変身ヒーローズは謎の世界で開拓中   作:筆人矢

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第3話でヒロイン登場回は遅めだろうか?

「……あー」

 

 どうしよ。

 目の前には今しがたできたバカでかい──いや、そこまでデカくないクレーター。

 そしてそこに倒れ込む少女。

 装いは魔法少女のようであったが、故郷で見た彼女らとはなんというか、装備の特徴が違っていた。

 俺は乙女の服装に対して詳しくないからよく言えないが……普段使いできそうなドレスになってる、って感じか?

 魔法少女のあれは変身時のみの特別なものだけど、それとこれは違うように感じた。

 

「……ま、助けるか」

 

 助けない理由をある程度考えたが……やめた。

 そんなの考えようと思っている時点で、助けようというつもりではあることには変わりはなかったからな。

 

 クレーターの中から少女を持ち上げて、安全な場所で治療してやることにした。

 あのうっとおしいマナー講師共の仕業で応急処置術に関してはバッチリだった。

 まあ、目に見える範囲のかすり傷だけしかけがはなかったって話だが。それ以外はそこまで確認していない。

 

 とは言え謎の少女。目には見えない何かがあるのかもしれない。

 ある程度周囲の廃材の中から資材を見つけて、それで前もって準備を進めておくべきかな──と思ったが。

 

「う、うぅん……」

「っ、もう目覚めるのか」

「わ、私はぁ……あ、あれ?」

 

 若干ふらつきながらも起き上がる少女。

 俺の顔を見て、腕を見て──怖がるのかと思いきや、ペコリと一礼してきた。

 

「助けてくださったんですね、ありがとうございます!」

「え、あ、ああ……」

「まさか界渡りの魔術の行使を失敗するだなんて……これまでそんなことはなかったのに、なんでかなー?」

 

 そう言ってブツブツと、何やら自分の行いか何かを顧みているようだった。

 この少女については未だ謎の少女、ではあるがある程度は解ってきた気がする。

 もう少し情報を聞き出そうと思った矢先、少女は「あっ!」と驚いたような表情を取って俺に改めて振り向き直った。

 

「そう言えば私のことについてご説明していませんでした! すいません! 私はアミー、と言います! 改めて、私を助けてくださりありがとうございます!」

「あ、ああ」

「私は元は魔女の世界出身でして、こことは異なる世界よりやってきた、オーヴァーランダー……と、言う者でございます」

 

 やっぱオーヴァーランダーだったか。

 オーヴァーランダーは、つまるところ異世界からやって来た者のことを指し示している。

 まあ俺のような例外もいるにはいるが……基本的には異世界出身の奴のことを指している。

 

 とはいえ、自己紹介されたんだ。

 俺のことについても軽く紹介してやろうか。

 そんな感じで、俺の身の上を軽く話していく。

 

「──まあ、こんな感じで、俺は今この訳の分からない世界にいるんだ」

「……」

「……あー、悪いな。軽く話すつもりだったんだが、結構詳細な部分までしゃべっちまったか?」

「……頑張ったんですねえ、イゾウさんっ!」

「泣くほどか……?」

「だっで、実のお父さんを倒すことになるなんでっ……」

「そんな泣くほどでもないだろうよ……」

 

 まあ、そんなことがあって。

 

 俺はこの世界の奇妙さをアミーに説明した。

 アミーはその説明を受けてまたビックリしたが、話を聞いていくうちに深い考察を行うような表情になっていった。

 やはり、アミーは俺よりも異世界についての見識が深いようだった。

 

「……この世界がユグドラシルの『枝』ではないか、ですか……」

「どうだ? 俺はそこまでユグドラシルに詳しいわけじゃないが……その仮説はあり得るのか?」

「──分かりません、としか言えませんね。私もこんな世界、見たことも無ければ聞いたこともありませんから」

 

 そう言って、アミーは杖を手に持つ。

 一緒に落ちてきたものだが、アミーと同様に頑丈なようだった。

 

「私は異世界の魔法について研究していくという、故郷においてもけっこう変わった分野の魔法を習っているのですが……そんな中でこのような世界の存在は聞いたことがありません」

「存在すら解ってなかったのか?」

「はい。私がここに落ちてしまったのは、私が異世界へ転移する魔法を間違えたであろうことが発端だと思いますけど……でも、それでこの世界に行けるだなんてことも……一切聞いていませんでした」

「ちなみに、元々どんなふうに言われてたんだ?」

「身体がバラバラになるとか、内蔵が1つずつ違う世界に飛んでいくぞ~って言うふうに教わっていましたね」

「怖っ」

 

 じゃあなんだ?

 俺もひょっとしたらあの時の爆発でそんなふうになってたかもしれないってことか?

 …………改造手術受けといてよかったかもしれないと思う日が来るとはな。

 

「話を戻しますね。私が習った限りですと、ユグドラシル世界は『リーフワールド』と『ルートワールド』の2つで構成されていて、それぞれ葉と枝を表していると言われています」

「じゃあ……ここはルートワールドってことか?」

「いえ、そんな風には見えませんね……ルートワールドはリーフワールドに対する基本になるべき世界、数多のリーフワールドの大本、というふうに習いましたが──ここは、そう言った世界から大きくかけ離れているような……」

「つまり……わからないってことか?」

「はい……お役に立てずごめんなさいっ」

「いいさ。異世界に詳しい世界でもコレってことはどの世界でもこれ以上は望み薄なんだろうさ」

 

 なるほど。

 どういう世界かは結局わからずじまい、か。

 まあそうなってしまったのならそれはそれでしょうがない、か。

 

「──それで、アミーは元の世界に帰れるのか?」

「えっ、か、帰れるって……あ、ああ! そうですね。ここに不時着してしまったんですから、帰れるかどうかは確かめておかないといけませんものねっ」

「そうだが……?」

「それについてですが……この世界についての詳細な情報が解明できていない以上、私の習得している界渡りの魔法はきっと効力を発揮しないかと、思うんですよね」

 

 そうなのか。

 魔法についてはよく知らないからそうなのかとしか言えないが、きっとそうなのだろうな。

 

「じゃあ、ちゃんと研究しないとダメってことか……わかった、ひとまずアミー用の研究拠点を用意しよう」

「ですから、できればここで研究させてほしいな──―っていいんですか!?」

「暇だからな。アミーみたいなやつと話が出来て割と感謝してるんだぜ?」

「そ、そうですか」

「ひとまず、さっき通りすがった廃墟群から建材でも集めて仮小屋でも建てるか」

 

 やっとこさ寂しかったこの世界で明るめな目標ができた。

 俺の気持ちも上がるってもんよ。

 右腕も疼いてきやがる。さっさとアミーの拠点を作ってやるか。

 

「イゾウさん、手伝いますよ」

「アミー、いいのか?」

「私の拠点を私が作らなくてどうするんですか。それに、イゾウさんの拠点も一緒に作るんですよ」

「俺のも?」

「当然ですよ!」

 

 そんなことを言いながら、アミーを俺の右側に立って、共に廃墟へと向かう。

 久々のような温かさが、全身を貫いたかのように駆け巡るのを感じながら、俺は歩みを進めるのだった。

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