磯野家の奇妙な冒険~ある日、家族全員スタンド使いになってしまった~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第6話 人間を辞めているんだよ磯野

「磯野」

 

 中島は

 

 石仮面の存在に気づいたカツオに気づいた。

 

 その目は……

 

 酷く寂しそうで。

 だけど

 

 ドンぎまりした覚悟の色があった。

 

「中島、それ……」

 

「ああ、石仮面さ磯野」

 

 中島は目覚まし時計を置き、押し入れ奥の石仮面を手に取った。

 

 ……間違いない。

 

 電灯の下に引っ張り出されたそれは、間違いなく石仮面だった。

 

 カツオは呻くように

 

「まさか……」

 

「ああ、磯野が想像している通りさ」

 

 中島は頷く。

 そして言った。

 

「ぼくはもう、人間を辞めているんだよ磯野」

 

 

 

 

「中島、何でだよ!」

 

「そんなの、石仮面を手に入れたら被ってみるだろ。当たり前じゃないか」

 

 カツオの言葉に中島は笑みを見せてそう言いつつ

 

 フッと笑い。

 そして

 

「……なんて言いたいところだけど、違うんだ」

 

 そう直前の言葉を否定して。

 話した。

 

 自分の身に何が起きたのか。

 それは

 

「ぼくは騙されたんだよ」

 

 中島は語る。

 悔しそうに。

 

 自分は騙されたと。

 

 

 

 昨日の晩、中島の枕元に唇が特徴的な中年男性が立ったらしい。

 男性は言った。

 

「んー、キミ柱の男になってみないか?」

 

 そして渡されたのが石仮面と赤い石。

 

 男性は赤い石を「エイジャの赤石」と言った。

 

「柱の男がエイジャの赤石の嵌った石仮面を被ると究極生物(アルティミット・シイング)になる」

 

「ならば人間が被れば吸血鬼のもう一つ上の柱の男になれるのは自明の理」

 

 ……穴だらけの論理である。

 柱の男は元々そういう別の生物であって、別に人間の究極進化形態ではない。

 

 けれども。

 

 柱の男になれるかもしれないという誘惑はあまりにも大きかったのか。

 中島少年は中年男性の口車に乗ってしまった。

 

「柱の男なら太陽光線に当たっても、石化するだけで死なないからいいよね!」

 

 目を輝かせて石仮面を被り、男性が持参した紫外線照射装置により、紫外線を浴びた。

 

 だが

 

 照射を受けた瞬間、石仮面に嵌っていたエイジャの赤石が砕け。

 そのまま石仮面の骨針は、中島少年の頭蓋骨を突き破り、脳に食い込んだ。

 人間を吸血鬼という上位の存在に押し上げる脳の秘孔に。

 

 明らかな失敗。

 だが、中年男性は

 

「……んー失敗か。残念だねぇ」

 

 噛み締めるようにそう言いつつ顎を撫で

 

「申し訳なかった。だが実験に失敗はつきものなんだよ。ぶるわああああ……」

 

 全然申し訳なさそうな声で、そんなことを言い残し。

 その場から姿を消した……

 

 

 

「そんなことが」

 

 カツオは戦慄した。

 この町にそんな恐ろしい存在がいるなんて。

 

 まるで第4部の吉良吉影のようではないか……!

 

 そして彼は、騙されて吸血鬼になってしまった親友に同情した。

 

「中島……!」

 

 なんと言えば良いんだろうか?

 酷い、許せないなんて言葉は軽すぎる。

 

 中島はもう陽の光が浴びれないんだ。

 

 生存することに吸血することが要求されることは最悪どうにでもなる。

 だけど、太陽光線の下を歩けない。

 

 その屈辱。

 言葉に表せないほどの大きさだ。

 

 なんとか元に戻してやりたいと思った。

 何故なら彼は親友だから。

 

 だけど……

 

「なぁ磯野」

 

 中島は満面の笑顔を浮かべていた。

 それはとても、明るい笑みで……

 

「ぼくたち親友だよな?」

 

 そんなことを言う。

 カツオは「当たり前だろ」と答えると……

 

 中島はニコリと笑った。

 そして

 

 次の瞬間。

 

WRYYYYYY(ウリィィィィィ)!」

 

 中島が雄叫びをあげ。

 跳躍し。

 

 カツオに襲い掛かって来た!

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