アルピ交通事務局のアニポケネタ倉庫   作:アルピ交通事務局

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届かなかったあと一歩

 

 ▲月ω日

 

 チャンピオンリーグが行われるトウキョウシティのマクハリスタジアムに辿り着いた。

 

 遂にここまで来れたのだなと感慨深くなりつつも、大会の出場登録を済ませた。ここに居るのは右を見ても左を見ても強いと分かる強者なトレーナー達だ。こんなところを勝ち抜いて更にここに居るメンツすらも倒せる規格外の強さを持っている四天王やチャンピオンに挑まないといけない。まだまだ上が遠いなと感じながらもチャンピオンリーグの大会マニュアルを確認し、チャンピオンリーグはトーナメント形式の戦いな事と、ルールが少し違う。

 

 互いに持っている6体の手持ちを見せる。その内の3体を選出し、バトルする。

 

 現実で言うところの6350を再現したかの様な形であり、準々決勝からフルバトルになるというかなり過酷なバトルだ。選出した6体から3体を選出する、こちらの6体が知られてしまう。相手の6体も知られてしまう。その上でどういう風に挑めば良いのかの戦術を練る。チャンピオンや四天王になれば対策の1つや2つされるのは当然でありそれをも破る。例えるならば相手の良いところを全て出させた後にそれを上回る力で倒す横綱相撲の様だ。

 

「場の空気に飲み込まれるとは、らしくねえじゃねえか」とアトベが現れた。「この場の空気を動じないの?」とカレンが聞けば「こんなもんで怯えてたらキリがねえ」と返答する。要するに一周回って吹っ切れた感じだ。だが、俺はアトベの様に割り切ることが出来るのかと聞かれれば怪しい。

 

「貴方、今まで倒してきた人達の分まで背負ってるつもり?そんなの気持ち悪くて仕方がないわ」とマリーに言われたので直ぐに気を取り直した。俺は俺の為に戦う、オーキド博士やシゲル達の思いは全くと言って背負わない。応援してくれているカレンの為に!なんて思いもあったが、俺は俺の為に戦う。そうじゃないと今を生きている意味が無いのだから。

 

 冷静さを取り戻したらマリーが「あら、残念ね……でも、無様にやられるから問題ないかしら」とすっとぼけた顔でアトベに何処かに行くように強請る。「塩を送ることは別に悪いことじゃねえんだがな」とアトベは言えば脇腹を水平チョップされていたがアトベはかなり鍛えているので水平チョップを入れていたマリーはかなり痛がっていた。なにをやっているんだ。

 

 とは言えアレはマリーなりのエールだろうと思っていると目が笑っていないカレンが微笑んだ。

 他の女にチヤホヤされて嬉しいの?と言わんばかりなのでなにも言わずに手を握った。すると嬉しそうにしているのでなにも言わないまま一緒に歩いた。やはりカレンは天使である。

 

 ▼月◯日

 

 チャンピオンリーグが開幕した……先ずはエキシビションマッチが行われる。

 チャンピオンリーグで優勝したトレーナーと同格なレベルのトレーナーが四天王だ、四天王同士の激突……何故だ、何故こんな熱い展開に対して10分という時間制限を設けたんだ。10分の間隔が体感で数分しか無いなんとも言えない感覚になった。

 

 チャンピオンリーグには父さんと母さんが応援に来てくれた。

 コレは情けない姿を見せる事は出来ないなと思いながらもトウキョウシティのポケモンセンターで対戦カードが発表される。俺の1回戦の対戦相手は…………アトベだった。

 

「っち、よりによってお前か」とアトベに舌打ちされた。

 アトベはフルバトルで俺を倒したかったみたいだが準々決勝までは63のルールでバトルしなければならない。舌打ちこそしなかったが俺も思うところはある。アトベに対しては全力で挑みたかったのだが挑めなくなった。残念で仕方がない。だが、受け入れるしかない。

 

 運の巡り合わせと言うべきか、1回戦の最後に俺とアトベは戦う。

 明後日に試合をすることになっているので、1日の猶予期間が与えられる……もう一度、データを洗いざらいしておかなければならないな。

 

 ▼月✕日 すごく悩んだ1日

 

 アトベの持っているポケモンはエンペルト ムクホーク ギャロップ ロズレイド ルカリオ ガブリアス レントラー バンギラス ポリゴンZ  ミロカロス(色違い) バリコオル ミミッキュ……【いわ】と【じめん】が相性が良いのだが弱点のタイプを突いたとしても返り討ちに遭うのがオチなのが目に見えている。ドサイドンで挑みたいところだが中々に難しい。

 

 ならば、逆はどうだろうか?アトベが俺を読んでからそれを読んでのバトルはどうだろうか?

 リザードン コノヨザル フーディン ドサイドン ラプラス(色違い) エレキブル カイリュー ナッシー プテラ ゲンガー ガルーラ ガラガラ(アローラ) ニンフィア フリーザー ラティオス

 ……いや、ダメだな。なにが出るか予測出来ない。どっちにせよ俺もアトベも何かしらのテーマがあるわけではなく所謂旅パと呼ばれるジャンルにポケモンを育成している。何処かバランスが悪いかなどを考えていても、弱点のタイプが当たったとしてもそれをどうにかする事が出来る様にそのタイプの弱点をカバー出来るタイプの技を覚えさせている。

 

「何時になく苦戦しているわね……流石はアトベ、そしてチャンピオンリーグね」とカレンは呟いた。

 今までは苦しいところはあったがそれでも勝ち進んでいたのだが今回ばかりはそう上手くはいかない……だからこそ、面白いんだ。何でもかんでもチートだったらそれほどまでにつまらない人生は無いだろう。

 

 シンオウリーグ・スズラン大会の試合を見る。

 アトベはこのポケモンだけは絶対に外さないというポケモンは居なかった。エンペルト辺りが頻繁に試合に出ているのだがエンペルトは最後を任せるというよりは切り込み隊長、最初の活路を作り出すポケモンとして使われている。

 

 考えれば考えるほどに沼にハマってしまう。6350なルールじゃないのならばとにかく強いポケモンを並べるだけでどうにかなるが手持ちを6体公開した上で3体の選出、ホントに厄介だ。

 

 とりあえずは強い駒を適当にぶつけてみる……コレが成功か失敗かは分からないが先ずはこういう風にしておいていかないといけない。バランス良くポケモンを育てている奴に対して自分の持ち味をぶつけるのはまだ俺には早い。

 

 アトベはマリーに膝枕をしてもらっていた、と言うかマリーが膝枕をしたいと言い出したらしい。

「女の勘が言ってるわ……アトベに自分に依存してもらおうって考えを」と女の勘を働かせているカレンだがそんなのは要らないだろうと思った。女の勘って必要なのか?と思ったが必要らしい。

 

 そんな事をしなくてもアトベはマリーに惚れ込んでいるのだが……ドロッドロになりたいのだろうか?「好きな人になんでもしていいと言われたらどうする?」とカレンに聞いてみたら「本音を言えば血液を交換したいけど血液型が違うから出来ないのよね」とサラリと恐ろしいことを言ってくれる。血液型が一緒だったら血液を交換してくれと言われていたのか……まぁ、別に構わないんだがな。

 

 ▼月△日

 

 さて…………なにから書こう…………チャンピオンリーグは凄まじい試合だった……は、昨日の内に経験しているな。

 チャンピオンリーグの1回戦の最後の試合は俺とアトベ、互いに初リーグ優勝で初のチャンピオンリーグでポケモンを貰った最初の年にポケモンリーグに出場していると実況から語られる。

 

 アトベと俺は向かい合う。「やっとこの日が来たな……あーん?」と笑みを浮かべるアトベ「本音を言えばフルバトルじゃなかったか?」と聞けば「確かにそうだ。だが、テメエと戦えない可能性もあるからな……真剣勝負はやらせてもらうぜ」とアトベは背中を向ける。試合を開始するためにバトルフィールドの立つ場所に向かったので俺も向かい……マクハリスタジアムのモニターにポケモンが映し出される。

 

 アトベのポケモン ムクホーク レントラー ギャロップ エンペルト ガブリアス ルカリオ

 

 オレのポケモン  プテラ ドサイドン フーディン ラプラス エレキブル リザードン

 

「ああだこうだ悩むよりもありのままの自分をぶつける……考えることは一緒のようだな」とアトベのパーティを見て頷いた。ビリジオンやクラウンスイクンの可能性が無いというわけではなかったが、それでもアトベは自分のパーティで挑んだ。俺もフリーザーやラティオスを省いてこのパーティになった。

 

 考える時間は1分間、その間に思考を巡らせる。

 どのポケモンで挑めば良いのか、出たとこ勝負なんてしない……考えて考えて考え、ポケモンを選出し使わないポケモンが何かの拍子で出てきたら困るのでボールを審判に渡した。

 

「では、お互い1体目を!3,2,1!」

 

「いけ、プテラ!」「いけ、ムクホーク!」

 

 お互いに1体目のポケモンは空を飛ぶことが出来るポケモンだった。

 考えることが似ているのか?と思ったが似ているならばそれはそれで好都合だ……アトベのムクホークは【すてみ】ムクホークだ、【ブレイブバード】と【すてみタックル】を受ければその時点で敗北!と言う可能性も普通にあるが今回はプテラだ。【ひこう】タイプの技も【ノーマル】タイプの技も効果は今ひとつだ。

 

「空中戦の基本がなんなのか、知らねえわけねえよな?」

 

「如何にして後ろを取るか、だろう?」

 

「「後ろを取れ!」」

 

 プテラとムクホークが動き出す、低空飛行はせずに空を飛べるという武器を用いて高く飛んだ。

 空中戦の基本は如何にして相手の後ろを取るかどうか、特にムクホークは【ブレイブバード】と【すてみタックル】を覚えるから真正面からの激突をすればこちら側が不利だ。プテラに【ブレイブバード】や【もろはのずつき】をいい加減に与えてはくれないだろうか。

 

 技と技の応酬か!と思えば先ずはお互いに小手調べ、どちらが基本的な能力が優れているのかの確認をする。

 勝負は互角……と言うことはプテラよりもムクホークの方が強い。「やるな」と言えば「たりめえだろ。ポッチャマ貰って厳選したムックルだぜ?レベルが違うんだよ」と言い切る。純粋なレベルではムクホークの方が上だろう、種族としてのアドバンテージはこちら側にある。

 

「ムクホーク、【こうそくいどう】だ!」

 

「プテラ【おいかぜ】だ!」

 

「……」

 

「余裕が無いようだな」

 

 先ずは1つ目の技は【おいかぜ】だ。プテラの素早さを倍にする。アトベも似たような事を考えていたのか【こうそくいどう】を使うがアトベには余裕が無い。それは何故か?ムクホークは【ブレイブバード】【すてみタックル】【でんこうせっか】【インファイト】【つばめがえし】【いのちがけ】【とんぼがえり】しか選択肢が無いからだ。勿論、鳥ポケモンとしての飛行能力はとても高い。【ブレイブバード】はメガレックウザの【ガリョウテンセイ】と同格らしいが、基本的には相手に激突する接触技のみだ。

 

 対するこちらは色々な技を使える。【ストーンエッジ】や【こおりのキバ】が使える。ムクホークの方がパワーが上だが手数や戦術のレパートリーではこちらの方が上だ。ムクホークは強いが基本的には出来ることが限定されている、序盤鳥ポケモンの中でもムクホークは一芸に特化している、いや、特化しすぎている。それだけで解決する。

 

「【ブレイブバード】だ!」

 

「下に逃げて地面から生えるタイプの【ストーンエッジ】だ!」

 

 【おいかぜ】を使っても尚、ムクホークの方が素早い。アトベは勝負を決めるのだと【ブレイブバード】で背中を取ったのでプテラには急降下、追いかけられる側は後ろから攻撃することが出来るのがポケモンバトルだ。

 ムクホークはパワーを溜め込み【ブレイブバード】で突撃するのでプテラは急降下した。アトベのムクホークは素のスペックは勿論のこと、こういう場所でも対応は可能だと素早さを落とすこと無くプテラの急降下に対応した。だがそれが逆に失敗だった。地面から出てくる生えるタイプの【ストーンエッジ】、基本的には岩の破片を飛ばすタイプの【ストーンエッジ】の方が便利だがこっちのタイプの【ストーンエッジ】にも利点はある。一撃一撃が重く、岩が大きすぎて1歩や2歩の移動での回避が難しい事だ。

 

 ムクホークは岩が生えるタイプのストーンエッジに激突した。大ダメージを与える事が出来たが、倒れない。「【でんこうせっか】からの【がむしゃら】だ」とアトベは残りの技の枠を一気に使う。ムクホークで出来る最大級のコンボを今ここで使うつもりか!

 ムクホークは【でんこうせっか】でプテラとの間合いを詰めて【がむしゃら】で自分と同じ体力にまで削る。「選択を誤ったな、【がむしゃら】は相手を倒せない技だ。【ストーンエッジ】だ!」「それはどうかな?【でんこうせっか】だ」

 

「……っ!?」

 

「その手の技はほんの一瞬の間が必要なんだよ」

 

【ストーンエッジ】を使おうとするプテラに対して【でんこうせっか】を使う。

 岩を操ろうとするプテラを前にし【でんこうせっか】の連打、連打……なにか動こうとする前に【でんこうせっか】で潰してきた。そして【がむしゃら】で大きく体力を削った。

 

「プテラ、戦闘不能!ムクホークの勝ち!」

 

 先ずは1体目、プテラが戦闘不能になった。

 ムクホークに対して大きなダメージを与える事が出来た。だが、残念なことに【おいかぜ】の効果が消えた。【おいかぜ】無しで【こうそくいどう】使ったムクホークを相手だと厄介だが何もないわけじゃない。俺はエレキブルを出した。

 

「エレキブルか……いくぜ!【がむしゃら】だ!」

 

「【プラズマシャワー】だ!」

 

 ムクホークの性質上、それ以外は無いだろうと先読みしエレキブルの【プラズマシャワー】を浴びせる。

 本来であれば体力を同じにする【がむしゃら】だが今回は違う【プラズマシャワー】のおかげで【でんき】タイプの技になり、エレキブルの【でんきエンジン】が発動する。アトベはそれがあったかとなるが遅い、ムクホークはエレキブルの目の前に居る。

 

「【かみなりパンチ】だ!」

 

【かみなりパンチ】をムクホークに叩き込み、殴り飛ばす。

 ムクホークは起き上がることはなく戦闘不能になった。「ムクホーク、戦闘不能!エレキブルの勝ち!」と審判の宣言があった。

 コレでイーブン、ではない。唯一の欠点である足の遅さをエレキブルは克服した、アトベの今回のパーティと残り2つ空いている技の枠からしてなにが出てきても問題無く戦える。

 

「いけ、ガブリアス!」

 

 2体目に出てきたのはガブリアス……実際に対峙したが、やはり600族は凄まじいな。

 純粋なパワーだけを見てもガブリアスの方が強い。アトベのガブリアスは【さめはだ】個体……こちらには【れいとうパンチ】があるがそれは当然、読まれているだろう。読まれているという事を理解した上での行動をしている。

 

「ガブリアス【じしん】だ!」

 

「エレキブル【テレポート】だ!」

 

「なっ!?」

 

「上から【れいとうパンチ】だ!」

 

 残り2つの技も遠慮なく使わせてもらう。ガブリアスは【じしん】を使ってくるので【テレポート】で空中回避、アトベはエレキブルが【テレポート】を使えるという事は知らなかったみたいで驚いておりガブリアスの上を取ったと【れいとうパンチ】を叩き込み

 

「出来る限りの【れいとうパンチ】のラッシュだ!!」

 

 もう使える技が無いからこれしか無い。

【れいとうパンチ】で殴れるところまで殴り倒す、エレキブルは右も左も【れいとうパンチ】を使えるのでラッシュを叩き込むがエレキブルの【れいとうパンチ】が弱まる。【さめはだ】で少しずつダメージを受けているが関係無いのだとラッシュを叩き込んだ。

 

「ガバ……」

 

「ガブリアス、戦闘不能!エレキブルの勝ち!」

 

 かなりのダメージを受けたもののガブリアスがなにかをする前に【れいとうパンチ】の連打で倒すことが出来た。

【じしん】を使ってくれたおかげで大きな隙と言うか間合いを埋める瞬間が出来たが普通に【ドラゴンクロー】や【スケイルショット】を使われていたら危なかったな。【げきりん】とかも危ない……そして分かるのは俺とアトベも互いにまだまだ未熟者だったことだろう。

 

「まさか先に追い詰められるとはな……いけ、エンペルト!」

 

「来たか……エレキブル【かみなりパンチ】だ!」

 

「【しんくうは】だ!」

 

【かみなりパンチ】で殴りかかる前にエンペルトは【しんくうは】を使った。

 アトベのエンペルトは流石だ……アトベのポケモンの中でも別格なのが思い知らされる。

 

「エレキブル、戦闘不能!エンペルトの勝ち!」

 

 無傷のままエンペルトはエレキブルを倒した。エレキブルによくやったと言いモンスターボールに戻す。

 こっちも残すところ最後になった。やはりお前に頼る時が来たようだなとモンスターボールを投げラプラスを出した。

 

「最初に貰うポケモン同士じゃねえのか」と少し残念そうにするアトベだが「リザードンではまだ荷が重い」と言っておく。メガシンカ出来るならばエンペルトを相手に挑めるのだがメガシンカ無しになるとどうしてもな。

 

「エンペルト【あくび】だ!」

 

「ラプラス【うたう】だ!」

 

「っ……」

 

「こっちが1手ある!【10まんボルト】だ!」

 

 眠るまでに少し間がある【あくび】と即座に眠る【うたう】、効果はこちらが有利だとねむる前に【10まんボルト】を浴びせる。

 エンペルトにはダメージが入ったが倒れない……ここでアトベの右手が動く。アトベの手にはZリングが嵌められておりZクリスタルが載せられている……載せられているのはイワZ、こちらのZリングに載せられているのはクサZ。

 

「テヅカ、どうやら最後の様だな」

 

「ああ、お互いにな」

 

 ここまでZワザを温存していたのには一応理由はある。ZワザはZワザで相殺出来る。

 アトベがZワザを持っている以上はこちらもZワザで潰さないといけない。そんな時にこの展開だ。Zワザのポーズは全て頭に入っている。

 

「【ワールズエンドフォール】」

 

「っ!!」

 

 先に目を覚ましたのはエンペルトだった。エンペルトは【ワールズエンドフォール】を使い巨大な岩を出現させて落としてくる。

 この技はどうしようもない。

 

「キュ……」

 

「ラプラス」

 

「まだだ!いけるな!」

 

「キュウーン!!」

 

「なっ!」

 

「【ブルームシャインエクストラ】」

 

 ラプラスが倒れているので審判が戦闘不能の判定をくだそうとするが俺が叫べばラプラスは反応した。

 まだ終わっていないのだと頭が起き上がった。まだ希望は潰えていない、今度はこちらの番だとZワザを使いZパワーが満たされている中で……ラプラスは倒れた。一度は起き上がったがそれでも限界はあったのだとラプラスは倒れた。

 

「……この【ブルームシャインエクストラ】が決まっていたら……」

 

「たらればの話は無しだ」

 

 あと一歩、あと一歩の世界だった。

【ブルームシャインエクストラ】をぶつけることが出来れば自分は負けていたのだとアトベは思うのだが、その1歩の世界が届かなかった。たらればの話はしてはいけないのは分かるがそれでもだ。俺達には圧倒的に経験が無い。Zワザやメガシンカを使う猛者達との経験が。ホントに一歩の差だ。アトベの読みならば【ワールズエンドフォール】で倒せていたがそれでもラプラスは起き上がった。ありえないと思っていたが俺は信じていた。だが、まだ届かなかった。

 

「ラプラス、戦闘不能!エンペルトの勝ち!よって勝者、トバリシティのアトベ選手!」

 

 ラプラスが戦闘不能になり、エンペルトが勝った。こちらの手持ちが全て戦闘不能になったので審判は判定を下す。

 チャンピオンリーグ1回戦負け……アトベは勝てたことを喜んだがガッツポーズは見せない。最後の1歩は詰め寄れる1歩の世界だ、今回は勝つに勝てたが次に挑む時は寝首を掻かれるのだとアトベは察した。そして俺はそんなアトベを見て手を上げる。

 

 己の心の生死を賭けての世界、互いに一歩も引かない激闘に継ぐ激闘でありどっちが負けてもおかしくはなかった。

 互いにいい試合をしたのだとなりポケモンセンターに戻る。そして実感する、俺は負けたのだと。ホントに大事な場面で敗北をしたのは何時以来なのかは分からないが負けは負けだ。悔しいという思いはあるが……まだまだ高いところがあり自分ならばそこに行けるのだと実感した。

 

「すまない」とカレンや両親に頭を下げた。

 チャンピオンリーグに出場したのはいいが1回戦で負けた。期待してくれた人、特にカレンには申し訳ない気持ちでいっぱいだった。だが、カレンは「どっちに転んでもおかしくはないし、お互いに今の段階の力を全て出し切ったわ」と言ってくれた……そしてそれがどういう意味なのか、翌日分かった。俺との激闘はなんだったのかと思えるぐらいにはあっさりと負けた。

 

 テニヌプレイヤーとしては腕はそれなりだが、ポケモントレーナーとしてはまだまだだなと痛感した。

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