磯野家の奇妙な冒険~ある日、家族全員スタンド使いになってしまった~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「やはり
カツオが呻くように呟く。
カツオが打ち返した羽根弾を、プロテクターを纏うことで防ぐ。
それをやってのけたアナゴさんに、カツオはそんな判断を下した。
だが
(本当にそうだろうか?)
マスオさんはカツオのその判断を疑問視する。
確かに甲殻類のプロテクターを身に纏うのはカーズもやっていた。
地球の生き物の全ての能力を、それを凌駕する形で使用できる。
そこから来る特殊能力。
だが、それは
全てでは無い。
寧ろそれが全てであればジョジョ2部クライマックスであそこまで苦戦しなかった。
カーズは他にも……
寿命を持たず。
生存に食物も水も酸素も必要とせず。
老いることも無い。
そんな能力があった。
それをただ「見たことがある能力を使ったから」という理由で「全て持っている」と考えるのは早計では無いだろうか?
冷静にならないと。
今はただ「アナゴさんは地球の生き物の能力を使用できる能力を持っているのかもしれない」というだけなんだ。
それだけを前提で考えるんだ……
マスオさんは思考を回した。
透明化は何で実現しているのか。
地球の生き物の能力を使ったことが前提なら、それは一体何なのか。
そして、攻撃時に姿を現すのはどうしてなのか……
「カツオ君」
マスオさんは警戒をする姿勢のまま、そっと呟くように言う。
カツオだけに聞こえるように。
「マスオ義兄さん?」
カツオは義兄に目を向ける。
マスオさんは
「サザエの耳を合図したら塞いでくれ。方法は任せる」
そっと、囁くように言った。
カツオは戸惑いを感じつつも
(わかったよマスオ義兄さん)
義兄の考えに、一切何も聞くことなく乗った。
義兄はすごい男だ。義兄ならやってくれる……!
そして
「今だ!」
マスオさんの叫び。
同時にカツオはジャイアントスターにサザエさんの耳を両手で塞がせた。
それと同時だった。
その場に、大音量の音が鳴り響いた。
「ぶるわあああああああああ!!」
アナゴさんの凄まじい叫びが、その場を一瞬遅れて轟いていく。
アナゴさんが現れた。崩れ落ちる姿勢で両耳を押さえて。
アナゴさんは歯を食いしばり、怒りの表情を浮かべている。
そして叫んだ。
「な……何故僕の弱点が音だと分かった!?」
そして驚愕する。
「それは……」
わなわなと震えるアナゴさん。
今、気づいたらしい。
「エコーズアクト1じゃないかぁぁぁぁ!」
そう。
マスオさんのスタンドは、エコーズアクト3から、尻尾を持つ奇妙な緑色の生物の姿のスタンド……エコーズアクト1に切り替わっていたのだ。
マスオさんは平然とした顔で
「……別に戦闘にエコーズアクト3以外使ってはいけないなんてルールは無いよね?」
アナゴさんに歩み寄る。
傍に自らのスタンド「エコーズアクト1」を引き連れながら。
そして言った。
何故自分がこうしたのか。
「アナゴ君、キミがおそらく外界の様子を蝙蝠の超音波で察知していると踏んだから、やってみたまでさ」
魚類の一部には、外敵に見つからないように身体が透けている生物がいる。
マスオさんはそこから「アナゴさんはその生き物の能力を凌駕する形で使い、本当に透明になっているのではないか?」と踏んだ。
そしてその場合の「完全透明になると、目が見えなくなる問題」の解決手段として、音波を利用しているのではないかと踏んだのだ。
眼球内で光の屈折が起きないと、目は光を感じ取り、映像を結ぶことができない。
だとしたら、そうするのではないかと。
そして超音波で把握しているから、自分の目で見ているわけではないから、射撃をする際に姿を現すのではないかと。
ならば……
エコーズアクト1で大音量を立ててみればどうなるか?
アナゴさんは、エコーズアクト3を見て「3フリーズ」しか警戒していない。
音攻撃をしてくることは想定していないかもしれない……
そこからの、作戦。
「……まあ、ここまで効果があるとは思わなかったよ」
マスオさんは厳しい表情で自分の耳を触り
優しい声で続ける。
それは
「サザエ、あとで直してくれ……僕の耳は鼓膜が破れちゃってるからさ」
そう……
自分の耳もやられかねない大音量を出したのだ。
その場合、サザエさんの耳もやられてしまうと、自分の耳はクレイジーダイヤモンドの対象外。
直すことができない。
だからカツオに言って耳を塞がせた。
そういうことだったのだ。
サザエ以外は後で直せばいい……
マスオさんのそんな決断。
感じ入って震えてしまうサザエさんとカツオ君。
その2人の見ている前で
「エコーズアクト3!」
マスオさんのスタンド・エコーズはその姿をアクト1からアクト3に変え。
すぐさま
「3フリーズ!」
大音量の衝撃で行動不能に陥っているアナゴさんに能力を使用した。
……完璧な詰みであった。
アナゴさんのスタンド:デビル・ザ・ビジター
地球上の生物の特殊能力を、完全凌駕するレベルで使用できる。
能力には持ち物、着用している衣服等も含まれる。