磯野家の奇妙な冒険~ある日、家族全員スタンド使いになってしまった~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第29話 この伊佐坂難物が

 能力バトルモノを書く……?

 そんなことのために、スタンド使いを増やして、スタンドによる人間同士の争いを増やそうとしているっていうのか……?

 

 カツオはそんな伊佐坂(いささか)先生の考えを、理解することが出来なかった。

 

 伊佐坂(いささか)先生は落ち目の小説家では無い。

 代表作の「正反対なお前と俺」は、確かアニメ化していたはずだ。

 

 カツオは見ていないが、花沢さんは見ていた気がする。

 そして「この作品は健康にいいのよ」とまで絶賛していた。

 

 それなのに、何故……?

 

伊佐坂(いささか)先生は売れっ子作家じゃ無いんですか……? そこまでしなくたってお金は入って来るはずじゃ……?」

 

 カツオはこの小説家の気持ちが理解できなかった。

 

 すでに物語を書くだけで、自分の頭だけでこの家を建て、妻と2人の子供を養っているような成功者。

 スタンド使い同士の殺し合いの誘発というそんな恐ろしいことをしてまで、新しいことをはじめる必要があるとは思えない。

 

 だが

 

 カツオの言葉を聞いた伊佐坂(いささか)先生は

 

「この伊佐坂(いささか)難物(なんぶつ)が金やちやほやされるために小説を描いてると思っていたのかァーッ!! 」

 

 そう怒りの表情で叫んだ。

 その表情には本気の怒りがあった。

 

 自分の創作への想いを汚された。

 そんな彼の気持ちが込められている。

 

「私は『読んでもらうため』に小説を描いている! 『読んでもらうため』ただそれだけのためだ」

 

「そして私は『読んでもらうため』毎日毎日作品の参考資料を探し続けている!」

 

 伊佐坂(いささか)先生は部屋を歩き回りながら力説する。

 自分がいかに真剣に小説と向き合っているかを。

 目を見開き、力強く。

 

「それは過去の事件だったり、他人の経験だったり、作品だったり、全てだッ!」

 

「可能な限りネタを集め続け、自分の中で消化するッ! そして消化し、作品に昇華するのだッ!」

 

「分かるかねカツオ君!? この私が小説に向ける想いがッ!?」

 

 カツオはそこに狂気を感じた。

 名作恋愛小説家が秘めている異常性……

 

 平凡な禿げたおっさんのフリをして、こんな異常な部分を持っていた。

 カツオは戦慄する。

 

「私は能力バトルモノに興奮したッ! ジョジョを読んで心の底から『素晴らしい』と思ったのだッ! ならば自分でも書くしかない! 書くのであれば自分で生み出せる最高のものを書きたいのだッ!」

 

「ならば取材するしかない! 情報を集めるしかないッ! そのためなら、スタンド使いによる惨劇を増やすことくらい、やれるならやるべきだッ!」

 

 その目は本気であった。

 この男は本気でこんなことを言っているのだ。

 

(狂ってる……!)

 

 カツオはそれを確信した。

 だが、伊佐坂(いささか)先生はそんなカツオの目を見て

 

「……創作者で無いカツオ君には分からない話か。申し訳ない。取り乱した」

 

 我に返ったのか、スッと真顔に戻ってそう言って一言詫びた。

 

 そして

 

「さて……私の家族が戻ってくる前に、カツオ君に色々書きこまないといけないね」

 

 伊佐坂(いささか)先生はそのままそう穏やかに言い

 

 マキシマムプリズナーの力で本にされ、動けないカツオに近づいてくる……!

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