磯野家の奇妙な冒険~ある日、家族全員スタンド使いになってしまった~   作:XX(旧山川海のすけ)

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最終話 サザエさんは愉快だな

「ぶるわああああ……!」

 

 アナゴさんは地べたにうつ伏せに這いつくばって、動けなくなっていた。

 3フリーズはモノを重くする能力。

 今アナゴさんは頭部の重さを増加させられ、行動不能に陥っていた。

 

 頭部は人体で最も重い部位である。

 そのため3フリーズで能力の対象として指定した場合、結果がとんでもないことになってしまう。

 

 原作で康一君は1度も敵の頭部に3フリーズを使用することは無かった。

 それはおそらく、康一君が相手が悪鬼のような存在でも、殺害してしまえるどす黒さを持ち合わせていなかったためだろう。

 

 何故なら

 

 頭部を重くすればそれを支える首が耐えられず、折れてしまう可能性がある。

 それでなくても、頭が地面に叩きつけられ、スイカのように割れてしまう恐れすらある。

 そんな危険極まりない行動なのだ。

 

 だが、マスオさんは康一君が敢えて封印していたであろうその使用法を躊躇いなく実行したのだった。

 

「さあ、カツオ君、サザエ、今のうちにアナゴ君を頼む」

 

 マスオさんの家族への呼び掛け。

 3フリーズ使用中はマスオさんは動くことが出来ない。

 だからこうするのは自然だった。

 

「あなた!」

 

「分かったよマスオ義兄さん」

 

 呼び掛けに応え、駆け寄って来るマスオさんの妻と義弟。

 アナゴさんは自らの敗北と、己の運命を悟り

 

「ま、待つんだフグ田君! 僕はキミの隣のデスクで、ずっと一緒にやってきたじゃあないか!」

 

 もはやこれまでと思ったのか。

 マスオさんの慈悲を請うことを口にする。

 

 そこには「ずっと一緒に仕事をしてきた自分を殺すのか?」という、薄汚いドブネズミのような気持ちが溢れていた。

 だがマスオさんは

 

「いやあ、そうだけどさ。ぶっちゃけ会社ってのは家族を養うために行くもので。そこでの人間関係が、自分の家族に勝るのは僕の中では物理的にあり得ないかなぁ」

 

 ニッコリと微笑ながらアナゴさんの命乞いを却下した。

 

 そして

 

「オラァ!」

 

「ドララララアァ!」

 

 カツオのジャイアントスターと、サザエのクレイジーダイヤモンド。

 2体のスタンドの渾身の一撃と、怒涛のラッシュが叩き込まれ

 

「ぶるわあああああああああああ!」

 

 アナゴさんはその身体を石に変化させ。

 ボロボロに崩れ、石から砂に変じてこの世から消え去っていく……

 

 命を落とした岩人間は、その身を崩壊させ砂になる。

 

 岩人間の宿命……その最期であった。

 

 

 

「アナゴくん、キミがどうやって睡眠期を抑え込み、そこでどれだけ苦しんだのか知らないが……」

 

 マスオさんはアナゴさんだった砂の山を見つめていた。

 倒すことを決断したとはいえ、会社での辛いことを一緒に乗り越えて来た仲間ではあったのだ。

 

 平気ではなかった。

 その目には悲しみが含まれている。

 

 だが

 

「僕の家庭を脅かすなら悪いが排除させて貰う」

 

 全てはそれだった。

 彼が自分の家の脅威になった以上、倒すしかない。

 

 許すわけにはいかないのだ。

 

 マスオさんにとっては、一番大切なものが自分の家族なのだから。

 

「あなた」

 

 サザエさんが夫の隣に立つ。

 マスオさんはそんな彼女に微笑みかけ

 

「帰ろう。サザエ。カツオ君」

 

「うん」

 

「そうね」

 

 マスオさんの言葉に頷く2人。

 

 スーパーに買い物に行く予定を取りやめ。

 3人は1列に並んで我が家へと帰っていく。

 

 そして3人が家に入ったとき。

 

 磯野家が大きく揺れた。

 

<了>




なんとなく書いてみたかったから書いた。
全く後悔していない。
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