磯野家の奇妙な冒険~ある日、家族全員スタンド使いになってしまった~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「花沢さんは面倒見が良くて、堂々とした性格なんだよ。相手を騙して誤魔化そうなんてしない女の子なんだよ」
「それはキミの思い込みかもしれないぞ!?」
ノリスケは熱く語る。
女は平気で嘘を吐くと。
専業主婦で完璧な家事をすると言っておきながら
家事を全くやらず。
旦那の給料で豪華なランチを食べ。
生活費を使い込んで海物語。
そしてリボ払いで作った借金を旦那に押し付け、それを追求すると泣きながらモラハラを訴え、離婚したら有責側の分際で慰謝料を求めて来る!
そんな女はざらにいるんだぞ!? と。
(ノリスケおじさんの言葉には真実味があるなぁ)
ノリスケの主張を聞きながらカツオは思った。
確かにそういう女性がいるらしいというのはどこかで聞いた気がする。
でもそれは一部のろくでもないクソ女の話で。
一般論じゃないはずだ。
「ノリスケおじさん、それは花沢さんに当てはまらないよ」
あくまでカツオは花沢さんを信じるというスタンスを崩さない。
ノリスケは
「カツオくん、冷静になるんだ」
そんなカツオに必死に呼びかけ続ける。
まるで花沢さんを信じられると都合悪いみたいな……
その思考に至ったとき。
カツオの心に生まれるものがあった。
「ノリスケおじさん、家でそんな目に遭わされているの?」
ノリスケの妻のタイ子さんがそんな酷いことをしているイメージが無かったから訊ねる。
あの美人のタイ子さんがそんな酷いことをしているのだろうか?
しかし
「あくまで最近の一般論だよカツオくん。そんな天地がひっくり返ってもあり得ないことを言わないでくれ」
それは即座に完全否定。
迷いが無かった。
だよなぁ、とカツオは思う。
あの外見でそこまでの悪妻ムーブをされると、ノリスケの一人息子のイクラのDNA鑑定をしないといけない事態になりかねない。
つまり、ノリスケは女性を女性というだけで全く信用しない類の人間ではないはずだ。
一番身近な他人の女性であるタイ子をちゃんと信じているのだから。
だったら
「ノリスケおじさん」
カツオは指を2本立てたサイン……ピースサインをしてノリスケに示して見せた。
ノリスケはカツオの手に視線を集中させる。
「これ、見える?」
カツオのその言葉に
ノリスケは
「見えるよ? ピースサインだよね?」
何を当たり前のことを言ってるんだ?
そう言いたげな口調で返すが。
カツオはその言葉に目を細め。
笑みを浮かべた。
「えっ、どうして見えるのかな?」
カツオのその表情。
そこには強さがあった。
自分で人生を切り開いていく、1人の男としての強さが。
ノリスケはカツオのその表情に気圧されたのか
こう言った。
やや怒りの混じった声で。
「カツオくん! 僕を疑っているのか!? 僕は悲しい!」
目を伏せながら、不機嫌さを隠さずに
「僕がスタンド使いなら、カツオくんのスタンドがピースサインを出していることを気にして、当然見えるはずの生身のピースサインを当然無視してしまうだろうって!」
そう、言ったのだった。
その答えにカツオは笑った。
笑みが深くなる。
そして言った。
「マヌケは見つかったようだね。ノリスケおじさん」