磯野家の奇妙な冒険~ある日、家族全員スタンド使いになってしまった~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「アナゴさんじゃないか!」
「アナゴさんだったの!?」
カツオとサザエさんは驚愕のあまり悲鳴のような声をあげていた。
まさかマスオの同僚であるアナゴさんが襲って来ていたなんて。
アナゴさんは自身のスタンド……青い髪を逆立てた、三つ目の男性型怪人……を隣に立たせ。
カツオに打ち返されて食いついているピラニアを1匹1匹、引き剥がしては握り潰して殺していく。
「やるじゃあないかカツオ君」
アナゴさんは唇を震わせながら、凄まじい笑みでカツオに賛辞を贈ってくる。
「アナゴさん……」
そこでカツオは思い出した。
中島が言い残した言葉を。
唇が特徴的で「ぶるわあああああ」という言葉が口癖の中年男……
まさか
「まさかアナゴさん、あなたが中島のやつを」
カツオが口走ったその言葉。
アナゴさんはその言葉を聞き
「……中島? ああ、そういえば
顎を触りながらそう呟く。
まるで過去の細々としたつまらない思い出のひとつのように。
カツオはその言葉に激昂する。
「
親友をそんな結果に導いた男への本気の怒り。
だが、アナゴさんは
「カツオ君。大人からの忠告だ。……他責はみっともない行為なんだ。よく覚えておくと良い」
何故だか、優しい口調でそう、諭すように言った。
他責。
他責と言うのかこの男は。
中島に起きたあの悲劇を
「中島が吸血鬼化したのは、アンタが石仮面を持って来たからだろう!?」
「被るのを選択したのは彼だ。僕じゃない。僕は誘っただけ」
カツオの怒りに困惑したようにアナゴさんは返す。
自らの責任など、露ほども感じていないようだ。
彼は
「人は人であるだけで十分恵まれているというのに、人以上の存在になりたがる。柱の男になれるチャンスだと言えば、食いつく人間は非常に多い……これは自業自得だと思わないかねカツオ君?」
アナゴさんのそんな無責任な他責論。
それにカツオは揺るがなかった。
「アンタの言う通り、人は弱くて欲が深いと思うよ。……でもさ」
怒りの涙と共にカツオは
「弱いことを罪にしてしまったら、それはもう動物と同じじゃないか!」
その想いを吐き出して
「アナゴさん、あんたは最低の邪悪だ! 人の弱さに付け込んで、悲劇を撒き散らす害悪だ!」
「カツオ君、キミの言う通りだよ」
そこに。
加わって来る声があった。
その場にいる3人の目が集中する。
そこにいたのは……
「マスオさん!」
「マスオ義兄さん!」
そこにいたのは、サザエさんの夫であり……
カツオの義理の兄にあたる、眼鏡とオールバックの髪型が特徴の男。
フグ田マスオであった。