「あ!ハナミヤ!」
「こんなところでなにしてんだ?」
「ここに来たって事は、ポケモンリーグに出るんですよ」
カントー便の飛行機に乗ってやって来たのはポケモンリーグ・セキエイ大会が行われるセキエイ高原だ。
ポケモンリーグに出場登録をしようとする前に片付けておかなきゃいけないことがあるとロケット団を探した。
「おミャーさん、リーグに出るのニャ!?」
「ええ、まぁ」
「だったら優勝しなさいよ!!」
「その為に来ましたから……で、3人には通告が」
「通告?」
「……結構、給料前借りしましたよね?」
「「「…………」」」
「成果らしい成果も上げれてなくて給料とかロケットコンツェルン専用の金融からお金借りてますよね?成果を上げれば借金は帳消しですけど全くと言って成果を上げれていない……なので、前借りしていた分と金融機関から借りた分を返せと」
「返せって……そんな……」
「あたし達、素寒貧なのよ!」
「大丈夫ですよ。ロケットコンツェルンがポケモンリーグに顔を利かせやすくしていますので、このセキエイ大会に出店をしているんです。そこで働いて借金+活動資金とかを稼いでください」
「ニャー……まぁ、ロケットコンツェルンから借りた金返さんのはマズいにゃ……」
「ったく、折角ファイヤーの聖火を盗んでやろうって思ったのに……」
「ああ、上からの命令ですけどポケモンリーグで騒ぎは起こすなと……流石にポケモンリーグ出場トレーナー達を敵に回すと厄介ですから」
上からポケモンリーグで選手として出場する以外では目立ったことはするなと今まで溜め込んだ借金の催促の書類を渡す。
サカキ直々のサインとかが入っている……サカキのカリスマ性に当てられている3人にとっては逆らうに逆らえない物でロケットコンツェルンが出店している店の管理云々を。コイツラ、ロケット団とかよりもそういう出店の人間とかの方が才能あんだよ。そっちで食ってけよ。
「とにかく出ない以上は今まで溜め込んだ借金分働いてくださいよ」
「ピカチュウさえ奪えてたら、こんなことには……落ち込んでも仕方ないニャ。ハナミヤ、お前さんは優勝しろニャ!」
今までの借金を帳消しする為のロケットコンツェルンの出店を3人に任せる。
この3人ならばそっち系の仕事は上手く回せるのでコレで問題は無い……これから先、ポケモンリーグで騒ぎを起こされたら厄介だから借金返済の為に働けと正論をぶつける。
「参加登録、お願いします」
「はい……マサラタウンのハナミヤくんね!1年目でポケモンリーグなんて、期待してるわよ」
「はい」
セキエイ高原のセントラルのポケモンセンターで出場登録をする。
ポケモンリーグに出場する条件である8個のジムバッジ、身分証明証であるポケモン図鑑を提示し、機械で読み込む。
お情け要素無しでゲットした8個のジムバッジで、1年目でポケモンリーグに出れることはスゴいと受付の人に期待される。
挫折する奴等は既に挫折を思い知っている……ここはまだ通過点で上澄みでもなんでもない場所だ。
「コレが公式ガイドブックと選手村の鍵よ」
受付の人がポケモンリーグ・セキエイ大会の公式ガイドブックと選手村の鍵を渡してくれた。
選手村の鍵番号を確認し、何処に自分の部屋があるのかセキエイ大会の案内図を見る。観客用のホテルとは別に選手専用のホテルはある。出場関係者が泊まれるペンションタイプから1人部屋のタイプまであり、俺はホテルの高級1人部屋みたいなところだ。
ダブルサイズのベッドとパソコンとテレビと置いている物こそ豪華だが数的に言えば質素だ。
選手村だからこんなもんじゃねえのかと思えるもの……まぁ、変なものは特に無い。
「ルールは……」
ポケモンリーグ・セキエイ大会のルール
その1 1回戦から4回戦までは岩・水・氷・草のフィールドの何れかでバトルをする。
その2 5回戦からはメインスタジアムであるセキエイスタジアムでバトルを行う。
その3 5回戦までは使用ポケモン3体、準々決勝からは使用ポケモン6体のフルバトルを行う。
その4 メガシンカ、Zワザ、テラスタルは何れか試合中1つのみ1度だけ使用可能
その5 リージョンフォームを含めた同じポケモンの登録の重複は不可。試合中に進化前が進化して被った場合認められるが次の試合からは重複禁止
その6 ポケモンの交代は可能だが相手に合わせて連続でポケモンを入れ替えてはいけない
例
ライチュウが出てきたので最初に出したピジョットになにもさせずゴローニャに入れ替える。
特になにもせずにゴローニャからサンダースへの入れ替えは可能。サンダースから更に違うポケモンへなにもせずに入れ替えは不可。
技を1つ使用した後に交代は可能
その7 だいばくはつやみちづれでの引き分けは行った側の敗北として扱う
その8 使用するポケモンは事前に決めて登録しなければならない(出す順番は決めなくていい)
その9 どちらが先にポケモンを出すかはルーレットで決まる
その10 ルールを守って楽しくバトル!
「……まぁ、この世界じゃそれがあるか」
原作知識だとポケモンリーグ・セキエイ大会はポケモンを戻したらその時点で戦闘不能と扱われていた。
だが、ここじゃ戦闘不能じゃなくて普通に交代と判定される。そしてポケモンの連続の交代は2回までしかしちゃいけねえ。
3回目の交代は1回間にポケモンの技を挟まなきゃいけねえ……この世界じゃステルスロックとかじゃねえとポケモン入れ替えたら攻撃が自動的に当たるって判定は無い。ポケモン入れ替えまくってどくどくとかで状態異常にした相手の体力を奪うガチの害悪戦法が出来る。
「過去にポケモンリーグに出たことがある奴は他の地方リーグでの戦いの動画が残っていて見れるか……」
対戦相手の持っているポケモンについて知ることが出来る。
過去に今出ている地方リーグとは違う地方リーグに出たことがある奴はその地方リーグでのバトルの動画が残っていて見られる。
パソコンを起動して既に選手として出場登録をしているトレーナーのデータを見る。
カントー地方のポケモンリーグだからカントー地方で主に見られるポケモン達をトレーナー達は持っている。他の地方からセキエイ大会に挑みに来たから他の地方のポケモンを持っている奴も居る。
割合的に言えばカントー地方のポケモンが多い。
カントー地方以外のポケモンを持っているトレーナーはカントー地方以外のポケモンリーグに出ていたり、カントー地方以外の出身だったりする。カントーのポケモンは大抵の地方で見かけるからカントーのポケモンが多いのは必然的だ。
他の地方のポケモンを持っているトレーナーは少ない。
色違いとかオヤブン個体とかは居るが、流石に伝説のポケモンを持っている奴は居ないな……この世界は伝説のポケモンってだけでゲームバランスがおかしくなるからな。
「……パッとしねえな」
忘れがちかもしれねえが、ここはまだ下の世界だ。
サトシ達が頑張って出ようとしているポケモンリーグは地方リーグ、つまりは地方大会だ。その地方大会を勝ち抜けば全国大会であるチャンピオンリーグに出る事が出来る。
既にトレーナーとして名を上げている腕自慢な猛者が居るのかとデータを確認したが目立つ奴は居ない。
ポケモントレーナーは芸能人と同じで力を失わない限りは活動することが出来て引退すると発表しないと引退する事が出来ねえ。
四天王達は大抵はお兄さんお姉さんと呼ばれる年齢だ。中には婆さんが居るが大抵は青年な年齢であり上澄みも上澄みな連中だ。
チャンピオンリーグには出れるがそこから先が行き詰まってしまってる、そんな感じのトレーナーに関する噂は聞かねえ。大抵は上に行けるか諦めるかのどっちかだ。
まだまだ下の世界……ポケモンを貰って冒険をしてジムバッジを8個集めた。
トレーナーによってはバッジ数の差があるが、ここに来ているトレーナー達は地方リーグに出る為の条件を満たしていて、ある意味全員が同じスタートラインに立っている。ここからがやっとスタートか。
「目立つ奴は居ねえし、修行は散々アローラでやって最終調整も終えたから……」
地味にやることがねえな。変なことをしてコンディションを崩すのは嫌だ。もし仮にファイヤーの聖火ランナーに選ばれたら断る。
ファイヤーの聖火ランナーに選ばれるか選ばれないかのくじ引きみたいなのがあったが、選ばれる事は無かった。ここで選ばれて断ったらトレーナーとして不名誉な事だなんだでめんどくせえからこれでいい。
「ハナミヤじゃないか!」
「なんだ、今来たのか?」
「ああ。さっきセキエイ大会の出場登録を済ませた……そして僕は選ばれたんだ!」
「選ばれた?」
適当に時間を潰しているとシゲルが現れた。
シゲルもセキエイ大会の出場登録を済ませたみたいだが何処か普通よりも嬉しそうにしており選ばれたとか言い出した。
「ファイヤーの聖火をセキエイスタジアムに灯す役割にね!」
「ああ、アレか……俺はハズレたからあんま気にしなかったが、当たったんだな」
シゲルがファイヤーの聖火をセキエイスタジアムに灯す仕事に選ばれた。
俺としてはどうでもいいことだが、一般的にとんでもなく名誉なことなのでシゲルはご機嫌だ。
「しかし、君はマサラタウンに一番に帰ってきたのに僕たちと顔を合わせずに真っ先に修行に行くとは」
「マサラタウンは修行に向いてないんだよ」
自分の持っているポケモン全部と顔を合わせる事が出来るものの、マサラタウンのオーキド庭園は修行に向いてない。
あそこはポケモンが住みやすい環境なだけでポケモンが特訓とかそういうのは出来ない。なにかの拍子で他のトレーナーのポケモンに迷惑をかける可能性もある……なにより、出来るのが自主トレだけだ。
「似たような環境のアローラの方が修行に最適だった……そういや、お前は修行したのか?」
「勿論だとも……まぁ、何処かの誰かさんは強くなる!って思ってても具体的になにをどうしたらいいのかが分かってなかったりするみたいだけど」
その何処かの誰かさんはなにしてんだろうな?ポケモンを修行させる時間はしっかりと確保出来た。それなのに成長が見えない。
実戦で学ぶタイプは普通に居るけれども、あそこまで極端に偏ってるタイプも早々にお目にかかれねえわ。
『さぁ、皆様!ご覧ください!ファイヤーの聖火が今、灯されます!』
ロケット団は借金返済の為に動いているのでファイヤーの聖火を盗みに来るイベントは無い。
サトシ達はギリギリのセキエイ高原に辿り着いてセキエイ大会の出場登録を申し込んだ。その頃には聖火ランナーが既に決まっている。サトシは聖火ランナーをしたいと言ったらしいが偶然にも欠員が出るなんて事は起きない。
シゲルがファイヤーの聖火を持ってセキエイスタジアムの階段を駆け上がる。
1歩また1歩と駆け上がり、ファイヤーの聖火をセキエイスタジアムに灯した。メラメラとファイヤーの聖火は燃えていて……ファイヤーの形へと切り替わる。
「あ?」
原作だとロケット団がファイヤーの聖火を盗もうとしてファイヤーの聖火が反応してロケット団を燃やすイベントがあった。
だが、ここじゃロケット団は借金返済の為に働いているからそのイベントが起きねえ……そう思っているとファイヤーの聖火が俺達に炎を浴びせた。
「……疲れが取れた?」
炎を浴びせたが熱さは感じない。それどころか疲れがとれた。
他の選手達もこのセキエイ大会に向けて過酷な特訓をしている。自覚しているかは分からないが疲労が蓄積していてベストなコンディションと言えるかどうか怪しい。中にはサトシみたいな初出場でガチガチの奴も居るからな。
ファイヤーはそいつらを気遣って炎を浴びせて緊張を解したり疲れを取ったりした。
過去にこんな事は無かったのでタマランゼ会長が今回のセキエイ大会はファイヤーの聖火が期待していると笑みを浮かべて満足そうにした。
「マサラタウンのハナミヤくんね……まぁ!」
「どうしました?」
開会式を終えた翌日からポケモンリーグ・セキエイ大会が開幕した。
早速、俺も対戦相手や対戦するフィールドについて聞きに行けば受付の人が驚いた。
「貴方の1回戦の対戦相手は……」
「僕だよ。ハナミヤ」
俺の1回戦の対戦相手について言おうとすればシゲルが遮った。
1回戦の対戦相手はシゲル……同い年で同じ町出身のトレーナーがいきなり1回戦で当たる……フハッ、シゲルと早速バトルすることになるなんて最高じゃねえか。