「順調に勝ち進んでいるようじゃの」
「……」
「どうした?」
「いえ、なんでもないです」
3回戦を勝ち進み、全員が4回戦が!と言った頃合いにオーキド博士がやって来た。
アローラ地方でオーキド博士(アローラの姿)ことオーキド校長とは何度も顔を合わせております、更にはポケモンの転送等でオーキド博士と顔を合わせている。実際に会うのは一ヶ月以上久しぶりだが、オーキド校長とかのせいもあってか数日ぶりに顔を合わせるぐらいの感覚だ。
オーキド校長とオーキド校長似すぎだろう、と思ったがそれを言い出せばジュンサー一族とジョーイ一族が似すぎている。
双子以上に瓜二つな関係性ってどうなってんだよ。
「オーキド博士……シゲルはどうでしたか?」
「お前さんに負けたのがかなりのショックで修行をしにナナシマに向かいおった」
シゲルは逃げるようにセキエイ大会の会場から出て行った。
周りからの視線に耐えられなくて哀れでザマーミロと思っていたがあの後に何をしたのかを知らない。
本来ならば4回戦でシゲルは負けていい薬になっただろうと言っていた。そのシゲルは1から鍛え直している。
俺に敗れると言う挫折を味わった……そこから這い上がってくるシゲルの奴は強えだろうが、それすらも倒してしまえばシゲルの心がプチッと折れる。最高だ。
「お前さんが順調どころか快調に勝ち進むとは、サトシといい今大会は荒れるの」
「俺達をなんだと思ってんすか」
孫のシゲルを心の何処かで贔屓していた。それと同じぐらいにサトシを贔屓していた。
その孫のシゲルはあっさりと負けて残ったのは俺とサトシ。サトシは今から草のフィールドでバトルをする……俺?俺は既に勝利して5回戦に駒を進めている。
「しかし……応援に来ないとは少し驚きじゃったの」
「ああ、母さんはチャンピオンリーグに応援に来るつもりなんですよ」
サトシのママさんことハナコさんはサトシの応援にオーキド博士と一緒に来ている。
オーキド博士はうちの親にもセキエイ大会に応援に行かないのかを誘ったら来なかった。デイトレーダーとして忙しいからとかじゃなくて、俺がこの程度の大会ならば優勝するだろうと思っているのでチャンピオンリーグに応援に行ける様に予定を立てている。
息子が優勝して当然とか無駄にハードルを上げやがって、こっちの身にもなれっての。
だがまぁ、オーキド博士と和気藹々とした空気を醸し出されるのは厄介だからこれはこれでありだ。
オーキド博士とハナコさんにサトシの試合を観に行かないか?と誘われたが断った。
サトシの試合を見るのが嫌なんじゃなくて結果が分かってしまっているから。フシギダネでスピアーやストライクを倒し、マダツボミに負ける。そしてベトベトンで逆転をする。
自分が扱った事が無いポケモンでここまでの成果を上げれる。
ポテンシャルは決して低くはないのがサトシだなと感じる。
「なんだ、まだ残っていたのか」
「ああ、コイツは驚いたな」
4回戦を全て終えて16人のトレーナーに絞られた。
後4回試合に勝利すれば俺の優勝だが、クロスと鉢合わせする。クロスはまだ俺が残っていたことを嫌味ったらしく言うので俺も驚いたと言い返す。
「島を任せられているしまキングからZリングを貰えなかった奴がここまで来るとは」
「ッ!!」
しまキングから試練を与えられてそれを乗り越えることが出来なかった。
グズマ達と腹を割って話し合う。はみ出し者ははみ出し者同士で話し合えばなにか新しい事がとハラさんは期待するがダメになった奴をしまキングみたいな人格者が見捨てた時点でもうおしまいなんだよ。
はみ出し者や社会のゴミは潰す時は徹底しないといけねえからな。
Zパワーリングを貰えなかったことについて指摘すればクロスは俺の腕にあるZパワーリングを見て強く睨みつける。
「俺はこの大会で優勝する……そうすればカプ・コケコ達もしまキング達も認めるはずだ」
「フハッ。まぁ、精々足掻いてくれよ」
力を誇示する事を重視している。
人間性の方に問題があるからクロスはZパワーリングを貰えないのに、自分の何処が悪いのかを全くと言って理解してねえ。
自分は悪くない、悪いのは認めようとしない周り。ポケモンリーグ・セキエイ大会で優勝すれば周りも見る目を変えてZパワーリングやZクリスタルをくれると思っている。
「よぉ、無事に勝てたみたいじゃねえか」
「ハナミヤ、お前も勝ったんだな」
「ああ……それにしても情けないっつーか、みっともない試合だったな」
「なんだと!?」
「草のフィールドでくさタイプやむしタイプは出てくる……相性がスゲえいいリザードンが居るのに出し惜しみしてどうすんだよ?」
「うっ……」
「まぁ、確かに。さっきの試合、リザードンが居てくれたらもっと楽に勝てていたよな」
「言うことを聞いたら、の話だけどね」
ポケモン達を回復させているサトシ御一行と顔を合わせる。
さっきの試合を情けないと煽り、リザードンが居たらもっと楽に勝ち進むことが出来たと言えばサトシは反論出来なかった。
タケシがリザードンが居ればと今までの試合を振り返る。
特に4回戦はリザードンと相性がいいポケモン達ばかりでリザードン1体で無双する事が出来ていたかもしれねえ。リザードンが居れば試合を有利に動かせたことを否定できない。ただし言うことを聞けばと言う限定的な言葉をカスミは残してだ。
「お前のポケモン達も追い詰められる様になった……だったらリザードンは使わなきゃいけねえだろ」
「そういうお前はどうなんだよ?まだオーキド博士から貰ったポケモンを使ってないじゃないか」
「フハッ、相性とか色々とあんだ。テメエはそれ以前にリザードンを……出てこい」
「グォウ!!」
「リ、リザードン!?」
「俺もリザードンは持ってんだよ」
流石にそろそろリザードンを使いこなせないと危ない頃だと言えば話題を逸らすサトシ。
そういう風に話題を変えてくるのは読めていた。4回戦で出場登録はしていたが、使う機会が無かったリザードンを出せば驚いた。
「じゃあ、オーキド博士に最初に貰ったポケモンって」
「残念だがコイツは野生のヒトカゲをリザードンに進化させた……お前と同じだ」
オーキド博士から最初に貰ったポケモンがヒトカゲなのかと考察するサトシ。
俺は野生個体のヒトカゲをリザードンに進化させた事を伝え……サトシと同じだとハッキリと言った。
「……出てこい、リザードン!」
「グォウ!……ギィ」
リザードンを見せればサトシは自分のリザードンを出した。
声を出した後にサトシを特に気にしない素振りを見せていれば気付いた。俺が育てた俺のリザードンに。
同じリザードンで見るからに強い。サトシのリザードンはコイツと戦えるぞと笑みを浮かび上げたのだが、俺のリザードンは別の方向を見ており俺がなにも言っていないのに勝手に飛んだ。
「グォウ!」
「お前は……」
「よぉ。さっきは見せそびれちまったな」
リザードンが飛んだ先に居たのはクロスだった。
自分のことを覚えているか?とクロスのもとに俺のリザードンは訪ねに行った。
「ふん、進化したからなんだ」
「グゥ……」
「まぁ、テメエが使えないと切り捨てた奴が報復に来るから待ってな」
ヒトカゲからリザードンに進化したのを見たがだからどうしたと突っぱねる。
俺はクロスに対してリザードンで報復をする事が出来るから楽しみだ。
「知り合いなの?」
「このリザードンがヒトカゲだった頃のトレーナーだ……コイツは使えないとあいつに判断されて捨てられたんだ」
「グォウ?」
「ハナミヤのリザードンも……似た者同士なんだな」
「……グゥ……」
似たような道を辿っているのに進化をして言うことを聞かなくなったサトシのリザードン。サトシのリザードンがバトルをしたいと闘志に満ちあふれていた俺のリザードンはしっかりと俺の言うことを聞いている。
そして知った。俺のリザードンとサトシのリザードンが同じ境遇のポケモンだったことを……だからこそ、サトシのリザードンは思うところがある。
「戻れ……とにかく次からはリザードンの力が必要になる。使えないから使わないんじゃ手持ちに置いている意味がねえ。さっさと使えるリザードンにしろよ」
俺はリザードンをサトシのリザードンの前であえて見せびらかした。
サトシのリザードンは自分と同じ境遇でありながらもそれでも前に進んでいる俺のリザードンについて少しどころかかなり思うところがあるみたいだ。
翌日は休み。
選手達は大会での疲れを癒してくださいと各々が休息を取るように。一応はロケット団が余計な事をしていないか確認をしたが余計な事はしていない。それでもサトシは2Pカラーことヒロシと仲良くする機会が生まれた。
「5回戦はお前か……ちょうどいい」
「フハッ、よりによってここでかよ」
5回戦からは次の対戦相手が分かりやすいトーナメント形式のバトルだ。
俺はA−3、クロスはA−4と5回戦でぶつかることになった。そしてサトシはA−2,2PカラーことヒロシはA−1……ポケモンリーグを経由して出来た友達同士での対決が決まった。
「お前の対戦相手、中々にやる奴だから気をつけろよ」
「ああ。ヒロシとは友達だけど勝負は別だ!」
「ピッ!」
まだやっておくかとヒロシが強敵だとアドバイスを入れれば友人とかは関係無いと張り切る。
ロケット団が余計な事をしないでバトルをする……
『さぁ、ポケモンリーグ・セキエイ大会もいよいよ後半戦!5回戦からはここセキエイスタジアムでバトルが行われます!』
「サトシ、出来れば君とは準々決勝以降に当たりたかったけど残念だよ!」
「オレもお前と決勝でバトルしたかった……でも、こうなった以上はお互いに悔いが無いようにバトルしようぜ!」
「ああ!」
次に俺が試合があるが気になるので観客席で観戦をする。
1人でゆっくりと集中をしたいからオーキド博士達とは絡まない……下手に絡んで解説や実況なんざしてたまるか。
「これより5回戦を行います!使用ポケモン3体のシングルバトル!交代はありでメガシンカ、Zワザ、テラスタルは何れか1つは使用可能!」
「先行は僕からか。いけ、パピー!」
「フリィ!」
先攻後攻を決めるルーレットが動き止まった。
先にポケモンを出すのはヒロシでヒロシが出したのはバタフリーだった……アキラのバタフリーよりは育成されているという印象がある。
「バタフリーはむしタイプ……リザードン、君に決めた!!」
「グォオオオオウ!」
「っ!」
バタフリーを持っていたことがあるからバタフリーについては知っている。
むしタイプのポケモンに相性がいいのはリザードンだからとリザードンを選出する。サトシは今までの試合でリザードンを出していなくて、リザードンを見たヒロシは感じた。明らかにレベルが違うと。
「グゥ……フゥ、ハッ」
『お、おおっと?サトシ選手のリザードン、登場したかと思えば急に寝転んだぞ!これはいったい』
「リザードン、頼む!言うことを聞いてくれよ!!ヒロシに勝てばハナミヤとバトルが出来るんだ!」
案の定というべきかリザードンは言うことを聞かない。
バタフリーを見てコイツは簡単に倒せる相手で燃える要素は何処にも無いのだと判断したの寝転んだぞ。こうなることをサトシは分かっていたがそれでもリザードンを出した。ここから先はリザードンの力が必要になると分かっているから。
それにしても情けねえにも程があるな。
対話をするだけで言うことを聞くなんて、んなわけねえだろう。ネブヤの野郎が本来はアイリスがゲットする暴れん坊のカイリューをゲットしてぶっ倒して屈服させてトレーナーとして認めさせていたぞ。
「グォウ?」
「ホントだ!コレに勝てばハナミヤと戦えるんだ!」
俺と戦える事を言えば無関心だったリザードンが反応した。
ホントか?とサトシに聞くのでホントだと答えればリザードンは重たい腰を上げた。
「リザードン……よし!」
「どうやらトラブルを解決したみたいだね……確かにそのリザードンは強い。でも、僕のポケモンだって負けてない!パピー、サイケこうせん!」
「リザードン、かえんほうしゃだ!」
「フリャァ!」
「ゴォオオウ!!」
ヒロシは律儀にサトシのリザードンが言うことを聞くのを待っていてくれた。
俺をダシにしてサトシはリザードンにやる気を出させた……意外だな……なんて言うわけねえだろう。んな都合の良い展開なんてあってたまるかよ。サトシの前で自分と同じ境遇を持っている同じリザードンをわざと見せた。サトシに対してこれからの戦いではリザードンの力が必要になると煽った。
そうすりゃ少しでもやる気は出す。
サトシがリザードンの言う事を聞かせるようなアドバイス?フハッ、んなもんしねえよ。リザードンは今、ヒロシのバタフリーが放ったサイケこうせんを軽々とかえんほうしゃで押し切る。明らかにレベルが違うぞと見せつけておりヒロシは危機感を感じている。
「ヒロシ選手のピカチュウ、戦闘不能!リザードンの勝ち!よって勝者、サトシ選手!」
『決まったぁあああ!サトシ選手、ここまで温存していたのかリザードンの圧倒的な強さでヒロシ選手のポケモン3体を倒した!強い!強いぞ!』
「グォオオオウ!」
リザードンは勝ってやったぞと空に向かってかえんほうしゃを放つ。
サトシは勝ったぜ!と喜んでいるがサトシとリザードンの心は通い合っていない。サトシの指示を聞いている様に見えてリザードンは好き勝手に動いていただけだ。
「まぁ、来てくれねえと面白くはねえわな」
ここで情けない姿を見せてくれるのを少しだけ期待していたが、一応は威張るだけの強さをリザードンは持っている。
情けない姿を見せてくれたらそれはそれで美味しかったが俺のリザードンと戦う舞台にまで来たくれねえと面白くはない。
「さて……いくか」
サトシのバトルが終わったのでバトルフィールドの整備に入る。
フィールドが整備されれば次は俺の番だ……クロスもやっておかなきゃ気が済まねえ。