アルピ交通事務局のアニポケネタ倉庫   作:アルピ交通事務局

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誰でもない自分の為に

 

 ●月α日 遠くに置けば距離的にどうにかなるだろう

 

 

 セキエイ大会用のファイヤーの聖火が届く。

 俺が聖火ランナーとして走るのはほんの少しだけ……だが、それでも緊張はしてしまうものだ。

 冒険の格好からテニス用の服に切り替える。 テニス用の服を今度からはこういう大会に使おう。形から入るが気持ちがシャキッとしてしっかりする。

 

 

 聖火ランナーを務める時が来た。聖火が早く来ないかなと焦っているとサトシ達がやって来た。

 俺の前の人の聖火ランナーと共に。聖火ランナーを歓迎しているのをサトシ達を歓迎していると勘違いをしていた。お前はまだ無名のトレーナーなんだから下手な期待をされるわけがないのになにをしているんだ?

 サトシ達は自分達じゃなくて聖火ランナーを歓迎していたのかよと落ち込む……のではなく、聖火があることすら知らなかった。お前は今の今までなにを学んでいたと言いたいがその言葉を飲み込みファイヤーの聖火を受け継ぐ。

 

 ポケモンリーグの偉い人ことタマランゼ会長がファイヤーの聖火について説明をする。

 サトシ達の前で説明するということはサトシ達の様に知らない奴に対して覚えておいてねと言う事だろう。ポケモンリーグでは非常に常識的な事なのに知らないのは割と洒落にならない。

 

 

 サトシが聖火ランナーをやってみたい!と言い出した。

 しかし残念な事に聖火ランナーは既に決まっている。何処かで欠員が出たら補充する補充要員も居る。選手の中から選ばれるには早めに来て抽選で選ばれないといけない。運の要素が絡んでくるので早く来れなかったお前達が悪い。オーキド博士から聞いたがもうすぐポケモンリーグと言われてやっと旅立ったのは洒落にならない。

 

 今回は残念だったと諦めて違う地方リーグは早くに来い。

 ただそれだけしか言えない。タマランゼ会長はテレビカメラに向かって早く来たら来場者にも聖火ランナーのチャンスが!と謳っていた。なんだかんだで運営とかそういうのしっかりしている、ちゃっかりしているなと思う。

 

 サトシ達はもういいですか?と聞けばもう走って良いと言う。

 聖火の説明を終えたし俺は聖火を持ちながら走っていくのだがロケット団が現れた……何時もの3人組だ。

 原作知識的にファイヤーの聖火を奪いに来る、いや、それよりも問題がある。このポケモンリーグ・セキエイ大会だけはロケット団は邪魔をする。俺は純粋な実力で負けたら負けたで受け入れる。運の要素も実力だと受け入れる。だが、ロケット団の様な完全なまでの第三者のせいで試合そのものが成立しないのは許せない。

 

 どうせあの手この手を使ってもギャグ補正で色々と終わるのは理解している。

 でも、それでも戦いの場所だけは絶対に邪魔させない。コレを大衆の前で堂々と見せるのはハイリスクノーリターンだ。ロケット団の狙いは基本的にはサトシ一行だから深く介入しなければそれでいいだけの話だ……でも、そんなので勝っても嬉しくない。楽しくもない。だから使うとマスターボールを投げ、フリーザーを出した。

 

「「「フ、フリーザー!?」」」と初手フリーザーに驚くロケット団。

 俺は一切の手は抜かない。フリーザーに【れいとうビーム】を指示しロケット団の乗っている気球をカチンコチンに凍らせる。何時ものやな感じでは吹き飛ばさない。気球は上昇気流を利用して飛ぶので【れいとうビーム】でカチンコチンに凍れば地面に落ちる。

 

 テレビの前で堂々とロケット団が活動する、コレはサカキ的には辛いことだろう。

 大事な大会の場所、特にこういう場所で堂々と犯罪行為を行う。勿論それを成功する=スゴい悪とは分かっている。でも、その分笑えないぐらいに厳重な警備をしている。なにが一番最悪かってその警備はここまで8つ以上のジムバッジを集めてきた腕自慢なトレーナー達だ。たった3人と数匹のポケモンだけでそれを成し遂げる?そんなのはモリアーティ教授の悪意とシャーロック・ホームズの知性を合わせても絶対に不可能だ。策略以前に駒が足りない。

 

 ジュンサーさんが凍っているロケット団を取り囲む。

 カメラの前で「ポケモンリーグで悪事を働くという事はジュンサーさんを相手にするのでなく腕自慢な100人以上のトレーナーを相手にすると同じだ」と言った。コレでサカキとかがポケモンリーグ関係で直接的な悪事を働く事はない、抑止力を手に入れたとは思う。

 まぁ、そのおかげで俺はフリーザーがバレた。ネット中継もあるので全国区でばれた。ポケモンハンターとかに狙われるんだろうなと思ったがサトシが純粋な実力で勝ち上がるにはそれをするしかなかった。だから後悔はしていない。

 

 

 カチンコチンに凍っているロケット団をどうにかしないといけない。

 フリーザーの【れいとうビーム】は流石と言うべきか強力でジュンサーさんのガーディの【かえんほうしゃ】では溶けない。溶けない氷でこのままだとロケット団の命を奪ってしまう。どうしたものかと考えていると持っていたファイヤーの聖火がファイヤーの形になってロケット団の氷を溶かす。ファイヤーの聖火は意思を持っているとはスゴい。

 

 ロケット団は唇を真っ青にして震えておりファイヤーの炎で暖を取ろうとするがその前にジュンサーさんに捕まった。

 どうせギャグ補正かなにかで脱走されるオチは見えているから捕まえてセキエイ大会の拘置所じゃなくてレンティル地方とかフェルム地方とかの全く関係無い地方の拘置所とかに叩き込んでくださいと言っておく。どうせギャグ補正で1か月もあればカントーに帰ってくるだろうが。だが、その1か月があればなんにも問題は無い。リーグはしっかりとできる。

 

 

 初手ロケット団に豚箱にダンクシュート、コレで間違いない。

 さぁ、厄介なのは終わったと聖火を運び次の人に託し終えればカメラは次の人に任せてサトシ一行と改めて顔を合わせる。

 ロケット団相手に苦戦しないなんてやるなとか言っているが、苦戦するレベルじゃない。それよりもセキエイ大会への出場申し込みは?明日までが期日で色々とやっておかないといけないこととか沢山あるだろうと言えばタケシとカスミがその通りだと闘志を燃やしているサトシを引っ張ってセントラルのポケモンセンターに向かった。

 

 全く、やんちゃ坊主め。

 

 俺もさっさと戻るかと思えばやはりと言うべきか視線が変わっていた。

 対戦相手になるかもしれない相手を事前にサーチするのは極々普通の事だがまだ対戦相手になるかもしれないだけであり、対戦相手になったではない。対戦相手になってから情報収集をするもの、それが基本だ。だが、俺は大衆の前で堂々とフリーザーを出した。

 

 

 マスターボールを投げてフリーザーを出した。

 

 

 マスターボールのどんなポケモンでもゲット出来るチート性能のおかげか、それとも純粋な実力でゲットしたか。

 他にも持っているポケモンとか見ようと思えば選手は見れる。ただなんのボールでゲットしたとかそういうのは見れない。

 俺のデータは調べればフリーザーだけでなくラティオスを見れる。ラティオスを見てラティオスを伝説のポケモンと認識したのならばコイツは脅威的な存在だと認識する……まぁ、優勝すれば問題は無い。優勝すれば全てのマイナスが帳消しになりプラスに切り替わる。

 

 

 アトベとユキムラとシライシから電話が来た。

 色々と言っていたが要約すると「よくぶちかました。だがコレでお前は知っている人は知っている強者だ。フリーザーの時点で全国区の実力者として嫌でもカウントされる」と言う事を3人から笑いながら言われた。ユキムラとシライシはともかく、アトベは既にクラウンスイクンとビリジオンを持ってるだろう。全国に名が轟くだろう!と言えば「オレは優勝するつもりで出てんだから問題ねえんだよ」と言う。俺だって優勝する、1番になりたいと思っているから問題は無い。

 

「ハードル上げるのはいいけど、ちゃんと跳べるレベルにしなさいよ」とアトベ達との痴話喧嘩をカレンに呆れられる。それと同時にカレンに微笑ましい光景を見るような目を向けられる。なにか面白い事でもあったのか?と聞けば「クニミツもそういうのが出来るのね」と言われた。多分だが必死に真剣になっている姿ばかりを見せているから素の自分をあまり見せない、アトベ達が絡んでくればそういう部分を見せるのでホッとしているらしい。俺が機械仕掛けの人形だと思っているのならば色々と失礼だぞ。

 

「伝説はゲットしないとまずいか」と呟いたのはユキムラだった。「そらマスターボールはその為にあるんやからな」とシライシは頷く。多分ユキムラは伝説のポケモンを使うことに関する罪悪感もしくは持っていることで発生するデメリット等を考えている。「ああ、そう言えばお前等に言い忘れた事があったな」とアトベはクラウンスイクン以外の残りの2体、クラウンエンテイとクラウンライコウを紹介した事を思い出し、2人にゲットするならば今の内で俺は辞退したと言う。それを聞いたユキムラとシライシは考えることはせず、シライシが「ライコウ!」ユキムラが「エンテイ!」と言った……じゃあ、お互いに頑張れと。アトベはあくまでも挑戦権を与えるだけであり、ゲットそのものはされない。遭遇したら初手で【ほえる】や逃げる行為をしない。ただそれだけだ。

 

 

 ●月β日 間に合わないのは自己責任

 

 

 大会に出場する選手登録が全員終わった……が、それと同時に終わった奴等も居る。

 ジムバッジはしっかりと8個以上集めたのだがセキエイ大会の会場に辿り着かなかった。受付の締め切りに間に合わなかった。

 コレを理不尽とは言わない。向こうが前もって条件を提示しその条件を飲み込んだ上でジムバッジを集めたりしている。途中でジムリーダーが強すぎるから苦戦してバッジを集めるのに時間がかかったは受け入れれるがそれでも間に合わなかったら間に合わなかったでそこまでだ。決められた事を時間以内にキッチリと仕上げる。トレーナー以前に人としてそれは出来ないといけないことなのでなんとも言えない。結局のところフシギダネを貰った奴に関する情報はオーキド博士から一切聞いていない。途中で苦戦していると言っていたが2ヶ月あった。2ヶ月あればジムバッジは集めれる。それでも無理ならば…………うん、まぁ、チャレンジする権利は誰にでもあるから問題は無い。

 

 

 ●月Γ日 落ち込む奴等

 

 今日はなにもない日だ……正確に言えばホントのホントのホントの最終調整の日だ。

 多くのトレーナーが自分が今までゲットしてきたポケモン達の様子をチェックしたりしている。

 

 シゲルやシンジも当然している。俺もオーキド博士に連絡を入れてポケモンを総入れ替えしたりし、セキエイ大会の会場を歩く。

 本音を言えばスタジアムの中に入りたかったがスタジアムの中に入る云々はダメだった。そこで空気を感じたかったがな……まぁ、いいと受け入れてポケモン達にセキエイ大会の雰囲気をなんとなくで掴んでもらう。なんとなくでいい、俺もポケモンリーグは初出場なのでなんとなくで空気を掴む。

 

 サトシは手持ちの入れ替えとかはしないのだろうか?と思ったがルール確認とかに必死だった。

 限界ギリギリに来るからそうなる、ルールの穴とかダークホースの情報収集とかそういうのをしないのか?と思ったがなにも言わないでおく。

 

 そして大会に間に合わなかった奴等がそこそこ現れた。参加そのものが出来ないのだと泣いている。

 この人達の分も勝たないといけない……なんて俺は思わない。そういう思いを背負わない。

 

 オーキド博士はポケモントレーナーとして大成してほしいと思っている。マサラタウンの人達もだ。

 両親も目指せ二刀流の優勝とか思っている。仮に途中でサトシ達が負けたらあとは頼んだぞとも言われる。

 

 でも、俺はその人達の思いは背負わない。その人達が掌返しをしてきたから嫌いだからとかではない。

 自分以外の誰かの想いを背負わない。自分が戦うのは自分以外のなにかの為にじゃない。誰かの為でもない。チームに貢献する為に俺は捨て駒にはならない。故障するまで動かない。

 

 

 俺は俺の為に戦う。

 

 

 カレンは俺をなんの迷いもなく支えてくれている。頑張れとか頑張ったとかよく言ってくれる。

 そんなカレンの思いも背負わない……誰かの為じゃなくて、自分の為に戦う。自分の名誉の為に。自分の栄誉の為に。自分の栄光の為に。

 

 だからカレンにハッキリと言った。

 

「俺は俺の為に戦う、応援してくれる人達の想いなんかは背負わない。勿論、応援してくれているお前の思いも背負わない」

 

 カレンからはどういうリアクションが返ってくるのか、今コレを書いているのだが冷静になればよくもまぁ、こんな事が言えたなとなる。時と場合によってはカレンからグーパンの1つでも飛んでくるかと思ったがそうでもなかった。

 カレンは微笑んで「優勝してね」と言ってきた。コレを聞いて期待に応えないといけないとは思わない。

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