▲月◉日 決戦の刻
オーキド博士はとても上機嫌だ。自分が送り出したトレーナーが地方リーグの決勝戦に出る。ただそれだけでも嬉しいことだが今回は孫のシゲルと送り出した同期の俺が決勝戦に残っている。どちらが勝利したとしてもオーキド博士が送り出したマサラタウンのトレーナーがポケモンを貰った年にポケモンリーグで優勝した。コレで孫のシゲルが優勝したのであればオーキド博士は鼻が高いだろう。
何処に転んでも美味しい展開になっているのだがこっそりと母さんに聞いた。どうもマサラタウンはシゲルの優勝ムードで盛り上がっている感じだ。俺が優勝するという可能性もあるがやはりと言うべきかネームバリューの差だろう。コレがサトシだったらもう少しサトシが優勝するかもしれない云々の声が出ていた。
最後に出すポケモンを考える。3位決定戦は気にならない。3位決定戦はキッチリとシンジが勝利した。
サトシ一行は試合を見に行っている。あのバトルは熱かったな!とタケシとカスミが盛り上がっている中でポケモンセンターで遭遇する。サトシは俺とカレンに目線を合わせなかった。ただただ拳を強く握っていただけだった。
サトシは決して悪くはないのだが、どうしても足りない要素が多すぎる。決勝戦はシゲルなのでどうしてそこに自分が居ないのか等を思っている。それについてはサトシが悪い。サトシが修行するぜ!と言っているが、サトシは具体的になにをどうしたいのかのイメージが無い。進化させる事だけが全てじゃない!と言い切るのならばそれ相応の戦術を持たないといけない。進化をしない以上はどうしてもスペックが足りない。そこをサトシのトレーナーとしての力で埋めるのだが、今の状態だとポケモンのスペックが高くサトシが引っ張られている。ただ純粋に強いから今まで勝ち残ることが出来た印象が強い。
出場するポケモンを決めたと登録する。シゲルも登録をしてきていたのだが、シゲルはサトシに引き分けのモンスターボールを見せる。結果的にはシゲルの圧勝で終わったサトシvsシゲルだが、サトシはコレで敗北というものを知った。ホントに負けてはいけない場所での敗北を知った。だからそれを次に活かす。何度倒しても立ち上がる強さをサトシは持っているのをシゲルは知っている。
だからコレで勝ちじゃない、何度も倒すことではじめてサトシに勝てているという証になる。オーキド博士にその辺の事を言っているがサトシには言っていないのでそれを言えばチャンスはまだあると認識を改める。
「上に上がれるかしら?」と俺にカレンは聞いてくる。「素質だって努力する意思だって最後に物を言う天運も持っている……でも、それを活かしきれていない」実際に戦っていないがサトシに素質はあるだろうが、変な風に成長している。
自分のリズムを作って相手に乗せての戦闘スタイル、相手のリズムを予想外の攻撃で崩す戦闘スタイル、この2つを防御とは攻撃なりとスピーディーな攻撃的なバトルをする。持っているポケモンもレベルは低くないが、どうしてもパワーが足りない……やはりポケモンよりもサトシの根本的な力が足りない感じがするな。
サトシに関しては関与らしい関与はしない。なにか特別な事をしなくても世界が滅ぶ云々は無いし、仮にあったとしても俺達で解決すればいいだけの話だ。
ポケモンが入ったボールを6つ装備、ポケモン達もここで最後の戦いだと言っているのでやる気に満ちている。選手の控え室でフィールド整備を待っているとカレンが来て……キスをしてくれた。
「これしかないけど、その……勝って帰ってくるのよ」
突然の不意打ちをくらい俺も驚くしかなかったのだが、カレンなりの励ましなのは直ぐに分かる。
こんなものを貰えば優勝するしかないなとセキエイスタジアムのフィールドに立った。
「なんという運命の巡り合わせ!今年のポケモンリーグ・セキエイ大会!決勝戦まで勝ち進んだのは同じ街のトレーナー!歳も同じ!そして互いにスーパールーキー!1年目だ!」
「っ……」
「どうやら来るところまで来たな」
シゲルが緑色のコーナーに足を運ぼうとしていたが途中で足を止める。俺も足を止めた。右を見ても左を見ても、ポケモンバトルを愛する人達が試合を見に来ている。こういう場所には馴れているよと何時もは気軽に笑っているシゲルだったのだが、この時に理解する。ここが決勝戦なのだと。たった2名にしか行くことが出来ない遥かな高み、そしてそこから更に1人に絞り化け物達の祭典、チャンピオンリーグに足を踏み入れる。
テニスの大会でこういうのは経験している。負ければなにもかもが終わりで報われない残酷な世界だ。だが、それでいい。
俺はこの試合を……楽しむことに決めた。勝たなければならない一面で勝つぞと燃え上がるのは当然だろうが、それよりも楽しいバトルをしたいと思った。シンジまでの相手が歯ごたえが無いからやろうと考えているわけじゃない。
セキエイ大会に出ている内に自分はポケモンバトルが大好きなんだなと感じ出した。勝つか負けるか分からないギリギリのクロスゲーム、そしてそこから得られる勝利の快感。何かに挑戦し苦戦し勝利する、そうすることで得られる快楽を俺は知った。
ワクワクが止まらない。今から行う試合が楽しみだと思っていればシゲルも気持ちを取り戻す。ここまで来たからには勝つ、ただそれだけだ。
「これよりポケモンリーグ・セキエイ大会決勝戦を行います!使用ポケモン6体のフルバトル!Zワザ、メガシンカ、テラスタルは何れか1度に限り可能!Zワザは事前に装備したZクリスタルのみ!」
「シゲル、ここに居るのがサトシじゃないのは不満か?」
「まさか……君は強い、サトシよりもだ。僕の事を色眼鏡で見てくる人が多い、僕はそれ相応の成果を出した。だがそれでも君の方が上だ……今日まではね!!」
ルーレットが回転し止まった。シゲルが先にポケモンを出す、シゲルはモンスターボールを取り出した。
「いけ、ドードリオ」
「……いけ、ラティオス」
「なに!?」
決勝戦なのだから後のことを考えるバトルをそこまでしなくていい。シゲルのドードリオに対してラティオスを出した。シゲルはラティオスを出したことを驚いた。俺の持っているポケモンは少ない、少ないからある程度は山が張れる。それでラティオスは出てこない、そう否定するほどにシゲルはバカじゃない。
「少しリズムを潰させてもらう」
シゲルはラティオスが出てきたとしても終盤辺りだと思っていたがそうはいかない。相手の予想を上回ってこそのポケモンバトルだ。
「最初からフルスロットルでいかせてもらう!」
今回装備してきたのはドラゴンZ、そしてラティオスには【ドラゴン】タイプ最強の奥義、【りゅうせいぐん】を覚えさせている。
ベースになるのは【りゅうせいぐん】そして使うのはこの技だ。【アルティメットドラゴンバーン】を使う。シゲルのドードリオに【アルティメットドラゴンバーン】は直撃し、試合開始早々にドードリオが戦闘不能になった。
「まさか……開幕Zワザだなんて……」
色々と考えていたが開幕ラティオスの【アルティメットドラゴンバーン】はシゲルの想定を上回っていた。開幕と同時のZワザ、試合開始早々にいきなりのダウン!と実況も言っておりシゲルはドードリオを戻して2体目のポケモンを出した。
「いけ、フーディン!」
「ディン!」
シゲルの2体目はフーディンだった、フーディンならば下手に相手にする必要は無い。モンスターボールを取り出してラティオスをボールに戻す。2体目はお前だとゲンガーを出す。睨み合うゲンガーとフーディン。
「フーディン【サイコキネシス】だ!」
「ゲンガー【シャドーボール】だ!」
互いに自慢の一撃を放ち吹き飛ばされる。どちらも特殊攻撃を売りにしていて特殊攻撃に対して強い。Zワザクラスならば一撃だが互いに高レベル、普通の技は何発か当たらないと意味が無い。フーディンを後まで残すのは厄介だ……シゲルの腕にはZリングが嵌められている。こっちが開幕Zワザをしてきて対抗するかと思ったが対抗しない。数の上ではこちらが不利なのは分かっている……だからこそ、ポケモンを2タテ以上出来る可能性があるZワザを隠している。ZワザはZワザでないと相殺が出来ない。
そっちが出し惜しみするのならば出す機会を潰すだけだ。必殺技の使い方はまだまだ見誤ってはいけない。開幕ブッパ、最後に放つ、試合の流れを変える、掴む、危機的状況を脱出する……俺が選んだ開幕ブッパは間違いではない。
「……フーディン【リフレクター】と【ひかりのかべ】だ!」
「ゲンガー【アンコール】だ」
シゲルがなにを狙ってかはわからないが【リフレクター】と【ひかりのかべ】を使う。俺は即座に【アンコール】を使う。【リフレクター】と【ひかりのかべ】を展開しているがそこから動けない。そんな中でシゲルはモンスターボールにフーディンを戻した。コレはミスったか。シゲルは3体目のポケモン、ゴローニャを出してきた。
「ゴローニャ【じしん】だ!」
「残念だが、このゲンガーは【ふゆう】だ!【アンコール】」
「っ!」
壁を展開し万全の状態にしたつもりだろうが、読み間違えたな。【のろわれボディ】個体のゲンガーだけでなく【ふゆう】個体のゲンガーも居る。再びゲンガーが【アンコール】を使った。シゲルは俺のゲンガーが【ふゆう】個体だったのかと気付いたが遅い。
「【シャドーボール】」
下手に積み技を使っても意味は無い、それ以前にまだ【リフレクター】と【ひかりのかべ】が残っている。他の技でガンガン攻める手もあるがそうすればゴローニャの後に控えているポケモンにまで影響が及ぶ。どういう風に出てくるかと思っていればシゲルはゴローニャをボールに戻し再びフーディンを出した。
「フーディン【サイコキネシス】だ!」
「ゲンガー【シャドーボール】……これはキツいな……」
再びぶつかる【シャドーボール】と【サイコキネシス】だが先程と違い【ひかりのかべ】が貼られている。フーディンは耐えたがゲンガーは強く弾き飛ばされる。コレが後1回続いてもフーディンは倒れない。フーディンを倒しておかないと後で絶対に痛い目に遭う。
「フーディン【サイコキネシス】だ!」
「ゲンガー【みちづれ】だ!」
フーディンを残せば確実に後のポケモン達に響く、なんとしてでもフーディンは倒さないといけない。壁がまだあるからとシゲルは余裕を持って【サイコキネシス】で挑む。それがメインウェポンならば思う存分に利用する。ゲンガーは【サイコキネシス】に弾き飛ばされたが黒い靄をフーディンに向かって飛ばした。フーディンはその靄に包まれればゲンガーが倒れた後に倒れる。
「ゲンガー、フーディン、両者ともに戦闘不能!」
一進一退、に見えて俺の方がやや有利な試合運びだが1つでもミスを犯せば負ける試合だ。
互いにポケモンをボールに戻し、3体目に出したのはニンフィアだ。
「ここまで変則的で来るとは……だがコイツならば突破は出来ない!いけ、カメックス!」
「ガメェ!」
ニンフィアに対してカメックスを出してきた。
「ニンフィア【びりびりエレキ】」
このニンフィアは一部を除く相棒技は使える、普通の【フェアリー】タイプとしてでなくでも充分に戦える。だから今回みたいな偏った編成が出来る。カメックスはニンフィアの【びりびりエレキ】を受けた。【まひ】状態になったが、思っている以上にダメージが入っていない。
「どうやらカメックスの力を読み間違えたようだね!いかせてもらう!」
シゲルはZワザをここで使う。【はがね】タイプのZワザ、【ラスターカノン】をベースにした【ちょうぜつらせんれんげき】をニンフィアに当てた。パワーも売りだが防御も売りのニンフィアに【ちょうぜつらせんれんげき】は当たった……一撃で倒れた。
「これでイーブンだね」
「互いに手は出し尽くした状態だが、こっちが有利なのには代わりはない」
「当然、引くさ」
互いに自慢のZワザを使った。俺はニンフィアとゲンガーを失った。シゲルはフーディンとドードリオを失った。そしてカメックスとゴローニャが出ている。ゴローニャは無傷、カメックスは【びりびりエレキ】を受けた。ダメージこそ無いのだが【まひ】状態になっている。シゲルはここで引くと冷静な判断を取った。だが【まひ】は自然と消えるものじゃない。
「いけ、ゴローニャ」
「いけ、リザードン」
「……!?」
「リザードン、間合いを開いて【ねっさのだいち】だ!」
ゴローニャに対して相性が悪いリザードンを出した。【じめん】タイプは通じなくなるとは言えそれでもゴローニャにとってやりやすい相手だ。だが俺は分かっているとリザードンに距離を取らせて【ねっさのだいち】を当てた。【ねっさのだいち】が当たったゴローニャは苦しんでいるのだがゴローニャは【ストーンエッジ】を飛ばすがリザードンは軽々と避ける。こっちはプテラを練習相手に何度も何度も挑んでいるのだから回避することは出来る。
「……ゴローニャ、岩が生えるタイプの【ストーンエッジ】自分を囲むんだ」
「……リザードン【ストーンエッジ】に向かって【かえんほうしゃ】だ!」
「やはり読まれているか」
ゴローニャの頭上だけを開けての【ストーンエッジ】そこからリザードンが上空を取れば破片を飛ばすタイプの【ストーンエッジ】で一気に倒す。ゴローニャの【ストーンエッジ】にはそれだけの威力がある。ならばやることは1つだと【かえんほうしゃ】を【ストーンエッジ】にぶつけてマグマに変える。【ストーンエッジ】の熱にゴローニャは苦しむ。
「ゴローニャ、チャンスが来た!【ロックブラスト】だ!」
「っ!」
【ストーンエッジ】の岩はずっと出ているものでなく忽然と消える。リザードンの【かえんほうしゃ】を浴びた【ストーンエッジ】の熱を耐えたゴローニャは熱がする方角を、リザードンが【かえんほうしゃ】を撃ってきている方角を見抜いていた。
【ストーンエッジ】の岩が消えれば今度は【ロックブラスト】を撃ってくる。1発、2発、3発、4発、5発……モロに命中したがリザードンは赤色のオーラを纏った。【もうか】が来た。
「【ねっさのだいち】」
「っ!…………そこでの【ねっさのだいち】なんだね……」
「特性に引っ張り回されていたらその時点で底が見えている……この状態、だからこその【ねっさのだいち】だ」
【もうか】が発動したからそれを利用しよう!なんて考えない。【もうか】が発動したから追い詰められた、しかし戦闘不能にはなっていないのが分かる。だから【ねっさのだいち】を使う。リザードンは【ねっさのだいち】を受けたゴローニャは倒れた。
「ゴローニャ、戦闘不能!リザードンの勝ち!シゲル選手のポケモンが3体戦闘不能になったので今からインターバルに入ります!」
なんとかシゲルのポケモンを3体倒せた……だが、こちらもかなり危ない状況だ。
リザードンは【もうか】発動圏内だから体力が危うい。ニンフィアとゲンガーは倒された……シゲルのカメックスを【まひ】状態にすることが出来たがシゲルは余裕を見せている。おそらくはカメックスをどうにかする手がある……そうなるとリザードンが危うい……リザードンにはまだ使っていい技の枠が2つ残っている。そこを活用しよう。
5分間のインターバルを挟み終えた、文字通りの最後の決戦だと再びバトルフィールドに立った。
「いけ、キュウコン!」
シゲルの5体目のポケモンはキュウコン、天候が変わらないので【もらいび】個体だ。
下手に藪蛇に顔を突っ込む程にバカじゃないとラプラスを出した。出したのだが
「キュウコン【ほえる】」とまぁ【ほえる】で強制的に交代させられる。出てきたのはまだ出していないポケモン、エレキブルだ。
シンジ戦ではミスを犯したが、それでもまだまだ戦える。エレキブルが出たので交代が!となったがラプラスを出しても【ほえる】を使われるだけだろう。だったらエレキブルで出来るところまでやってやろうと思えばシゲルはキュウコンをボールに戻す。
俺の今回選出したポケモンはラティオス、ニンフィア、ゲンガー、リザードン、エレキブル、ラプラス。
シゲルが今回選出したのはドードリオ、フーディン、カメックス、ゴローニャ、キュウコン、ニドキングだった。
ここに来てのニドキング、これはまずい。メインウェポンである【かみなりパンチ】や【サンダーダイブ】は通じない。
「ニドキング【どくどく】だ!」
ニドキングで攻めてくるかと思えばまさかの【どくどく】だった。【もうどく】状態に陥るエレキブル……残りの3体も【もうどく】状態になるポケモンだから下手に入れ替えるのは危険だ。【れいとうパンチ】で攻めにいけば【ほのおのパンチ】で捌かれる。
【こおり】タイプの【れいとうパンチ】と【ほのおのパンチ】の拳がぶつかり合う。パワーの上ではエレキブルの方が上なのだがタイプ相性、そして【もうどく】で少しずつだが体力が削られていく。【でんき】タイプの技さえ使えれば、なんて思わない。シゲルは殴り合いに乗ってきてくれた。
「エレキブル、尻尾で押さえろ!」
【もうどく】状態になっているのだから【どくのトゲ】なんて怖くない。エレキブルは二本の尻尾でニドキングの両腕を封じ込める。そしてこの状況で使える技が【れいとうパンチ】があると【れいとうパンチ】のラッシュを叩き込めばニドキングは倒れ、審判がエレキブルの勝利を宣言した、その時点でエレキブルが倒れた。仮にこれがビデオ判定でも勝っていた。
「いけ、カメックス!」
「いけ、ラプラス」
シゲルはカメックスを出してきた。こっちはラプラスで対抗する。ラプラスならばどうにかなる。
追い詰められて【げきりゅう】が発動したとしても【みず】タイプの技が通じないラプラスならば問題は無い。
「カメックス【ラスターカノン】だ!」
「ラプラス【10まんボルト】だ!」
使っている技はこちらが有利、【ラスターカノン】を押していく事は無い。ラプラスは器用だがパワーが足りないところが難点だなと思いながらも【ラスターカノン】が当たった。追加効果が発揮しとくぼうが下がった。だが【10まんボルト】を当てることに成功している。
「戻れ、カメックス。いけ、キュウコン」
カメックスだろうがキュウコンだろうがピンチである事には代わりはない。どういう風に動くかと思えば
「【ほえる】」
【ほえる】でラプラスを引かせてラティオスに入れ替えた……有利なのはこっちなのも理解している。だが一歩ずつこちらに向かってきているのは分かっている。カメックスとキュウコンの2体でリザードン、ラプラス、ラティオスを倒さないといけない。
「キュウコン【おにび】」
やたらと攻めない……何かの狙いがあっての戦闘だ。
コレは後で分かったことだがシゲルはラプラスに交代してもらい【エナジーボール】で戦おうと考えていた。そしてこの時の俺はシゲルが勝ち筋がハッキリと見えているのだと気付き……動く。
やはり俺の考えは間違いではなかった。シゲルは開幕に強力な攻撃やポケモンをぶつけることで倒しやすい。最初に【りゅうせいぐん】をベースにした【アルティメットドラゴンバーン】をぶつけて正解だった。
「【りゅうせいぐん】だ!」
メガネも珠もなんにもないがそれでもスゴい火力を秘めているぞ、この【りゅうせいぐん】は。
【りゅうせいぐん】が降り注ぎキュウコンは駆け抜けていくが1発が命中すれば2発、3発と連鎖的に命中し倒れた。
「まだ試合は終わっていない……いくぞ、カメックス!」
「ガメ!」
「戻れ、ラティオス。いけ、ラプラス」
「カメックス【はどうだん】」
「ラプラス【10まんボルト】だ!」
カメックスで粘るシゲル……蜘蛛の糸であろうとも、掴み取る。ラプラスの【10まんボルト】が当たったがそれでも【はどうだん】を当てている。シゲルとシゲルのカメックスもここに来て何段階も殻を破ってきている。俺もシゲルと戦うことで限界以上の力を引き出すことが出来ている。
「ラプラス、戦闘不能!カメックスの勝ち!」
「戻れ……いけ、リザードン」
カメックスを追い詰めた……後で聞いて分かった事だがシゲルの真の狙いは【いやしのねがい】だった。
カメックスをある程度はボロボロになるのを覚悟の上で戦い、そしてキュウコンの【いやしのねがい】でリセットする。リセットしたカメックスでラティオスに挑むつもりだったが先にキュウコンを……シゲルにとっての一番の予想外が最初にラティオスが出てきたことで色々と考えていた試合構成を潰された事だ。
「カメックス【アクアジェット】」
「っ!」
シゲルのカメックスは追い詰められており【げきりゅう】が発動する範囲内に入っており【アクアジェット】で突っ込んできた。
コレはどうすることも出来ないのだとリザードンは一撃で戦闘不能にされた。シゲルのカメックスが怒涛の追い上げを見せてきていてシゲルは大きなガッツポーズを取った。
「カメックス【れいとうビーム】」
【ラスターカノン】【れいとうビーム】【アクアジェット】【はどうだん】……フルアタック構成だな。
【からをやぶる】とかを使いたいところだが、今はその1手を使っている間に攻撃を受けてしまう。その時点で負けが確定する。限界ギリギリにまで追い詰められた……そんな中で悲劇は起こった。
「ガァ……メェ……」
「っ!」
「【ラスターパージ】」
カメックスが【まひ】の痺れを引き当てた。【れいとうビーム】を撃つことが出来ず攻撃も回避することも出来ず【ラスターパージ】が命中し……カメックスは倒れた。
「カメックス、戦闘不能!ラティオスの勝ち!よって勝者、マサラタウンにテヅカ選手!」
俺の優勝で試合が終わった。