アルピ交通事務局のアニポケネタ倉庫   作:アルピ交通事務局

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怪我は当たり前だ

 決勝戦の対戦相手が決まった。メガシンカを使ってくるトレーナーで、名前はジャック。

 Zワザのおかげで要所要所を上手くフォローすることが出来ていたが相手にはメガシンカがある。条件は五分五分になった。

 

 アローラでの修行の分のパワーアップがもう限界が見えてきた。

 ポケモンリーグの決勝戦と言えば大分上澄みで1年目でここまで来れたのは物凄い快挙に当たっている。

 

「ハナミヤ、あんた来るところまで来たわね」

 

「なに言ってるんですか。やる以上は優勝しないと」

 

「ここまで来たからには優勝しろよ……じゃないとサカキ様の機嫌が直らない」

 

「どういうことです?」

 

「実は、サカキ様の息子がジョウトリーグで負けたんだニャ……ケンタとか言うトレーナーに。サカキ様が息子の為にと用意したニドラン♂が進化したニドキングが負けて機嫌が悪いのニャ」

 

 ロケット団が余計な事をしていないかの確認ついでにロケット団に会いに行った。

 結局、騒ぎらしい騒ぎは特に起こしていない。それどころかロケットコンツェルンの出店の売り上げで確かな数字を出している。やっぱお前等、こっち系の商売で食ってけよ。根本的に悪党に向いてねえぞ。

 

 サカキの奴が機嫌が悪い理由を聞かされて成る程と納得した。

 ジョウトリーグに息子が出るから応援したいと思っている。忙しい合間でも時間をなんとか作って画面越しとは言え応援をしているが負けたとなったら機嫌が悪い。

 

「そのケンタって前髪ボーイをキヨシって奴が倒して決勝戦に勝ち進んでるし……あんたもしっかりしなさいよ」

 

「ええ、ここまで来た以上は勝ちますよ……因みに借金は返済出来ましたか?」

 

「勿論ニャ!これから自社ビルを建てたりして色々とガッポガッポと儲ける予定ニャ!」

 

 明らかに失敗する事業展開をしようとすんじゃねえよ。

 的屋と同じで祭りが無い場所じゃ活躍は出来ない。今はポケモンリーグが開催されているから売り上げがいいだけでポケモンリーグが終われば素寒貧だぞ。

 

 このまま行けば破滅しそうな未来が待ち構えているが止めない。

 適度に借金を持たせる事で借金を返済させる事にロケット団の行動を制限させる。じゃなきゃ毎回毎回ロケット団のトラブルに巻き込まれちまう。それは普通にごめんだ。

 

「決勝戦にまで勝ち進んだの……シゲルかサトシかと思われていたがお前さんか。ここで優勝してパレードじゃよ」

 

「ハードルを上げないでください……それよりも、オーキド博士。サトシは?」

 

「それが引きこもっておっての……お前さんに負けたのが大分堪えた様じゃ」

 

 選手村から出て行っていないサトシ達。

 俺に会いに来るかと思ったがそんな事は特に無く、最後の戦いに出す6体のポケモンを登録したのでオーキド博士にサトシについて聞いた。

 戦術とか作戦とかじゃなくて純粋に真っ向からサトシに対してぶつかってやった。その結果が1体もポケモンを倒せないという情けない結果だった。

 

「まぁ、ワシはコレで良かったと思っておる」

 

「敗北したのにですか?」

 

「あまり大きな声では言わんが、サトシは恵まれた環境で胡座をかいておる。幸運にも恵まれていて、タケシやカスミくんがお情けのジムバッジと言っておる。ちゃんとした自分の実力でサトシは勝ち進まずに来てしまったんじゃ」

 

 負けたことに関しては応援していたから悔しいよりもこれでいいとオーキド博士は判断する。

 俺が定期的にサトシの前で暴言を吐いていたりすることに関しては特には言ってこず、逆にサトシに対して厳しい評価をする。

 

「ポケモンの個性、特徴を捉えておらん。勘と勢いに乗れば強いがそれだけでポケモンリーグは勝ち抜けん。2ヶ月という貴重な修行の時間があったのにサトシは何をどうすればいいのかがわからない状態じゃった。本来ではありえないことじゃ」

 

「ありえないですか」

 

「うむ。何をどうすればいいのか、自分のポケモンを友達と言っている。それは立派な事で絆では繋がれておる。そこに関しては満点以上じゃがポケモントレーナーとして欠けている物が多い。本来は旅をしていく上で自然と身に着けていくものじゃが運がいいのか悪いのか、サトシは身に着けずにここまで来てしまった。そしてハナミヤとぶつかり、サトシが本来身に着けなければならないものを身に着けたハナミヤに負けた」

 

 オーキド博士は結構厳しいな……とは言え初期のサトシだから仕方ねえとしか言えねえ。

 そもそもでサトシは永遠の10歳みたいにカウントしていて色々と大人の事情が絡んでしまっているから成長出来ない……永遠の10歳は大変だな。もっともこの世界は時計の針が進んでいる。時計の針が進んでいるのならばサトシは二流のトレーナーだ。

 

「今はまだ落ち込んでおるが、ここはそういう場所じゃ……最後にお前さんが笑うのを期待しておるぞ」

 

 ポケモンリーグは1回でも負けたらその時点で終わりの大会だ。

 最後に笑えるのはたった1人だけ。他は負けてしまって涙を流したりする。1番を決めるトーナメント形式の大会だから当然と言えば当然だ。

 

 だからサトシは立ち上がれなければそこまでだ。

 意外とオーキド博士は切り捨てる姿勢なのは驚きだが……多分、サトシやシゲルならば立ち直ることが出来るだろうと信頼をしている。2人に対して依怙贔屓をしているから大丈夫と思っている……そこから色々と立ち直ってくれるならば俺はボコボコにしたいね。

 

 カントー地方のサトシは無能だと証明するのにちょうどいいカモだ。

 だが、サトシはここから少しだけ成長をし頼りになるリザードンはリザフィックバレーで修行をする。

 

 リザフィックバレーで修行をしたら何処までパワーアップするのかが気になる。

 今の俺のリザードンがリザフィックバレーのリザードンとバトルをして勝つことが出来るのならばわざわざリザフィックバレーにリザードンを預ける必要性は無い。

 

 リザードンが群れで生息しているからもしかしたらリザードナイトがあるかもしれない。

 別にXだろうがYだろうがどちらでもいい。メガシンカをすることが出来ればそれでいい。ダイマックスはキョダイマックスにしねえとリザードンは微妙だからな。

 

 ポケモンの登録を終えて頭の中でイメージトレーニングをする。

 相手がメガシンカを使ってくる。メガシンカポケモンを1体持っているってのは逆にありがたいかもしれねえ。メガシンカの枠を使うし、そのポケモンと役割が被っているポケモンを入れづらい。

 

「ハナミヤくん、電話が入ってるわ」

 

「電話?……母さんか?」

 

 今、なにをどういう風に動かすのかのイメージトレーニングをしていて忙しいのに電話がかかって来た。

 こんな時に誰だよと、母さんからか?と思いテレビ電話に出てみれば……キヨシとミブチとハヤマとネブヤが居た。

 

「んだ、テメエらか。こっちが忙しいってのに邪魔しに来たのか?」

 

『忙しいって……まだ決勝戦終わってないの?』

 

「今からだ……つか、これ見よがしに見せんじゃねえ!嫌がらせか!」

 

 キヨシが、ミブチが、ハヤマが、ネブヤがモンスターボールっぽいのがあるトロフィーを手にしていた。

 そのトロフィーを手にすることが出来るのは勝ったトレーナーだけ……キヨシ達4人は地方リーグを優勝した。

 

『いや〜決勝戦はヤバかった。相手、地方リーグ優勝経験があるやつでさ。Zワザが無かったら普通に負けてたよ』

 

『アタシはまぁまぁね……メガシンカをしてくるトレーナーもいなかったし、Zワザを使ったのも決勝戦の1回だけだし』

 

『使わないZワザになんの価値があるんだよ?……オレは使ってZワザがあるって相手を警戒させたからな』

 

『Zワザは要所要所で役立つから便利だな』

 

「で、なんだ?応援してますってメッセージなら切るぞ?」

 

 チャンピオンリーグで会おうって言う感じでも切る。

 同じ転生者で色々と話し合いをする事が出来る相手だが、仲良し小好しの関係性じゃねえ。

 

 次の試合に勝てばその瞬間からキヨシ達は敵になる。ライバルじゃない、敵だ。

 サトシ達はライバルや対戦相手と言っているが俺はハッキリと敵だと言い切ってやるよ。

 

『ハナミヤ……わざとあんな試合をしたんだろ?』

 

「ああ……言っとくが俺は普通に勝っただけだぜ?」

 

 サトシとの試合をキヨシは見ていた。

 わざと真っ向からの勝負をして真っ向から負かしてサトシを雑魚だと思わせるように印象操作をした。そういう風に見られているが実際のところは俺は特別ななにかをしなくても普通に戦えて強いんだよ。

 

『負けたのはあいつがトレーニングを怠ってたからだろ?同情してどうすんだよ?』

 

『そうじゃなくて……普通にバトルをするんだな』

 

「あ?」

 

『いや、こう、ラフプレーとかをするんじゃないかと思ってたけど入念に色々と準備してたりでさ……意外だなって』

 

「……ラフプレーか……」

 

『っちょ、キヨシ。ハナミヤにそういうの言っちゃダメだって』

 

『なんでだ?』

 

『明らかに悪いことを閃いたって顔をしてるわよ!?』

 

 俺がラフプレーみたいなプレーをしていないことについてキヨシは指摘する。

 今まではサトシを煽ったりシゲルを煽ったりしてハードルを上げたり周りから期待して損したと思わせるように動いている。だが、ラフプレーについては考えていない……スタジアムは360度どの方向からも見ることが出来る。テレビ中継も挟んだりするし、ラフプレーをすれば記録に残る。

 

 だが……決勝戦にまで勝ち進んだからにはそういうダーティな一面も見せたい。

 悪童の異名を欲しいと思っていて、その結果を残すのに相応しい……1つだけある。相手がメガシンカを使ってくるあのポケモンならば、今までの戦術パターンからして確実に使ってくる。

 

 それを応用しての胸糞悪い形での試合を終える。

 ポケモンバトルなんだから怪我をするのは当然だ。それを大観衆の前で曝け出す……フハッ、悪くねえな。

 

「悪いが俺は今からなんだよ。とっとと優勝させてもらうからお前等と話してる暇はねえ」

 

 面白い事を思いついた。

 俺の思考が加速する。ポケモンバトルを用いてどういう風にラフプレーをすればいいのか、相手に見えないじゃなくて見えても構わない。偶然を装っての怪我を負わせる……相手が使うメガシンカポケモンの一撃ならば可能だ。

 

 ※

 

「……負けたな」

 

「ピィ……」

 

 ハナミヤがロクでもない事を考えている一方その頃の事だ。

 選手村のペンションに引きこもっているサトシは敗北をしてから数日経過していると言うのにまだ負けた事を引きずっている。

 

 ピカチュウも負けたことに関して引きずっている。

 

「ハナミヤの奴、サトシ相手に手加減してただなんて……最低ね」

 

「だが、それでもサトシに勝ったんだ……俺達が思っているよりもハナミヤとの間にあった力の差があった」

 

 ハナミヤが暴言を吐いたことについてタケシとカスミは聞かされている。

 暴言を吐いたハナミヤをカスミは軽蔑するが、タケシはそれでもサトシにハナミヤは勝った。自分達が想像しているよりもサトシとハナミヤの間に大きな力の差が生まれていた。

 

「でも、同じ日にポケモンを貰ったのにここまで差が開くものなの?」

 

「それは……多分、俺達に問題がある」

 

「え?」

 

 ハナミヤとサトシは同じ日にポケモンをもらって別々の道を通った。

 その結果がハナミヤに大差をつけられた。嫌味を言っているが純粋に強いハナミヤで、なにか仕組みがあるのかと思っていたら問題があるとタケシは言った。

 

「俺もお前もジムバッジを負けたから渡したんじゃない。負けたと思ったから渡したんだ」

 

「お情けのバッジ……」

 

「負けたと思ったから渡した。サトシは純粋な実力で8個のジムバッジを手に入れたわけじゃない……」

 

「でも、サトシだって強くは」

 

「なろう!って思っていても、具体的な目標が見えてないだろ?」

 

 お情けでジムバッジを渡したがその頃よりは強くはなっているし強くなろうとは思っている。

 それはタケシも分かっていることだが、具体的にはなにをどうしたいという目標が見えていなかった。

 

「ハナミヤはZワザを手に入れようとアローラに向かった。サトシもポケモンリーグに向けて特訓と言っていたがなにかがあって特訓は明日にで……この大会で活躍をしたキングラーやベトベトンは全くと言って育てていない。ケンタロスに至ってはバトルにすら出していない。サトシにはサトシのやり方がある、でもそれだけが全てじゃないし正解でもないんだ」

 

 フシギダネやピカチュウの進化を拒む事を受け入れたサトシ。

 進化させることだけが全てじゃないのだと教えたいのだろうが、それに伴う修行はしていない。

 

「成功とも失敗とも言えない目に見える成果が出ていなかった。成果が出ていないから失敗じゃない、まだまだ時間があるし今までなんとか乗り切ってしまっている。だから失敗をしているという事に気付かずまだ成果が出ていないだけだと……足踏みをし続けていたんだ」

 

 サトシは勝ってきたのでなく勝ってしまった。

 色々と段階を踏んでいかないといけないところを色々と飛び級したり幸運に恵まれすぎてしまった。

 

 ポケモンリーグは外部からの干渉は無く今までの成果を発揮する場所だ。

 そこに行くまでに敗れ去るトレーナーも多く、出会った頃のサトシならばその例に漏れないトレーナーだ。

 

「サトシ、1年目で優勝するのは難しい。仮に出来たとしてもチャンピオンリーグ1回戦で敗退をする……そんなにポンポンと都合良く勝ち上がれるほどにポケモンリーグは甘くはない」

 

「……でも、ハナミヤは」

 

「あいつは天才だよ。お前と違ってな」

 

「っちょ、ちょっとタケシ!?」

 

 今まではポンポンと都合良く勝ち上がれたが、ここではそれが通じなかった。

 1年目でそれが出来るトレーナーは早々に居ない。そんなに甘くはないと言えばハナミヤが決勝戦にまで駒を進めていることを引き合いに出す。タケシはここでなんの迷いもなくハナミヤのことを天才だと認めた。サトシと違ってだ。

 

「悔しいがハナミヤは天才と呼ばれるタイプだ。その上で努力も知っている……だから、サトシはもっと頑張らないといけないんだ」

 

「…………天才に勝てるのかよ」

 

「なに言ってるんだ。ゼニガメもフシギダネもリザードンももとはトレーナーに使えないと捨てられたポケモンだろ?それでここまで勝ち進んできた。ハナミヤとの間に大きな才能の差はあるかもしれないが、それを埋める。強いポケモンだけ揃えるのがトレーナーじゃないなら、自分自身を鍛えてこそのトレーナーだろう?」

 

「!」

 

 今回の敗因は色々とあるが一番はなんといってもサトシ自身を鍛えることを怠っていたことだ。

 ハナミヤは口が悪いものの自己研鑽に関しては妥協しておらず、Zワザを手に入れる為にわざわざ修行に向いていないアローラに向かった。

 

 今までなんとかなった。なってしまった。

 

「敗北は決して悪いことじゃない……次だ次。そこから立ち上がって次の一歩を踏み出せるかだ!」

 

 だから壁にホントの意味でぶち当たるのはコレがはじめてだ。

 壁の大きさについては自覚していないが立ち上がりそこから更に前に進める事が出来るかどうかでタケシはその事を指摘すればサトシの死んでいた目に生気が宿る。

 

「そうだ……まだ終わっちゃいない。オレのポケモンマスターへの道はここからはじまったばかりだ!」

 

 ハナミヤにボコボコにされたサトシは立ち直った。

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