「君はポケモンリーグを優勝した確かな実力者だ。だが、そこまでだ」
「なにが言いたいんです?」
「世界はまだまだ広いということだ!」
ヒリメオがキキョウジムを突破した証であるウイングバッジを手に入れた。
翌日に俺もキキョウジムに挑む。使用ポケモンは3体で、流石にと言うか俺のことを知っている。
「世界は広いか……まぁ、そうか」
地方リーグを優勝しても今までは手加減されたから上手くいっている。
そう言いたげなハヤト……変な小細工なんざしなくても、本気のジムリーダーぐらい倒せるんだよ
「これよりキキョウジムジム戦を行います!使用ポケモン3体のシングルバトル、交代はチャレンジャーのみ可能!」
「いけ、ヨルノズク!」
「ホー!」
「フハッ……これがね……」
既に地方リーグで優勝し今回試合に使うポケモンは新しくゲットしたレベルが低いポケモンじゃない。
ヒリメオの時は接待のポケモンバトルだと言うのが明らかに分かるほどにレベル差があるヨルノズクを出した。
「いけ、ジバコイル」
「ジバ!」
「ハナミヤくん、頑張れ!」
「そこは頑張れじゃなくて勝てだ」
ヒリメオは観客席で応援をしてくれる。頑張れって言うが俺が頑張ってないとでも言いたいのか?
応援しているのならば頑張れじゃない、楽しめか勝ってこいのどっちかだ。今回は本気のジム戦だから楽しむ余裕はあんまりねえ。
「試合開始!」
「ヨルノズク、さいみんじゅつ!」
「ジバコイル、エレキフィールド!」
ヨルノズクが出てきた時点で幾つかの戦術パターンが思い浮かんだ。
序盤鳥ポケモンの中でも弱い方であるヨルノズクだが、他の序盤鳥ポケモンじゃ出来ない戦術がある。
ヨルノズクにとってジバコイルは天敵だ。
まずは何もさせないのが狙いだろうがそれを見越した上でのジバコイルだ。出してくるのはひこうタイプなのは確定しているから、エレキフィールドさえ使っていれば厄介なさいみんじゅつを無力化してその上ででんきタイプの技の威力を上げる。
「ヨルノズク、めいそうだ!」
「ジバコイル、10まんボルト!」
攻撃に失敗したかと思えばめいそうを使う。
ジバコイルははがねタイプでもあるからエスパータイプの通りが悪い。そうなると狙いはねっぷうだろう。今はエレキフィールドが展開されている。10まんボルトを浴びせるが……ヨルノズクは倒れなかった。
「フハッ……そう来るか」
「ジバコイルの10まんボルトを耐えるなんて……」
物凄く耐久力があるってわけでもないヨルノズク。
使ったのはドわすれでなくめいそうだ。特殊防御力が一段階上昇しているとは言えエレキフィールド状態での10まんボルトを耐え抜いた。今までの連中ならば余裕で倒されていた。
ヒリメオもひこうタイプのポケモンとのバトルを想定している姿を見ている。
ピカチュウに10まんボルトを覚えさせる為にジバコイルが講師を務めていてピカチュウよりもジバコイルの方が遥かに優れた電撃を放っているのを見ている。それでもヨルノズクが耐え抜いたのを見て言葉を失う。
「……ジバコイル、10まんボルトだ!」
「ヨルノズク、めいそうだ!」
10まんボルトを耐えたのは驚いたが、大きなダメージにはなっている。
再び10まんボルトを浴びせにいけば再びめいそうを使う。着実に一歩ずつヨルノズクは力を溜めている。
「……10まんボルト!」
「めいそうだ!」
「ハナミヤくん、別の技を使わないの?」
3度目となる10まんボルトに対してヨルノズクは3度目となるめいそうを使った。
ここまでくれば10まんボルトも軽々と耐えることが出来るようになってきている……だが、ヨルノズクは大きく息を乱している。
めいそうを使って能力を着実に積み上げている間に受けたダメージは大きい。
「ここまで来りゃもう終わりだ!10まんボルト!」
「ヨルノズク、はねやすめだ!」
「っち……そう上手くいかねえか」
めいそうで積み上げたものを無駄にすると10まんボルトを浴びせに行けばヨルノズクははねやすめを使った。
狙いは2つ、ジバコイルの10まんボルトがヨルノズクにとってトドメの一撃になる。だから体力の回復をする。そして軽視されがちのはねやすめのもう1つの効果、はねやすめ中はでんきタイプの攻撃は等倍になる。
「ジバコイル、10まんボルト!」
「ヨルノズク、はねやすめ!」
「……ジバコイル、10まんボルト!」
「ヨルノズク、めいそうだ……よし、エレキフィールドが切れた!」
ヨルノズクに対して何度も何度も10まんボルトを浴びせるがヨルノズクは倒れない。
そうこうしている内にヨルノズクはめいそうを使って更に特殊攻撃力と特殊防御力を上げて待っていたとハヤトは笑みを浮かべた
ここでハヤトは好きなのを選べる。
ジバコイルをねむり状態にするさいみんじゅつかまだ使っていない第4の技か……どちらかを選ぶもしくは選ばせないかの駆け引きに持ち込んだかもしれねえがまだまだだ。
「ヨルノズク、ねっぷう!」
「ジバコイル、ミラーコート!」
「なに!?」
相手が出す手を公表しないのがゲームでのポケモンバトルだがこの世界じゃトレーナーが言わなきゃならねえ。
相手がなんの技を出すのか見てからそれに合わせて技を切り替えれる。
今の今までジバコイルは10まんボルト一択で粘っていた。
ラスターカノンなんかも覚えるが、ヨルノズクに対して最も有効打になるわざは10まんボルトだ。エレキフィールドを敷いているのならば尚更で何度も何度も10まんボルトで攻め続けていた。
ジバコイルの段階で既にレベルが高く、10まんボルトから非常に育てられていることがよくわかる。
10まんボルトとねっぷうがぶつかりあっても、めいそうを使ってパワーを上げているねっぷうが勝つ……んなもん直ぐに分かる。だからこそずっと10まんボルトを使い続けた。
10まんボルトを使い続けることで相手の視野を強制的に狭める。
エレキフィールドが切れた瞬間、さいみんじゅつかねっぷうのどちらかが飛んでくるという心理戦に持ち込ませたと思わせる。だが、実際は違う。トレーナーが指示を出すからそこから後出しが出来るんだ。
ヨルノズクはねっぷうを放つがジバコイルはピンク色のオーラを纏った。
ヨルノズクが放ったねっぷうは倍になって返っていき……ヨルノズクは撃墜した。
「ホォ……」
「ヨルノズク、戦闘不能!ジバコイルの勝ち!」
「っく……読まれていたか」
10まんボルト一択で粘っていたのも全てはこの為だ。
ひこうタイプのポケモン統一で出しているポケモンに対して有利な戦闘を取る。そうなると戦術がどうしてもパターン化してしまう。ジムリーダーがサトシみたいなトリッキーな戦術をするわけでもない。
パターン化されている戦術があるならば揺さぶりをかけてやればいい。
10まんボルトでジリジリと追い詰められている様に見えて逆に追い返してると見せてのこのミラーコートだ。
「いけ、オニドリル!」
「ドゥル!」
「……」
ヨルノズクが戦闘不能になり2体目に出てきたのはオニドリルだ。
この時点でなにをするのかを察した……じゃあ、どういう風に動くのかを考え3体目のポケモンについても考える。
ハヤトの3体目もひこうタイプのポケモンだ。
ただ問題はそれがなんなのか……こっちは相性のいいポケモンで挑んでいる……
「オニドリル、ドリルライナー!」
「ジバコイル、でんじはだ!」
オニドリルは読み通りドリルライナーで攻めてきた。
それは読めているので一発ドリルライナーを受けてからのでんじはを浴びせる。
「がんじょう個体か」
「戻れ……いけ、パルシェン」
「シェン!」
オニドリルのドリルライナーが直撃したが倒れなかった。
その事からジバコイルはがんじょう個体なのが見抜かれたが見抜かれた時点でがんじょうは使い物にならなくなる。
ジバコイルを戻してから出したのはパルシェン。
パルシェンを見たハヤトは考える……オニドリルでどういう風に攻略するのかを考えるが、中々に答えが出ない。
「パルシェン、てっぺき!」
「っ……」
パルシェンはその見た目通り物理防御力が売りのポケモンだ。
てっペキを使うことで更に防御力を上げる。どうするのかとなればハヤトは焦る。
「オニドリル、はがねのつばさ!」
焦ったハヤトはオニドリルにはがねのつばさを使わせた。
はがねのつばさはパルシェンに当たるがパルシェンは僅かだが後退りする程度で大きなダメージは受けていない。
「やはり硬いか……」
パルシェンが防御力が売りのポケモンなのも重々承知しているのでハヤトは苦い顔をする。
ヨルノズクならば搦手を使うことが出来たがオニドリルは攻撃技が主体だ。でんきタイプに強いじめんタイプのドリルライナーを使えるのは強いが他に売り文句は無い。
一応はねっぷう等を覚えるがパルシェンはみずタイプでもある。
下手に撃って技の枠を無駄に消費してみずタイプの技でカウンターされればやられる。ヨルノズクの時と違ってめいそうを使うことは出来ない。
「パルシェン、一本つららばりだ!」
「シェン!」
「なっ!?」
パルシェンにつららばりを1本に凝縮した1本つららばりを使わせる。
速度もパワーも桁違いでオニドリルは撃ち落とされる……だが、倒れない。
「つららばりを面白い使い方をするね……オニドリル、はねやすめ」
「一本つららばり!」
やはりというかはねやすめが厄介だ。
一時的にひこうタイプである事を失い体力を回復する。一本つららばりでオニドリルに大きくダメージを与えたがはねやすめで回復されつららばりを当てるがさっきより効いていない。
「ひこうタイプなんて世間じゃでんきタイプでイチコロなんて言われてるけど、こういう戦術もあるんだ!オニドリル、はがねのつばさ!」
「パルシェン、今度は一列連射型のつららばりだ!」
「シェン!」
「ドゥ!?」
「なに!?」
「フハッ……逆を想定してねえわけねえだろう」
オニドリルの有効打ははがねのつばさのみ。
特殊攻撃で攻撃する事はせずに普通に攻めてくるのでやりやすい。一本に凝縮したつららばりとは逆、更に回数を細かく刻んだ小型のつららばりを使う。一本つららばりと総合的な威力は同じだ。だが、この小刻みのつららばりには仕組みがある。
オニドリルのはがねのつばさは翼を硬質化させている。
胴体の部分は当然普通でありそこに何発もつららばりをぶつけることでオニドリルの体勢を崩して地面に落とした。
「っ、はねやすめ!」
「そいつを待っていた!飛ぶタイミングでつららおとしだ!」
地面に落ちたタイミングでオニドリルは即座にはねやすめを使った。
そこで更に攻撃を受けていれば負けると回復とひこうタイプの削除に走ったんだろうが、それはもう学習済みだ。オニドリルははねやすめで体力を回復した。そして消えていたひこうタイプが戻った瞬間、オニドリルの頭上からのつららが落ちてきてオニドリルを下敷きにした。
「ドゥ……」
「オニドリル、戦闘不能!パルシェンの勝ち!」
「っく……残り1体か……」
つららばりを直撃したオニドリルは戦闘不能になった。
コレでハヤトのポケモンも残すところ後1体となった。相性のいいポケモンで挑んでいるから当然と言えば当然の結果だがハヤトはまだ諦めない。
「いけ、ピジョット!」
「ジョット!」
ハヤトの3体目はピジョット……捻りが無いな。
「本来ならば全力のジム戦でしか使わないが君は別格だ!大人げないのは承知の上で使わせてもらう!ピジョット、メガシンカだ!」
「フハッ……容赦ねえな」
本気のジム戦では使わないと制限をしているみたいだが、ここまで追い詰めた俺は別格だと思っている。
ピジョットナイトを装備しているピジョットをハヤトはメガシンカさせてメガピジョットにさせた。
「ピジョット、ぼうふうだ!」
「パルシェン、まもる」
メガシンカをしてくる相手なんてホントに数える程度だ。
ピジョットがぼうふうを使ってくるが今までのポケモンの技と威力が比べ物にならない。パルシェンがコレを受けるのは厳しいとまもるでぼうふうを防いだ。
「悪いが、こっちも本気で行かせてもらう。審判、ベースはつららおとしだ!」
メガシンカが出てきた以上はここからの逆転も普通にありえる。3体目にはエレブーを登録しているが決着を早々につける。
コオリZをZパワーリングに装填し、ゼンリョクポーズを取った。
「レイジングジオフリーズ」
「ピジョット、ねっぷうだ!」
「無駄だ!」
Zワザをメガシンカで会得したパワーで対応をしようとするが出来ない。
熱い空気が生まれるが直ぐに空気が一転して冷たい空気が生まれてレイジングジオフリーズでピジョットをカチンコチンに凍らせピジョットは倒れてメガピジョットから通常のピジョットに切り替わった。
「ピジョット、戦闘不能!パルシェンの勝ち!よって勝者、チャレンジャー!」
「……コイツは通じるか」
メガピジョット相手にレイジングジオフリーズを当てた。パワーは上がっていても耐久力はそこまで上がっていない。
ベースがつららおとしな事もあってか物理判定であり、メガピジョットを一撃で倒した。
「負けたよ。コレがキキョウジムを制した証って、昨日も見ているか」
負けを素直に認めハヤトは昨日ヒリメオに渡したのと同じ物、ウイングバッジを出した。
ウイングバッジを貰ったのでここに居る理由はもう無いと思っていればヒリメオは放心状態だった。
「なにしてんだよ?」
「え?……あっ、ああ……ハヤトさん、強かったけどハナミヤくんが軽くそれを上回ってスゴいなって」
「フハッ……相手が単調だから勝てたんだよ」
ギャラドスとかリザードンとかスピンロトムみたいなひこうタイプがおまけ要素なポケモン相手ならばもっと苦戦していた。
鳥ポケモン重視だったから作戦が上手くいった……最後に残しているエレブーを出さずに勝てた。
ハヤトは本気で挑んだ。
多分だがこの本気はジムバッジを8個集め終えたトレーナーに対して挑む本気で全力じゃねえ……まぁ、全力で挑もうが本気で挑もうがどうでもいいんだがな。
ヒリメオはスゴいバトルだったと興奮をしているが、俺からすれば単調過ぎて読みやすいバトルだった。
まだ1個目だからなんとも言えねえがあんまりにも歯応えが無い可能性がある……まぁ、ジムリーダーの強弱の差は激しいからなんとも言えねえな。