいいのか。
この距離まで近づかれると、花沢さんの触手の射程距離。
「カツオくん油断するな」
ノリスケが厳しい声でそういう。
カツオは頷く。
そんなことは言われなくても。
花沢さんのラブデラックスの厄介さは今更言うまでもない。
髪を操ることで怪力を発し、手の届かない場所に手を伸ばすことができ、こうして高速移動に使うこともできる。
ただ髪を操るだけのスタンドだけど、使い勝手のいい有用なスタンドだ。
(……ん?)
そのとき。
カツオは違和感を感じた。
だけどそのことは
「さあ、一緒に帰るわよ」
花沢さんのその一言で吹き飛んでしまう。
……一緒に帰る?
ノリスケと一緒に居るから、邪魔の入らない場所に連れて行こうとしているのか。
カツオは引っ込めていたスタンドを発動させる。
「磯野君どうしたの? スタンドなんて出しちゃって」
困惑する花沢さん。
カツオはそんな花沢さんに
「戦うつもりなんだろ? そりゃこうするさ!」
厳しい声を向けた。
だが花沢さんは
「磯野君、何を言ってるかちょっとよくわからないわね」
困惑した表情で
「これからアタシの家に行って、妹のスタンドを使ってあの問題を解決するのよね?」
そう返して来た。
戦意があるように見えない。
「なのに急に居なくなるから探したわよ」
まるで自分のやったことを忘却してしまったように見える。
どういうことだろう……?
スタンド攻撃の影響から外れたってことなのか?
「カツオくん、安易な判断は危険だぞ!」
ノリスケの言葉。
確かに。
もしこれが演技であるのであれば、騙されてしまった時点で詰みだ。
だけど……
カツオは思い出した。
花沢さんがあのときどう振る舞ったか?
それは
磯野君、ちょっとアタシと戦ってよ。
堂々としたものだった。
フェアな条件で戦おうとしたんだ。
だからそこから考えるとおかしい。
花沢さんが、姑息な手段で自分を楽に倒してやろうという手段を取るはずがない。
「ノリスケおじさん、僕は信じて良いと思うんだけど……」
カツオはノリスケに自分の思うところを伝えようとした。
何故自分がそう思うのかについて。
だけどノリスケは
「良く考えた方が良い!」
あくまで慎重な姿勢を崩さなかった。
カツオは
「花沢さんは姑息な手段を使ったりしない子なんだ」
自分の思う花沢さん像を口にする。
花沢さんは面倒見のいい、姉御肌の女の子で。
真っ直ぐな子なんだと。
最初に襲われたときも、堂々と正面から来たんだと。
(分かって貰わないと)
花沢さんは大切なクラスメイト。
分かってもらわないと。