『さぁ、激闘が繰り広げられていたポケモンリーグ・セキエイ大会!3位決定戦は先ほど終わり、フィールドの整備が今終わりました!』
結局最後まで緑コーナーとして俺は来ちまったな。
3位決定戦が終わりフィールドの整備も終わった。バトルフィールドに向かい歩けば大観衆の前で歓声が鳴り響く。
まだ地方リーグだってのに観客席は連日連夜満員御礼、ポケモンバトルが一大産業なのが分かる。
『ポケモンを貰った1年目にしてここまで来たぞ!圧倒的な強さで快進撃を繰り広げているハナミヤ選手!久しぶりの1年目の優勝があるか!』
「どうも」
『対するジャック選手!彼はハナミヤ選手と真逆、追い詰められる事が多かったもののここまで勝ち上がってきた実力者!』
「相手が天才だからってオイラは負けないッスよ!」
実況者が俺とジャックを紹介する。
どちらも若いトレーナーでありポケモントレーナーの世界の未来は明るいなと思われている。
「これより、決勝戦を行います!使用ポケモンは6体のフルバトル!メガシンカ、Zワザ、テラスタルは何れか1つのみ!ポケモンの交代は可能で時間無制限!」
審判が何時もの様にルールを宣言した。
そして会場に備え付けられている巨大なモニターのルーレットが回転する。俺かジャックか、どちらが先にポケモンを出すか……ルーレットが止まった。俺から先にポケモンを出す。
「いけ、プテラ!」
「ギャォッス!」
「頼んだっす!ドードリオ!」
「ド!ド!ド!」
1体目はお前だとプテラを選出する。
プテラに対して相性のいいポケモンで来るかと思ったがドードリオでやってきた……同じひこうタイプのポケモン同士で挑んでいる。
一見そう見えるが大分違う。空を飛ぶことが出来ているプテラと地面にいるドードリオ。純粋な足の力ならばドードリオの方が上だろうがドードリオは空を飛べない。
「ドードリオ、そらをとぶ!」
「はぁ!?」
審判の試合開始の宣言と共にジャックが動いた。
まさかのそらをとぶ……この世界では空を飛んでいるのはデフォルトだ。だから、そらをとぶがどういう技かと聞かれれば文字通り空を飛んでからの激突するぐらいの技だろう。それはたいあたりとなにが違うのか?と聞きたい。ひこうタイプの判定だから謎だ
「驚いたっすか!ドードリオは空を飛べるんす!」
「っち……プテラ、ストーンエッジ!破片タイプだ!」
コイツは完全に予想外だがドードリオが使える技は限られているし、ドードリオに対して相性のいい技を多く覚えている。
岩の破片を飛ばすタイプのストーンエッジを使ったらジャックはニヤリと笑みを浮かべた。
「それを待ってたっす!ドードリオ、飛び移ってドリルくちばし!」
「っ!」
プテラは岩の破片を飛ばした。飛ばした破片をドードリオは飛び乗った。いや、踏み台にした。
アクションゲームとかでよくある乗った瞬間に崩壊する足場の様にストーンエッジの岩の破片は潰れておりドードリオはプテラの目の前まで辿り着き3つの頭から別々の方向へのドリルくちばしを使った
「っち……」
3つの頭から別々の方向へのドリルくちばし、こいつは厄介だ。
1つの方向から攻撃が来ないから避けるのが難しい……2回戦で戦った奴のドードーは弱かったが、しっかりと育てられているドードリオは強い。
「一時的なものか」
そらをとぶで空を飛んでいたドードリオが地面に降りた。
ジバコイルみたいにずっと浮いているわけでもなければ常時空を飛べるわけでもない。鳥人間コンテストの飛行機みたいに少し推進力なんかの運動エネルギーのおかげで一時的に空を飛んでいるのと同じ感じか。
「……プテラ、ステルスロック!」
こういう時にプテラにブレイブバードやもろはのずつきが無いのが痛い。
あったらあったでゲームバランスがおかしくなっているぶっ壊れ性能になっちまっているが……本来は覚えない技を覚えさせる事が可能かどうかロケットコンツェルンの研究資料を見たが結論から言えば無理なものは無理でホントに先天性のものらしい。
「ステルスロックっすか……今までは攻めてくるイメージっすけど、小技を使うんすね」
「フハッ、その程度か?」
プテラはステルスロックをばら撒いた。大きな隙が生まれたがドードリオは攻撃しなかった。いや、攻撃できなかった。
空にいるプテラに対する中距離以上の攻撃をドードリオは持っていない……トライアタックを覚えたはずだがプテラに対して有効打にならない。下手な技は選べないとトライアタックは選ばない。
今まではガンガンと攻めたバトルをしているイメージがあるが、それはそれだけで勝つことが出来たからだ。
ジャックの予想外のそらをとぶやドリルくちばしを味わって直ぐに理解した。コイツは俺の全部を出さないといけないと。このポケモンリーグ・セキエイ大会で優勝してもなにもおかしくない実力を持っている。
「プテラ、地面から生えるタイプのストーンエッジ!」
「無駄ッスよ!ドードリオの脚力をナメてもらったら困るッス!ドードリオ、岩をジャンプで飛び越えろ!」
「プテラ、急降下……やれ」
俺はパチンと指を鳴らした。
プテラはストーンエッジを地面から生やしていく。地面から生えているストーンエッジはドン!ドン!ドン!と前に進んでいくが既にドードリオは飛び越えている。じゃあ、なにが狙いかと言えば簡単だ。
「っちょ!?」
「プテラ、かみなりのキバだ!」
ジャックの目の前に巨大なストーンエッジの岩を出現させる。
ジャックに故意で当てることはルール上反則だが、これでジャックの視界は完全に遮った。ドードリオが飛び越えた先は分かるがプテラが急降下した。そして技を指示した。どんな風にプテラが動いているのか見えない。つまりは指示が出せない。
プテラは牙に雷を纏わせてドードリオに胴体に向かって噛み付いた。
それと同時にストーンエッジの岩が消え去った。
「ドードリオ!?」
「ドォ……」
「ドードリオ、戦闘不能!プテラの勝ち!」
岩が消え去ればガッツリとドードリオはプテラのかみなりのキバの餌食になっていた。
なにかを指示しないといけないと思ったがプテラが牙での攻撃をやめたと思えばドードリオは倒れた。
まずは1体目だとドードリオの戦闘不能が宣言された。
「戻れ……今度はコイツッス!いけ!ゴローニャ!」
「ゴロ……ゴッ!」
ドードリオが負けて悔しそうにして熱くなるかと思えば冷静なジャック。
2体目に出てきたのはゴローニャで撒いておいたステルスロックがぶつかるがゴローニャには大して通じない。
「ゴローニャ、じしんっす!」
「は?」
「ゴロ!!」
『ここで技ミスか!?ゴローニャ、ひこうタイプのプテラに対してじしんを使った!プテラには当然通じない』
「通じないんじゃない!通用しないと教えたっす!」
「っち……」
ひこうタイプのプテラに対してじしんは基本的には無意味だ。
じしんは強力な技だが当たらなければ意味が無い。それでもじしんを使った。
ストーンエッジ、ステルスロック、かみなりのキバの3つの技をプテラは既に使っている。ここでじしんを使えばダメージを与えれるがじしんに対してじしんで対抗出来ると先に見せてきた。
プテラがパワー自慢とはいえゴローニャ相手にストーンエッジは殆ど通じない。
かみなりのキバはでんきタイプなのでじめんタイプのゴローニャには効果は0……そうなると4つ目の技を絞らせる。
じしんを使って牽制をした……じしんで倒せないと教えた。
そうなると4つ目の技を指定させて使わせる狙いだろう。
「プテラ、アイアンヘッドだ!」
「ゴローニャ、受け止めるっす!」
「っち!か!」
「ばかぢから!」
4つ目の技をじしんにさせないと牽制された。
アレを見せられた以上はじしんは下手に使えないとアイアンヘッドで突撃すればゴローニャはアイアンヘッドを受けながらもガッツリと攻撃を受け止めた。アイアンヘッドは確かに入ったがゴローニャを倒すには至っていない。
がんじょう個体かどうかの確認をしたらゴローニャは動く。
ばかぢからでプテラに頭を掴み思いっきり地面に叩きつけた
「ギャォス……」
「プテラ、戦闘不能!ゴローニャの勝ち!」
「戻れ……」
じしんを使ってでのプテラへの牽制、ガッツリとアイアンヘッドを受け止める防御力。
思っていた以上にジャックはトレーナーとして強い……ったく、どうせなら1回戦からこれぐらいのレベルの相手とぶつかりたいってのに、決勝戦やっとかよ。
プテラをボールに戻した俺は軽く舌打ちをした。
上手く作戦通りにいかなかった苛立ちだが、勝負をしていたらこういうこともある。頭に血が上っても直ぐに冷静さは保つ。
「いけ、ドサイドン!」
「ドゥ!」
「同じタイプのポケモンっすか……ゴローニャ、ステルスロック!」
「ドサイドン、じしんだ!」
「じしんで相殺しろ!」
ゴローニャがステルスロックを使って来た。
じしんを当てる隙が生まれたと思ったがステルスロックから直ぐにじしんに移行した……ステルスロックからじしんまでの動きに無駄が無い。ステルスロックを使えば大きな攻撃のチャンスが生まれるから直ぐに何処からでも対処が出来るじしんに繋げる特訓をしているか。
「戻れ!」
『おっと!ここで引いた!』
「これ以上は長引かせても意味は無いっす!頼んだっすよ、ピクシー!」
「ピィ!……ピッ!?」
ばかぢからを使ってからのじしんじゃパワーがどうしても足りない。
パワー対決は出来ないと判断しジャックはステルスロックのダメージを受けるのを覚悟してゴローニャからピクシーに入れ替えた。
「ピクシー、マジカルリーフ!」
「ドサイドン、ストーンエッジを壁にしろ!」
相性のいいくさタイプの技で攻めてきた。
必中の技で回避するのは不可能だが対応をすることは可能だ。地面から岩を生やせば神秘的な光を纏っているはっぱカッターが突き刺さる。
「ピクシー、コスモパワー!」
「っち……」
「重量級のポケモンならオイラも熟知してるっす!その対処法も!ピクシー、もう1度コスモパワー!」
「ドサイドン、じしんだ!」
ピクシーがこっちに対して突撃してこない。
重量級のポケモンについて熟知しているからそもそもで近づいて戦闘をするという事をしない。中距離以上の物理技をドサイドンは覚えているのを熟知しているからめいそうでなくコスモパワーを積んでいる。
マジカルリーフはストーンエッジで壁を出せばいい。
だが、ピクシーはコスモパワーで徐々に硬くなっていく。コスモパワーで高めた防御力をアシストパワーで攻撃に変えれる。俺のドサイドンはハードロック個体なものの、アシストパワーはエスパータイプの技、ハードロックは意味が無い……となるとあれしかないか。
「ドサイドン、ストーンエッジで道を作れ!」
「道?うぉ!?」
ドサイドンはストーンエッジを使い自分とピクシーを挟む形で、道が出来るようにストーンエッジの岩を生やす。
これでいい。ストーンエッジの道を作ることが出来た。
「ドサイドン、つのドリル!」
「っ、ピクシー!マジカルリーフ!」
右にも左にも逃げることが出来ない状況を作り出しそこからドサイドンは真っ直ぐに突進をする。
回避するのが難しいが攻撃のチャンスが生まれたとピクシーがマジカルリーフを連発しドサイドンは何発も受けるが、俺のドサイドンはハードロック個体。確実に耐え抜いてピクシーにつのドリルをぶつけた。
「ピィ……」
「ピクシー、戦闘不能!ドサイドンの勝ち!」
「っく……逃げ場を封じてのつのドリルっすか……」
「逃げられるなら逃げられないようにすりゃいいんだよ」
このつのドリルはあまり使いたくないがそれでも立派な武器になる。
ジャックは悔しそうにしながらもピクシーを戻した……残り4体か。
「いけ!ヤドラン!」
「ヤァド」
「……」
4体目に出てきたのはヤドラン。
防御力が高いポケモンだが足が遅いポケモン……だが
「コイツは中距離以上の技があるっす!なみのり!」
移動しなくても攻撃出来る技を持っている。
津波を巻き起こしてドサイドンを飲み込もうとしている。
「ドサイドン、つのドリルだ!」
技範囲的に回避は不可能、ならば捌くしかない。
角をぶつけて回転させ押し寄せてくる津波を拡散させる。少しはなみのりを受けたが、みずでっぽうを受けた程度だ。それならハードロック個体のドサイドンでもどうにでもなる。
「ドサイドン、じしんだ」
「ヤドラン、なみのり!今度は乗るな!」
攻めるしかないとじしんを使ったらヤドランは再びなみのりを使う。
さっきと違う点、それはなみのりと言う技の名前なのに波に乗らずに津波を巻き起こしただけだった。アレならば失敗はしないがじしんはぶつける事が出来る。だが……っち……
「ヤドランは足が遅いっすけど防御力には自信があるんすよ!」
「ドサイドン、戦闘不能!ヤドランの勝ち!」
ヤドランはドサイドンのじしんを耐え抜いた。
ジャックがヤドランは足が遅いが防御力は自慢出来ると誇らしげに語り審判がヤドランが戦闘不能になったと宣言をした。
「いけ、フーディン!」
「ディン!」
ドサイドンでポケモンを1体倒せたから上出来だ。
ドサイドンをボールに戻した後にフーディンを出す……ジャックは特にモンスターボールに触れる素振りを見せない。
「ヤドラン、なみのり!今度は乗るっす!」
「フーディン、サイコキネシスで自分を浮かせろ!」
「なに!?」
フーディンは特殊攻撃が強いが物理は弱い。
ヤドランは物理攻撃も一応出来るのでなみのりで近付いての物理攻撃を狙ってんだろうが、読みやすい。
フーディンにサイコキネシスを自分に当てる。
本来ならば相手を弾き飛ばす技だが、それを応用する。自分自身にサイコキネシスの念動波を当てることで自らを浮かせる。
ヤドランが乗っている巨大な津波を前にし、フーディンはサイコキネシスで空を飛ぶ。
超能力者が念力で空を飛べるというのならば可能だと会得した技で……移動しながら攻撃してくる相手に対して間合いを詰められない様にしている。
物理で殴られたらその時点でフーディンは終わりだ。
だから徹底して近付かれない様にしておく。
「チャージビーム!」
なみのりを越えてジャックの目の前までやってきたフーディン。
スプーンを交差させてチャージビームを放ちヤドランに当てるがヤドランは倒れない。
「まだまだ!パワージェム!」
「フーディン、テレポート」
俺は指を鳴らしてそういった。
ヤドランは神秘的なオーラを纏ったカラフルな岩を飛ばす。ジャックの目の前にいるフーディンはテレポートで消え去り、ヤドランの背後に飛んだ。じゃあ、パワージェムはどうなるのか?
ジャックのヤドランのパワージェムは正確だった。テレポートで回避しなければフーディンに当たっていた。
機動線上でパワージェムはぶつかる予定であり、フーディンが軽々と避ければ……ヤドランの放ったパワージェムは急には曲げれない。
「ッガ!?」
パワージェムはジャックに命中をした。
金的だったら面白かったのに、お腹にぶつかって仰け反っており普段からボーっとしている印象にあるヤドランは驚いた。
自分が使った技で自分に愛情を注いでくれているジャックを傷つけた。
呑気で表情が動かないポケモンかと思ったがその逆で表情豊かであり、ジャックにパワージェムを当ててしまったと慌てている。
「フーディン、チャージビームだ!」
フーディンは再びチャージビームを当てる。
チャージビームは使えば特殊攻撃力が1段階上昇する技で、特殊攻撃力が高いフーディンとは相性が良い。更にはでんきタイプの技でもあり、既に1発受けていてもう1発さっきより威力が増しているチャージビームを受けた。
「ヤド……」
「ヤドラン、戦闘不能!……ジャック選手のポケモンが3体倒された為に5分間のインターバルを挟みます!」
「よし、なんとか倒せたな」
ヤドランは戦闘不能となり、ジャックのポケモンが3体倒された。
ここで5分間のインターバルに入ることになったので俺はフーディンをボールに戻し……内心の笑みが止まらなかった。