5つ目のジムはヤマブキシティのヤマブキジムだ。
ゲームじゃシルフカンパニーを終えないとジムそのものに挑戦出来ねえが、この世界ではそんなのは関係無い。何処のジムを回ろうがそいつの勝手だ。
「面白い事をしてるな……」
ヤマブキジムのジムリーダーのナツメはエスパーだ……なに言ってんだ?と思うが世間一般で言う超能力を持っている。ポケットモンスターの世界はポケモンと言う超常的な力を持った不思議な生き物以外に、人間側にも不思議なのが居る。
現実でも超能力者は居るらしい。FBIだかCIAだかなんだか知らねえが、そういうのを雇っている。宗教以外のオカルト団体、神智学協会、黄金の夜明け団、薔薇十字団なんかは嘗ては実在していた。こう、全員がイメージする魔法とか魔術とか使えるかは別としてそういう存在は確かに存在している。
昔はそこそこテレビでやっていて今は動画配信者になってるのが多いが、ガチの霊能力者も存在している。
ポケモンと言う超常的な力を持った生物が当たり前の様に居るから超能力者が居ても驚かれるが最終的には普通に受け入れられる。感覚バグってんのか?と言いたいがこの世界じゃコレが普通だ。
霊能力者とか言っても手から雷とかエネルギー弾を放つのを見たことが無い。
だが、この世界の超能力者は物体に触れずに物を動かす念動力ことサイコキネシスを始めとする様々な超能力が使える。
「この中に1から10の数字が書かれた数字がある。それを順番に引くんだ」
ヤマブキジムは超能力者の養成もしている。
何処の学園都市だと言いてえが、普通に気になるからとりあえず参加してみる。超能力の定番である透視能力の訓練、30枚のカードの中から1から10までの数字が書かれており、それを順番に引き当てる。
カードは何処にでもあるカードで麻雀で言うところのガン牌みてえな目印は無い。
30枚の中から1から10までの数字を当て続けるのは何百分の1のレベルじゃない。それを出来た奴は豪運だがここでは偶然を頼るんじゃなく力でもぎ取る物だ。
ただ俺はなにかしらの特別な薬品を飲んでるわけでも投与されているわけでもない。
オカルトに関する知識も、射手座の元ネタはケイローンと言うケンタウロスでヘラクレスやアキレウスの先生だったとかの知識で白虎は何処の方角を意味する生物とか風水的にどうのこうのの知識は無い。
この世界がガチの超能力があってくさタイプのエネルギー等の不思議なパワーがある。
そういうものの使い方は知らない。コレをこうすれば気功の巡りが良くなるとかそういう知識は無い。
「才能は無いな」
その辺を活かしてどうにかすることが出来るかと思ったがどうにもすることは出来なかった。超能力を養成している場所で色々と受けたが特になにかに対して適性があるとは判断されなかった。
まぁ、こういうファンタジーな物は基本的には先天性の物だ。
NARUTOみたいなファンタジーな力が当たり前にあって認知されて軍事運用されている世界でも世界でもロック・リーみたいな才能皆無な存在がいる。
ファンタジーな力が当たり前に認知されてそれによって行政機関等が対応をしている世界でも才能の有無の差が圧倒的に酷えんだから全員がなにかの異能を持ってるわけじゃない世界ならば尚更だ。
「まぁ、持ってたら便利程度で余計な物になるから要らねえんだがな」
超能力者養成所で超能力の才能が無いと言われた。
そういう力に憧れるには憧れるが、そういう力を持っていると色々と感覚が狂っちまう。斉木楠雄が普通に生きたいと言いながらも普通に生きれない。そして仕方なく超能力を使ってしまう。最悪、自分の力でどうにかなるは典型的な力に溺れた人間の一例だ。
「君、ヤマブキジムに挑むのはやめたまえ」
「ポケモントレーナーにポケモンジムを挑むのをやめろって、正気ですか?」
「ここのジムリーダーのナツメは他のジムリーダーと違うんだ!君は超能力の才能が無かったのだろう?ナツメに対抗するには超能力を会得するかエスパータイプに強いゴーストタイプのポケモンをゲットしなければ」
「……忠告はありがたいですけど、ただのジム戦じゃないですか」
一般的な超能力の才能が無いと分かったので本来の目的であるヤマブキジムに挑もうとすれば作業服を着たおっさんにジム戦はやめろと言われる。
エスパータイプは強力だからゴーストタイプのポケモンが必要だと最もらしいアドバイスを送ってくれるが、ただのジム戦で命懸けのノリじゃないと言えば呆れられた。
「ただのジム戦じゃないんだ……」
「フハッ………知ってるから来たんだよ」
ナツメとのジム戦はただのジム戦じゃねえ。
それをおっさんが忠告をしてくれるが、俺はそれを知った上でこのヤマブキジムを選んだ。
ゲームのナツメは超能力こそあれど話し合いが通じる相手だ。
だが、アニメのナツメはそうじゃない。超能力に夢中になり周りの人間が止めることが出来ずに子供のまま成長した。不幸か幸福かは分からないがナツメは超能力者として強すぎた。
ホビーアニメの様に負けたら命を失う闇のゲーム的な事を挑んでくる。
原作知識でそれを知っている。普通ならば挑むならばサトシが原作通りにヤマブキジムを終えてからまともな人間に戻ったナツメに挑むだろうが、俺はあえてこのタイミングで挑んだ。
「うふふ、お兄ちゃんチャレンジャーね!私と遊んでくれるかしら?」
「ジム戦に来たんだよ」
「じゃあ、遊べるわね!」
今回で5回目だから流れは分かる。
ポケモン図鑑をセットし使用するポケモンが入ったボールをセットする。
ヤマブキジムの使用ポケモンは1体、前回のマチスと同様に1体だ。使用するポケモンは決めている。
ジム戦に挑む手続きを終えればナツメと顔を合わせる。
美女な見た目の女性だが椅子に座っていて膝の上に人形が置かれている。腹話術?と聞きたくなる様なぐらいにナツメが喋らず人形が喋っている。
「いけ、ケーシィ」
「いけ、ギャラドス」
「ゴォオオ!」
使用ポケモンが1体で、持っているポケモンはエスパータイプと相性が良いポケモンが居ない。エスパータイプならばユンゲラーとエーフィが居るが、あくタイプやむしタイプは持っていない。万能性が売りのニドキングはどくタイプだから出すに出せない。
この前ゲットして即座に進化したギャラドスで挑む。
エレキッドで倒して俺をトレーナーとして認めさせているから言うことはしっかりと聞く。
「バトル開始!」
今回は機械が審判をしてくれる。
試合開始の宣言がされたので早速1つ目の技を指示する。
「ギャラドス、りゅうのまい!」
ベタと言えばベタなりゅうのまいだ。
攻撃はせずに着実に決める為にりゅうのまいを使った。
「ケーシィ、テレポート」
「ギャラドス、慌てんな」
りゅうのまいに対抗してケーシィはテレポートを使ってきた。
突如として目の前からケーシィが消えたのでギャラドスは驚いたが、慌てる必要は無い。テレポートはゲームじゃ逃走用の技でこの世界でも移動をする為だけの技だ。
どれだけ警戒をしていてもテレポート中に攻撃してテレポートの不発にしない限りは取るのが難しい相手の背後を簡単に奪うことが出来る技だ。
技の発動そのものを失敗しなければ相手の背後を簡単に奪える技だが弱点はある。
「やっぱそこから繋げねえか。ギャラドス、りゅうのまい」
テレポートから次の動作が遅い。
テレポートをするのに集中しなきゃなんねえのとテレポートをした後は立っている場所が違う。見えている景色が急に変わってテレポートにパワーを使ったから次の動作にまで遅れが生じる。
「ケーシィ、ねんりきよ」
「ギャラドス、りゅうのまいでフィールドを回れ」
そしてエスパータイプの技、アニメ的には描写が難しい技だ。
ねんりきとサイコキネシスって言い方が違うだけじゃねえかやサイコショックとサイコキネシスみたいに見た目がほぼほぼ変わらないであろう技がある。
アニメ的には非常に扱いづらく、サイコキネシスが出たと思えば相手の身動きを取れなくして相手を吹き飛ばす攻防一体の技で無駄に強い描写になっている。
無類の強さを誇っているサイコキネシス等のエスパータイプの技だが弱点がある。
サイコキネシスやサイコショックは相手を捕まえないといけない。念波を放ち相手に浸透させて相手の動きを封じたりする。
だから相手を念波で完全に捉えられない様にするか、圧倒的なパワーで念動力を破るか。それがサイコキネシスみたいなタイプの技の破り方だ。
ギャラドスにはりゅうのまいでフィールドを回る。ケーシィはねんりきで動きを封じようとするがまずギャラドスが何処に居るのかが分からねえから捉えられない。
りゅうのまいはパワーとスピードが増す技だ。
スピードが増えれば如何にギャラドスの巨体でも捉えるのは難しくなる。そして俺はここでしっかりと狙いを定めた。
「ギャラドス、アクアテール。思いっきりぶっ飛ばせ」
ギャラドスにアクアテールを使わせた。
やっと攻撃が来たとギャラドスはアクアテールを使った。ケーシィはギャラドスのスピードに対してテレポートが間に合わない。普通に移動しての回避も間に合わない。結果としてアクアテールは当たった。
「キャアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
俺の狙いはそこじゃねえ。
ケーシィを確実に倒すならばアクアテールよりかみくだくの方がいい。だが、それをしなかった。
「大丈夫ですか!?怪我はありませんか!?」
「シィ……」
「ケーシィ、戦闘不能。ギャラドスの勝ち。よって勝者、チャレンジャー」
俺が狙っていたのはずっと座っているナツメだ。
正確に言えば膝の上に乗せたままの人形だ。ギャラドスのアクアテールで弾き飛ばされたケーシィはナツメのもとに吹き飛び、ナツメが膝の上に乗せたままの人形にぶつかった。
俺はハッキリと聞こえた。
パキリと言うなにかが壊れる音が。それと同時に悲鳴が響いた。そしてここでは人間じゃない機械の審判が俺がジム戦に勝利したと判定を下した。
「あ、あ、あっ……」
「こういう時はビニールだったな」
人形がぽっくりと折れたんだが何故か人形が消え去っていた。
今まで無表情だったナツメが過呼吸を起こしているからこういう時はビニールを被せれば良いとビニール袋を鞄から取り出して被せた。
過呼吸を起こしているナツメはビニールで呼吸を抑制される……そして倒れた。
「ナツメ!!」
「おじさん……あの、なにが起きているんですか?」
そして何処からともなくさっきジム戦に挑まない方が良いと勧めてきたおじさんが現れた。何者なのかと大体の予想はついているがここは知らぬ存ぜぬで行動を取る。
おじさんは俺を無視してナツメが被っているビニール袋を外してナツメの容体を確認、ナツメは気絶しているだけだと判明したから直ぐに落ち着いた。
「まさかナツメに勝利するだなんて……」
「そりゃジム戦に挑みに来たんですから勝利ぐらいしますよ……それよりも、なんかおかしなジムリーダーでしたけどなんかあるんですか?このヤマブキジム自体が超能力者養成所で怪しい部分とかもありますし」
「……ナツメは正真正銘の超能力者なんだ。ここの養成所や他の地域で見られる超能力者達よりも遥かに秀でた超能力を生まれながらにして宿している。そんなナツメを両親は見ているだけで、なにかを言おうにも超能力で抑えつけられる……気付けば彼女は超能力を極めるのに没頭していた」
言いたいこととかやってることとかわかるにはわかるが、なんでそこでジムリーダールートになるんだ。聞かされたのは特別な力を持っているが故に恐れられたり大人が正しく物事を教えられなかったよくある話だった。
別にそれを聞いて同情するつもりは無い。
斉木楠雄みたいに超能力に苦しめられる人間は居る。だが、逆に超能力を持っていないからなにも出来ないと苦しむ人間も居る。結局のところ、隣の芝生は青く、見えていないだけで苦労があるって話だ。
「あ、れ……」
意識を失ったナツメは目を覚ました。
人形で喋っていたナツメだったが自分自身の声で喋っており、意識がハッキリとしている。
「私、は……そう……負けたのね」
「俺の勝ちだ。ヤマブキジムを勝った証であるゴールドバッジが欲しい」
「ええ……」
自分が負けた事を自覚したナツメはゴールドバッジを出した。
ゴールドバッジを受け取りバッジケースの中にゴールドバッジを入れた。
「少し聞いたけど、超能力を暴走させてたんだな」
「…………」
超能力を暴走させていた事を聞けばナツメは黙った。
超能力にのめり込んでいる事に関しては自覚があった。そして誰かが止めてくれるわけでもなかった。
「正しく超能力を使える様にならないと」
「超能力なら使えるわよ?」
モンスターボールを念動力で浮かせるナツメ。
コントロールは問題無いのだと言うのだがそういう話をしているんじゃない。
「その付けた力を使う場所があるかって話ですよ……ここで鍛えた超能力も使い道が無いと意味が無い。今まで周りに迷惑をかけていたし、超能力を使ってなにかしないと」
「でも……」
「大丈夫です。コネならあります……色々な超能力が出来るんですよね?だったら役立ててください」
「ナツメ、いいじゃないか」
「……わかったわ」
交渉は成立した。ナツメの超能力を使う場所を、活かす場所を用意する。
それで一件落着だと話は終わり俺はポケモンセンターに戻った。
『いきなり人材を紹介したいと言えば……まさかヤマブキジムのジムリーダーだったとはな』
「ただのジムリーダーじゃねえぞ?天然+鍛えた超能力者だ」
そしてサカキに連絡を取る。
ナツメの超能力を使う場所こと紹介先はロケットコンツェルンだ……ロケット団として働けと言ってもこの辺じゃロケット団=悪の組織でポケモンマフィアとして有名だから、常人ならば首を縦に振らねえ。
『確かに超能力者は役立つな……しかし、大丈夫なのか?』
「少し危険な思考をしてたがそこはなんとかなった。それから超能力をなにか人の役に立つことに使おうって方向に意識は向けさせた。後はこの前のサントアンヌ号の様なポケモン強奪とかのバカでもハッキリと分かる悪行は避けろ」
『なら具体的な使い道はどうする?』
「念写や千里眼で稀少なポケモンの位置や遺跡を割り当てさせたり、さいはてのことうの様なレアなポケモンや研究価値があるものが多くあるが人の足が踏み入れにくい危険なダンジョンの調査だ」
『……面白い』
「軽く聞き取りした所、サイコメトリーとテレパシーを持っていないらしいが、後から目覚める可能性がある。その点を踏まえて、明確な悪行はあなたに対して深い忠誠心を持ってる奴に回せ……じゃあな」
『ああ、そいつに仕事は割り振ろう』
ヤマブキジムのジム戦に負けたら人形にされるとかの闇のゲームの罰ゲームが待ち構えている。ハッキリと言えば危険だからサトシがナツメを正気に戻した後にジム戦に挑むのがいいんだろうが、サカキに使える人材を送り込んで点数稼ぎをしないといけねえ。
この世界には超能力者は普通に存在している。だが、魔法科高校の劣等生や絶対可憐チルドレンの様に一般社会にその存在が浸透していて当たり前の様に認知されて行政機関がそれに合わせて動いているか?と聞かれれば怪しく呪術廻戦や遊戯王みたいに一応国の偉い人達なんかは認知しているがそれに合わせて行政機関なんかが上手く機能していない感じだ。
オカルトの存在は確かにある。それを知っている者も操れる者も居る。それを利用して悪事を働く奴等も居る。それに対して司法等の行政機関が対応をしているかと聞かれれば無い。だったら利用してやるまでだ。
千里眼や念写の類が使えるのならばそれで商売が可能だ。
超能力を使った暴行以外の行為を使い、ロケットコンツェルンを豊かにする。
この世界にはポケモンの力を借りても立ち入って調査をするのが困難な場所は普通にある。さいはてのことう、はじまりの樹がそれに当てはまる。そこの調査やそこに居る稀少なポケモンのゲットをナツメにさせるのもありだ。