▲月※日 さらなる高みを目指して
今日はいよいよ準決勝、相手はシンジだ。サトシはセキエイ大会の会場を後にするかと思ったが最後まで見届けるつもりだった。既に負けていてなにかしらの勉強になるだろうと見る!と言っていた。1人のポケモンバトルが好きなトレーナーとして試合を見る!ならば分かるが、今のサトシは偶然に偶然が重なってセキエイ大会ベスト8なところがある。昨日の試合を見るからにまだまだだろう。
「おそらくはお前の方が上だろう」ポケモンセンターでポケモンのコンディションの確認中にシンジがそう言ってきた。トレーナーとしての格が俺と自分では俺の方がトレーナーとしてのスペックが上なのをシンジは認めた。少しだけ意外だった。あいつには負けたくない、コイツには勝ってみせる!シンジならば心でそう思い顔や態度には出さないかそもそもで認めないタイプだと思っていた。
「正しく見れているわね……一番厄介なタイプよ」とカレンが言ってくる。自分がなにが出来てなにが出来ない、なにをしたい、なにをどうすればいいのかが分かる。その辺を大体は理解しているタイプ、そしてこの場所、ポケモンリーグという場所が良くない。
カレンがシンジのデータを確認したがシンジはとても強い。平均的な能力がとても高く、同格の相手でも苦しいところを見せない。格上でも後ろから刺すかの勢いで戦う。
「金星を拾えば大きく化ける。それはどんな世界でも同じよ」とカレンはシンジを視た。シンジの素質は本物であり後1つでもキッカケがあれば途轍もない存在にバケる事が出来る。1回でも負けたらその時点で負けの世界、自分よりも上位のトレーナーに当たることはポケモンリーグでは珍しくもなんともない。そしてその上位を喰う。レベルやランク的には格下の相手が格上の相手を喰う
シンジはトレーナーとしての本能で俺が上だと気付く。そして倒すことでトレーナーとして一気に何段階もレベルアップをすることが出来る。自分の方が下だと素直に認めている…………一番やりにくいタイプだな。
ポケモン達のコンディション及びメディカルチェックを終えてセキエイスタジアムに足を運ぶ。残りの試合は準決勝第1試合と第2試合と決勝戦と3位決定戦の4試合のみで乗っているトレーナーは僅か4名。この4名が2回試合するだけ。
「これよりポケモンリーグ・セキエイ大会準決勝第1試合を行います!使用ポケモン6体のフルバトル!」と何時もの様にルールを説明しルーレットが回り始める。ルーレットは俺に止まる。俺が先にポケモンを出すのだなモンスターボールを手にし、まずはお前だとコノヨザルを出した。
「レベルが違うか……ニドキング、バトルスタンバイ!」とシンジは俺と実際に対峙することでポケモンのレベル差を実感する。だが、諦めるという考えは一切無い。この時点で一番警戒をしておかないといけないのはあの技だなと判断した。
「コノヨザル、【ちょうはつ】」と【ちょうはつ】を使うがシンジはそれを読んでいた。「ニドキング、じしんだ」と攻める……が、コノヨザルは余裕で耐えた。パワーが足りない、そして今1発攻撃を受けた。「【ドレインパンチ】だ」と【ドレインパンチ】で体力を奪いながら回復したらニドキングは今度は【10まんボルト】で攻めてきた。
「技のデパートとも言えるほどに豊富な技を覚えるニドキング、全距離で殆どのタイプで戦えるのは強い……だが、選択ミスだ」
物理で攻めたいのか特殊攻撃で攻めたいのか、どちらが狙いなのかが分からない。どちらでも戦えるが故に小さく器用貧乏に纏まっている感じが否めないのだがそうなっている以上は仕方がないと【ふんどのこぶし】で殴り飛ばす。思っている以上にニドキングの攻撃でダメージが入っていない事にシンジは少し苛立っている。
「そのニドキングの特性が【どくのトゲ】ならば【ほのおのパンチ】を使って接近戦に挑んだ方が良かったんじゃないか?」と言えばシンジはそうだったとなる。コノヨザルに対する有効打を使ってこないし、相手が強いから派手にでなく慎重に動いていたりで冷静な判断能力を失っている。だが、運はシンジを味方にした。コノヨザルの3発目の【ふんどのこぶし】でニドキングの【どくのトゲ】が当たった。
「ニドキング、戦闘不能!コノヨザルの勝ち!」先ずは1体目を倒すことに成功したが、コノヨザルは【どく】を受けた。コノヨザルの売りである長期戦がこれで出来なくなった。ホントに救いなのはコノヨザルの【ふんどのこぶし】は一試合の間、ずっと効力が続いてくれる事だ。
「ハピナス、バトルスタンバイ!」
シンジの2体目のポケモンはハピナスだった……なんというかシンジに似合わないポケモンだったがシンジは笑みを浮かべている。
「これで【ふんどのこぶし】は通じない、ハピナス!【あまえる】」
コノヨザルのメインウェポンである【ふんどのこぶし】は【ゴースト】タイプのポケモン【ノーマル】タイプのハピナスには通じない。その上での【あまえる】を使ってきた。これ以上はなにも出来ない。なにをしても焼け石に水状態なのは明らかだとコノヨザルをボールに戻した。
ハピナスなんてシンジには似合わない、と言うよりもバトルでハピナスを使っているトレーナーなんて早々に見ない。実況の人もジョーイさんやポケモンドクターの相棒としてのイメージが強いポケモンだと言っている。だが、俺は知っている。こいつは文字通りピンク色の悪魔なのを。
「頼んだぞ、ドサイドン」とドサイドンを出した。ハピナスの耐久力を知らないほどに俺は無知なトレーナーじゃない。特殊攻撃主体のフーディンやラプラスで挑めば絶対に痛い目に遭う。典型的な物理アタッカーであるドサイドンに賭ける。
「ハピナス【どくどく】だ」
ドサイドンがなにか行動する前に【どくどく】を使ってきた。いきなりの【どくどく】でドサイドンは【もうどく】を浴びた。
ちんたらと長期戦をすればこちらが不利【どくどく】を覚えていると分かった以上は下手に他のポケモンに交代する事は出来ないのだとドサイドンに【アームハンマー】を指示した。ドサイドンは【アームハンマー】で攻撃する前にハピナスの【あまえる】にやられる。
ハピナスにドサイドンの【アームハンマー】が当たったが思ったよりもダメージが入っていない。【あまえる】のおかげだろう……ここでのポケモン交代は新たに【もうどく】状態のポケモンを増やすだけ。今回セットしているのはクサZでありハピナスを倒せるものじゃない……だからこその【アームハンマー】だ
「無駄だ!【タマゴうみ】」
明らかに防御的な技をシンジは選んだ……だがそれでいい。【アームハンマー】を受けたハピナスだったが全然ダメージが入っていない。【タマゴうみ】で体力が回復されて【アームハンマー】を受けるよりも前の体力に回復している。
「【アームハンマー】」
だが、俺は気にせずに【アームハンマー】を指示した。【アームハンマー】で殴りかかるドサイドンを前に「【あまえる】」で更にパワーを下げてくる。徐々に【もうどく】が回ってきて判断力が落ちているのかと実況に言われているが構わない。シンジのこの時を狙っていた。
「【つのドリル】だ」
「っ、しまっ!」
【アームハンマー】を何度も何度も当てたのはシンジに攻撃を受けさせても問題は無いと思わせるため。シンジの様な理知的なトレーナーならば間合いを開いたりして攻撃そのものに当たらない様にと色々と考えた行動をとってくる。ガンガン攻めてくる相手に対して上手く受け流せると思わせてからの当たった時点で終わりの【つのドリル】を当て、ハピナスを戦闘不能にした。
「カメックス、バトルスタンバイ!」
3体目に出てきたのはカメックス、カメックスが群れの長を務めているカメックスの島のカメックスだ。元から強いポケモンなのは分かっているがシンジが育成したことで段違いのレベルになっている。ハピナスを倒すのに必死だったから【もうどく】でガンガンと体力が削られ更には【あまえる】でパワーが減っている。
「戦う事に特化しているドサイドンに後を託すバトルは出来ない!カメックス【からをやぶる】」
ドサイドンは圧倒的なパワーを持っていてそれを生かせるが後続には繋げたり相手を弱体化させる技を覚えないし覚えさせていない。シンジは即座にそれを見抜き【からをやぶる】をカメックスに指示をした。これはまずいと思っているとシンジは即座に次の手に出る。
「カメックス【ハイドロポンプ】だ!」
カメックスは【ハイドロポンプ】で飲み込んだ。【ハードロック】個体とは言え【もうどく】が回っているドサイドンでは耐えきる事が出来ない。ドサイドンはカメックスの【ハイドロポンプ】を前に一撃でやられた。これはかなり厳しい……1つ、賭けに出るかとコノヨザルを出した。
「【からをやぶる】で下がった防御を狙うつもりだろうが……【アクアジェット】だ!」
「【ふんどのこぶし】」
【からをやぶる】で下がった防御を【ふんどのこぶし】の力技で突破すると考えているのだと考えたシンジは【アクアジェット】を使う。【アクアジェット】で突撃してくるカメックスに対して【ふんどのこぶし】をぶつけたのだがカメックスのパワーの方が上だった。【ふんどのこぶし】の威力は確かに上がっているのにそれを上回る……強いカメックス。おそらくはシゲルのカメックスは更に上を行くだろう。
「コノヨザル、戦闘不能!カメックスの勝ち!」
コノヨザルとドサイドンが負けた……物理攻撃が売りのポケモンが負けたのはやや痛い。まだエレキブルが居るから物理攻撃云々はどうにか出来る……ただしあのカメックスをどうにかしないとなにもはじまらない。
この辺で使うのは少々心許ない、なんて言わない。必殺技とはなにも相手を倒すための技じゃない、危機的な状況を乗り越える為の技でもある。
「いけ、リザードン」とリザードンを出した。「相性をレベル差で埋めるつもりだが、こちらには【からをやぶる】1回分がある!カメックス【ハイドロポンプ】」とシンジは誤解している「俺がリザードンを出したのは、この状況をひっくり返すからだ!」とクサZを見せた。シンジはクサZがクサZだと気付かない中でリザードンとZリングが光った。
「【ブルームシャインエクストラ】」
リザードンの【ソーラービーム】をベースにした【くさ】タイプのZワザ、【ブルームシャインエクストラ】をカメックスに当てる。前は【ダイナミックフルフレイム】を使えるホノオZだったので今回もと思っていたみたいだが、タイプ一致のZワザが正義とは限らない。リザードンの弱点である【いわ】【じめん】【みず】の4つのタイプを確実に倒すのにクサZは意外と使える。
まぁ、リザードンにはリザードナイトYもしくはXの方が相応しい。【かそく】バシャーモ辺りにクサZを持たせているのは何度か見たことがある。覚えるけども【はれ】じゃないと1ターン消費する【ソーラービーム】を簡略化した上でパワーが増している。【ソーラービーム】が欲しい状況でクサZ連射したいって時は早々にないしそういう事をする相手は根本的に相性が悪いとかもある。
流石のシンジもクサZからの【ブルームシャインエクストラ】は予想外だったようでカメックスは直撃し、一撃で戦闘不能になった。リザードンは俺のポケモンでレベルが一番高い。それでもカメックスとの間に差は少ししかなく勝てたのはやはりカメックスが【からをやぶる】を使ったからだろう。
シンジの手持ちが3体戦闘不能になったのでインターバルを挟む。その間におさらいをし、勝てたのはクサZがあったからだろうと頷く。
俺のラプラスの特性は【ちょすい】だがシンジのことだ、【はどうだん】辺りはしっかりと覚えさせている。【みず】タイプが通じない相手に対しての対抗策の1つや2つ、考えているだろう。
もしここで俺にZワザが無ければ、3体目にリザードンは出せなかった。ラプラスに【ほろびのうた】辺りを指示して入れ替えさせる。純粋な力でカメックスを突破することが出来ない。その上で新たに出てくる4体目のポケモンをラプラスで粘り、途中でエレキブルと交代……なんて都合がいい感じになれば高確率で俺が負けていたな。
やはり幼い間にポケモンに関するアレコレを学んだりZワザをゲットしようとしたり対策をしている準備期間があったのはデカかった。強くなったと思っても四天王やチャンピオンと言った上澄みも上澄みのトレーナーには勝てない。まだまだだなと思いながらもすポドリとレモンの蜂蜜漬けを食べて頭に栄養を回した。
「ムウマージ、バトルスタンバイ!」
そんなこんなでインターバルを終えて試合再開、シンジの4体目のポケモンはムウマージだった。コノヨザルが居てくれたのならば即座に出していたのだがそうもいかないのでここはお前だとエレキブルを出した。フーディンと言う手段で行きたいところだが、特殊攻撃と特殊防御が売りなムウマージ相手に無理な事はしたくない。シンジがカメックスを出したことから【みず】タイプのポケモンの重複は考えにくい。そうなると物理攻撃のエレキブルが一番だと判断した。
「ムウマージ【さいみんじゅつ】だ!」
「エレキブル【サンダーダイブ】……っ!」
ムウマージはエレキブルに対して【さいみんじゅつ】を使った。エレキブルは【サンダーダイブ】をムウマージに当てるが【さいみんじゅつ】の効果が発揮した。一撃で倒せると考えていたが予想外だった。シンジはニヤリと笑みを浮かべた。
「【ほろびのうた】だ!」
「……戻れ!」
ここで俺に引かせるという選択肢を強要してきた。眠っている状態のエレキブルになにを言っても意味は無く時間が経過すれば勝手に負ける。ここは危険だと【ほろびのうた】を聞かせた後にボールに戻した。【ほろびのうた】の効果はムウマージも聞いている。だから出すポケモン次第でシンジも手を変える。
「いけ、ラプラス!」
エレキブルと交代で出したのは色違いのラプラスだ。コイツならばどうだと思えば
「ムウマージ【パワージェム】」と攻撃してきた。そして直ぐにモンスターボールに戻した。【ほろびのうた】の効果が発揮するタイミングを知っているからしっかりと見極めているな。ムウマージの【パワージェム】をラプラスは受けたが倒れない。シンジは残り5体目のポケモンにドダイトスを出してきた。
「ドダイトス、連射型の【ストーンエッジ】【れいとうビーム】の隙を与えるな!」
ドダイトスはとても早い岩の破片が飛ぶタイプの【ストーンエッジ】を何発も叩き込んだ。ラプラスが【れいとうビーム】を使おうとする隙は無い……だが、岩は何時かは消える。そう狙っていたが読まれていた。
「【ハードプラント】」
【くさ】タイプの技で最も強い【ハードプラント】を使った。ラプラスがなにかをする前に倒す、鈍足なドダイトスはその場を動くことをせずに相手を倒す戦闘をキッチリとこなしラプラスを倒した。文字通りなにもすることが出来なかったなと思いながらもラプラスをボールに戻しエレキブルを出した。
「お前、正気か?」
「ここまで来たんだ、まともってやつじゃ勝てない」
ドダイトスは【ハードプラント】を使ったことで少しの間動くことが出来ない、そんな中で俺はエレキブルを出した。エレキブルはまだ【ねむり】状態で眠っている。何時起きるのかが分からない、だがエレキブルには【れいとうパンチ】を覚えさせている。それを当てる事が出来ればドダイトスは倒せる。ただし、起きたらの話だ。
シンジからすればありえないとしか言えないだろう。俺にはリザードンが居るのだからそれで攻めれば勝てるだろう。ただ、そろそろこういう理屈抜きの精神論や運を味方につけるバトルをしなければならない。エレキブルに起きるように声をかけた。エレキブルは目を覚ました。
「エレキブル【れいとうパンチ】」
「ドダイトス【ねむりごな】だ」
エレキブルは目を覚ました。ドダイトスに向かって【れいとうパンチ】を決めに行くのだがドダイトスは【ねむりごな】を撒いた。
覚えるのか【ねむりごな】を。ドダイトスに向かって【れいとうパンチ】を叩き込めたが激しい眠気に襲われているのか拳に力が入っていない。アレじゃあ倒せない。
「【ぶちかまし】だ!」
超至近距離にいるエレキブルに向かって【ぶちかまし】で突き飛ばす。
「他にはない予想外の事をしても意味は無い……どうしてそれをしないのか?答えは簡単だ。しても成果を得られないからだ」
エレキブルは戦闘不能になり、追い詰められた……シンジはドダイトス、ムウマージ、残り1体の未知なポケモンだ。
ドダイトスとムウマージはエレキブルがダメージを与えてくれたが最後の1体はノーダメージだ……その上でなんなのかすらも分からない。サトシの様に型に嵌まらなかったり理外の事をとやってみたが、シンジは折角のドダイトスを倒すチャンスを無駄にしたと嘲笑う。それに関してはコレを書いている今でも覚えており俺のミスだと判断している。サトシのあの無茶苦茶な戦闘スタイルは真似をしていいものでないと認識を改めた。
「頼んだぞ、リザードン」
「さっきはZワザにやられたが次は無い。ルール上Zワザのベースになる技も4つの技の1つ、リザードンが覚える【くさ】タイプの技は【ソーラービーム】……そいつでドダイトスは倒せない。ドダイトス【ストーンエッジ】だ!」
こっちの技の枠の1つが消費されている、実質技を3つで頑張らないといけない状況でシンジは攻めてくる。
飛んでいるリザードンに対して派手な【ストーンエッジ】は使わない。威力は合計すれば一緒だが一発一発が小さな【ストーンエッジ】を使う。普通ならばそこまでなのだがリザードンは【ほのお】【ひこう】と【いわ】タイプに対してとことん弱い。小さな威力が低い【ストーンエッジ】でも小刻みに受けていれば危険だ……リザードンとフーディン、どちらかでも戦闘不能になればその時点で終わりだ。シンジのムウマージは【ほろびのうた】を使ってくるから【ほろびのうた】で潰される。
フーディンにドダイトスに対する有効打は無い。だからリザードンで粘るしかないがこのやり方はいけない。長期戦になれば不利なのは俺の方だ。今まで安牌を狙いにいってきたが、それだけじゃダメだ。理屈以上のよく分からない力が必要だ。
観客席で見ていたカレンは「クニミツが殻を破ったのよ」と試合後で聞いた。追い詰められて運の要素に頼ろうとして失敗した、偶然という出来事を起こすことが出来ない中で……俺の真価が発揮した。
セキエイ大会の5回戦以降のトレーナーは全員がしっかりとした実力者だ。今まで追い詰められる事がそんなに無かった。今回ハッキリと追い詰められていると感じている。しかも最後の1体じゃない、最後の1体になった時点でシンジの勝ちが確定な状況だ。
限界を越えるには追い詰められないといけない、シンジは俺を格上と見ているが俺にあるのは知識のアドバンテージだけだ。持っているポケモンも頑張ればゲットする事が出来るポケモンばかりで激レアなポケモンは居ない。アニポケならではの戦闘という名の奇策も使える。
「リザードン【エアスラッシュ】を1列に並べて撃て!」
追い詰められたことで限界以上の力が出ている。リザードンは乱射する【エアスラッシュ】を1列に並べた。ドダイトスに向かって1発命中したがドダイトスは耐える……だが、ここがミソだ。1列に並べたので2発目3発目と次々と【エアスラッシュ】の連打が入りドダイトスは【ストーンエッジ】を使うことが出来ず岩の破片が消え去り【エアスラッシュ】の連打でシンジのドダイトスを倒した。
「……ムウマージ、バトルスタンバイ!」
シンジの6体目のポケモンはまだ見えず、ムウマージが出てきた。
6体目のポケモンは無傷のままで挑みたい、そんなところか?ムウマージは【ほろびのうた】と【パワージェム】がある……リザードンは圧倒的に不利な状況で【ソーラービーム】と【エアスラッシュ】……純粋な力でリザードンを倒せる可能性を秘めている。ただまだ6体目のフーディンは1回も出していない。ムウマージで頑張って倒すか引き分けにならないとその時点で終了だ。フーディンをあえて出さない、そうすることでもしかしたらラティオスが潜んでいるかもしれないという圧をかけれ……無い。
「最後の6体目はなんだって問題は無い……純粋な力でもムウマージは勝てる」とシンジは言い切った。ここで高度な心理戦を繰り広げる。ここでリザードンを戻してフーディンを出す。フーディンは【シャドーボール】を覚えているからムウマージは倒せるが……6体目が不透明すぎる。ムウマージはリザードンを倒せる可能性を秘めている……だからこそ、リザードンを戻す。
きっとサトシならばここでリザードンで挑み続けるのだろうがここで引いた。
6体目のポケモンが分からない、不確定要素が多い中で使える技に偏りがあるフーディンでは厳しい。最後をフーディンに任せる事は出来ない。
「ムウマージ【ほろびのうた】だ!」
「フーディン【ひかりのかべ】」
最後のポケモンがフーディンだと分かってもシンジは手を変えない。【ほろびのうた】を聞かせるので【ひかりのかべ】を貼った。
慌てて攻撃をしてくると読んでいるのならば甘い、フーディンがするのはバトンを繋ぐこと……引き分け以上の成果を取ってくることだ。
「「【シャドーボール】」」
フーディンもムウマージも【シャドーボール】を撃った……押し勝ったのはフーディンの【シャドーボール】だった。
タイプ一致補正込みでも【シャドーボール】はフーディンの方が上、流石は初代最強格のポケモンだ。ムウマージは苦しんでいる。シンジはシャドーボール同士のぶつかり合いで勝てなかった事に軽く舌打ちをする。
「【シャドーボール】だ」
「【シャドーボール】で相殺しろ」
パワーでも素早さでもフーディンの方が上……そして積み技を使うに使えない。こちらが一手なにかを使えば話は別だろうが既に【ほろびのうた】に合わせて【ひかりのかべ】を使っている。【シャドーボール】を【シャドーボール】で撃ち抜き苦しむムウマージ。
「【くろいまなざし】だ!」
「【みらいよち】だ!」
これ以上は危険だと判断しフーディンを逃さない強硬策に出た。フーディンは【くろいまなざし】を受けて逃げられない。だったら後に繋ぐだけだと【みらいよち】を使った……威力は高くて強力なんだが如何せん使い所が難しい。シンプルに【サイコキネシス】を2発当てた方が強いとか色々とある。まさかここで【みらいよち】を使うのは予想外だった。そしてフーディンとムウマージが倒れた。
「両者、最後のポケモンをお願いします」
「最後はお前だな……頼んだぞ、リザードン」
「ロトム、バトルスタンバイ!」
最後を託し、出てきたのはロトム……フロストロトムだ。
中々に渋いチョイスをしてきたが、こちらが不利。【ひこう】タイプの【エアスラッシュ】は通じない。【ソーラービーム】は溜め込むのに力が必要だ。まだ2つの技の枠があるが……フロストロトムは4つの技がフリーだ。
リザードンもリザードンでなんだかんだでダメージは受けている。【10まんボルト】の様な強力な技を受けてしまえば下手したら負ける。耐久力も中々なもので【かえんほうしゃ】を浴びせても一撃で倒せるとは限らない。だが、まだ勝ち筋は残っている。
「リザードン【かえんほうしゃ】」
「ロトム【10まんボルト】だ」
フロストロトムとリザードンのメインウェポンがぶつかり合う。互いに互角……やはりロトムは強いな。
だが、勝ち筋はしっかりと見えている。
「ロトム【ふぶき】だ!」
リザードンは【ほのお】タイプでもあるが【ひこう】タイプでもある。フロストロトムの強みを生かしてきた。だが、まだ大丈夫だ。
「リザードン【かえんほうしゃ】」
「ふっ、甘いな……【ふぶき】の雪が溶ければなにになる?【10まんボルト】」
「っ!」
リザードンの【かえんほうしゃ】で【ふぶき】を防いだがシンジの狙いはリザードンを濡らすことだった。【ふぶき】で溶けた雪を経由し【10まんボルト】がリザードンに当たった。ここまでかと思ったらリザードンは赤色のオーラを纏う。特性の【もうか】が発動した。
「【もうか】か!そいつが発動したという事は後一撃で!」
「リザードン、高く飛べ!」
「無駄だ!ロトムは追いかけれる!追いかけろ!」
「その一手が欲しかった!【ブラストバーン】だ!」
「なに!?っ、しまっ!」
フーディンが使った【みらいよち】が発動しロトムに当たった。そこで攻撃を当てる最大の隙が生まれ、4つ目の最後の技だと【ブラストバーン】を指示しフロストロトムに叩き込み撃墜。土煙が舞ったが直ぐに消え、そこにはロトムが倒れていた。
「ロトム、戦闘不能!リザードンの勝ち!よって勝者、マサラタウンのテヅカ選手!」
俺の采配ミスが幾つかあったが、シンジに勝利した。審判が俺の勝利を宣言すれば観客達が沸き立つ。俺はシンジに勝てた。かなりギリギリの勝負だったのだがそれでも勝つことが出来た。リザードンのもとに駆け寄ればリザードンは笑みを浮かべた。
「いいバトルだった」とシンジと握手を交わす。シンジは終始無言だったもののポケモン達が入っているモンスターボールを見つめている。フィールドの整備が整えば準決勝第2試合が始まる。出来れば見たいとは思ったが俺は既に決勝戦にまで駒を進めている。ポケモン達を万全のコンディションにしなければならないのでセントラルのポケモンセンターに向かった。
セントラルのポケモンセンターに向かいポケモン達を回復させる。幸いにもドクターストップのポケモンは居ない。シンジのポケモンの方が思ったよりも重症なので1日は絶対に安静していなさいとジョーイさんから通達がある。シンジとしては負けた以上はここに居る理由は無い。3位決定戦を辞退しようと考えていた。
「3位になって違いを見つけて自分なりの答えを出すんだ」とシンジにアドバイスを送る。勝った俺がなにを言っても嫌味にしか聞こえないだろう。初のポケモンリーグで3位は快挙。そう思いたいだろうが初のポケモンリーグで優勝と準優勝を決めたトレーナーがいる。それを知ってしまえばトレーナーとしてのプライドに傷がつく。だからこそ、しっかりと3位決定戦に出る。
流石にポケモンを貰った年でチャンピオンリーグすらも余裕綽々と優勝!なんて都合の良い話は無い。優勝はあったが、チャンピオンリーグに出て敗北を知る。それがこの世界の残酷さだ。本気で上を目指すのならばその残酷な部分を見ておかないと。
シンジは断るつもりだった3位決定戦を出場すると決めた。
ポケモン達を回復させている間にモニターで準決勝第2試合を見る。一進一退の攻防だったのだが、Zワザで相手を一気に倒した。ペースを作ったりリズムに乗ったりする段階でZワザをぶつけられてポケモンが倒されてしまったので相手は撃沈、シゲルが決勝戦に駒を進めた。
決勝戦の対戦カードは マサラタウンのクニミツvsマサラタウンのシゲルになった。