アルピ交通事務局のアニポケネタ倉庫   作:アルピ交通事務局

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負ける可能性もないわけではない

 

 ▲月✕日 逆を言えば負ける可能性がある

 

 今日は試合が無い。休息日でなく単純に自分の出番が無いだけだ。

 昨日の試合でフリーザーは大したダメージを受けておらず、回復もフリーザーの持つ自然治癒力でどうにかなった。

 

 完全にフリーになった。なにか美味しい物でも食べようと言う気分にはならない。ラケットを片手に黙々と壁打ちも違う。

 自分がやりたいことでなくやらなければならないことをする……1つ、気になっている。サトシだ。

 

 

「色々と言っている割にはサトシを気にしてるわね」とカレンに指摘される。

 過程はどうあれハンデ云々があってもサトシは文字通りの世界一の称号を手に入れている。キョダイマックスゲンガー、メガルカリオ、【1000まんボルト】ピカチュウ以外の3体、カイリュー、ウオノラゴン、ネギガナイトでチャンピオンや四天王クラスのポケモンを倒している。ただ純粋なポテンシャルを見ればサトシは決して弱くはない。長所が故に短所になっている欠点がデカいがそれでも何れは強者になる。

 

 

 今は勝っていると断言する事が出来る。そこは慢心でなく自信だと認識してくれればいい。

 だが、これからサトシは色々な事を経験する。サトシは1を積み重ねるのでなく唐突に3とか5を積み上げる。

 レベルアップする時は一瞬でレベルアップする。とは言え普通にアホな事をしているから……今までゲットしたポケモンを使わない、そういう舐めプをしているので絶対に勝つことが出来ない。

 

 原作通りならばサトシは1番になれるだろう。しかし、この世界には4人の転生者が居る。

 4人の内の誰かがサトシの意外性、攻撃、スピードの全てを上回る。パラメーターを重ねれば全てのパラメーター上回る……そんな奴を相手にした時、サトシはおそらくだがなにも出来ないだろう。そして今のサトシはそんな奴を相手にする機会すら無い。

 

 情けない話だなと思いながらもサトシの試合が何時ぐらいか確認する。

 細かなルールが違うから予想外の事が起きるかと思ったが特にそういうのは無かった。サトシの試合は水のフィールド、対戦相手はコーム。ジャグラーだ……ジャグラーが何故にポケモントレーナーをしている。いや、ホントになんでだ?

 

 こう、短パン小僧とか虫取り少年ならまだ理解出来る。でもジャグラーとか完全に別の職業の奴がトレーナー……二刀流か。

 俺もテニスとトレーナーの二刀流をしているから人の事をああだこうだ言う権利は無いから二刀流をやろうとしてここまで来たのだと自分に言い聞かせて納得する。

 

 

 サトシの試合を観に行く。水のフィールドがあるスタジアム、カスミとタケシを観客席で発見するが関わらない。

 カスミとタケシはサトシを応援している。それは普通の事だろう。でも俺とカレンはサトシを応援していない。サトシに負けろとも思っていない。どっちに転んでも問題は無い、ただそう思っている。

 

 水のフィールドでサトシが先攻だった。

 サトシが出したのはクラブ……サトシの手持ちをパソコンで確認したがポケモン達は進化らしい進化はしていなかった。進化という努力を重ねた末に現れる目に見える結果を残せていない。歯痒いな。

 

 コームが出したのはナッシーだった。

 試合開始の宣言がされればナッシーは【エナジーボール】を使ってくるので水の中に潜って回避する。しかしそれは読めていたとナッシーは【サイコキネシス】でフィールドに渦潮を発生させてクラブを苦しめる。【みず】タイプだが泳ぐのが得意かと聞かれればまた話は別だ。サトシはクラブをボールに戻そうとするが光線が届かない。コイツは無理だと判断したらサトシは沈む様に言った。

 

 脱出するのでなく沈む……俺ならばそれはありだと思う。

【うずしお】をぶつけているのでなく【サイコキネシス】で渦を再現しているだけなのだから潜ったりすれば渦から脱出出来る。結果としてそれは成功で渦の中から脱出し【はさむ】攻撃で挟めばナッシーはパニクって【サイコキネシス】を解除、そのまま【クラブハンマー】を当てればナッシーは戦闘不能になり、クラブが眩い光に身を包む。キングラーに進化した。

 

 キングラーに進化したことで観客達は大きく声援を送る。

 生でポケモンが進化するところを見ればそれはそうだなとなる。コームが「ビギナーズラックだな」と2体目にシードラを出した。

 シードラは水のフィールドに飛び込んだ。素早く水のポケモンを移動する。キングラーは追いかけようとするがシードラの方が圧倒的に早い。

 

「フィールドに向かって【あわ】だ!」とサトシはキングラーに【あわ】を使わせる。

 コームは「なにが狙いかは知らないがチャンスだ!【こうそくいどう】で突っ込め!」と【あわ】に乗って突っ込もうとするシードラ。それを見てサトシは笑みを浮かべシードラは【あわ】に滑って浮島に飛ばされた。キングラーは直ぐにその浮島に向かって【クラブハンマー】を当て、シードラを戦闘不能にした。

 

 2体目を無事に撃破した……コームは余裕が無いのか?と思ったが諦めてはいない。

 諦めないのと余裕が無いのは少し違う。余裕が無いのは使える手を幾らでも模索して当たって砕ける覚悟がある。でも、諦めないのは時としてなんにも考えてないのと同じだ。

 

 3体目に出てきたのはゴルバットだった。

 ゴルバットは翼を扇いで空を飛んでいる。開幕で使ったのは【ちょうおんぱ】だったのでキングラーには水に入ってもらう。

 コレで回避は出来たがどうすると思ったらゴルバットが【ちょうおんぱ】を使い終えた頃に飛び出して小さなハサミで【はさむ】攻撃を使いもう片方のデカいハサミで【はかいこうせん】を放ちゴルバットを倒した。

 

 

 クラブを使い途中でキングラーに進化、そのキングラーで圧倒的な強さを見せつけた。

 コームが口をあんぐりと開いていた。キングラーはまだまだ戦えるぞと余裕を見せておりサトシは勝ったことを喜んでキングラーのもとに向かう。トレーナーに褒められたことはキングラーは嬉しいのか笑みを浮かべている。

 

「コレがサトシの実力……どう反応すればいいのかしら?」とカレンは疑問を抱いた。

 キングラーもといクラブの扱いが上手くなかった。相手のコームが思ったよりも弱かった。キングラーに進化した勢いに乗っていた。

 結果としてサトシは勝つことが出来た。その過程も綺麗だったが、まだまだ薄氷の上を歩いている。

 

 

 別に特別ななにかをしない、普段通りの事をして普段通りのスゴい結果を叩き出そう!なんて甘い考えはしない。

 

 

 特別ななにかは、自分の持っている武器は、刃を磨く事は怠ってはいけない。

 なにかしらのイベントが起きるのならばより洗練にするのは普通なこと、周りが自分以上に頑張っているのならば尚更だろう。

「クニミツ、どう思う?」とカレンは聞いてくる。俺がなんだかんだでサトシを注目しているから気になるのだろう。「勢いに乗れば強い……が、アレはパーにも勝てるグーを作ろうとしている典型的なタイプだ」と答える。

 

 

 グー・チョキ・パーの話は前にカレンにしているので直ぐに理解する。「少しでも勝てる確率があればありなんじゃ」と言うので「パーに勝てるグーは作る過程でチョキに負けるグーにもなる。だったらグー・チョキ・パーを揃える。今のサトシはグーにのみ特化しすぎている」と言い返す。今回はグーで楽勝に勝てる相手だったが、上に行けばチョキやパーな相手が居る。そいつらを相手にすれば確実にコケる。サトシというトレーナーはそういう要素がある……それが無ければ最強格なんだがな。

 

 

 サトシの試合をしっかりと見れた。サトシが勝つサトシらしい力を発揮する試合だった。

 その点は良いところだ。だがまだまだ欠点が多い……1年目のトレーナーにあれやこれやが全て出来るようになれは無茶なので無茶は言わない。ただしそのやり方は要所要所で欠点を消していかないといけない。そしてサトシはコレから自らで欠点を作ってしまう。舐めプするという欠点をだ。

 

 コレに関しては俺は指摘するつもりは無い。一生負け続けろとだけ言っておく。

 本気で上を目指す為には色々な努力をしないといけない。器用になんでも出来るようになれじゃない、足りない部分をカバーする事とかそういうのを考えないといけない。その為の試行錯誤が出来ないと……転生者達(俺達)には勝てない。

 

 

 

 ▲月△日 1回戦終了

 

 今日で1回戦の全ての試合が終わる。

 特定の誰かの試合を観に行くという事はしない。ポケモンリーグはトーナメント形式の戦いだがトーナメント表が5回戦から作られる。4回戦までの4つのフィールドは誰にどんな風に当たるのかが分からない。トーナメント表があるのならば色々と対策とかそういうのが出来るが、当たらないと全くと言って分からない。

 

 

 自分の持っている武器をぶつける、色々と考えたが4回戦までの対戦相手が分からない理由はコレだろう。

 ここに来るまで簡単な道ではなかった筈だ。全員が全員それなりの苦労をしそれなりの実力を手に入れた。そしてぶつかり合う。

 自分の持っている理不尽を相手に押し付ける、能力バトル物あるあるが出来るか出来ないか……少なくともサトシは完全じゃないが自分のスタイルを少しずつ作り上げている。アレはアレで恐ろしい。

 

 

 1回戦の全ての試合を終えた。

 夕方頃にパソコンに次の対戦相手のデータが送られた。次の対戦相手はポケモンゼミのセイヨ……前にチラッと覗いた時に居たあの女か。あの時はバッジ3つレベルで自慢をしていたが今は違うみたいでバッジ8個に相応しいレベルになっている。持っているポケモンのタイプに偏りが無い。過去のデータ云々から作られるパラメーターも決して小さくはない。

 

 ただ、綺麗に纏まり過ぎている。

 俺のパラメーターと比較して殆ど俺のパラメーターが上回っている。この手のタイプは器用やなんでも出来るを売りにしたいが為に綺麗に纏まりすぎる傾向にある。相手の突拍子もない行動に対して、セオリーやパターンの外にある物に対して弱い。要するにアドリブ力が足りない。

 

 一通りのタイプは持っていて次のフィールドは草のフィールドだ。

 草のフィールドの恩恵は【じしん】なんかの威力が弱くなる、【ねをはる】なんかが強くなる、そして【グラスフィールド】状態が気付かれない。フィールドを選べないし手札をわざと開示することで行動を制限することも出来ない……ただこっちの情報は少ない。

 

 過去の戦績を結果だけ見れる。過程は見れない。

 一昨日の試合は録画されているのでそこから戦術云々になるが、フリーザー1体で無双していた。そうなると嫌でもフリーザーを警戒しないといけないがあの試合でフリーザーに【バブルこうせん】を使わせた。【バブルこうせん】は【みず】タイプなので【いわ】と【ほのお】がどうしても詰まる。【でんき】と【はがね】で頑張らないといけない。

 

 という感じの心理戦とかそういうのも出来る……フリーザーのゴリ押しで実力を誤魔化すのもありだがちゃんとした実力を知りたいのでフリーザーとラティオスは無しで、【くさ】単タイプの限界を極めたと言われている【グラスメイカー】ゴリランダーもといバチンキー、ガラガラ(アローラ)、ゲンガーで行こうと思う。

 

 色々とああだこうだ考えない。

 ただ純粋な実力を試す。エースのリザードンとは違うがエースになるバチンキー、リザードンにかかる負担を減らすガラガラ(アローラ)で何処まで行くことが出来るのか?ゲンガーは2体に相性最悪なのが出た時の【ほろびのうた】や【みちづれ】なんかで潰す感じだ。

 

 1体を確実に沈める事が出来る【みちづれ】はやはり強いな。

 

 

 ▲月□日 2回戦もまずまずと

 

 

 ポケモン達の最終確認を行っているとセイヨが俺達の前にゴローニャを引き連れて現れた。

「貴方達に負けてから死ぬ気で特訓したわ!その成果を思い知らせてあげる」と言った。宣戦布告に来たのか。

 

 

 こっちとしては顔を見るまで特に思い出す要素は無かったレベルの印象だ。

 隣にいるゴローニャを見てアレから物凄くパワーアップしたというのは伝わってきたが、それ以外にはなにもない。俺だって色々と特訓して強くなっているのだから……なんて考えは甘えだろうか?

 

 宣戦布告はされたが「ここは結果=実力の世界だ」とだけ言ってポケモンセンターを後にする。

「あの状況でよくその言葉が出たわね」とカレンは言ってくる。「褒めてるのか?貶しているのか?」と聞き返せば「両方よ……大胆な手で行く時は大胆だし、そうじゃない時はしっかりと基礎が入ってるし……勝負がなんなのかを理解しているわ」と言われたので「褒め言葉として受け取っておこう」とだけ言っておく。カレンは褒めてるつもりも貶しているつもりもあるのでなんとも言えない。

 

 

 そんなこんなで試合が開幕する。シゲルやシンジ、サトシ一行が試合を見に来ている。

 自分の試合を気にせずにこんなところで油を売っていていいのかと言いたいが、今の俺はただポケモンバトルをするだけだ。

 

 赤のコーナーに俺、緑のコーナーにセイヨがいる。

 モニターのルーレットが回ってセイヨから……セイヨが1体目に出したのはゴローニャ……やることは既に決めているとバチンキーを出す。実況が「草のフィールドに対して【くさ】タイプで挑む!セオリー通り!」と言うが草のフィールドのセオリーってなんだ?草のフィールドに対して適応していないのって完全に水中でしか活動出来ない系のポケモンだけだろう。

 

「セオリー通りが全てじゃない……それを見せてあ」「バチンキー【グラススライダー】」この状況下で勝つつもりだろうがこっちは初手【グラススライダー】だ。難しいことはしない。開幕での【グラススライダー】だ……【がんじょう】個体だからとかそういうのを後になって考えるようになったが【がんじょう】個体ではなかった。バチンキーの【グラススライダー】でゴローニャは一撃で戦闘不能になった。

 

 セイヨはありえない!と言った顔をしている。

【グラススライダー】対策と言うよりは【くさ】タイプや【みず】タイプに対してはレベル差で誤魔化すつもりだったのだろう。

 知識があるのならばバチンキーはサルノリの進化系でゴリランダーの進化前だ。だから、まだレベルが低いとか思っているのだろう。実際のところレベルは低い。タマゴから生まれて文字通り1から育てているからレベル1からのスタートだ。純粋なレベルだけならばナッシーの方が上だ。

 

 圧倒的な強さを見せつけ2体目に出てきたのはストライク、根本的に相性が悪いのでバチンキーをボールに戻す。

 相手を見て引くの!?と驚かれたが、攻める時と交代する時は見極めないといけない。それをするのがポケモントレーナーの仕事だ。2体目にはガラガラを出した。通常のガラガラではなくアローラのガラガラ、リージョンフォームに対する知識がないのか困惑しているセイヨ。見たことがない本に載ってる系の知識が試される。

 

 セイヨが焦ればストライクも焦る。セイヨに指示がないのか?と聞けばセイヨは冷静になる。

「【つるぎのまい】よ!」とセイヨは積む。それならば「【つるぎのまい】」とこちらも【つるぎのまい】を使う。【つるぎのまい】同士で互いに攻撃力が高まる。そしてストライクは【でんこうせっか】を使う。アローラのガラガラの知識不足が出てきたな。アローラのガラガラに対して【でんこうせっか】をするが通過してしまい「まさか【ゴースト】タイプなの!?」と驚いている内に【フレアドライブ】で突撃し一撃で倒した。

 

 やはりガラガラの火力で【つるぎのまい】+【フレアドライブ】+【いしあたま】は強いな。

 ガラガラによくやったと褒めて3体目のポケモン、モンジャラが出てきた。やることは至ってシンプルだ。難しい事はしない。

【フレアドライブ】一択、1回【つるぎのまい】を積んだ。伝説級のポケモンか四天王のポケモンぐらいのスペックじゃないとコレを耐えきる事は出来ない。【フレアドライブ】で突撃しようとすれば【くさむすび】を使ってきた。ガラガラはコケる……と思いきや【くさむすび】の草を燃やし尽くした。【フレアドライブ】の火力は凄まじいなと思いながらモンジャラに激突する。

 

「モンジャラ、戦闘不能!ガラガラの勝ち!よって勝者、クニミツ選手!」

 

 2回戦も無事に勝利することが出来た。セイヨはモンスターボールにモンジャラを戻し涙を流す。

 俺は一礼をした後に去っていく。俺は俺の為に戦うので、誰かの想いは背負わない。誰かの為に戦うよりも自分の為に戦った時の方が強い。

 

「少しずつ減ってきたな」

 

 ポケモンセンターでポケモンを回復しているとシンジが話しかけてきた。

 減ってきたとはどういう意味だ?と聞けばポケモンリーグに出ているトレーナーの中には優勝してもおかしくはないのと優勝するのはおかしいと、同じジムバッジ8個でも実力差が酷い奴等が多い。シンジの兄はそういう人達を多く倒し優勝してもおかしくはないレベルのトレーナーとバチバチと戦っていた。だからシンジの目は肥えている。「あんな勝てて当然な相手に勝って威張るなよ」と結構酷い事を言った後にシンジは自分の試合に向かった。俺は追い掛けない。録画映像が見れるし、勝てなければそこまでの奴だったで終わる。

 

 結果としてシンジはカメックス1体で3タテした。

 やはりあの島のカメックスは別格と言うべきか物凄く強いみたいで録画映像を見るが【ハイドロポンプ】一発でバクオングを倒すのはレベルが別格だと言ってるものでとても強かった……生で見に行かなかった事は後悔はしない。どれくらいで当たるかどうか分からないが要注意人物なのは確かだろう。

 

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