磯野家の奇妙な冒険~ある日、家族全員スタンド使いになってしまった~ 作:XX(旧山川海のすけ)
めずらしいな、とカツオは思った。
いつもはウキエさんが応対に出るのに。
どういうことだろう?
でもまあ、何か理由があるのかもしれない。
そしてそれはカツオが首を突っ込むことではないので
「これ、回覧板です」
特にそれ以上気にせず、カツオは回覧板を差し出す。
それを
「ありがとう」
ニコニコ顔で受け取り
その後。
「カツオくん、実はちょっと食べきれないほどのお饅頭を貰ってね」
そんなことをカツオに囁く。
お饅頭。
小学生のカツオにとって、その誘惑は抗いがたいものがあった。
「えっ、お饅頭ですか?」
思わず顔が笑み崩れる。
「栗饅頭、酒饅頭、カステラ饅頭、もみじ饅頭……他に何があったかな?」
少し思案し、饅頭の名前を列挙する。
カツオの頭の中に、甘い饅頭の味が再現され「食べたい気持ち」が盛り上がって来る。
「他にも何かあった気がするが、思い出せない……どうだろう?」
ようは、ちょっと上がって饅頭を選んでみないか?
そう言いたいんだと思う。
それに対するカツオの返事は
「いただきます!」
これ一択であった。
応接スペースはカツオの家より立派に感じた。
売れっ子小説家の家の風格はバッチリだった。
カツオは応接室の黒い革張りのソファに座らせて貰って
「これだよカツオくん」
大き目の茶色い紙の箱を。
これが饅頭の箱なのか。
しかし、一体どこの饅頭なのかが分からない。
箱に字が一切書いてなかったからだ。
一体どんな饅頭だろう……?
カツオは箱を開けた。
そこにはもうひとつ箱が入っていて。
そっちには蓋に字が書いてあった。
それは……
~~~~~
「兄くん、好きー!」
千影は歩道橋の上から、階段を降り切って去ろうとしている兄に呼び掛けた。
兄はその声に困惑と驚きの表情で振り返り、そこで自分に告白をした妹を見上げる。
~~~~~
これは……
小説の一節……
それを認識したとき。
カツオはソファの上に倒れ伏していた。
動けない……
どういうことだろう……これは……?
事態を理解できず混乱するカツオに
それは……
「どうだねカツオくん……私のスタンド『マキシマムプリズナー』の味は……?」
マキシマムプリズナー……?
それが
まさか……!?
(僕はハメられたのか!?)
カツオはようやく、ここに至ってその事実に辿り着いた。