「待っていたわよ!」
「あ?」
「ハナミヤくん、知り合い?」
キキョウジムを制覇して次のジムがあるヒワダジムを目指すこととなった。
旅の道中に堂々と1人の女性が待ち構えており、俺のことを待っていたと言っている。
「……誰だよ、あんた?」
「匂うわ!貴方から強力な匂いがするわ!」
「え、嘘?ハナミヤくんってむしろフローラルな香りがしますよ!?」
「おい、どっちも怒るぞ」
俺から匂いがすると言っているのだがヒリメオが俺からする匂いはフローラルな香りと言う。
なにサラリと俺の匂いを覚えてんだよと青筋を立てながらも、一応は遭遇する事が出来て良かったのだと心の中で安堵をする。
「違うわよ。彼からリザードンの匂いがするの!それもとびきり極上のリザードンの匂いが!」
「え〜……フローラルな香りしか感じませんよ。というかあなたは?」
「あたしはジーク……ここから少し行ったところにあるリザフィックバレーの管理人よ」
「リザフィックバレー?」
「そう!リザードンの聖地でもあり自然保護区でもある場所よ!」
女性が誰なのかをヒリメオが聞けば自己紹介してくれる。
ジーク、リザードンの聖地であるリザフィックバレーの管理人を務めている人であり……リザードンに関してこの上なく詳しい。
ジークさんはモンスターボールを取り出して投げればリボンを付けたリザードンが出てきた。
「貴方の事は知っているわ。去年のセキエイ大会のチャンピオンで、リザードンを使うのよね!」
「まぁ……ただリザードンが俺の絶対的なエースかと聞かれれば話は別ですが」
サトシがここ一番の時にはリザードンを使うが俺はここ一番の時にこのポケモンを出すというのを決めていない。
理由は色々とあるが、やっぱり決め手になる材料が欠けている事だ。今の俺はZワザを持っているが他は持っていない。
Zワザは必殺技でありポケモンそのものを変化させるものじゃない。
強烈な一撃をどのポケモンでも使えるようになるという万能性な利点があるが逆にコイツにしか出来ないと言う売り文句が無い。
一応ルガルガンZなんかを持ってはいるが、今の俺にルガルガンをゲットする理由は無い。
本格的なエース運用なんかを考えるのならばテラスタルやメガシンカが必要になる。
Zワザは決定打や状況を変えるのに使えるが、盤面を有利にして進め続けるのには向いていない。
「ハナミヤくん、ジークさんが出したんだしハナミヤくんも出さないと」
「ったく……出てこい」
「グォオウ!」
ジークさんがリザードンを出したから俺もリザードンを出すのが礼儀と言う謎の礼儀を持ち出したヒリメオ。
リザードンを出せば高らかに吠えた……が、ジークさんは少しだけガッカリしていた……
「俺のリザードンになにか不満があるんですか?」
「いえ……この上ない極上のリザードンよ。ここまで高レベルのリザードンは早々にお目にかかれない……んだけどね……」
「ハナミヤくんのリザードン以上のリザードンが居るんですか!?」
「ええ。野生のじゃなくてトレーナーのリザードンだけれど」
俺のリザードンよりも更に上のリザードンがいる。
リザードンをエースとしているネームドキャラは何人かは居るからその内の誰かだろうが、いったい誰だよ?
「彼は凄まじかったわ……リザフィックバレー最強クラスのリザードンを軽々と倒したのだから」
「そんなに強いんですか……ハナミヤくん、負けてられないよ!」
「……とりあえず、そのリザフィックバレーってのを見せてくれませんかね?そこにリザードンが沢山居るのなら俺のリザードンとどう違うのかを見てみたいです」
「そう言うと思った!ついてきなさい!」
ジークさんは自分のリザードンに乗って飛んだ。俺とヒリメオは俺のリザードンに乗って飛んだ。
重たい物を持ち上げる訓練をしているから俺とヒリメオを乗せてもジークさんのリザードンと同等の速度を出すことが出来ている。
「ここがリザードンの聖地、リザフィックバレーよ」
リザフィックバレーの入口に辿り着きジークさんがそう言うとゴゴゴと門が開いた。
右を見ても左を見てもリザードンが生息しており、大きいリザードンから小さなリザードンまで色々と居る。俺のリザードンは平均的なサイズだ……ネブヤみたいに図体をデカくする特訓をしてねえから平均的だが、それでも充分に強い。
「グォウ!」
「あ、燃えてる!見るからに強いのを見ると燃えちゃうよね!」
「見るからにじゃないわよ。ホントに強いのよ……試しに好きなリザードンに挑んでみたらどうかしら?」
「リザードン、どうする?」
無数のリザードンが群れとして生息しているのを見れば闘争本能をむき出しにするリザードン。
ヒリメオは同じリザードン同士だから熱いものを感じ取っているのだなと感じ、ジークさんは腕試しの許可をくれた。
リザードンは門の中に入る。
ズシンズシンと歩き出して何処かに強いリザードンは居ないか捜していると……渓谷なのに綺麗に生えていてほのおタイプが好むきのみが実っている木の下で寝そべっているリザードンを見つけた……
「フハッ……大物狙いだな」
「あのリザードンを選ぶなんて……あの子のリザードンと同じね!」
「あのリザードン、そんなにスゴいんですか?ハナミヤくんのリザードンと大して変わらないような」
「大きさはね。でも、強さはリザフィックバレーでも1,2を争うわ」
食べ物が宿っている場所で堂々と眠っている。
そのことに関して同じリザードンが一切の文句を言わない。餌場ならば文句の1つや2つ言うのが普通だろうが、他のリザードンは言わない。それはそのリザードンがこのリザフィックバレーの中でトップクラスの実力を持っているから。
自然保護区と言っても生態系は築かれている。その生態系を無闇荒らしたり管理したりはしない。放任主義なところだろう。
「グォウ!」
「……」
「…………グォオオオウ!」
「グゥ!?」
「フハッ、余裕かましてるからだよ」
俺のリザードンが木の下で眠っているリザードンに声をかける。
木の下で眠っているリザードンはチラリと目を開けるが闘争本能が刺激されたりすることはなく、興味が無いのだと眠った。それを見た俺のリザードンはげんしのちからを叩き込んだ。
木の下で眠っているリザードンは俺のリザードンにならば負けないだろうと思っているが、舐めるなよ。
俺はサトシと違ってリザードンを使いこなせず持て余している状態じゃない。ウインディと言う同じほのおタイプのポケモンを持っていて競わせてバトルをして育てている。
進化して以降、全く言うことを聞かなくて修行に時間を割くことが出来ていなかったサトシのリザードンと違って俺はみっちりと修行に時間を費やしている。リザードンになってからの修行をしっかりとこなしてんだよ。
木の下で眠っているリザードンはやる気を出した。
周りにいるリザードンはあのリザードンに挑みに来た奴が居るぞ!と面白そうにしており、そこからバトルは始まる。
リザードンと言えばヒトカゲの最終進化系だがリザードン同士の戦いはサトシのリザードンとだけだ。
サトシのリザードンはあの時点では論外な弱さで、リザフィックバレーで鍛えられてからが本番と言ってもいい。
サトシのリザードンと違ってしっかりと強いリザフィックバレーのリザードン。
他のほのおタイプじゃ出来ない空を飛べばそれに対抗してリザフィックバレーのリザードンも飛んだ。ドラゴンクローで攻めてくるが俺のリザードンはりゅうのはどうを放つ。
「グゥ」
リザフィックバレーのリザードンのドラゴンクローにりゅうのはどうがぶつかった。
その結果、ドラゴンのオーラを纏った爪が消滅し俺のリザードンに拳を当てる直前に掴まれた。リザフィックバレーのリザードンの中でもトップクラスに強いリザードンだが俺のリザードンの方が上だった。
腕を掴まれたリザフィックバレーのリザードンに対して俺のリザードンはりゅうのはどうを当てた。
リザフィックバレーのリザードンは後退るがなんとか耐え抜き今度はこちらの番だとかえんほうしゃを放つ。俺のリザードンはリザフィックバレーのリザードンのかえんほうしゃを浴びたが、同じほのおタイプなのでこうかはいまひとつ。だが、かえんほうしゃに自信があるのは俺のリザードンも同じでかえんほうしゃを返した。
「スゴい!パワーもスピードも桁違いだね」
「ま、お前には新鮮だろ」
まだ持っているポケモンがそこまで育っていないヒリメオ。
図体だけで言えばクリスタルのイワークとオヤブン個体のカイロスは負けていないが、レベルとかを見れば俺の持っているポケモンの方が遥かに上だ。
地方リーグでは物足りなかったがチャンピオンリーグではポケモン達はキッチリと育成しきっている。
ポケモンの特徴を理解してバトルをしており今の様にシンプルにパワーとスピードのぶつかり合いもあったが、これは本来ならば上の世界じゃねえと見れねえもんだ。
「グォオオオウ!!」
「嘘、勝っちゃった!?あの子に勝つなんて……とんでもないリザードンね」
いい勝負をするかと思えばリザフィックバレーでも上から数えて直ぐのリザードンを倒した。
ジークさんはそのことについて驚いている。そして俺はそのことについて少し落胆をしている。
俺も強くなったとはいえキヨシに負けた。
ミブチに勝ったが次も勝てる保証が無くハヤマとネブヤは未知の領域だ。ここから更に強くなるにはどうにかして今いるポケモン達を強くしないといけねえ。ただ自分でも理解しているが壁にぶち当たっている。
時間をかけなきゃ解決出来ないのか、それとも特別な解答をぶつければ突破出来るのか?
それすら分かっていない壁だ……今までが順調過ぎてのここに来てのブレーキだからとにかくなにか試して色々と確認したい。
サトシの相棒はピカチュウだが、サトシの絶対的なエースはリザードンだ。
絶対的なエースのリザードンが一気に強くなれたのはリザフィックバレーでリザードンを鍛え上げたから。だが、俺のリザードンはサトシのリザードン以上のレベルでリザフィックバレーで上位に君臨するリザードンを倒すことができるレベルだ。
「……前にあのリザードンを倒したトレーナーって、どんな人なんです?」
「完全にヤンキーね」
「ヤンキーって……リーゼントなんですか!?」
なんでヤンキー=リーゼントなんだよ。
前にあのリザードンを倒したトレーナーについて聞いてみればどういうトレーナーなのかを答えるのに悩んでおり出たのはヤンキーでヒリメオはおかしな返しをする。
「いや、見た目がそれで中身はいい子よ。でも、リザードン同士でバトルさせて強い奴はいないのかって……ここは自然保護区で修行場じゃないけど、リザードンのレベルアップだけを考えるならばここ以上に最高な場所は無いわ。彼のリザードンを修行させるかって聞いたら、探したい物があるってコレを探してたのよ」
「綺麗な宝石ですね……なんですかこれ?」
「さぁ?」
「フハッ……マジかよ」
「ハナミヤくん、なんなのか分かるの?」
見た目がヤンキーな奴が見つけ出したけど要らないと言った物をジークさんは見せる。
DNAの螺旋構図の様な物が中に入っている綺麗な球……
「そいつはポケモンをメガシンカさせるメガストーン……ここはリザードンが大量に住んでてリザードンのパワーが染み付いたのか、リザードンをメガシンカさせるリザードナイトだ」
「えっ、これが?」
「メガシンカってこの前のピジョットみたいなの?リザードンも出来るんだ!」
リザードンをメガシンカさせるリザードナイト……XだろうがYだろうが関係無い。
どっちでも当たりなのがリザードナイトだ……そんな稀少な物がこのリザフィックバレーで取れるとはな。
「でも、彼が手に入れたのと微妙に中身が違うのよね」
「リザードンはメガシンカが2通りありますから……それを譲っていただけませんか?」
「それは構わないけど……メガシンカって確かこれだけじゃダメだったはずよ?」
「ええ、分かってますよ」
リザードンをメガシンカさせるリザードナイト、XなのかYなのかはわからないがリザードナイトであることには変わりはない。
ジークさんに譲ってくれと言えばあっさりと譲ってくれるがジークさんはリザードナイトだけじゃ意味が無いと言った。
「……?進化しないね」
「メガシンカは一時的な進化で……キーストーンが必要なんだよ」
俺のリザードンがリザードナイトに触れたが特になにも変化が無い。
絆は問題ないだろうが、キーストーンが無い。メガストーンは1個ずつ必要だがキーストーンは1個あればいい。ただし何処でゲットすればいいのかが分からねえ。
「メガシンカか……ただでさえ強いハナミヤくんのポケモンが更にパワーアップする……ハハハ……」
「言っとくがチャンピオン達は当たり前の様に使ってくるぞ」
「リザードンがメガシンカ出来るから、ヒノアラシもメガシンカ出来るかな……」
「ヒノ?」
「……ジークさん、もう1個あったんですよね?」
「ええ。でも、持っていったし探しても出てこないとは思うわ」
っち、流石にリザードナイトXとYの両方を手に入れるのは無理か。
戦況に応じてXとYを使い分ける事が出来れば充分な武器になるが……リザードナイトの片方を持っていった奴はどっちかだと分かって持っていったのか?
「ヒノアラシ、よく見ていて……バクフーンになったらアレぐらいには強くならないと」
「……ヒノ……」
リザードンが切磋琢磨して鍛え上げている姿をヒリメオはヒノアラシに見せる。
ヒノアラシはどうあがいてもバクフーンにしかなれないが、それでもリザードンに負けない様に強くなろう!そう思っているが……ヒノアラシは何処か浮かない顔をしている。
強くなることに関しては積極的だが、ヒノアラシの中に迷いが生まれている。
それについてヒリメオは気づいている。気付いている上で一緒に強くなる方法を考えようとしている。
「今回はコイツだけか」
XなのかYなのかは分からないがリザードナイトを手に入れた。
リザードンをリザフィックバレーで修行させても大した成果は得られない。サトシは弱いリザードンは要らないと言っていたが俺のリザードンは弱くなかったので手元に置いたままで冒険を続けることにした。