磯野家の奇妙な冒険~ある日、家族全員スタンド使いになってしまった~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第38話 アナゴさんの正体は

「アナゴ君、キミはどうして僕の奥さんと義弟(おとうと)にスタンド攻撃をしているんだい?」

 

 マスオさんは明らかに怒っていた。

 彼は愛妻家であるので、自らの妻であるサザエさんへ攻撃をしたことを許すことが出来ないのだ。

 

 返答次第ではただではおかない。

 そんなオーラを放っている。

 

 ゴゴゴゴ……!

 

 という音が聞こえた気がした。

 

 アナゴさんはそんなマスオさんに対し

 

「んー、フグ田君。君はいつも精力的に会社で仕事をしているよね」

 

 顎を撫でながらアナゴさんはどこ吹く風。

 全く気にしないでそう言い放つ。

 

 マスオさんは

 

「アナゴ君、僕の質問に答えなよ」

 

 怒りの声を上げた。

 

 サザエさんはそんな夫の怒りに彼の妻として思わず発情する。

 

(マスオさんがあたしのためにあんなに怒ってくれている)

 

 夫の愛を感じた。

 頭の中で第二子出産の計画を立ててしまう。

 

 カツオも義兄の男らしさに敬意を感じ、震えてしまう。

 姉さんの旦那さんがマスオ義兄さんで本当に良かった……!

 はやく姉さんのおなかをもう一度パンパンにして欲しい……!

 

 だが、アナゴさんは

 

「話は最後まで聞くべきだろフグ田君」

 

 そんな男らしいマスオさんに少しも臆さずに

 

「フグ田君……僕はねぇ……岩人間なんだよ」

 

 そんな、衝撃的な発言に繋げた。

 

 

 

 岩人間。

 

 それは人に混じって存在する人ならざる者。

 所謂亜人種である。

 

 推定寿命は240才。

 種族的にほぼ全てがスタンド能力を有していることが最大の特徴。

 

 人間と同じ知能を有し、会話も可能であるがその精神性は根本的に異なる。

 友情や愛情という概念が無く、行動基準はあくまで損得勘定。

 人間で言えば、サイコパス気質の人間にかなり近い。

 

 アナゴさんはそんな危険な異種族だったのだ!

 

「君が岩人間だったなんてびっくりだよ」

 

 マスオさんも驚きを隠せないようだ。

 緊張で額に汗が滲む。

 

 マスオさんは手の甲でそれを拭った。

 アナゴさんは続ける。

 

「まぁ、岩人間くらい日本人なら知ってて当然だよね。話が早くて助かるよ」

 

 アナゴさんは嬉しそうだった。

 マスオさんは

 

「今となってはキミに褒められてもちっとも嬉しくないね……しかし」

 

 アナゴさんは岩人間。

 だとしたら、あり得ないことが1つある。

 

 それは

 

「アナゴ君。僕はキミが会社を休んだ記憶が皆無なんだが……睡眠期はどうしてるの?」

 

 睡眠期。

 それは岩人間の致命的な弱点である。

 

 岩人間は不定期かつ数か月にも渡る「睡眠期」という休眠期間があるのだ。

 

 岩人間は通常時は一切眠らないが、睡眠期が訪れると30~90日は眠り続けてしまう。

 これが不定期にやってくる。

 睡眠期が終了して覚醒後2ヶ月以内に必ず来るのだ。

 

 なので、岩人間は通常会社組織に入ってバリバリ働くことが出来ない。

 それはアナゴさんのこれまでと大きく矛盾する……!

 

 マスオさんのその問いに

 

「それはまあ、色々無茶な方法で回避しているのさ」

 

 アナゴさんは面倒くさそうにそう呟き、自分の唇に触れた。

 これはアナゴさんがうんざりしているときの癖だと、マスオさんは知っていた。

 

(それは答えるのが面倒なのか、言えないのか……どちらなんだ?)

 

 マスオさんはそこに何か意味があると感じていた。

 アナゴさんが岩人間であるという情報を疑っているわけじゃない。

 

 そんな嘘をここで吐く必要性は無いじゃないか。

 だとしたら、何故それが言えないのか……?

 

 その思考を進めようとしたとき。

 アナゴさんは

 

「ぶるわああああああ」

 

 大きくそう吼えて。

 そして

 

「僕だって睡眠期なんて厄介なものが無い自分になりたいのさ! 君らのように普通に働いて、人生を謳歌したいんだ……そのためにはスーパーエイジャが要るんだよ。どうしても」

 

 自分のこの行動は、岩人間の悲劇的な性質「睡眠期」を退けるためである。

 彼はそう言い放ち

 

「だから僕はそれを貰いに来た。それの一体何が悪いって言うんだい? フグ田君?」

 

 全く悪びれた様子も見せずに、彼は磯野家の3人に向かってそう言い放った。

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