ヒリメオと一緒に旅をすることになった。
今のところはヒリメオがなにか大きなトラブルを持ち込む様な真似をしていない。
子供向けのアニメだからサトシをどうしてもバカとして扱わないといけない。
ヒリメオもバカな人間かと思ったが勉強はしっかりと出来る……中身がバカは好きだが正真正銘のバカは嫌いだからこれでいい。
「う〜ん……なにをゲットすればいいのかな?」
現在ヒリメオの手持ちはヒノアラシとクリスタルのイワークの2体だ。
地方リーグ出場をするのに必要な条件の1つである所有しているポケモンが種族が重複せずに6体以上を目指さないといけねえ。
既にポッポやオタチなんかのジョウトじゃメジャーなポケモンとは遭遇している。
だが、ヒリメオはポンポンとモンスターボールを投げない。ゴウの様にポケモン図鑑を揃えるを目標にしているわけじゃねえ……つか、この世界で図鑑コンプリートした奴って居るのか?って話だ。
「まぁ、とりあえずは一通りのタイプを揃えるだな……自分がこのタイプを扱いたい!ってのがねえだろ?」
ヒリメオがアドバイスを求めるので一通りのタイプを揃えるとアドバイスを入れる。
この世界の住人は知識に偏りがある奴が多いせいで、ポケモンのタイプに偏りがある奴が多い。偏りがあるのは悪とは言わねえ、現に上澄みも上澄みである四天王はタイプに偏っている。
ただし、チャンピオン等になるとタイプの偏りは少ない。最強のチャンピオンであるダンデとシロナは偏りが無い。
あるのはミクリとワタルの2人。ミクリは最も数が多いみずタイプだから差別化が出来る。ワタルは種族として優秀であるドラゴンタイプで、ドラゴンタイプじゃないがタマゴグループでドラゴンに該当するポケモンも持ち合わせている。
「ただ、ゲットするって決めたならば責任は持てよ」
サトシの奴はケンタロス30体を放置するとかいう暴挙に出ている。
カビゴンやベトベトン、オコリザルも普段は研究所に居るらしい……ただでさえ数が少ないってのに自分の貴重な戦力を手元に置いてなにが出来てなにが出来なくてなにが出来るようになりたいってのを考えてないのは理解が出来ねえな。
ヒリメオがゲットしたポケモンはウツギ博士が管理してくれる。だから余計な事は考えなくても問題は無い。
ただしゲットしただけで特になにもしないのは意味が無い。愛玩動物としてポケモンを可愛がっている奴は居るが、ヒリメオはポケモントレーナーとして活動する。チラリとは聞いたがコーディネーターなんかも興味があるが、まずは成果を出してもらわなきゃ困るから今シーズンはポケモントレーナーとして活動をしてもらう。
「にしても……枯れてんな」
ポケモンを探すことになったのでポケモンを探していれば樹木が朽ち果てている情けない姿を晒していた。
なんかあったのは確実で、いったいなにがあったのか?まさかとは思うがオヤブン個体が現れて生態系を荒らしてんじゃねえだろうな?
「くんくん……」
「なにしてんだよ?」
「この木から甘い匂いがするの!……これってもしかして樹液が出る木じゃないかな?」
どうなってんだと思っていればヒリメオはクンクンと匂いを嗅いでいる。
俺は感じないがヒリメオは木から甘い匂いがしているのを感じ取った。ヒリメオは樹液が出る木じゃないのかと考えた。
「樹液を絞り尽くしたから潰れるってか?フハッ……どんだけ食いしん坊だ」
「甘いものには目がないのはポケモンも人間も変わらないんだよ!」
俺の好物はカカオの割合が高いブラックチョコレートだ。苦さを際立たせる甘みはいいが甘さを際立たせる苦みは要らねえよ。
ヒリメオは食いしん坊なポケモンが食べ尽くしたのだと考察をする。この感じだと当たってはいるだろう。
「出てきて、ヒノアラシ」
「ヒノ!」
「あ?」
「樹液を好んで食べるのはむしタイプのポケモンだからね!ほのおタイプのヒノアラシとバトルして弱らせてゲットしないと」
「……そうか」
色々とバカっぽい雰囲気があるにはあるがしっかりとヒリメオは考えている。
ヒノアラシでむしタイプのポケモンをゲットする、極々普通の事だ。
樹液が出ている木があるってことはポケモンの住処がある。
むしタイプ同士が飯である樹液の出る木の縄張り争いの激闘を繰り広げている可能性が非常に高い。
ただ問題はなんのむしタイプのポケモンかだ。
むしタイプのポケモンは当たりとハズレの差が激しい。バタフリーやスピアーみたいな序盤のむしポケモンはハズレだ。かと言ってテッカニンやヌケニンみたいな尖った性能も扱いづらい。
むしタイプのポケモンは強い奴は強いが、扱いづらい。
俺もクワガノンをゲットしたが、クワガノンをゲットした理由がムシZを手に入れてまだむしタイプのポケモンが居ないからゲットした。じゃなきゃゲットする理由が無い。
サファリゾーンに行った時にストライクはゲットしなかった。
ストライクはハッサムになるが、ハッサムはむしタイプとしてじゃなくてはがねタイプとして扱うポケモンだからな。
むしタイプで一番使われてる技のとんぼがえりは……敵を倒すのをメインとして扱ってるわけじゃねえからな。
「ラクロ!」
「あ、居た!よーし!」
「待て。群れで居るから危険だ」
ヘラクロスを見つけたが十数匹ほど居る。1体だけならばヒノアラシで襲っても問題は無いが十数匹となれば話は別だ。
1体のヘラクロスを怒らせたとして連鎖的に他のヘラクロスに襲われる可能性もある。そうなったら確実に負ける。
「でも、ヘラクロスって気は優しくて力持ちなポケモンだよ?」
「甘く見るなって話だ……つか、なにしてんだあのヘラクロス達?」
「あ、バタフリーも来た!」
ヘラクロスは気は優しくて力持ちのポケモンだから襲っても問題はないとバカな事を言うヒリメオ。
そんなに甘くはねえ。それならばもっとポンポンとポケモンをゲットする事が出来ると思っているとバタフリーが飛んできた。
バタフリーとヘラクロスは敵対関係じゃない……むしろ仲良しな関係性だ。
ヘラクロスは角を用いたれんぞくぎりで木を伐採する……既に樹液を絞り尽くしている木で枯れている。ヘラクロスにとっては不要な木だが必要な物だとヘラクロス達は運んでいった。
「カイカイ!」
「今度はカイロスの群れ……なにをしてるんだろ?」
「カイロス達のリーダーを決める為の戦いが始まるんだ」
「……貴方は?」
ヘラクロス達を追いかけてみれば今度はカイロス達の群れを発見する。
カブトムシとクワガタだからライバル関係に近いところがある。バタフリーと違って仲良くする事が出来るタイプのポケモンじゃない。いったいなにをやってんだと思えば1人の男性が声をかけてきた。
「僕はモリオ……見たところ君達はポケモントレーナーだね。ポケモンをゲットするのは構わないが少し待ってくれないかな?」
「なんでだよ?」
「実はつい先日、カイロスの群れの住処をロケット団に荒らされてね。幸いにも撃退はされたんだけど、その時にカイロス達はなにも出来なかったんだ。人間がカイロス達の生態系を荒らしたからカイロス達は次こそはそういう事をされない様にしよう!って群れのリーダーを決めようとしているんだ」
「そうなんですか……でも、なにをするんです?お相撲?」
カイロス達の住処を荒らしたという話を聞いて多分、あの3人組とサトシのヘラクロスの一件だと気付く。
ヒリメオも群れのリーダーを決める争いをしているのが分かれば下手に襲うのは一旦止めて見守ることを決めた。
群れのリーダーの争いをする。
それだけならばカイロス同士でどうにかなるもんだが、バタフリーとヘラクロスが協力をしている。ヒリメオは今から相撲でもするのかと聞いたがモリオは違うと否定した。
「カイロスの一番の武器はなんだと思う?」
「あのハサミです!」
「そう、あのハサミだ……だから誰が一番力のあるハサミを持っているのか競うんだ」
それって人間昆虫カブトヘッド5✕5=25みたいなカブトバトルじゃねえよな?
ヘラクロスと軽く小競り合いになったりしたし、しっかりとしたリーダーが欲しいとヘラクロスやバタフリーも思っている。
ハサミの品評会って何をするんだと思えばバタフリーがいとをはくを使った。
ヘラクロスが持ってきた木に糸を縛り付ければヘラクロスが羽ばたいて木を持ち上げた。カイロス達は頭を下げた状態になった……っておい、これってポケモンスタジアム金銀のミニゲームのやつじゃねえか。
バタフリーが合図を告げればヘラクロス達は木を手放した。
カイロス達のもとに木が落ちてきて……カイロスは自慢のハサミを用いてシュパっと切り裂いた。
「ラクロゥ!!」
シュパっと木を切り裂き終えたらヘラクロスが叫んだ。
カイロス達は頭を上げてピクリとも動かない。バタフリー達がカイロスが切り裂いた木のもとに向かいなにかをチェックする。
「フリー」
バタフリーがチェックを終えれば2体のカイロスが前に出てくる。
1体は通常のカイロス、もう1体はオヤブン個体並みにサイズがあるカイロス……どっちが選ばれるのか?と言うことになっており……選ばれたのは通常個体のカイロスだった。
「カイ!」
「カイカイ!!カィ!」
「なんか怒ってるね」
「敗北したのを認められねえんだろ?」
カイロスが斬った木を見る。
通常個体のは綺麗に一直線に切れているが、オヤブン個体のは乱雑に切られている。
カイロスの売り文句はなにを言っても自慢のハサミだ。
そのハサミを用いた、いあいぎりを上手く使いこなせるかが強さの象徴みたいで、それを群れのリーダーとして決める理由にしている。
だがオヤブン個体のカイロスは異議を唱えた。
純粋にバトルをすれば自分が勝つことが出来るはずだ!と、こんな感じの審査じゃなくてバトルを用いての審査にしてくれと。だが、バタフリーもヘラクロスも、群れのカイロス達もそれを承諾しなかった。
「カィ……カィイイイイ!!」
通常個体のカイロスが群れのリーダーとして認められた。
コレで一件落着かと思えばオヤブン個体のカイロスは認められるかと目を赤く輝かせた。このまま暴れるんだろうなと思ったが、ここにはヘラクロスの群れとバタフリーの群れとカイロスの群れが居る。
オヤブン個体として実力は確かだが相手が悪すぎる。
バタフリーに状態異常にされヘラクロスにボコられ……群れのリーダーを決める為の条件を皆で決めたのに飲み込むことが出来なかったとカイロス達はオヤブン個体を見捨てた。
「フハッ、バカだな」
群れのリーダーとして力を誇示して威張りたいんだろうがそんなに甘くねえんだよ。
ただ強いだけが群れのリーダーじゃねえ。他にも幾つか条件を満たさないといけない。例えポケモンの強さが腕っぷしで決まるとしても、それだけしか才能が無い奴は使えねえんだよ。
「モリオさん、もうゲットしてもいいですよね?」
「ああ、もう大丈夫だ」
カイロスの群れのリーダーを決める為の戦いは終わった。
ヒリメオがポケモンのゲットをしていいのかの確認をすればモリオはもう大丈夫だと言った。
ヒノアラシになにか指示を出すのかと思ったが特に出さずにヒリメオはモンスターボールを取り出し……オヤブン個体のカイロスに渡した。
「カイロス、私と一緒に旅をしようよ!」
「カィ……」
「パワー自慢なんだよね!だったらここじゃなくてもっともっと広い場所に行けるよ!」
ヘラクロスでもバタフリーでもなく、さっき敗れたオヤブン個体のカイロスにモンスターボールを渡した。
ヒリメオはこのカイロスがいい!と直感的に感じ取って決めたみたいでカイロスを勧誘する。カイロスはモンスターボールを見つめた後、モンスターボールに触れた。
「よし!カイロス、ゲット!」
「……ヒリメオ」
「なに?」
「お前はなにしてんだよ……一歩間違えたら大怪我するとこだったぞ?」
力を持っているからと威張っているオヤブン個体のカイロス。
ついさっきボコられたから凶暴性は減っているとはいえヒノアラシでバトルに挑まずにそのままカイロスにモンスターボールを渡した。
「大丈夫だよ。私、こう見えても結構頑丈だから」
「アホ。心配する奴が居るんだよ!」
カイロスに襲われたとしても自分は頑丈だから問題は無いと言い切る。
頑丈だからって攻撃を受けていい理由にはならねえ。なにバカな事を言ってんだと若干キレ気味に言えば……ヒリメオはポロっと涙を流した。
「ち、ちが……コレは悲しいんじゃなくてその……えっと……ありがとう。ハナミヤくん」
「怒られてお礼を言うとか気持ち悪いことすんじゃねえよ」
自分を心配して怒ってくれる人が居てくれて嬉しいという思いをして涙を流している。
まだ出会ってそんなに時間が経過していないが分かる。コイツは頭がいいがバカなのが……ったく、気持ちのいいバカだな。