磯野家の奇妙な冒険~ある日、家族全員スタンド使いになってしまった~ 作:XX(旧山川海のすけ)
見抜かれた……!
カツオは戦慄する。
スタンドの性能を見抜かれた。
それは、次から対策を打って来るということ。
それに
(僕はジャイアントスターの能力を2回使ってしまった)
ジャイアントスターは使用回数制限があるスタンド。
残り1回しか使えない……
スタンドタイプを見抜かれた上、そのスタンドも能力が崖っぷち。
絶体絶命だ。
どうする……?
カツオは立ち上がり、スタンドの発動を維持する。
残り1回だ。
けれども
この目の前の脅威を前にして、スタンドを引っ込める選択はあり得ない。
「近距離パワー型ということは」
中島は笑っている。
彼は決して馬鹿ではない。
なので
「……近づかない手を使うべき、だよね」
次の瞬間だった。
中島の目から何かが撃ち出され、カツオのすぐ傍を撃ち抜いていく。
それはカツオを貫かず、カツオの背後に存在した巨岩に命中。
岩を貫き、穴を穿った。
これは……
吸血鬼が標準装備している技だ。
それは左右の眼球の瞳の部分から高圧で体液を発射し、標的を撃ち抜く技。
ものすごく簡単に言うと、水鉄砲である。
しかし高圧で射出した液体は、鉄をも切断する刃になる。
水鉄砲ではあるが、殺人技なのは間違いない。
(そうだ。吸血鬼にはこの技があるんだ)
カツオは戦慄する。
中島は、近づいたらスタンドで殴られると結論付けて近づくつもりはないらしい。
この技で自分に重傷を負わせて、抵抗する気力を失わせ、仲間に引き入れるつもりなのか。
詰んだ状況。
そんな言葉が頭に浮かぶ。
しかし
(ピンチはチャンスだよ)
カツオはそう思う。
それで「詰み」という言葉を打ち消した。
思考を放棄してはいけない。
考え続けなければ。
少なくとも、これで中島が何で攻撃をしてくるかが特定された。
中島が自分のスタンド能力を近距離パワー型と見抜いたせいだ。
だから、有利になったのは中島だけじゃない!
自分のスタンドは野球少年である自分自身の在り方から出て来たスタンド。
エンヤ婆も言っていたじゃないか。
スタンド能力とは「認識すること」
空気を吸って吐くのと同じように。
HBのエンピツを指でベギッ! とへし折る事と同じように。
「出来て当然」
そう思うこと。
だったら……
打ち返せるはずだ!
「さあ磯野。覚悟してくれ」
中島は仰け反る。
技を繰り出す予備動作か。
そして言った。
「さっきは初めて撃ったから外したけど、次は外さないぜ」
なるほど。
カツオはその言葉に絶望はしなかった。
逆に、次はストレート球が来るんだと思った。
チャンスだと思った。
できる。
出来て当然だ。
ジャイアントスターは野球のスタンド能力。
飛んでくるものなら、打ち返せる!
そして
「
中島の身体が仰け反った姿勢からクンと前傾し、その両眼からビームのように体液が発射された。
それをカツオは……
(見える)
見ていた。
見えていたのだ。
だが、カツオの身体は動かない。
カツオ自身は人類でしかないからだ。
けれどもスタンドは違う。
彼のスタンド「ジャイアントスター」は、飛んでくる2つの体液弾に対し
速やかにベストポジションに立ち、ベストタイミングでそのバットをフルスイングする。
(裁くのは僕のスタンドだ!)
そのとき。
2つの体液はその矛先をカツオから中島に変更した。
打ち返された!
「!!」
打ち返された
その脳と頸椎を完璧に破壊した。
衝撃で後ろに吹き飛ぶ中島を見つめ
「中島……!」
カツオはこの親友との戦いに勝ったことを自覚し。
涙したのだった。