「おい」
「なんだ?」
「なんでZパワーリングを装備していない?」
「フハッ、意味がわからねえのか?」
バトルフィールドの整備が終わりフィールドに立った。
俺とクロスが向き合うが、クロスが俺がZパワーリングを装備していない事に気付く。
「しまキングから認められずZリングを貰えなかったお前ごときにはZワザなんて不要なんだよ」
このセキエイ大会が始まって要所要所でZワザを使っている
今までの4試合で使っているのでこの試合でも使われる物だろうと思われていたが俺はZパワーリングを装備していない。
俺がここまで勝ち進むことが出来たのはZワザのおかげ?んなわけねえだろう。
別にZワザなんて使わなくてもクロス程度のトレーナーだったら倒すことは出来るんだよ。
「これより5回戦を行います!使用ポケモン3体のシングルバトル!メガシンカ、Zワザ、テラスタルは何れか1つのみ!」
『さぁ、バトルフィールドの整備を終えて始まるは5回戦第2試合!お互いここまで圧倒的な強さで勝ち上がってきた選手同士のバトル!果たして、どちらに軍配が上がるのか!』
土のバトルフィールドの前で向かい合う俺とクロス。
サトシ達は応援をしてくれているだろうが、どうでもいい。誰が応援とかそういうのは気にしていない。キヨシ達も今ごろは似た状況で戦ってんだろう。
どちらが先にポケモンを出すか、またかよと俺は緑コーナーだった。
ルーレットは回転する。クロスは……ルーレットを気にしていない。先になろうが後になろうが出すポケモンは決まっている。使用ポケモンは既に登録しているから相手がなにを出そうが変わらない。
4回戦までは強いがなにかが足りていない、そんなトレーナー達とバトルをしていた。
だがこの5回戦からは話が違う……ここで勝利して次に戦うサトシはともかく、他の奴等は全員優秀なトレーナーだ。
「いけ、ジバコイル!」
「ジババ!」
どちらが先にポケモンを出すのか決めるルーレットで緑が止まった。
緑コーナーの俺が先にポケモンを出す。俺が先ならばお前だとジバコイルを出した。
クロスはジバコイルを見ても動揺はしない。
ジバコイルを知っているというのもあるだろうがなにを出しても同じだと思っている。
「いけ、マッスグマ!」
「グマ!!」
俺のジバコイルに対して出したのはマッスグマだった。
マッスグマはノーマルタイプのポケモン、はがねタイプであるジバコイルには通りが悪い……が、ノーマルタイプ特有の豊富な技を覚えれるがある。
「マッスグマ、はらだいこ!」
「っち……ジバコイル、でんじはだ!」
審判の試合開始の合図と共に動き出す。
先に動いたのはマッスグマ……クロスの奴ははらだいこを指示したのでここからなんのコンボに繋がるのかを見抜いた。
10まんボルトと攻撃を指示したいところだが、次に来る技が絶対にアレなのであえてでんじはにした。
「甘いな!そんなもので止まるほどマッスグマは遅くはない!しんそくだ!」
読み通りと言うべきかマッスグマにしんそくを指示した。
マッスグマは目にも止まらない圧倒的な速さで突撃しジバコイルに激突をした……
「そんな程度か?10まんボルト!」
「なに!?」
はらだいこ+しんそくのコンボで一撃で倒せると思っていたクロス。
マッスグマがはらだいこを使った時から既に色々とお見通しなんだよ。
「なんの為にでんじはを使ったと思ってる?失敗する可能性があるからげんきを使わせるんじゃなくて、確実性がより高いしんそくをお前に選ばせたんだよ」
「っ、お前っ」
はらだいこ+しんそくの無双コンボを決めようとしていたみたいだがマッスグマにはらだいこを指示した時点で読めてんだよ。
「マッスグマ、戦闘不能!ジバコイルの勝ち!」
「戻れ……使えない奴め……お前はミスをしたな。はらだいこを指示した時に10まんボルトで攻めなかった。今のしんそくでがんじょうの壁が剥がれてジバコイルは虫の息だ!いけ、ルガルガン!」
「ガァウ!」
『クロス選手の2体目のポケモンはルガルガン、これはまよなかのすがた!ハナミヤ選手、どう動くのか!』
「ルガルガン」
「ジバコイル、だいばくはつだ!」
「なっ!?」
ジバコイルが虫の息なのは既に分かっている……と言うよりはそれすらも分かっていた。
10まんボルトを1回浴びせただけでマッスグマは倒れてしまった。でんじはをわざわざ浴びせなくても良かったと言っているが、俺の狙いはそこじゃない。ジバコイルは虫の息で後1回攻撃すれば終わる、そう思わせてのだいばくはつだ。
ここでのだいばくはつはクロスにとって完全に想定外のことでありルガルガンがなにかをする前にだいばくはつに飲み込まれた。
ジバコイルとルガルガンは倒れている。それを見た審判は両旗を上げた。
「ルガルガン、ジバコイル、両者共に戦闘不能!……ハナミヤ選手、次のポケモンを」
「いけ、クワガノン」
「クワーン」
「いけ、ガオガエン!」
俺のだいばくはつで終わったので俺からポケモンを出す、と言ってもクロスは残り1体だから交代とかが出来ねえ。
俺の2体目はクワガノン。それを見たクロスは笑みを浮かべておりガオガエンを出した。
「クワガノン、10まんボルト!」
「ガオガエン、受けてやれ!」
クワガノンが10まんボルトを放つ。
10まんボルトをどうするかと思えばガオガエンは真っ向から受けた……クワガノンはアローラでゲットしたポケモンだがそれでも育成は怠った覚えはない。ジム巡りの冒険をした際のポケモン達と変わらないレベルにまで鍛え上げている。
特殊攻撃が自慢のクワガノンに10まんボルトを受けて……ガオガエンはケロッとしていた。
クロスはガオガエンを選びヒトカゲを捨てた。使い分けをする事が出来なかっただけだろうが、それでもガオガエンを選ぶ価値があった。
それだけガオガエンに自信がある……記憶の中にあるクロスのガオガエンはダメージを受ければそれをパワーに変換出来る。
パワーもそうだが耐久力にも自慢があると言わんばかりで……クロスは指示を出さない。
「どうした?クワガノンの10まんボルトで攻めてこないのか……まぁ、Zワザが使わないなら無理だろうな」
「……クワガノン、あまごい!」
こっちが攻撃をしてくる様に誘導をしてくるクロス。
Zワザを話題に出したが俺は気にしない。クロスの狙いは分かっているとあまごいを使い雨を降らせた。
「クワガノン、じゅうでんからの10まんボルト!」
「クゥーワァ!!」
『おおっと!でんきタイプの技の威力を上げるじゅうでんでパワーを上げての10まんボルト!……なんと!コレを受けてもピンピンしています!』
「ガオガエン、体はもう暖まったな?」
「ニャオウ」
クワガノンのじゅうでんからの10まんボルトを受けてもなお息切れ一つしないガオガエン。
クロスはそろそろ頃合いだと感じでガオガエンに確認をすればガオガエンは笑みを浮かべ真っ赤なオーラを纏い業炎を巻き起こした。
「ガオガエン、フレアドライブ!!」
『こ、これは!なんという凄まじい炎!もうかが発動したのか!?』
「もうか?違うな!俺のガオガエンはダメージを力に変える事が出来る!今まで受けた10まんボルトの分をパワーに変えたんだ!どうだ?この圧倒的な力は!?」
「んなもんに驚くわけねえだろ?クワガノン、でんじはだ」
「なっ!?」
通常よりも遥かに火力が高いフレアドライブで突撃をしクワガノンに激突した。
クロスはクワガノンを倒したのだと確信した……が、クワガノンは文字通り虫の息だったものの倒されていなかった。
「バカな!むしタイプのクワガノンに……っ!あまごいか!」
「フハッ、今頃に気付いたか?どうする?もう一度フレアドライブをして反動ダメージを受けるか?」
「っ!かえんほうしゃ!」
バカだな。ただでさえ雨が降っていてほのおタイプの技の威力は落ちている。
そのおかげで普通ならば倒されていたクワガノンがギリギリと生き残った。それを理解した上でのかえんほうしゃを指示した。
フレアドライブをもう1回使って反動ダメージを受けるのは厳しい、だからかえんほうしゃを選んだがこれで残りの技の枠は2つ。4つの技の内の2つをほのおタイプの技で内1つは自傷技だ。
「クワガノン、戦闘不能!ガオガエンの勝ち!」
「戻れ……最後に出てくるポケモン、それがなにか言うまでもねえよな?」
「ふん!強くなった姿を見せてやるか?笑わせるな!」
「笑わせねえよ。お前を情けない姿にしてやる。いけ、リザードン」
「グォオオオウ!!」
俺の3体目はリザードン、クロスは出てくることは予測していたので特に驚きはしない。
リザードンは高らかに吠えればクロスのガオガエンに気付く。クロスのガオガエンはメラメラと燃え盛るような赤色のオーラを纏っておりニヤリと笑みを浮かべている。
「リザードン、このフィールドでほのおタイプの技は不利だ。他で攻めるぞ」
ガオガエンはほのおタイプであまごいでほのおタイプの技の威力を落としている。
無理にかえんほうしゃ等のほのおタイプの技で攻めたとしても大したダメージにならない。
「ガオガエン、DDラリアット!」
「リザードン、飛べ!」
クロスもこの状況下でほのおタイプのリザードンにほのおタイプの技で攻めるのは無駄だと判断し3つ目の技を選んだ。
3つ目の技はDDラリアット……あまりにも捻りが無いし単調だから読みやすい。リザードンに出来てガオガエンに出来ない飛行能力を使いリザードンは空を飛んだ。
平面での動きはガオガエンはそれなりに素早いが立体的な動きはガオガエンは苦手としている。
スマブラでも上移動を苦手としているだけあってか、リザードンが空を飛べばDDラリアットをぶつける事が出来なかった。
「リザードン、りゅうのはどう!」
ここで変な事はしない。
りゅうのはどうをガオガエンにぶつければガオガエンの燃え盛る様なオーラが高まる……って、おい、待て。
「ッガァアアアアアア!!!」
「なんだコレは!?」
10まんボルトやりゅうのはどうに加えてフレアドライブでの自傷ダメージ。
ガオガエンには確かにダメージが蓄積されているのは分かっていた。だから特性のもうかが発動してもなにもおかしくはない。
今まではメラメラと燃え盛る様なオーラだったが今度は違う。ガオガエンのお腹のベルトを中心に体中から炎を放っている。
「ガオガエンのもうかが来たか!」
「コレがもうか……このパターンがあるのか」
サトシのゴウカザルが異常なもうかを持っている様にガオガエンも異常なもうかを持っている。
このもうかはまずい。メラメラと燃やしている炎の熱気がこっちにまで伝わってくる……が……
「ガオガエン、ニトロチャージだ!」
「グワアアアアア!!」
「どうしたガオガエン!ニトロチャージだ!」
ガオガエンがもうかのパワーに振り回されている。
通常よりも遥かに強いもうか……ガオガエンは受けたダメージをパワーに変える事が出来る特殊個体でその上で今までのダメージが通常のもうかよりも強いもうか。明らかにガオガエンが使いこなせるものじゃない。
ダメージをパワーに変える事が出来たとしてももうかが発動する事が今まで無かったか、いや、クロスの反応からして発動する事があった。だが今までで一番のパワーで、圧倒的な力にガオガエンのレベルが追いついていない。
溢れ出るパワーをコントロールが出来ておらずガオガエンは理性を失っておりクロスが選んだ4番目の技、ニトロチャージを使わずにかえんほうしゃをそこかしこに放ち……あめ状態が終わった。
「リザードン、アレはもうかの一種だ!一発で決めるぞ!ちきゅうなげだ!」
リザードンに向かってかえんほうしゃを放つのでなくそこかしこにばら撒いているガオガエン。
リザードンはかえんほうしゃを寸でのところで回避してガッチリとホールドし、急上昇。そこからサトシのリザードンと同じ流れでちきゅうなげを行い地面に叩きつけた。
「グゥアォウ……」
「っ……」
「フハッ!情けねえな!もうかっぽい力を持っていてその上で発動したもうかを全く使えない。そしてお前が使えないと切り捨てたリザードンのちきゅうなげにやられるなんてよ!」
「ガオガエン、戦闘不能!リザードンに勝ち!よって勝者、ハナミヤ選手!」
『ここで試合終了!圧倒的な火力を持ったガオガエンを前にリザードン、見事にちきゅうなげを叩き込んだ!強いぞ!リザードン!』
ガオガエンがリザードンに敗れた。Zワザを一切使わずに普通にバトルをし普通に勝利した。
クロスは負けたと言う事実を受け入れる事が出来ずに固まってしまっており俺はリザードンと一緒にクロスのもとに近付いた。
「よかったな。ポケモン達は悪くはない……お前というトレーナーがヘボだから、情けない醜態を晒した……お前が不要と切り捨てたヒトカゲは優秀だったぜ。お前がポケモンを見る目も辛抱強く耐えることも出来ない三流トレーナーのおかげでレアなリザードンがゲット出来た」
「グォウ!」
「っ……っ……」
最後の異常なもうかには驚いたが、リザードン相手じゃ大して役立たねえ。
クロスのポケモンが優秀でそれを扱うクロスが無能だと大観衆の前で曝け出す事に成功した。クロスの奴は今でも人を殺しそうな目で俺の事を睨んでいるがクロスの奴は敗北をした。
ここでは勝ったものが正しい、勝者こそが絶対の場所だ。
クロス自身が勝たなきゃ意味がないと自覚しているから尚更この敗北は重く……自尊心等がズタボロになっている。
周りもあのガオガエンは凄かったやマッスグマのはらだいこ+しんそくのコンボは優れていた等の意見は出ている。
だがそれらを全て俺は対処した。トレーナーとしての力の差がハッキリと浮き出た試合だった。
「……次はサトシか……徹底的にボコるか」
無事に5回戦を突破し準々決勝に駒を進めた。
次の対戦相手はサトシ……まだトレーナーとして未熟な点が多すぎるが、それでもここまで来たんだからシゲル同様に徹底的にボコボコにする。大観衆の前でトレーナーとして無能だと醜態を晒してやる。