世の中は基本的には金だ。
金よりも大事な物があるだなんだと言っている奴に金が無い状態に陥ったら今までどれだけ自分が金に恵まれた環境に居たのかを理解して欲しいぐらいだ。
金があるからいい学校に通える。金があるから習い事が出来る。
親ガチャなんて言葉が生まれる様に親の経済力が子供に及ぼす影響は半端じゃねえ。フィギュアスケートやゴルフなんて貧乏な家庭の人間じゃ出来ない。
ただしイケメンに限るって言葉があるが、ただし金を持っている場合に限るだ。
金を持っているか持っていないかで心のゆとりが生まれる。お金が大事だと言っている奴は気付いてねえだけで金を土台にしている。
それは勿論、この世界でも同じだ。
お金があるならばポケモン達を高級なブリーダーに預けてトリミングする事が出来る。ポケモンコンテストに使うドレスとかを複数用意する事も出来る。きずぐすりでなく高級品のかいふくのくすりやハイパーボールが買える。
いい学校やいい会社に勤める事が出来なくても一発逆転を狙うことは出来なくもない。
それは芸能人の様な水商売だ。厳しい世界ではあるが成功すれば華やかな道を歩めるし巨万の富を得れる。
ポケモン世界で一発逆転を狙うにはポケモン関係で優秀になることだ。
バカでもポケモンバトルが優秀ならば四天王やチャンピオンとなれて膨大なファイトマネーがもらえる。トップコーディネーターならばスポンサーがついたりする。ポケモンブリーダーならばポケモンに関する仕事に就くのが有利になる。
「コイツが、ねぇ……」
クリスタルのイワーク、不安定で不確定要素の塊であるから俺は使いたくないとサカキにハッキリと言っている。
その結果、サカキは使えそうな人材を探した。ロケットコンツェルンがしている慈善事業の1つで孤児院から新人トレーナーになりたいという思いがある子どもからクリスタルのイワークを使えるテスターを探した。
クリスタルのイワークを使って色々とレポートを纏める。
そしてトレーナーやコーディネーターとして活躍すればロケットコンツェルンへの内定が確約されるという契約だ。
ロケットコンツェルンは一部上場の大企業だから就職したいと思う奴は普通に居る。ポケモントレーナーやコーディネーターとして活躍してロケットコンツェルンの広告塔として働く……上手く出来ている。
俺はと言えば、そいつの指導をしないといけない。
クリスタルのイワークと言う稀少なポケモンを使って目立つことが出来ないのはロケットコンツェルンとしては痛手だ。
クリスタルのイワークを渡す予定のトレーナーのデータを確認しておく。
ペーパーテストも人間性も特に問題無し。ロケット団の俺に仕事を回してもいいものなのか?と思ったが、セキエイ大会優勝者がフォローを入れてくれますで初心者でもやりやすい様にしたか。
「やぁ、君がハナミヤくんだね」
「はじめまして、ウツギ博士」
新シーズンの幕が開いたからジョウトリーグに挑みにやってきた。
原作通りにサトシ達もジョウトリーグに挑みに来ている……サトシとシゲルのバトルは見なかったのかって?どっちも本気でも全力でもないバトルに価値なんざねえんだよ。
俺はワカバタウンのウツギ博士の研究所にやってきた。理由は言うまでもなく新人トレーナーに会う為だ。
ウツギ博士から新人としてジョウトの御三家の内の1体を貰う新人トレーナーこそが、クリスタルのイワークを渡す予定のトレーナーだ。
「話は聞いているよ……その……」
「お楽しみは奪ったらダメですよ」
俺がロケットコンツェルンの人間としてクリスタルのイワークを渡しに来たことをウツギ博士は知っている。
クリスタルのイワークなんて聞いたことも見たこともないウツギ博士はクリスタルのイワークを見てみたいと思っているが俺は見せない。
「ヒノ」
「ワニャ」
「ヒノアラシとワニノコ……チコリータは?」
「ああ。チコリータは既に貰われていったよ」
ヒノアラシとワニノコが顔を覗かせるのでチコリータはどうしたのかを聞いた。
チコリータは既に選ばれて貰われた……ナナコとか言う阪神ファンもといエレブースファンの女が選んで行ったんだったな。大した活躍とかしてねえし記憶にねえわ。
「時間帯的にそろそろ来るとは思うのだけれど」
「ウツギ博士、来ましたよ」
例年通りならばポケモンを貰いに来る、そう言うと助手の人がやってきたことを伝えにきた。
来たかとウツギ博士はワニノコとヒノアラシのモンスターボールを手にし、今日から新人トレーナーとして活躍する美少女と会合をする。
「はじめまして、ヒリメオです!」
「やぁ、待っていたよ。僕がウツギ博士だよ」
事前に貰っていたデータ通り、顔写真通りの美少女だ。
ウツギ博士はニコニコと待っていたと笑みを浮かべている。
「さて、今から君に新人用のポケモンを渡すよ」
「チコリータとヒノアラシとワニノコですよね!」
「ああ。と言ってもチコリータは既に貰われていてね……ヒノアラシとワニノコしかいないんだ」
「ヒノ」
「ワニャ!」
ヒノアラシとワニノコがウツギ博士の足元から出てくる。
どっちも選ばれるのは自分だと期待を寄せており元気よく挨拶をした。
「お前がヒリメオ・エイノウだな」
「はい……えっと…………あ!去年のセキエイ大会のチャンピオン!」
「ハナミヤだ……話は聞いているか?」
「うん!じゃなくて、はい!」
「畏まらなくていい。好きにしろ」
「はい、じゃなくてわかったよ……ハナミヤくん、出来たらエイノウって呼ばないで」
「ヒリメオでいいのか?」
「うん……」
「さて、軽く自己紹介を済ませたしどちらを選ぶかな?」
ウツギ博士がヒノアラシのモンスターボールとワニノコのモンスターボールを見せる。
どっちにしようかなと悩んでいる……決め手となる要素はなんだろうな……いや、違うか。
「先にコイツを渡しておく」
「このポケモンが……出してもいいかな?」
「ああ」
「出てきて!」
「イワァ!」
「お、おぉ!!ホントにクリスタルで出来ている!!」
先にクリスタルのイワークを渡したほうが有利だとクリスタルのイワークを渡した。
ウツギ博士は自分が知っているイワークと異なるイワークで興奮をしている。クリスタルのイワークには新人トレーナーに託される事については話し合いが済んでいる。
ヒリメオのことをジッと見る。ヒリメオもクリスタルのイワークのことを見る。
キュッキュとクリスタルのイワークに触れてみれば満面の笑みを浮かび上げた。
「ありがとう!しっかりと育てるね!」
「そいつを育ててハガネールにする方法とか模索してくれよ……」
「いいなぁ、新種に等しいイワークだなんて……ヒリメオちゃんのポケモンが7体以上になったらこの研究所に」
「……ハガネールになればロケットコンツェルンの研究所ですからね」
「やった……っと、ズレたね。ヒノアラシとワニノコ、どちらにする?」
話がズレたので話を元に戻す。
ヒノアラシとワニノコのどちらを選ぶかを聞かれたりヒリメオは悩み……クリスタルのイワークを見て決めた。
「ウツギ博士、ヒノアラシをください!」
「ワニャ!?」
「ヒノ!」
ヒノアラシを選んだ。
選ばれなかったワニノコは目に見えるショックを受けているが選ばれたヒノアラシを妬むようなことはせず、ヒノアラシはヒリメオのもとに向かった。ヒリメオはヒノアラシを抱っこした。
「よろしくね、ヒノアラシ」
「ヒノッ!」
「ふふ、君ならヒノアラシを育てられるよ。コレがポケモン図鑑とモンスターボールだ」
ヒノアラシに挨拶をすればヒノアラシも頷き返す。
ウツギ博士も大丈夫と太鼓判を押した後にポケモン図鑑とモンスターボールを出した。第二世代のポケモン図鑑だ……俺は深緑色の第三世代に登場する全国図鑑を貰っている。近い将来にスマホロトムに切り替わるからその内ゴミになるからポンポンと図鑑を貰っても仕方がない。
「さて、ウツギ博士。事前にメールで記載した通り、借りますね」
「ああ、存分に使いたまえ」
「え?なにかするの?」
「ポケモンバトルだ。俺とお前の」
「え、ええっ!?私とハナミヤくんのポケモンバトル!?……ハナミヤくん、去年のセキエイ大会の優勝者で私」
「んなもん分かってるわ……お前がホントに優秀かどうかを試す」
このクリスタルのイワークを渡す為にサカキは孤児の中で人間性と知識に問題が無い奴を選んだ。
当然ペーパーテストなんかはしているが、この世界には知識しかない頭でっかちな奴もいる。知識を知恵とし使いこなすことが出来る奴じゃねえとクリスタルのイワークを託したとしても宝の持ち腐れだ。
「でも……」
「ここで俺に勝てって話だったら俺がなんの為に居るのかが分からねえから、最初からそんな期待はしてねえ……トレーナーとして向いてねえ奴はマジで向いてねえことが多いからそれを試すだけだ」
セキエイ大会に優勝した俺に勝てるわけがないと不安げのヒリメオ。
ここで俺に勝ったのならば俺が冒険のアシストをする理由が何処にも無い。
「そんな。負けてもいいんだ……じゃあ、思いっきりやって思いっきり負けるね!」
「……」
負けても特にペナルティらしいペナルティが無いと分かればヒリメオは安堵する。
思いっきりやって思いっきり負ける。俺から逆に1本取ってやろうかと言う気迫は無くて逆に負けてやるってバカな発言だな。
「俺が使うのは1体だ。お前はヒノアラシとイワークを使え」
ウツギ博士の研究所のポケモン達が住んでいる庭園に向かえばルールを説明する。
俺が使うのは1体、ヒリメオは2体。これだけで充分なハンデに見えるが大きな実力差は埋まっていない。
「いけ、リザードン」
「グォオウ!」
俺が出したのはリザードン。
ヒリメオはポケモン図鑑を用いてリザードンのデータの確認をしない。リザードンはかなりメジャーなポケモンだ。ヒリメオはバカっぽい雰囲気はあるが勉強はしっかりと出来るタイプだからポケモンに関する知識は問題は無い。
「ハナミヤくん、後でリザードンをポケモン図鑑に登録していい?」
「後でな」
「よし……じゃあ、いくよ!ヒノアラシ!」
「ヒノッ!」
トレーナーとしてのマナーを守り後で図鑑登録をしていいかの確認をした。
ヒリメオはモンスターボールを手にして投げた。出てきたのはヒノアラシ。
「ヒ、ヒノ」
「……グォウ」
さっき貰ってレベルが低いヒノアラシに対してレベルが高いリザードン。
ヒノアラシは直ぐにレベルの差を感じ取った。リザードンもコイツは弱過ぎだろうと呆れており俺に視線を向けてくる。
「接待だ」
「む!……ヒノアラシ、にらみつける!」
接待とハッキリと言えばムキになるヒリメオ。
ほのおタイプの技で攻撃するかと思ったが意外にも冷静ににらみつけるを指示した。ヒノアラシはリザードンににらみつけるをして物理防御力を下げた。
「ヒノアラシ、連続でにらみつけるだよ!」
キッ!キッ!キッ!とヒノアラシは連続でにらみつけるを使う。
ヒリメオはヒノアラシに攻撃技を指示しない。ヒノアラシはその事に動揺は……していないな。
ヒリメオがなにか考えを持っていると信頼してにらみつけるの連打……フハッ、虫唾が走るな。
「ヒノアラシ、ヒリメオ、見ておけ。コイツが最初の3体のほのおタイプのポケモンが覚えれる最強奥義だ。リザードン、ブラストバーン!」
「グォウ!!」
リザードンはブラストバーンをヒノアラシにぶつける。
ヒノアラシが出している背中の炎とは比べ物にならない圧倒的な炎、それが襲いかかってきてヒノアラシは一撃で戦闘不能になった。
「ヒノッ……」
「ヒノアラシ……コレがポケモンリーグ優勝者のポケモン」
一撃で戦闘不能になったヒノアラシを見て心配そうにしながらもモンスターボールに戻すヒリメオ。
リザードンを見てヒノアラシにぶつけたブラストバーンが桁違いの威力を秘めている。自分の周りにいるポケモンよりも遥かに強いのだと息をゴクリと飲み込んだ。
「いくよ、イワーク」
「イワァ!」
「さぁ、どうする?」
「イワーク、アクアジェット!」
今まで下げていた物理防御力はこの為にあるとイワークにアクアジェットを使わせる。
勝てないと分かっていて負けるつもりで挑んでいる割にはしっかりと作戦は考えている。ブラストバーンの反動で動けなくなっているリザードンにイワークにアクアジェットが命中する。リザードンは突き飛ばされたがケロッとした表情で起き上がった。
「そんな……」
「フハッ……ここは原種と同じか」
攻撃力ポッポと言われているだけあってか、クリスタルのイワークのアクアジェットはヒノアラシのにらみつけるで防御力が下がったリザードンに通じなかった。クリスタルのイワークとの間に大きなレベル差があるから仕方ねえとは言え仕方がねえ。
あの状況でのアクアジェットならばかなりのダメージが入ったと思うが入っていないと。
リージョンフォームは種族値が異なったりするが、クリスタルのイワークは原種のイワークとタイプが違うだけで種族値が同じか。
「リザードン、かえんほうしゃだ」
「グォウ!」
「イワァ!?」
アクアジェットを完全に、いや、余裕で耐え抜いたリザードンはかえんほうしゃをクリスタルのイワークに浴びせる。
クリスタルのイワークは苦しそうな声を上げた後に真っ赤に染まりそのまま倒れた……みず・はがねとエンペルトしか持ってない優秀な複合タイプだが、特性のせいでほのおタイプが弱点か……
「負けちゃった……あ〜もう!ハナミヤくんったらホントに容赦ないね!」
「んなワケねえだろう。コレでも大分譲歩してんだぞ?」
こっちはリザードン1体、向こうはヒノアラシとクリスタルのイワークだ。
ヒノアラシがにらみつけるを連発した時点でクリスタルのイワークの物理攻撃狙いだと分かった。ヒノアラシを即座に倒すことが出来たがあえてせずに待った後に攻撃しクリスタルのイワークの攻撃を真っ向から受けた。
その気になりゃクリスタルのイワークもヒノアラシも一撃で倒せていた。
ヒリメオがどれだけやるのかの確認の為にわざと手を抜いていた。何かをする前に倒したら意味は無いからな。
「まぁ、ちゃんと出来る奴でよかったよ」
クリスタルのイワークに賭けるとヒノアラシににらみつけるを重点的に使わせた。
根性だの気合いだの言わずになんとか一矢報いる方法を見つけ出した。はじめてのポケモンバトルでこれならば問題は無いだろ。
「えへへ……褒められちゃった」
「イワークとヒノアラシをポケモンセンターに連れてくぞ」
「ここ、ポケモン研究所だからウツギ博士に見せた方がいいんじゃないの?」
「俺のジョウトリーグの参加申し込みと旅のルートの算出、後、お前に色々と教えるんだよ……ポケモン貰わないとポケモンセンターで世話にならねえだろ」
「あ、そっか。それもそうだね」
ったく、賢いんだか賢くないんだか分からねえな。
ゲームでは出てこないワカバタウンのポケモンセンターに向かう。ここがポケモンセンターなのかとヒリメオはワクワクしているが、これから何度も何度も世話になる場所だし、そんなビックリ施設じゃねえぞ。
「旅に必要な食料とかも買い込むぞ」
「うん。私達のご飯とポケモンのご飯だよね」
「ああ。市販で売られている奴は一般的に好まれる味であって個体によって好き嫌いがあるから……」
「どうしたの?」
「…………いや、なんでもない」
「……?」
ポケモンフーズのことを話題に出し、ほのおタイプのポケモンが好むポケモンフーズが入っている容器を鞄から取り出そうとする。
その時に俺は気付いた。サンタクロースに出会いが欲しいと頼んだら良縁に結ばれるお守りを貰った。そのお守りを肌見放さずとは言わねえが、鞄にずっと入れていた……それが無くなっている事を。
「…………」
お守りを入れている位置は固定だ。
なのに無くなっている。そして美少女と一緒に旅をすることが決まった……コレが良縁ってか?……もうちょいちゃんとした出会いを寄越せや。