アルピ交通事務局のアニポケネタ倉庫   作:アルピ交通事務局

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人の不幸は蜜の味だね

 

「苦しんでるな」

 

 顔には出さずに俺は心でニヤついている。

 キヨシに言われた俺がハナミヤだが花宮真らしいラフプレーをしていないことについてだ。

 

 ポケモンバトルはポケモン同士の戦いで攻撃をする。

 殴ったりエネルギー弾を浴びせたりと物理的なダメージを与えるからラフプレーなんてする意味が無いし、そもそもでポケモンバトルにおいてのラフプレーがなんなのかが分かっていない。

 

 トレーナーに対して直接攻撃をするのは反則だ。

 だが、俺はふと思い出す。ウツギ博士からチコリータを貰ったトレーナー、ジュンイチが調子に乗ってズッコケたのを。グズマがイルマのメガガルーラを子供を盾にするという戦術を使ったのを。

 

 アレを見て俺は閃いた。

 偶然を装ってポケモントレーナーにポケモンの技をぶつければいいと。ポケモンの技を使ってトレーナーの妨害をすればいいと。

 

 巨大な岩を地面から生やすタイプのストーンエッジ、アレを対戦相手の目の前でする。

 基本的には前方しか見ることが無いポケモンバトルでストーンエッジの巨大な岩の壁に阻まれる。視界が遮られてなにも見えねえと指示をまともに出すことが出来ない状態にする。

 

 作戦は成功でストーンエッジで前が見れなくなったジャックはなにも出来なかった。

 その次にポケモンの技をぶつけるのを考えた。意図的にぶつければ反則行為として判定を下されるから、そこは考え方を変える。自分が放った技でなく相手が放った技で相手のトレーナーを傷付ける。

 

 これはいけるとヤドランのパワージェムをジャックに当てれる様に誘導した。

 ジャックはパワージェムが当たり苦しんでおり、トレーナーとしての行動がなにも出来なかった。その隙を狙ってのチャージビームで……ジャックは今もヤドランから受けたパワージェムに苦しんでいる。

 

 この世界の人間は頑丈だ。

 オーキド博士とサトシ一行とロケット団だけにギャグ補正が入っているかと思えるがそれでも普通よりも強靭な肉体を持っている。だから多少ポケモンの技を受けても痛かったで済むが、ポケモンリーグに出るポケモンの強烈な一撃ならば怪我をする。

 

 ポケモンでなくトレーナーが技をくらう。弾き飛ばされたポケモンと激突をする。

 そうやって徐々に心身共にポケモンとトレーナーが傷ついてく……コイツは面白いと俺は本能的に理解した。

 

「後はぶつけるだけか」

 

 ポケモンバトルを行うバトルフィールド、トレーナーが立っている場所に謎のシールドが展開されるとかは無い。

 コイツは上手く利用することが出来る……今まで面白くねえ試合だったし、トレーナーを偶然を装って攻撃する。決勝戦の様な晴れ舞台に勝ち進んでいてポケモン達も問題無い中でトレーナーがボコボコにされて試合が出来ません。最高じゃねえか。

 

『さぁ、前半戦が終わり後半戦!お互いに5分間のインターバルの中で何をイメージしたか!果たして、どちらが優勝を手にするか!』

 

「いけ、フーディン!」

 

「ディン!……ディッ」

 

 分かっていたことだがステルスロックがめんどくせえな。

 5分間のインターバルを終えて後半戦、このポケモンリーグ・セキエイ大会最後の戦いが始まる。

 

 フーディンを出せばフーディンはステルスロックにやられる。

 どっちもステルスロックが出ている状態で……きりばらいやこうそくスピンを使ってこない。この盤面は後々痛い目に遭う可能性が高いが、その前に削り切るしかない。

 

「いけ、キュウコン!」

 

「コーン!ッ!?」

 

 ジャックの5体目のポケモンはキュウコンだった。

 キュウコンが出てきた瞬間、フィールドが暑くなった。ひでりキュウコン……

 

「キュウコン、わるだくみ!」

 

「フーディン、こっちもわるだくみだ!」

 

 なにをしてくるかはお見通しだ。

 ここでキュウコンで攻めてこない……6番手に控えているジャックのエースポケモンが戦いやすい盤面を作り上げた。

 

「キュウコン、バトンタッチ!」

 

「コン!」

 

「いけ、ウツボット!!」

 

「ボット!」

 

「来たか」

 

 わるだくみからの即座にウツボットへバトンタッチでの交代をした。

 ひでりのはれ状態はまだ続いていてこの状況でジャックはキーストーンがついているブレスレットに触れた。

 

「ウツボット、メガシンカ!」

 

「ツボ!!」

 

『出たぁあああ!!ジャック選手、ここで切り札であるメガシンカを切った!』

 

 ジャックはウツボットをメガシンカさせるウツボットナイトを持っている。

 メガウツボットの情報は一応は頭に入っている。両刀アタッカーで高速とも鈍足とも言えない微妙な速さを持っている……

 

「フーディン、サイコキネシス!」

 

「ウツボット、ソーラービーム!」

 

 アローラはZワザがメインだったからメガシンカをするポケモンと戦う機会が皆無で戦闘経験が無いに等しい。

 メガシンカ出来ますよと見せつけてきた奴は居たが結局は使わなかったりした……フーディンはサイコキネシスの念波を放つがウツボットがソーラービームを放つ。フーディンはわるだくみを使ってパワーを上げている。それなのにも関わらずフーディンのサイコキネシスの念波の中を押し切ってウツボットはソーラービームを当てた。

 

「ディン……」

 

「フーディン、戦闘不能!ウツボットの勝ち!」

 

『決まったぁ!くさタイプの最強技、ソーラービーム!メガシンカした事でパワーが更に増したウツボット、わるだくみの分も相まって圧倒的な火力!フーディンを一撃で倒した!』

 

「……やっぱ強えな」

 

 わるだくみを1回使ってからのソーラービームよりもちょっと上なのがくさタイプのZワザ、ブルームシャインエクストラだ。

 ブルームシャインエクストラ程じゃないがそれでも他を寄せ付けないソーラービームを使える……システムがあるとはいえ撃つのを何度も出来るのは強い。コレを見せつけられたとなればやっぱりZワザよりもメガシンカの方が優れていると言える。

 

「戻れ……いけ、フシギバナ!」

 

「バナ!」

 

 フーディンをボールに戻し4体目のポケモン、フシギバナを出した。

 ここでジャックは暑くなっ……ていない。同じタイプで出来ることも殆ど同じでメガシンカのアドバンテージがある、それを理解していて調子に乗って派手に攻めるかと思っていたがジャックは計算をしている。

 

「戻れ。いけ、ゴローニャ!」

 

「ゴロ!」

 

「一旦挟むか!」

 

「それだけじゃないっすよ!だいばくはつ!」

 

「っ!」

 

 ジャックは計算をした末にメガウツボットをボールに戻した。

 フシギバナと相性がいいキュウコンが出てくるかと思ったがジャックはしっかりと計算をしている。キュウコンのひでりの効果が切れるタイミングを。

 

 いくらわるだくみでパワーが上がっているソーラービームでもフシギバナは倒せない。

 一撃で倒せなければはれ状態は消え去り、メガウツボットはちょっとパワー自慢のポケモンに留まる。タイプ相性での有利さもとれない。

 

 だから一旦ゴローニャを挟む。

 ゴローニャが出てきたことではれ状態は消えた。このままゴローニャは終わりかと思ったがジャックは迷いなくだいばくはつを指示し、だいばくはつを巻き起こしてフシギバナを飲み込んだ。

 

「バナ……」

 

「ゴロ……」

 

「ゴローニャ、フシギバナ、両者共に戦闘不能!」

 

 ここでのだいばくはつ、普通に考えて正しい選択だ。

 だがこの世界ではじばくやみちづれでの引き分け狙いはあまり好まれない。王道的なバトルじゃないからなんだと文句を言ってくるから。だから、使える奴は使えるが使えない奴は使えない。ここで使うってことはこの状況を想定していたってことか。

 

「だいばくはつを指示したジャック選手から」

 

「頼んだっすよ!キュウコン!」

 

「コン!」

 

 だいばくはつやみちづれでの引き分けの場合はそれをした奴がポケモンを先に出す。

 残り2体でウツボットとキュウコンだと割れている中で出したのはキュウコン。俺はモンスターボールを構える。

 

「いけ、ギャラドス」

 

「ゴォオオウ!」

 

「ギャラドスすか……戻れ!いけ、ウツボット!」

 

 キュウコンに対してギャラドスを出した。ひでりの効果が再び発揮されてフィールドがはれ状態に切り替わる。

 ギャラドスに対して不利でわるだくみを1回使いたいというところだがそれを使えば攻撃する隙が生まれる。俺の6体目が分からない以上はキュウコンを失うわけにはいかないとウツボットに即座に切り替えた。

 

「ウツボット、ソーラービーム!」

 

「ギャラドス、ドラゴンテール!」

 

 ウツボットはソーラービームを使う。

 ソーラービームは即座に発射されてギャラドスに命中したがギャラドスは耐え抜いた。コレがパルシェンやカメックスなら倒れていたなと思いながらもドラゴンテールをぶつければウツボットは叩き飛ばされ、ジャックのボールに戻りキュウコンが出てきた。

 

「っ!キュウコン、おにび!」

 

「悪いがここで決める!審判、ベースはストーンエッジだ!」

 

 キュウコンをここで倒さないといけない。

 今まで出し惜しみをしていたZワザはここが使い時だとイワZをZパワーリングに装着し、イワZのZポーズを取った。

 

「ワールズエンドフォール!」

 

 ストーンエッジをベースにしたワールズエンドフォール。

 圧倒的な巨石の落下に間に合わずキュウコンは落石に飲み込まれてフィールドが土煙に包まれた。

 

「コン……」

 

「ゴォウ!……グッ!」

 

「キュウコン、戦闘不能!ギャラドスの勝ち!」

 

『ハナミヤ選手、ここで伝家の宝刀であるZワザを使った!ジャック選手はメガウツボットのみ!対するハナミヤ選手はまだ無傷のポケモンとギャラドスが居ます!』

 

「まだっすよ!まだ逆転のチャンスはあるっす!!」

 

 数の上では有利だがメガウツボットと言う武器はまだ負けていない。

 ジャックは諦めるかとメガウツボットを出した。

 

「ウツボット、ソーラービーム!」

 

「ギャラドス、こわいかお!」

 

 ギャラドス相手に手を変えてこない。

 あくまでもソーラービーム一択。威力は充分に強いがギャラドスに効果は普通……ギャラドスは耐え抜いてこわいかおを使いメガウツボットの素早さを下げた。

 

「まだだ!ソーラービーム!」

 

「ギャラドス、でんじは!」

 

 こわいかおを使ったことで素早さで確実に勝っている状態になったギャラドス。

 4番目の技はこれだとでんじはを使えばメガウツボットを痺れさせる事に成功するがまひで動けない状態にならずメガウツボットはソーラービームをぶつけて虫の息だったギャラドスを倒した。

 

「ギャラドス、戦闘不能!ウツボットの勝ち!」

 

「……まだっすよ」

 

「ああ、まだだ」

 

 まだ未知の俺の6体目のポケモンに対してまひ状態になって鈍足になっているメガウツボット。

 ドラゴンテールを受けているが、それでも持っているパワーは健在でジャックはまだ倒されないのだと諦めない……ウザいな。

 

「いけ、ウインディ!」

 

「ディ!」

 

 俺の6体目のポケモンはウインディ……メガウツボットが出てくると分かっていたからウインディを入れている。

 ここまで激闘を繰り広げる事が出来ていた……メガウツボットはソーラービームしか使っていないがそれでもインパクトは強い。

 

「ウツボット、ヘドロウェーブ!」

 

「ウインディ、かえんほうしゃだ!」

 

 くさタイプの技は通じないのでどくタイプの技で攻めてくる。

 毒液の津波を蒸発させる……

 

「ウインディ、ニトロチャージだ!」

 

 毒液の津波を蒸発させて紫色の汚い煙が出てきた。

 ウツボットは動くことが出来ない状況なのでニトロチャージを使いウツボットに激突して突き飛ばす。

 

「ウインディ、移動して撹乱しろ!」

 

「……ウツボット!オイラの前まで来るっす!」

 

 遅いウツボットに対してウインディは高い素早さで撹乱する。

 ジャックは素早さでは追いつけないのだと判断したのかあえて自分の前まで来るように指示した……

 

「ウツボット、チャンスは1度!ヘドロウェーブをぶつける。攻撃をするタイミングで動きは停止するっす!まひで遅くなって動けなくてもそこさえ見抜ければ……オイラの勝ちっす!」

 

「フハッ……お前はもう終わりだ。いや、お前等はだ。ウインディ、フレアドライブ!」

 

 攻撃をするタイミングで停止をするとジャックは予測する。

 もう完全に盤面は積んでいる。ウインディは一旦停止して炎を身に纏った。

 

「ウツボット、ヘドロウェーブ!」

 

 炎を身に纏い突撃するウインディに対してヘドロウェーブを使うウツボット。

 パワーではウツボットの方が上だがヘドロウェーブを発動するのに時間がかかった。毒液の津波は巻き起こったと思ったがその時には既にもうウインディは目の前にいた。

 

「やれ」

 

 パチンと俺は指を鳴らした。このタイミングが一番ベストだ。ここならば怪しまれずに済む。

 ウインディのフレアドライブが命中し、ジャックのメガウツボットは突き飛ばされる……突き飛ばされた方向にはジャックがいた。ウツボットはジャックに激突をしてしまった。

 

「っ……」

 

「ツゥ、ボォ!!」

 

『おおっと!ウツボット!弱点であるフレアドライブを受けてもまだ尚立ち上がる!ここで負けたら全てが終わりだと気力を振り絞ったか!』

 

「フハッ……もう終わりなんだよ」

 

「ツボ!……ツボ?」

 

 ウツボットはまだ戦うぞ!と立ち上がる。虫の息だがそれでも負けないと振り絞っているが……ジャックからの返事が無い。

 ジャックは背中を地面につけて倒れている。ビクンビクンと痙攣はしていないから気絶はしていないが……滝のように汗を流している。

 

「ジャック選手、立ち上がりください!」

 

「っ……っ……」

 

「ジャック選手?」

 

 さっさと立ち上がるようにジャックに言えばジャックは立ち上がらない。

 今にでも叫びそうな雰囲気を出しているが必死に息を殺しており……手を使って起き上がろうとするが

 

「っぐぁ!?」

 

 ジャックは起き上がる事が出来なかった。

 キーストーンが装備されているメガブレスレットをはめている手とは違う手を動かしていてメガブレスレットをはめている手はピクリとも動かさない。

 

「まさか……試合が続行出来ないのですか?」

 

「ぞ、続行出来る……っす……」

 

 なんとか立ち上がったジャックだったが審判に返事をすると直ぐに倒れた。

 倒れている段階では意識があるが起き上がる事は出来ない。続行出来ると言っているが続行出来ない状況だ。

 

「……ジャック選手の試合の続行が不可能な為にジャック選手の負けと見なします!ポケモンリーグ・セキエイ大会決勝戦、勝者!ハナミヤ選手!!」

 

「……そんな……オイラは!オイラはまだ!」

 

 フハッ……ここまで上手くいくとは思っていなかったな。

 ジャックは利き腕と足の骨が折れた。100kg程あるポケモンが勢いが乗って突撃してきたんだから、いくら頑丈なこの世界の人間でもポックリといくときはいく。

 

 試合会場は歓声に包まれなかった。

 決勝戦は白熱した試合だったのに、最後の最後がいいところだったのに、まさかまさかで最後の最後にトレーナーがバトルを続行する事が出来ないという情けない姿を見せた。

 

 必死になって足掻いていたのにウツボットが気力を振り絞って立ち上がったがそれが無駄になった。

 

『し……試合終了!!ポケモンリーグ・セキエイ大会!優勝者はマサラタウンのハナミヤ選手!!』

 

「……ノルマは果たしたか」

 

 サカキに対して大口を叩き、キヨシ達という敵が成果を残した。

 俺だけ成果を残すことが出来ないと言うのはムカつくからな。結果は残してやった。

 

「担架だ!足が、腕が!」

 

「……フハッ」

 

 予想通りジャックの足と腕の骨が折れている。

 いいね……コイツは悪くない。人の不幸は蜜の味だね。

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