磯野家の奇妙な冒険~ある日、家族全員スタンド使いになってしまった~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第35話 あの能力しかない!

「じゃあ行ってくるよ」

 

 カツオは財布を持って家を出た。

 隣町のスーパーはカローラⅡで行けば5分の距離らしいが、徒歩で行くと30分は掛かる。

 自家用車の無い磯野家では当然徒歩で。

 

 つまり……

 

 多分急げば、サザエさんがスーパーにたどり着くまでに追いつけるはずだ。

 

 カツオは走った。

 野球で鍛えた足を存分に活かした。

 

 姉が家を出たのは10分ほど前。

 カツオの計算では10分以内に追いつくと思っていた。

 

 昭和中期の常識で縛られたこの街は、車がほとんど走っていない。

 

 カツオは全力疾走したが、危険を感じる瞬間は無かった。

 気持ち良く走っていられる。

 

 住宅地を抜けて、雑貨店や、本屋などが通り過ぎていく。

 このまま走れば、まもなく隣町のスーパーに辿り着くはず。

 

 そしてやがて、姉の背中が見えて来た。

 

「姉さーん! 財布忘れてるよー!」

 

 カツオは息を吸い込み、思い切りそう叫ぶ。

 

 だが、姉は動かなかった。

 カツオを振り返ったりしなかった。

 

 代わりに……

 

「カツオ! 気をつけるのよ!」

 

 鋭い声が飛んでくる。

 それは……

 

「今、スタンド攻撃を受けているから!」

 

 

 

 スタンド攻撃!?

 この昼間から!?

 道の真ん中で!?

 

 カツオは自分の耳を疑った。

 

 だけど

 

 姉に駆け寄ると、姉は負傷していた。

 

 額から血を流し、油断なく周囲を警戒している。

 

「姉さんどういうことなの?」

 

「見ての通りよ」

 

 サザエさんは額の血を拭い、カツオに目を向けずに

 

「いきなり、羽根が飛んで来て……」

 

 自分がどういう攻撃を受けたのかを口にする。

 それは……

 

「その羽根がピラニアに変わったの」

 

「えっ」

 

 それって……

 

 それはあまりにも有名な攻撃。

 それは

 

究極生命体(アルティメット・シイング)カーズの攻撃じゃないか!」

 

 カツオの悲鳴のような言葉。

 それに頷くサザエさん。

 

 姉の言葉には嘘は無いようだ。

 言われてみれば、何だか周囲が生臭い気がする。

 

 これはつまり、サザエさんがピラニアをクレイジーダイヤモンドでドラララ~ッと打ち砕いた証拠だろう。

 

 カツオは唾を呑み込み、言葉を続ける。

 

「つまり、敵スタンド使いはカーズの能力が使えるヤツってこと?」

 

「おそらくね」

 

 カツオの言葉にサザエさんは頷く。

 

 ……2人ともあえて、もう1つの可能性については考えないようにしていた。

 それは……

 

 相手がスタンド使いでは無く、究極生命体(アルティメット・シイング)そのものである可能性。

 もしそうであるなら、彼ら2人は打つ手なしだからだ。

 

 ジョジョ2部でもカーズを本当の意味で倒すことは出来なかった。

 地球がカーズを拒否して、宇宙に叩き出す展開にならなければジョジョは2部で終わっていたのだ。

 

 そんな相手が襲撃してきた場合、それはムリゲーであると言わざるを得ないではないか……!

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