磯野家の奇妙な冒険~ある日、家族全員スタンド使いになってしまった~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「じゃあ行ってくるよ」
カツオは財布を持って家を出た。
隣町のスーパーはカローラⅡで行けば5分の距離らしいが、徒歩で行くと30分は掛かる。
自家用車の無い磯野家では当然徒歩で。
つまり……
多分急げば、サザエさんがスーパーにたどり着くまでに追いつけるはずだ。
カツオは走った。
野球で鍛えた足を存分に活かした。
姉が家を出たのは10分ほど前。
カツオの計算では10分以内に追いつくと思っていた。
昭和中期の常識で縛られたこの街は、車がほとんど走っていない。
カツオは全力疾走したが、危険を感じる瞬間は無かった。
気持ち良く走っていられる。
住宅地を抜けて、雑貨店や、本屋などが通り過ぎていく。
このまま走れば、まもなく隣町のスーパーに辿り着くはず。
そしてやがて、姉の背中が見えて来た。
「姉さーん! 財布忘れてるよー!」
カツオは息を吸い込み、思い切りそう叫ぶ。
だが、姉は動かなかった。
カツオを振り返ったりしなかった。
代わりに……
「カツオ! 気をつけるのよ!」
鋭い声が飛んでくる。
それは……
「今、スタンド攻撃を受けているから!」
スタンド攻撃!?
この昼間から!?
道の真ん中で!?
カツオは自分の耳を疑った。
だけど
姉に駆け寄ると、姉は負傷していた。
額から血を流し、油断なく周囲を警戒している。
「姉さんどういうことなの?」
「見ての通りよ」
サザエさんは額の血を拭い、カツオに目を向けずに
「いきなり、羽根が飛んで来て……」
自分がどういう攻撃を受けたのかを口にする。
それは……
「その羽根がピラニアに変わったの」
「えっ」
それって……
それはあまりにも有名な攻撃。
それは
「
カツオの悲鳴のような言葉。
それに頷くサザエさん。
姉の言葉には嘘は無いようだ。
言われてみれば、何だか周囲が生臭い気がする。
これはつまり、サザエさんがピラニアをクレイジーダイヤモンドでドラララ~ッと打ち砕いた証拠だろう。
カツオは唾を呑み込み、言葉を続ける。
「つまり、敵スタンド使いはカーズの能力が使えるヤツってこと?」
「おそらくね」
カツオの言葉にサザエさんは頷く。
……2人ともあえて、もう1つの可能性については考えないようにしていた。
それは……
相手がスタンド使いでは無く、
もしそうであるなら、彼ら2人は打つ手なしだからだ。
ジョジョ2部でもカーズを本当の意味で倒すことは出来なかった。
地球がカーズを拒否して、宇宙に叩き出す展開にならなければジョジョは2部で終わっていたのだ。
そんな相手が襲撃してきた場合、それはムリゲーであると言わざるを得ないではないか……!