「っと、ついたか」
最後のジムがあるグレンジムに行く前に寄り道をする。
やってきたのはストンタウン、この近隣を適当に掘ったらタングステンなんかの科学製品に使う貴重な鉱石じゃなくてほのおのいしの様なポケモンの進化に使う石が出てくる。
進化の石が出てくるってことは人工物は無いのか?と思ったが、無いんだろう。
ジバコイルがテンガン山で進化したりする事から考えて、特殊な磁場や気候や土地の力の結晶が進化の石か……フハッ、大地の結晶が当たり前の様にあるとかイカれてやがるな。
「リーフのいし、ほのおのいし、みずのいし、かみなりのいし……」
オーキド博士の研究所に連絡を入れてポケモンを入れ替える。
ほのおのいしで進化するガーディ、みずのいしで進化するシェルダー、かみなりのいしで進化するレアコイル、この地方で見つけるのが難しいが欲しいポケモンの為に買えそうな進化の石を購入する。
「君、そんなに進化の石を買って……一気に進化させるつもりなのかい?」
「ええ……その為のポケモンは用意していますよ」
進化の石を一気に購入した。
進化の石で進化するポケモンを持っていないのに石を買ってもただの宝の持ち腐れだ。その辺の心配した店主は進化するポケモンは持っているのかを聞いてくる。
進化の石はここに来れば確実に買えるからここに来た。
ガーディ、シェルダー、レアコイルの3体を見せれば、売ったとしても宝の持ち腐れにならないと分かったので石は売ってくれた。
「君、ほのおのいし、みずのいし、かみなりのいしで進化するポケモンをゲットしてるのか!?」
「ええ…………どうしました?」
「よかったら、弟とポケモンバトルをしてくれないか?」
進化の石を購入してポケモン図鑑を開く。
進化前にしか覚えない技を覚えさせているかの最終確認……石で進化するポケモンは進化前に重点的に育てないと進化後のスペックに引っ張られる事がある。
ガーディもシェルダーもレアコイルもタマタマも鍛えている。
石で進化することが可能なポケモンが4体も居る。
それが珍しいのか目立った髪型をしている三つ子が俺に声をかけてきた。
「接待のポケモンバトルはしませんよ?」
「いや、その3体で本気のポケモンバトルをしてくれ!」
「弟のタイチはタイチの道がある」
「でも、それは普通よりも過酷だから……早い内に厳しい世界を知ってほしいんだ」
接待のバトルはお断りだと言えばそうじゃなくて本気のバトルを望む。
弟に過酷な世界を知ってほしいと言う兄心のアドバイスをしたい……兄目線だと何処かで依怙贔屓する可能性があるから無関係な俺がってか?
「タイチ、お前がイーブイを進化させずイーブイとして戦わせる事は認めた」
「だが、イーブイはしんかポケモンと言われて進化してこそ本領が発揮するポケモン」
「イーブイだけだとどうしても足りない。トレーナーのお前が何処まで頑張れるかでイーブイの今後が決まる」
断る予定は特に無い……いや、それどころかコイツはアリだなと俺は思った。
三つ子はサンダース、シャワーズ、ブースターを引き連れている。確かイーブイをどれに進化させるか揉めて進化させたイーブイ=一番慕ってる兄とかいうクソしょうもねえ争いをしている。
「タイチ、だったな。成り行き上3連戦になるが構わないか?」
「うん……イーブイ、いけるな?」
「ブイ!」
「じゃあ、まずはお前だ。レアコイル」
「リリリ!」
「よし、じゃあ」
「待て。コレを使わねえと」
タイチのイーブイが3連戦になるが問題は無いかの確認を取った。
問題は無いとタイチもタイチのイーブイも頷いたのでまずは1体目だとレアコイルを出した。サンダース使いの男がバトルをと審判をしようとするが俺はかみなりのいしを取り出してレアコイルにかみなりのいしを触れさせた。
「ジババ」
レアコイルはかみなりのいしでジバコイルに進化した。
「じゃあ、やるぞ」
「よし!まずは1本目だ!」
「いくぞ、イーブイ!」
「ブイ!」
「ジバコイル、10まんボルトだ!!」
イーブイとタイチがやる気を出したので早速バトルを始める。
こっちが使うのはジバコイルのメインウェポンである10まんボルト……流石は足が遅くなる代わりにパワーが増すだけの事がある。
ジバコイルが放った10まんボルトがイーブイに命中してイーブイが倒れた。
「イーブイ、大丈夫か!?」
「ブイ……」
「1本目はコレで終わろう……ほら、オレンのみだ」
まさか一撃で倒されるとは思っていなかった。
トレーナー自身が若いことから考えてイーブイをそこまで育てていない、そんなところだ。とりあえずオレンのみを食べさせて回復をさせる。
「……ジバコイルが放つ10まんボルトは威力が凄まじいぞ。でんきタイプ自身が強力なタイプだから、それこそサンダースのちくでんの様な特性が無いと厳しいな」
「そうだ……サンダースなら負けていなかった!今の10まんボルトを自分の力に還元出来ていた!」
シャワーズなら瞬殺、ブースターなら相性良くて勝てていたとは言わない。
サンダースだったらどうにかすることが出来たと言えばサンダース使いの兄がサンダースならばと言う。
「さぁ、2戦目だ。戻れジバコイル。いけ、ガーディ」
「ウォウ!」
「今度は俺が!」
「その前にコイツだ」
オレンのみを食べてイーブイの体力が回復したから2戦目に入る。
ジバコイルをボールに戻し、ガーディを出したらブースター使いの兄が審判をしようとするのでその前にとほのおのいしをガーディに触れさせてウインディに進化させた。
「さっきは遅れを取ったけど、今度こそ……イーブイ、でんこうせっかだ!」
「ウインディ、しんそくだ!」
ジバコイルの時はあっさりとやられたが次は違うと攻めるタイチ。
でんこうせっかの上位互換のしんそくは当然覚えているとウインディはしんそくでイーブイに激突した。
「ウインディ、かえんぐるま」
しんそくで倒れなかったものの、大ダメージを受けたイーブイ。
次の手は既に用意しているのだとウインディにかえんぐるまを使わせイーブイを倒した。
「流石はウインディ、進化したことで重さが増したかと思ったがそれ以上に素早さやパワーが上がっている。かえんぐるまはかえんほうしゃなんかと比べれば威力は低いがそれでもこの威力……もらいびのブースターならパワーを逆に利用されたんだがな」
「……そうだ!ブースターの特性はもらいび、それさえあれば今のウインディのかえんぐるまは受けれた。そこから挽回が出来た筈だ……」
「3本目が残っているが、まだいけるか?」
ブースターならば行けたと言えばブースター使いの兄がブースターならばと悔しそうにする。
仕込みが徐々に出来ていることに俺は内心ニヤけながらも顔には出さず3本目の試合が出来るかを聞けばシャワーズ使いの兄がイーブイにかいふくのくすりをかけた。
イーブイに戦えるかを聞けば戦えると頷いた。タイチも戦うぞとなった。
「戻れ、ウインディ。いけ、シェルダー」
「よし、ここは俺が審判を」
「その前にコイツだ」
ウインディを戻しシェルダーを出した。
3本目の審判は自分がするとシャワーズ使いの兄が言うが、まずは進化させてからだ。シェルダーにみずのいしを当てればシェルダーはパルシェンに進化をした。
「パルシェン、からをやぶる!」
「イーブイ、とっしんだ!」
まずはからをやぶる、コレがベストだ。イーブイは気にせずにとっしんを使う。
パルシェンにとっしんが命中した……がパルシェンは満面の笑みを浮かべていた。それに対してイーブイは苦しい顔を浮かべている。
「パルシェン、たきのぼりだ」
隙があるのでパルシェンにたきのぼりを使わせる。
イーブイは3本目もあっさりと倒されてしまった。
「流石はパルシェン、からをやぶるを使って落ちた筈の防御力だが素の硬さが異常だからイーブイのとっしんが大したダメージになってねえ。イーブイはとっしんの反動ダメージを受けて今までのダメージが抜けてない。パルシェンのたきのぼりで一撃……シャワーズのちょすいなら今までのをチャラにする様に体力回復されていたな」
「そうだ……シャワーズのちょすいならパルシェンのたきのぼりは通じないんだ」
3本目を終えてパルシェンを褒めながらもシャワーズならばと語る。
嘘はなにも言っていない。1本目はサンダースなら10まんボルトが効かなかった。2本目はブースターならかえんぐるまは効かなかった。3本目はシャワーズならばたきのぼりは効かなかった。
「「「タイチ、やっぱり考え直さないか?イーブイのままじゃダメだ!!」」」
サンダースなら、ブースターなら、シャワーズならの状況を作った。
弟のタイチはイーブイをイーブイとして育てたいという思いがありそれを尊重し認めたものの、やはりイーブイのままでは勝つものも勝てない。
「い、嫌だ!イーブイはイーブイとして育てるんだ」
「1本目、サンダースならいいバトルが出来たぞ」
「2本目、ブースターならいいバトルが出来たぞ」
「3本目、シャワーズならいいバトルが出来たぞ」
タイチはイーブイはイーブイとしてと言うが3本の勝負がイーブイの進化系ならばいいバトルになったのだと三つ子の兄弟は言う。
「まぁまぁ、落ち着こう……タイチ、イーブイにはイーブイの利点があるんだ」
「え?」
「アローラと言う南国の地方にはイーブイしか使えない技があるらしい。その技を会得すればさっきみたいな情けない展開にはならなかっただろう」
「イーブイしか使えない技が…………」
「ああ……とは言え噂程度、ここは現実を見てどれかに進化させるのが妥当だろう」
「なら、サンダースに」
「なら、ブースターに」
「なら、シャワーズに」
アローラ地方にはイーブイZがある。
それさえ手に入れることが出来ればさっきみたいな情けない姿にならない。
さっきの3本の勝負が情けない原因はイーブイが進化していないから。三つ子の兄はイーブイを進化させないタイチの主張を飲み込んだが俺が石で進化させ、進化後の力で圧倒した。やはりイーブイも進化させなければならない!そういう風に認識させた。
「イーブイには様々な可能性が秘められてる……頑張れよ」
俺はそう言い残し、その場を去っていく。
顔には出してはいけないのだが、どうしても頬が緩んでしまう。
確かにアローラ地方にはイーブイ専用のZワザ、ナインエボルブーストが使えるイーブイZがある。
ナインエボルブーストは全ての能力を二段階上昇させる中々の壊れ技だ。だが、それを使うイーブイが貧弱過ぎる。二段階上昇してやっとまともに戦えるだ。
ナインエボルブーストを使った後にはバトンタッチで引き継ぐのがベスト。
そうなるとイーブイはナインエボルブーストからのバトンタッチ要員となりイーブイらしさは無し。
ノーマルタイプは選手層が厚い。
物理特殊補助と色々と居る上でイーブイを選びメガシンカ、テラスタル、ダイマックス、Zワザの内の1つを切ることになりZワザのナインエボルブーストを切る。
補助技も無理にイーブイで拘る必要無し……
「あの時、揺らいでいたなぁ……」
三つ子の兄や俺のサンダースならば、ブースターならば、シャワーズならば発言。
自分はイーブイがいいと決めたが、ぶつかってしまった現実的な問題点。イーブイをイーブイとしての運用は凄まじく難しく、やはりなにかに進化させないと厳しい。
イーブイはイーブイとして育てるんだ!と言う意思に反して突きつけられる厳しい現実……サンダース達の何れかに進化していたらと言う発言で揺れてそれでもイーブイと言う感情で動きたいが、その場合だと勝つものも勝てなくなる。
勝つことや負けることより楽しいか楽しくないかのポケモンバトルを優先だとしても負け続ければ嫌でも心に来る……どういう風に足掻き苦しむのか。最後まで見れねえのが残念だが、三つ子の兄がギスギスした空気になったのとタイチに心の何処かでイーブイじゃ限界があるという悩みの種を植え付けた。それが俺にとっていい方向に芽吹いてくれたら最高だね。