磯野家の奇妙な冒険~ある日、家族全員スタンド使いになってしまった~   作:XX(旧山川海のすけ)

26 / 41
第26話 大作家先生

「ノリスケおじさんは?」

 

 サザエは頭を振る。

 

「だんまりよ。反抗したらポコチンが無くなると言ってあるから、スタンドを出して攻撃はしてこないけど」

 

 ノリスケはどうも、何故カツオを襲ったのかはゲロしていないようだ。

 口を噤んでいる。

 

 弓と矢を奪うのが目的なのはなんとなくわかるけれども、何のために奪おうとしたのかを言わない。

 

 三郎といい、ノリスケといい、一体何なのか?

 

 わけがわからない。

 

「わけがわからないよ」

 

 そう、カツオがまるで宇宙のエネルギーの枯渇を回避するために奔走する仕事人のような言葉を吐いたとき。

 

「ごめんくださーい」

 

 誰かが磯野家を訪ねて来た。

 

 

 

 出てみると、回覧板で。

 年末にクリスマス会が町内で行われるというお知らせだった。

 

 町内会のメンバーで、参加可能な人は運営に是非協力して欲しいとのことで。

 まだ10月なのに、もうクリスマス会のメンバーについて調査するなんて気が早いなと思ったが

 

 これはそれだけ、たくさんの人の動員を見込もうとしているという気持ちの表れかもしれない。

 早めに連絡することで、予定に都合をつけて貰い易くなるわけだし。

 

 磯野家としては、大人組全員が協力可能という返答を書き込み。

 次の回覧先……伊佐坂(いささか)先生の家に持っていく。

 

 その役目を

 

「僕が行くよ」

 

 カツオが買って出る。

 

「あら悪いわね」

 

「姉さんには色々お願いしたし、これくらいはしたいよ」

 

 姉のサザエには中島の件でも世話になったし。

 ノリスケの件でも助けて貰った。

 

 だったらこれくらいの雑務は自分がやるべきだ。

 そう思っただけだったのだけど。

 

 

 

 伊佐坂(いささか)先生。

 

 磯野家の隣に住む小説家の先生の名前だ。

 日本の小説家の大半は小説だけで食べていくことが出来ず、多くが副業をしたり、もしくは実家の財産を食い潰して創作活動を行っているのだが。

 

 この伊佐坂(いささか)先生は、そんな小説家の中に一握り存在する「作家業一本で食べていける」上澄み作家であった。

 

 書いているジャンルは恋愛小説らしい。

 代表作は「炎の城壁」「正反対なお前と俺」

 

 メッチャ売れているそうだ。

 作品自体はカツオは読んだことは無いのだが、伊佐坂(いささか)先生の担当編集がノリスケなので、カツオはそのことを知っていた。

 

 ノリスケの職業は雑誌編集者なのだ。

 

 そこに思い至ったとき、カツオは何か引っかかるものを感じたが。

 それが何であるか、理解するには至らなかった。

 

「ごめんくださーい。回覧板ですー」

 

 そしてカツオは、隣家の伊佐坂(いささか)家の前で呼びかける。

 

 伊佐坂(いささか)家は……

 

 磯野家と同じ木造平屋建ての建物で。

 規模は磯野家と同じ程度。

 

 庭は広いが、豪邸というほどではない。

 

 しかし、小説家という職業の厳しさを考えると、小説一本でこの家を建てた伊佐坂(いささか)先生の実力。

 それが伺い知れた。

 

「はいはいー」

 

 カツオの呼び掛けに。

 ガララと家の玄関引き戸が開いた。

 

「おやカツオくん」

 

 それは……

 

 伊佐坂(いささか)先生の一人娘であり、カツオのかつての想い人である女子高生のウキエさん……

 

 ではなく。

 

 痩せ気味ちょび髭禿げ頭の小説家。

 和服姿の年配男性……

 

 この家の主人の、伊佐坂(いささか)先生本人であった。




正反対なお前と俺……最近アニメ化もされたらしい。
神アニメだとか。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。