「もう1回!いくよ、ヒノアラシ!」
「ヒノ!」
1つ目のジムがあるキキョウジムを少し迂回したルートを通っている。
理由は2つ、確実にヒリメオが勝利する為にポケモンの育成を重視すること。
ヒリメオはバカっぽいだけでバカじゃない。
普通に勉強が出来るタイプの人間でヒノアラシになにをどういう風にすればいいのかについて考えている。
「かえんぐるま!」
「リザードン、受け止めろ」
ヒノアラシをほのおタイプのポケモンとして育てている。
いきなりのかえんほうしゃは難易度が高く、まずはとかえんぐるまを覚えている。
レベルが上がれば勝手に覚える技なだけあってか割とあっさりと覚えれる。
ポケモン図鑑にヒノアラシがかえんぐるまを覚えたことを表記されている……かえんぐるまはヒノアラシの武器になる。
「フーディン、コツを教えてやれ」
「ディン」
ヒノアラシは意外と技のレパートリーが豊富だ。リザードンが使えないエスパータイプのじんつうりきを使える。
フーディンを呼び出しているからフーディンにエスパータイプの技を覚えるキッカケを与える。
「…………」
「どうした?」
「いいのかなって……クリスタルのイワークなんて珍しいポケモンが貰えて、ポケモンリーグで優勝したハナミヤくんがマンツーマンで鍛えてくれる。この前ゲットしたミロカロスも色違いで、ホントに良いことだらけでそろそろなにかバチが当たらないかなって」
「んなもん気にしてどうすんだよ?バチが当たらないかって言うならば与えてみろって話だ」
ヒリメオは自分が物凄く恵まれた環境に居ることについて自覚をしている。
物凄く恵まれた環境に居るからその分の成果を発揮しなきゃ!と勝手にプレッシャーを与えたりするかと思ったが意外にもそういう面は無い。ただホントに恵まれた環境下に居るからそろそろなにか不幸なイベントが起きるんじゃないのかとなっている。
「言っとくがよ、コレでも勝てないのが現実なんだぞ」
「え?」
「俺が教えたりしててお前は周りよりは伸びている、それは確かだ。だがそれでも勝てない……俺の同期にシゲルって言うオーキド博士の孫がいる。そいつがポケモンリーグに出た結果は1回戦負け。能力は確かだが、それでも負けるんだ」
負かしたのは俺だが言っておかないといけないと言っておく。
凡人が努力しても無駄だなんだとは言わねえ。ヒリメオは才能がある方の人間だ。と言うか俺の計画ではそういう風になってもらわなきゃ困る。サトシに無様な醜態を晒してもらわないといけない。
ヒリメオには上を目指してもらう。ヒリメオ自身も上を目指す意思はある。
「上は怪物の住む世界だ……恵まれてるだなんだと罪悪感だなんだくだらねえもん感じてる暇あるなら、恵まれなかった凡人を蹴散らしてより高いところに行け。そうすることではじめて凡人は報われる」
「……ハナミヤくんって、時折とんでもない事を言うよね」
「フハッ……勝つ以外に報われる方法は負かした奴が勝ち続ける事だけだ」
自分と互角の勝負を繰り広げた相手が次の試合であっさりと負けた。それはハッキリと言えば悔しいとかそういう思いじゃない。
優劣を決める為のトーナメント形式の戦いだ。ポケモンリーグに出れるってことはある程度の実力は持っている。コイツは強いと自分と互角に渡り合える奴が居たとして、そいつに負けた。
気持ちのいい負けだなんだとほざくが負けは負けだ。
「俺に勝ったんだから優勝しろなんて台詞、綺麗事どころか最悪な言葉だね……次に戦う相手にあっさりと負ければ自分は1番でもなんでもない何番目かも分からない惨めな思いをする」
とにもかくにも勝ち続ける、負けた奴の思いを背負うと言うのならばそれで負けたらそいつに負けた奴はもっと惨めになる。
才能を持った人間がすることは勝利、勝ち続けることで手が届かない世界を見せつけて眩い光となれる。栄光の影になることで凡人は報われることがある。
「凡人の努力が無駄とは言わない。だが報われるかどうかは別だ……っと、無駄話が過ぎたな」
ヒノアラシにかえんぐるまとじんつうりきの特訓をさせる。
フーディンが指導者として立ってくれているからかヒノアラシはエスパータイプの力を使うことが出来た。まだじんつうりきには程遠いが、エスパータイプの力を使うことが出来たのでこれから段階を踏んでいけばじんつうりきになるだろう。
「……アローラライチュウかな!」
キキョウシティへの道を少しズラしたもう1つの理由はでんきタイプのポケモンを捕まえることだ。
キキョウジムはひこうタイプのジムで使用ポケモン3体、ヒリメオの戦力はヒノアラシ、クリスタルのイワーク、ミロカロス、カイロスだ。
クリスタルのイワークは、はがねタイプでもある。いわタイプの技も覚えているからまずはクリスタルのイワークだ。
カイロスが一番レベルが高いが相性が悪いからカイロスは出さない。最初のジム戦で特に相性が良くも悪くもないから最初のポケモンのヒノアラシを出す。
そうなると残りの1体がある。
ミロカロスは今回は出さないでおくとヒリメオは決めて、持っていないでんきタイプのポケモンのゲットを試みる。
でんきタイプと言っても一口に色々とある。
流石にゼクロムやボルトロスは無理だが、出来る限りはヒリメオの要望に沿うようにした結果、アローラライチュウが欲しいと言い出した。
「アローラライチュウね……まぁ、ここじゃ絶対にゲット出来ねえからピカチュウを探すぞ」
メリープとかラクライとか色々とある中でアローラライチュウが欲しいと言い出した。
アローラのライチュウだからアローラライチュウだ。ジョウト地方じゃ絶対にゲットする事が出来ねえ……コレで自動的にまたアローラに行ってZワザ会得コースになる。
クチナシさんに紹介すりゃめんどくせえからライチさん辺りだな。
「ねぇねぇ、ピカチュウを見なかった?」
ゲームじゃピカチュウの生息地は不明だったりする。この世界じゃ生息地はホントに当てにならない。
何処に行けば確実に会えるなんて保証は殆ど無いに等しい。ただ……同じタイプのポケモン同士ならばなにか分かるかもしれない。ヒリメオはポケモン図鑑でメリープにピカチュウの画像を見せる。
「メェ!」
「知ってるんだね……何処かな?」
ピカチュウが何処にいるのかをメリープは知っていた。何処に居るのかを聞けばメリープは案内をしてくれる。
草原から森に移動した。森にピカチュウが生息している事があるからここに生息しているんだろうなと思っているとピカチュウを発見した。
「尻尾的に♂の個体か」
「よーし、まずは逃げられないようにしないと!」
尻尾がハートじゃないので♂の個体のピカチュウだ。
ヒリメオは早速ゲットしようとする……開幕のモンスターボールでなく、オボンのみをポロックにした物を出した。
「ピカチュウ、ポロックだよ!」
いきなりポケモンバトルに挑んでもいいが、ピカチュウは足が速いポケモンだ。
この世界はポケモンが逃げると言う選択肢を持っているので逃さないようにしないといけない。逃さない為に万人受けするオボンのみをポロックにした物をピカチュウに渡した。
「ッピ」
「あ?」
ピカチュウはポロックを食べなかった。
俺達の事を警戒しているのかと思っているとヒリメオはピカチュウに手を翳す。
「え!?」
「どうした?」
「今からごはんを食べに行くから無理だって」
ピカチュウは飯を飯で断った。
既に誰かとご飯を食べる約束をしているのか?と思ったがピカチュウは走り出し、オボンのみが実っている木にやってきた。
ピカチュウはオボンのみを落とす。パクリとオボンのみを食べるのだが基本的には無表情である。
オボンのみは美味しいきのみだが無表情って……いったいどうなってんだ?
「う〜ん……あのピカチュウ、結構変わってるね」
「そうか?」
「マイペースな性格と他人に迷惑をかけるのがめんどうで自分の世界を持ってるって感じ」
何処の声優だよ……飯を飯で断るといいかなり独特の感性をヒリメオは持っていると気付く。
なんでそんなんが分かるんだよと思いながらもヒリメオはモンスターボールを取り出した。
「いけ、ヒノアラシ!」
「ヒノ!」
「あのピカチュウをゲットするよ!ひのこ!」
「ヒィ!」
ピカチュウのことを気に入ったのかゲットするとヒノアラシを出した。
ヒノアラシはピカチュウに向かって先制攻撃だとひのこを当てればピカチュウはビクッと驚いた。これで戦闘態勢に入るか……と思ったらでんこうせっかでヒリメオのもとにやってきた
「っ!」
「ピカ」
「え?」
ヒリメオに向かって掟破りのダイレクトアタックを噛ますのかと思ったが違っていた。
なにかを要求しておりピカチュウは寝転んだ。クイクイと指を動かしており、ヒリメオは手をかざした。
「ポケモンバトルするのめんどくさいって……」
「フハッ……どんだけだよ」
ヒリメオの言うようにマイペースな性格をしているピカチュウ。
他人とのコミュニケーションを嫌っているわけでなくめんどくさいと思っており、嫌な事を嫌だとハッキリと言う。ポケモンバトルするのをめんどうだからとボール投げるなら投げれば?となっている。
ミロカロスもといヒンバスの時は自分がミロカロスになるのにトレーナーの力が必要だと判断しての行動だ。
だが、ピカチュウはゲットされる事を拒んだりとかそういう事は特に無くてするなら勝手にしろのスタンスであり思わずヒリメオもキョトンとしている。
「えっと、私はポケモンリーグとコンテストの両方をするんだけど」
「ピカ」
「あ、そうなんだ」
「なに言ってんだよ?」
「パフォーマンスをするのはいいけど、パフォーマンスで歌を歌うならば嫌だって」
完全に何処ぞの声優と同じ事を言ってやがる。まぁ、ピカチュウが覚える歌系の技と言えばチャームボイスとみわくのボイスだ。
戦闘で歌を歌うならば、あくまでも戦闘だからと割り切るけれどもそれでいいの?とピカチュウは聞いている……?
「なんでピカチュウが言ってることが分かるんだよ?」
自分の持っているポケモンならなにを言っているのか大体分かるトレーナーはいる。
だが、自分のポケモンじゃない心を開いていないポケモンはなにを言っているのかが分からない。それなのにも関わらずヒリメオはピカチュウがなにを言っているのかが分かっている。
仕草なんかからピカチュウがなにかを主張しているというのは分かるやつは分かるが、それでも限度がある。
ヒリメオのポケモンがなにを言っていたり考えていたりする能力の高さは明らかにおかしい。
「え、あ、いや、ほら!ポケモンの仕草とかそういうのを見ていたから」
「……ポケモン達の話を聞いたりする前にポケモン達に手を翳していたよな?……お前、まさか」
「っ!?ち、ちが……私は、そんなんじゃ。極々普通のトレーナーだよ!」
ポケモンの声や気持ちが色々と分かっている。そんな事が出来る存在と言えば一つ心当たりがあった。
ヒリメオはそれに該当しているトレーナーだったみたいだが、ヒリメオはその事について必死に隠そうとしている。
「安心しろよ。使えるか使えないかだけだ……怖いだ気持ち悪いだなんて思わねえよ」
「……そう、かな……この力、気持ち悪いって言われて……」
「フハッ、バカな奴等だな」
便利な力を持ってる奴を差別するなとは言わねえが懐柔していた方がなにかといい。
ヒリメオは生まれはトキワシティでポケスペのイエローと同じタイプの力を持っている……イエローと違って感情1つでパワーアップするなんて都合の良い事は無いが、それでも便利な力でも変わりねえ。
結局この心の壁が分厚そうなピカチュウをヒリメオはゲットした。
ヒノアラシ、クリスタルのイワーク、ピカチュウの3体でキキョウジムに挑むことになった。