「優勝者、マサラタウンのハナミヤ選手!」
「はい」
ポケモンリーグ・セキエイ大会の全ての試合が終わり閉幕式が行われている。
5回戦以降にまで勝ち進んだベスト16のトレーナーには賞状を渡されており……優勝した俺はキヨシ達が電話をしてきた時にこれ見よがしに見せてきたモンスターボールっぽいのが上についているトロフィーを授与される。
「ここまで見事に勝ち抜いたの……チャンピオンリーグも期待しておる」
「ええ、任せてください」
タマランゼ会長が俺にトロフィーを渡して激励の言葉をかけてくる。
決勝戦でやったジャックの負傷行為については偶然の事故、と言うよりはポケモンバトルをしていればありえることの1つなので特に話題には触れられない。それどころか必死になって立ち上がったメガウツボットに応える様に起き上がる事が出来なかったジャックが情けないと言われる始末だ。
オーキド博士なんかの比較的に俺と親しい大人は俺はサトシ達の前では口が悪い子供だと思われている。
言っている事は正論だから言い返せない。今まで出会ってきたタイプのトレーナーとは異なっていて言い返すことも出来ない。それどころか正論しか言っていない……むしろ俺は真っ向からサトシと勝負をした事を賞賛されているぐらいだ。
同じタイプや同じ傾向にあるポケモンを使って全てのポケモンを倒した。
サトシがなにかしらの仕掛けが作戦があるかと思ったものの、特にそう言った事は無くてただただ真っ向からぶつかって負けた。進化前のポケモンが進化後のポケモンに対してなにかしらの工夫をしてのバトルならばともかくそれすらしていないのだから、サトシはトレーナーとして情けないのレッテルを貼られていた。
「しかし、堪らんのぅ……セキエイ大会、シロガネ大会、サイユウ大会、スズラン大会、ヒガキ大会、5つのポケモンリーグでポケモンを貰った年に優勝をする将来有望な若手トレーナーが現れるとは」
「言っておきますが、キセキの世代なんて不名誉なレッテルは貼らないでくださいね」
「む?何故じゃ?5人とも天才と呼ぶに相応しいぞ?」
「今から挑みに行く場所は怪物達しかいない世界です……天才かもしれませんが勝ち上がれるほどに甘くはないのは熟知しています」
既に4つの地方のポケモンリーグの優勝者が決まっている。
キヨシ達であり、才能があるポケモントレーナーが一度に5人も現れたのでキセキの世代なんて言われるのは普通に嫌だ。なんで俺等がキセキの世代なんだ。まだ無冠の五将の方がいい。
ジャックを怪我させる事を優先したパーティ編成にしたが、その気になればもっと強いパーティで行けた。
だがそれでもジャックは苦戦を強いられるほどの強敵だった……チャンピオンリーグでは最低でもジャッククラスのトレーナーが相手になる。結局1度もぶつからなかったキヨシ達は俺の感覚ではジャック以上の実力をアローラでの特訓で手に入れている。
ポケモンリーグ・セキエイ大会の閉幕式は終わった。
まだ地方リーグだが久しぶりにポケモンを貰った年にトレーナーが優勝をするという快挙を成し遂げたので褒められる。ポケモンバトル関係の雑誌記者から軽くインタビューをする。周りが言ってほしい言葉と少し毒気のある言葉を混ぜればあら不思議、『悪童』の異名を持ったポケモントレーナーの完成だ。
「いや〜ハナミヤ、よくやった!無事に優勝出来たな!」
「ええ……でも、自社ビルはコケましたね」
「うっ……痛いところを突いてくるニャ」
「仕方ないじゃない。材料が届かなかったんだから!」
ポケモンリーグ・セキエイ大会が閉幕をしたのでそれぞれが新しい一歩を踏み出す。
俺はと言えばロケット団の3人組と一緒にロケット団本部を目指している。予想通りの展開と言うべきか、ロケット団は事業展開に調子に乗って失敗した。
ポケモンリーグ開催中の売り上げがずっと維持されるわけねえだろう。
もう少しマーケティングの経営戦略とかを見ろよ。お前等、悪役よりもそっちの方に才能あるからな。
「お、本部が直ってる」
「直ってる?どういうことです?」
「実はこの前、本部が大爆発を起こしてぶっ壊れたニャ……直っててよかったニャ」
何気に行くのが初であるロケット団に本部、ポツンと郊外にある大きなビルだ。
悪の組織の拠点としてこれはどうなのかと思ったがデザイン重視にしたとしても仕方ねえから普通のビルになった。
ロケット団はロケットコンツェルンの裏の顔でもある、名義上はロケット団の基地じゃなくてロケットコンツェルンか。
3人が本部が爆発したが直っていることに関して良かったと言い、ロケット団の本部に足を運びます。
「失礼します!」
「ハナミヤをお連れしました!」
「そうか……お前達は下がっていろ」
「ハッ!」
ふざけている割にはサカキに対する忠誠心はしっかりとある。
サカキに対して敬礼をした後にサカキは俺を見て俺と話があると下がる様に命じた……一応は気になったが聞き耳を立てられたら困るのでロケット団の社員食堂で飯でも食ってくればいいと事前に言ってある。一応は借金帳消しで飯を食う金はあるからな。
「……どうやら口先だけの人間ではなかった様だな」
「あれだけ大口を叩いて失敗なんざするかよ……それよか俺に八つ当たりをすんなよ?あなたの息子が負けたって聞いてんだから」
「アレは息子が悪い……ポケモンを道具として見ているのならば入念に手入れをしなければならない。それを息子が怠り相手の力を正しく評価する事が出来なかった」
「フハッ、厳しい評価だな」
息子が負けて機嫌が悪いとは聞いていたがどうやら一周回って頭が冷えて冷静に物事を認識する事が出来るようになったみてえだ。
相手の力量を見誤る、道具として扱っているポケモン達の入念な手入れを怠っていた。どっちもトレーナーとしてやってはいけない事でやってしまった。
「息子が優勝出来なかった事が悔しいがお前が優勝した……しかし、まだだ」
「言っとくがチャンピオンリーグは期待するなよ?……ここからは俺も予想出来ねえんだから」
「ふっ、セキエイ大会優勝で充分だ。しかし1つ、問題がある……ミュウツーが逃げた」
「…………あんたよ、道具の手入れを怠るなって言ってるんだろ?ミュウツーに対して対話をせずにただ命じた通りに動けばいいだけでなんもしてねえのは普通にアウトだろう」
「痛いところを突いてくるな……アレはミュウのまつ毛の化石をベースに作り上げた最強のポケモンだ。おいそれと逃がすわけにはいかん」
「やめとけ。ありゃ人間の記憶を操作するポケモンの技とはまた違う不思議な力を持ってる……ただでさえ伝説級の強さを持ったポケモンだ。力による支配が出来なくて語り合いをあんたが拒んだんだ。潔く失敗作として切り捨てろ」
ミュウツーを失ったとサカキは言う。
あのミュウツーはサカキが最強というだけある強さを持っている……それだけじゃなくて人間の記憶や意識を操作するポケモンの技とはまた違う能力を持っている。サカキはなにも考えずに暴れればいいと対話の心を無視した心を持たないポケモンにしようとしたが、ポケモンと認定している以上は既に心を持っていて、サカキはそれを怠った。
「多分、あんたが見つけても最終的には記憶を操作されるだけのオチだ……最強のポケモンを人工的に作り上げる、それは不可能だと証明した。そんな事をするなら……いや、無理か」
「なにがだ?」
「ポケモンに悪の感情を植え付ける物でも開発と思ったが下剋上してくる可能性があるからそれも無理だ」
ポケモンコロシアムやXDの様にダークポケモンを作り出す。
ダークルギアはある意味、サカキが最も望んでいるポケモンだがこの世界のオーレ地方の事情について知らない。
ダークルギアを作り上げる技術があるのならば、その技術を丸パクリする。そうすればダークポケモン軍団が生み出せる。
ただし……ダークポケモンも心を持っている。
使い続ければ心を自然と開いていきセレビィみたいなポケモンならば心の呪縛を解除する事が出来る。完全に悪に染まらせるのは中々に難しいことだ。
「それでもまだなんかあるって言うなら……さいはてのことうに行けばいい」
「さいはてのことうだと?確かにあそこにはミュウが居る。ミュウツーを作るのに必要な遺伝子は手に入るが」
「違うな。欲しいのはさいはてのことうの土だ」
「なに?」
「あんただってあるだろ?故郷の匂いや家族の味で心を落ち着かせる事を。さいはてのことうは全ての遺伝子を持つミュウが住んでいる島であらゆるポケモンが住み着くことが出来る場所だ。だからそこの土を使うだけで興奮していたりするポケモンを鎮める事が出来る」
ポケスペのエメラルドのE・シューター、アレがあればこの先色々と便利になる。
さいはてのことうの土を手に入れるという問題点があるが、さいはてのことうに行くことだけならば、土を手に入れる事が出来るのならばポケモン達を鎮めれる。
「そんな物が……」
「試しにトキワの森で生まれたポケモンにトキワの森の土の上にでも乗せてみろ」
「後で試させてみるか……ハナミヤよ、改めてお前をロケット団の団員として認めAクラスのエージェントとして昇格させよう」
「……ランクあるんだな……」
ロケット団の上下関係とかそういうのがよく分からねえ。
先輩後輩とかならともかく他にも色々と部署とかあるし……Aクラスのエージェントって事はそれなりに破格の立ち位置だろう。
「数字は幾つがいい?000から999まで選べる」
「そんなに居るのかよ」
「いや、Aクラスの団員はほんの一握りだ……好きな番号をくれてやる」
「じゃあ、4番だな」
4は縁起が悪いとか言うが、4番はバスケのチームのキャプテンの証だ。
好きな番号を貰えると言うのならばありがたく4番を貰う。サカキはそれを承諾した。
「それで、なにが欲しい?」
「フハッ、太っ腹だな」
「目に見える成果をお前は残した。それに対する褒美が無しでは回るものも回らないだろう」
その気遣いをミュウツーに対して出来たらもう少し結果が変わっていたんだがな。
褒美を貰えると言われたのでなにが欲しいのかを考える。なんだかんだでエレキブースターを持っていない。あるんだったらエレブーをエレキブルに進化させていた。それをくれと言えば多分貰えるだろうがエレキブースターは探そうと思えば割と見つかりやすいと聞く。
「そうだな。伝説のポケモンと言えば?」
「ふっ、強欲だな……結論から言えばそれは無理な話だ」
「ケチ臭いな」
「違うな。伝説のポケモンは制御に置くのが難しい……おそらくはお前でも制御は無理だろう」
だからそれ分かってんだったらミュウツーに対して対話をしろよ。
言いたいのは扱いきれないポケモンを渡すのは流石に忍びない、そんなところだろう……ゲットしたから直ぐに言うことを聞く世界じゃねえから仕方ないとはいえ仕方ないが。
「俺でも制御出来ないならどうすんだよ……宝の持ち腐れだろう?」
「色々と実験をな……お前にも使いこなせるであろう伝説のポケモンが居るのならば渡していたのだが、流石にそう都合良くはいかない」
「……じゃあ、居たらくれるんだな?」
「ああ、約束しよう」
フハッ、言質は貰ったぜ。
Aクラスのロケット団のエージェントとして認められた。その上で伝説のポケモンが扱えるならばくれると約束を取り付けた。
俺にも扱える伝説のポケモンは早々に居ない。
居ないなら居ないで問題は無い……セキエイ大会で負けたサトシが招待されたのならば、セキエイ大会で優勝した俺は招待される。
マサラタウンに帰省すれ祝勝会が行われた。
どいつもこいつもシゲルやサトシを優勝するのを応援していたのに俺が優勝した途端に掌を返しやがる。
地元のトレーナーが優勝したのは嬉しいが下馬評で低い方の俺が優勝したのは予想外だっただろう。
サトシ達がしれっと参加をしているが虚しいね。どうして自分がここで褒められないのか、祝われないのか。今は純粋に俺が優勝した事を我が事の様に嬉しそうにしている。次に挑みに行くと目標を立てている。
オレンジリーグはともかく、これから順番に地方を巡る。
サトシがジョウト地方に挑む時はジョウト地方に被るようにして……サトシの優勝を阻止して情けない醜態を晒しまくってやるぜ。