磯野家の奇妙な冒険~ある日、家族全員スタンド使いになってしまった~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第4話 違和感

 結局その日、中島は来なかった。

 

 担任曰く「中島は風邪だそうだ。本人から連絡があった」らしい。

 

 ……風邪なのか。

 カツオは中島のことが心配になり、同時に興味を覚えてしまった。

 

 親友が一体、どんなスタンドを手に入れたのか?

 どうしても知りたい。

 

 風邪は数日長引くかもしれないし。

 無論心配でもあるから

 

(お見舞いに行こう)

 

 そう思うのは自然な成り行きだった。

 

 

 

 小学校は6限目まである場合、終わるのは15時20分くらいが下校時刻の目安になる。

 中島の家は学校から10分くらいの距離だ。

 

 磯野家はそこからさらに5分。

 

 なので、下校の途中でお見舞いに行くのは難しくない。

 

 カツオは学校が終わるのを今か今かと待ち続け。

 放課後になった瞬間、ランドセルを背負って飛び出した。

 

 外に出ると少し肌寒かった。

 10月だから当然かもしれない。

 

 もう冬服に切り替えるべきか?

 カツオは中島の家を目指しながらそう考える。

 

 中学と違い小学校は制服が無いので、夏服と冬服の切り替えは個人の自由で。

 好きに変えて良いのだけど……

 

(半ズボン、どうにかならないか?)

 

 昭和の風習に支配されたこの町は、子供は風の子という戒律があるので。

 カツオは冬でも半ズボンだった。

 

 迷惑な話だ。

 

(中島もこのせいで風邪を引いたのかもしれない)

 

 そう思い、カツオは理不尽を感じた。

 

 

 

 そして10分歩いて。

 カツオは中島の家に辿り着いた。

 

 中島の家はひっそりと静まり返っている。

 

 中島の家は和風の平屋建て。

 磯野家と同じだ。

 カツオはそこにも親近感のようなものを抱いていた。

 

 中島の家は両親が共働きで、あまり見たことは無い。

 中島自身が風邪の連絡を入れたのはそのせいなのか?

 

 ……確か、祖父も同居していたはず。

 

 老人は早起きな場合と、逆に長く寝ている場合の二択の傾向が強いから、やむなくかもしれないな。

 

 そんなことを思いつつカツオは

 

「おーい! 中島ー! 大丈夫かー?」

 

 家の外から呼び掛けた。

 

 そのまま数分待ったが

 

 ……反応がない。

 

(ひょっとして寝てるのか?)

 

 そう思ったカツオは、今日は見舞うのをやめておこうと思い、踵を返して去ろうとしたが

 

「磯野」

 

 その寸前に、玄関の引き戸の向こうから。

 中島の声がした。

 

 その声は何だか焦りを感じた。

 

 ……少し変に思った。

 起きていたなら、何で数分放置したのだろう?

 

 そう思ったから

 

「どうしたんだ中島? なかなか返事しないから寝てるのかと」

 

 訊ねると。

 中島は

 

「ちょっと大急ぎで家を片付けたんだ。入ってくれ」

 

 やはり焦りを感じる声でそう返して来た。

 

 ……訳が分からない。

 どういうことなんだ?

 

 でもカツオは中島の様子を見に来たのだから

 

「お邪魔します」

 

 そう言って、玄関引き戸を開けて中に入った。

 

 ……中島は玄関奥の、陽の当たらない場所にいた。

 

 中島は

 何だか妙に顔色が悪い気がした。

 でも、妙な顔色の悪さだ。

 病気の顔色の悪さと何だか違う気がした。

 

 爽やかな笑みを浮かべているのに、何故か陰を感じるのだ。

 説明できない。雰囲気だ。

 

 でもカツオは

 

(まあ、別に良いか)

 

 そう思って。

 自分が感じた違和感に蓋をした。

 

 中島家の玄関には正面に時計があって。

 そこの時計は現在、15時45分を指していた。

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