アルピ交通事務局のアニポケネタ倉庫   作:アルピ交通事務局

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可愛らしい名前は余計だ

 

「ヒノアラシ、かえんぐるま!」

 

「ヒノ!」

 

「サン!?」

 

 リザフィックバレーでリザードンをメガシンカさせるリザードナイトを手に入れて旅を続ける。

 トレーナー同士が目と目を合わせてタイミングが合えばポケモンバトルが成立する。ヒリメオはポケモンバトルに挑み相手のトレーナーのサンドを倒した。

 

「よし」

 

 ヒリメオは順調に勝ち続けている。

 極稀にレベルの差が激しいトレーナーとマッチアップするが、それ以外だと今のところは負けらしい負けを一切していない。

 

 ポケモンが持っているパワーをしっかりと引き出すことに成功している。

 サトシ達は具体的にはなにをどういう風にしているのかが気になるが、ヒリメオは1歩ずつ強いトレーナーになっている。

 

「君、強いね!ポケギアの電話番号交換しない?」

 

「あ、ごめんね。私、ポケギア持ってないの」

 

「そう、なんだ……」

 

 試合が終わればいい試合だったと互いに称え合う。

 結果だけを見ればヒノアラシの圧勝だったがスポーツマンシップに則ってってか?互いにいい試合だったと褒め合えばヒリメオと対戦していたトレーナーがポケギアを取り出した。

 

 ヒリメオとポケギアの番号を交換したいと言っているがヒリメオはポケギアを持っていない。

 ポケギアを持っていないがポケギアを手に入れたらここにかければ自分のポケギアに電話が繋がるよと紙に書かれたポケギアの番号を渡された……

 

「お前、何度目だ」

 

「え、えへへ……何度目だろう?」

 

 ヒリメオは絶世の美少女と言ってもいい美少女だ。

 旅の途中に声をかけられる機会はかなり多く、今みたいにバトルを終えた後にポケギアの番号を交換したいと言い出すトレーナーが後を絶たない。

 

 純粋にポケモントレーナーとして強いからまた今度戦いたい!って言う思いよりは、ヒリメオとポケモンバトルを通じて彼氏彼女に!と邪な気持ちが普通に伝わってくる。まぁ、出会いを求めてのポケギアでの電話番号の連絡交換はこの世界じゃ極々普通のことだが。

 

「毎回毎回言われるのもあれだし必要なら」

 

「要らないよ?」

 

 毎回ナンパに近い形でポケギアの連絡先を聞かれるので経費として最新機器のポケギアを買うかと考えていればヒリメオは要らないと言う。ヒリメオが要らないと言っても、これから先に何度も何度もナンパされたりする機会が増えたりする。

 

「だって、話す相手なんて居ないしハナミヤくんが居ればどうにかするでしょ?」

 

「…………」

 

 話相手が居ないと言い、話相手をヒリメオは求めない。

 妙なところで心の壁が分厚いなと思いながらも冒険を進めていけばガサガサと茂みから音が鳴った。

 

「ハッサム!」

 

「ハッサム……は、いいかな」

 

 音が鳴ったところから出てきたのはハッサムだった。

 既にカイロスを持っているヒリメオはむしタイプはこれ以上は要らないのだとハッサムに対してボールを構えない。俺も欲しいとは思えないからボールは構えないでいるとハッサムがジャキンジャキンと威嚇をしてきた。

 

「んだよ、勝負しろってか?」

 

「ッサム!」

 

「んじゃ、ヒリメオ。とっととやれ」

 

「え、ここはハナミヤくんじゃないの!?」

 

「お前が少しでも強くなるならそっちの方がいい」

 

「そっか。じゃあ、お願い!」

 

「ヒノ!」

 

 ハッサムが勝負をしろと威嚇してきている。本来であれば俺が挑んでもいいが、ヒリメオが少しでも強くなる為にヒリメオに任せる。

 ヒノアラシを出せばヒノアラシはやる気の炎を灯した。ハッサムはそれを見て表情を変える。

 

 ヒノアラシがほのおタイプのポケモン、ハッサムはそれがすぐに分かった。

 むしとはがねタイプの複合タイプのポケモンで無敵の耐性を持っているかに見えての唯一の弱点であるほのおタイプ。

 

「ヒノアラシ、やきつくす!」

 

「つるぎのまい!」

 

「あ?」

 

 ハッサムを倒すためにやきつくすを指示すれば何処かからハッサムに対して指示を出した人の声が聞こえた。

 なんだと思えばハッサムは回転する。ヒノアラシのやきつくすをつるぎのまいで舞うことで炎を拡散させた。

 

「気をつけて、今のでパワーが上がってるよ」

 

「ヒノ」

 

「……っち……」

 

 なに勝負に熱くなって目の前の事を理解する事が出来てねえんだよ。

 ヒリメオはヒノアラシと一緒にどうすればハッサムを倒すことが出来るのかを考える。

 

 今のでハッキリと分かったが何処かで誰かがこのハッサムに指示を出している。

 指示を出しているって事はトレーナーが居るってことで……辻斬りまがいの事をしている。

 

 なにが狙いなのかは分からねえが、人に向かって奇襲を仕掛けるとはいい度胸だ。

 ヒリメオがハッサムと戦っている間に炙り出してやるかと考えたが、ハッサムを倒した後に炙り出すと決めた。

 

「こうそくいどう!」

 

「ヒノアラシ、えんまく!」

 

「む!」

 

 パワーも上がったので次は素早さを上げて撹乱しようとする。

 ヒリメオは自分が不利な状況に陥っているのは分かっているとヒノアラシにえんまくを使わせた。

 

 何処かでハッサムに指示を出しているトレーナーがいる。

 そのトレーナーがハッサムが何処に居るのかが分からないようにする……えんまく自体は攻撃技でもなんでもない。ハッサムはこうそくいどうをして素早さを上げることが出来ずにどうすればいいのかが分かっていない。

 

「ヒノアラシ、かえんぐるま!」

 

「ヒノ!」

 

 トレーナーの指示が無くなりパニックに陥っているハッサム。

 ヒリメオはその隙を逃すことはせず、さっきは特殊攻撃だから倒されので今度は物理だとかえんぐるまで突撃し、ハッサムを倒した。

 

「ッサム……」

 

「み、見事!」

 

「フハッ……なんの真似だおっさん?」

 

 ハッサムを倒したことで姿を現したおっさん。

 あまりにもいきなりのことなので俺は警戒をしているがヒリメオは特に警戒をしていなかった。

 

「おぃ、危ねえから下がってろよ」

 

「大丈夫だよ。この人とハッサムからそういうの感じないから」

 

 いきなりの辻斬りまがいの行為をしてくるんだからロクな奴じゃない。

 ヒリメオの奴は不用意に近付いていて注意をするが、なにかを感じ取ったのか2人は大丈夫だと言う。

 

「いやはや、すまん。この様な真似をしてしまって」

 

「腕試しならこんな事をせずにその辺のポケセンのバトルフィールドにでも行ってこいよ」

 

「違う!そこの君、是非ともその腕を買いたいんだ!」

 

「え?わ、私?ハナミヤくんじゃなくて私なの!?」

 

 腕試しならと言えば別の要件があるとヒリメオの腕を買おうとするおっさん。

 改めて事情を聴いてみればおっさんもといムラマサさんはポケモン道場の道場主であり、ポケモンとトレーナーが心身共に鍛え上げる場所として成功していたんだが1人息子のシンゴが道場で最も強いトレーナーになった。

 

 それについては親としては喜ばしい事だが、息子のシンゴが勝つことが出来た要因がデータにある。

 パソコンを用いて統計したデータに狂いは無い!とデータ至上主義になっている。

 

「フハッ……自分の息子になにも言えないなんざ親の面目丸潰れだな」

 

 データが絶対とは言えねえが、データはバカに出来ない。

 パソコンを使ったデータなんて大体は頭に入れていて俺はリアルタイムで演算処理している。キヨシ達レベルになれば無理だが、この前のハヤトレベルならば行動なんざ簡単に読める。

 

 それでも尚、データ通りにいかない。

 チェスの駒同士がぶつかり合った場合、チェスの駒をぶつけた奴が勝つ仕組みになっている。だが、ポケモンバトルは違う。例え相性のいい技をぶつけたとしても確実に勝てない。ゲームならば一撃で沈んでもおかしくないが余裕で耐えやがる。

 

「言い返す言葉もない……どうか、どうか息子の目を覚させてはくれないか?」

 

「えっと…………ジョウトリーグに出ないんですか?」

 

「それすらも考えないんだ!」

 

 息子の目を覚させてほしいと頼むのだが、ヒリメオはジョウトリーグに出ないのかともっともらしい事を述べる。

 ジョウトリーグに出れば嫌でも強い相手と当たる。例えデータを頭に叩き込んだりしたとしても理解の範疇を越えるヤバいのが居る。

 

 ヒリメオは既にそこそこ強くなっている。

 だがそれでも俺にまともに勝つことが出来ない。俺が教える側の住人でヒリメオが教わる側の住人で大きな力の差が目に見えて分かる。

 

「言っとくがよ、俺もヒリメオもあんたみたいに酸いも甘いも噛み分けて生きてたわけじゃねえんだ。偉そうな説教なんざ気持ち悪くてしたかねえんだよ」

 

「いや、ここは思いっきり息子を、シンゴのハッサム、ブレードを倒してほしいんだ!」

 

 なにか偉そうな事を言えとか言われても俺には記憶が無いしヒリメオも旅をして間もない。

 なにかクソ気持ち悪い偉そうな説教をして成敗するだなんて俺はしたくはねえ。

 

 それでもとムラマサさんが息子を倒してほしいと頼む。

 

「フハッ、自分の子供を説得する力が無いなんて親として情けねえな」

 

「ハナミヤくん……私でいいなら力を貸します」

 

「ありがとう!」

 

 情けねえ姿だなと呆れればヒリメオは勝負をすることを承諾した。

 ありがとうとお礼を言い道場があるところにまで連れて行ってもらえば和風の道場があった。

 

「「「おかえりなさいませ!」」」

 

「うむ、今帰った……シンゴは?」

 

「何時も通りです」

 

 ムラマサさんが門下生に慕われているのか鬱陶しい体育会系のノリで頭を下げる。

 息子であるシンゴがなにをしているのかと聞けば門下生が悲しそうな顔をしており、何時も通りと言った。

 

 何時も通りって事はデータに捕まっているんだろう。

 データ通りに大凡の事は大抵は動く。それは間違いじゃねえ。だが、世の中には計算通りじゃない理屈じゃなくて感情で動く奴が普通に居る。

 

「シンゴ、お前にバトルを申し込む相手を連れてきた」

 

「またか……この前もって!」

 

「あ?」

 

「そこまでするか……」

 

 何度か息子の目を覚まそうとする為に他にもトレーナーを呼んだんだろうが見事に負けた。

 今回もまたかと思って振り向いてきたらシンゴは固まった。自分の親に対してそこまでやるのかと呆れていた。

 

「去年のセキエイチャンピオン、相手にとって不足はないね」

 

「なに!?去年のセキエイチャンピオンだと!?」

 

「ああ、俺がな」

 

 目当てはヒリメオとのポケモンバトルだが、シンゴが呼び出したトレーナーを俺だと勘違いをした。

 そんなことは聞いていないぞとムラマサさんは言うがシンゴは気にせずにパソコンを起動させた。

 

「ハナミヤ。昨年、ポケモンを貰いその年で優勝した天才トレーナー。チャンピオンリーグでは敵わなかった事から無冠の五将の1人に数えられていて異名は『悪童』、可愛らしい名前とは裏腹に最低のゲス野郎とも一部で言われている」

 

「な、なに!?」

 

「人聞きの悪いことを言うんじゃねえよ。負けた奴を笑っただけだ……それともなにか?相手が雑魚でも全力を尽くしてバトルをしろってか?んな甘い話があるか。むしろ弱い事を詫びて欲しいぐらいだ」

 

 決勝戦以外は特に歯応えらしい歯応えが無いポケモンバトルだった。

 特にサトシとのポケモンバトルは意図的に狙ってやった上でのあの結果だからな……

 

「お前も無様な醜態を晒してやるよ……ヒリメオが」

 

「なっ!?お前じゃないのか!?」

 

「俺が何時、お前とバトルするつった?お前の親父さんはヒリメオの腕を買って来たんだよ」

 

 セキエイチャンピオンならば燃えると思ってんだろうがそんなに甘くはない。

 ヒリメオがバトルすることになっているのだから、そういう風にしておかないといけない。

 

「だ、大丈夫かな……」

 

「安心しろ。面白い作戦を授けてやる」

 

「ヒリメオ……って、つい最近トレーナーになったばかりの子じゃないか……ウォーミングアップになるかどうかすら」

 

 俺が無駄にハードルを上げていればヒリメオは大丈夫かと心配をする。

 なんの考えもなしに俺が動くわけねえだろう。ここに来るまでにシンゴのポケモンやバトルスタイルについては聞いている。

 

「俺と戦いたければヒリメオを倒しな」

 

「いくよ、ヒノアラシ」

 

「ヒノ!」

 

「いけ、ブレード!」

 

「ハッサム!」

 

 親子揃ってハッサムを使う。

 シンゴのハッサム、ブレードは出てきたが特にシンゴを見ない。シンゴもブレードを見ておらず、周りもまたかと思った。

 

「試合開始!」

 

「ブレード、こうそくいどう!」

 

「ッサム!」

 

「ヒノアラシ、いくよ!」

 

「ヒノ!」

 

 ハッサムはこうそくいどうをした。

 そこからヒリメオのデータを算出しようとする。トレーナーとしての癖やポケモンの動き、どういう風に動くかかで色々とデータを弾き出す。そんなもんパソコン無しで出来なくてどうする。つか、公式戦で試合中のパソコンは禁止だ。

 

「なっ!?なんだ!?」

 

「ダイナミックフルフレイム!」

 

 こうそくいどうで撹乱をしている中で使われたのはほのおタイプのZワザ、ダイナミックフルフレイム。

 ヒリメオがZワザを持っているなんてデータは無い……いや、そもそもでZワザが他よりもマイナーだから知らないすらもありえる。ヒノアラシの放ったダイナミックフルフレイムはシンゴのハッサムを飲み込み……一撃で戦闘不能になった。

 

「そ、そんな……ブレード!大丈夫か!」

 

「フハッ……情けないね……言っとくが、俺のポケモン達は今の威力と同等なのをポンポンと出せる。まだ貰ってそんなに時間がかかってねえヒノアラシの低威力のダイナミックフルフレイムで負けるなんざ、テメエの底も知れる」

 

「っ……」

 

「ヒリメオ、倒すのはやったんだもう終わり……ぁ?」

 

「ヒノ!」

 

 本来の目的であるシンゴを倒すという依頼は終わったからさっさとこの場所から去っていく。

 そう思いヒリメオに声をかければヒノアラシが眩い光に身を包み……マグマラシに進化した。

 

「マグ!」

 

「やった!遂に進化したよ!」

 

「……よかったな。テメエの雑魚のハッサムでも多少は役立ったわ」

 

 重点的に鍛えていたからそろそろかと思っていたが、ヒノアラシはマグマラシに進化した。

 これでヒリメオの戦力が上がったとお礼を言ってやれば歯を食いしばるシンゴ。

 

「リーグだ……ジョウトリーグでリベンジをしてやる!」

 

「シンゴ……」

 

「言っとくがリーグの試合中にパソコンの使用は出来ねえぞ……テメエのデータも頭に入ってなきゃ意味がねえ……(ここ)の出来ならば人には負けねえよ」

 

 ジョウトリーグでリベンジをしてやると再起するシンゴ。

 ヒリメオに対してライバル視……はしていない。ヒリメオが勝てたのはダイナミックフルフレイムがあったから……まぁ、無くてもあのレベルのハッサム、直ぐにマグマラシに進化した事からレベル差はそんなに無くて勝とうと思えば普通に勝てていたな。

 

「ハナミヤくん……結果的にシンゴくんを立ち上がらせることが出来たね!」

 

「…………アレを見てその感想かよ」

 

「いや……だって……ハナミヤくん、酷いことを言ってるように見えて普通のことしか言ってないし……反論しようにも、なにか成し遂げたわけじゃないから口先だけじゃね……」

 

 シンゴを軽く挑発した後に旅を再会する。

 家に引きこもらずにジョウトリーグに挑んでやると言い出した……あのレベルならばジョウトリーグには出れるだろうが上に行くのは厳しい。

 

 なにかヒリメオが入ってくるかと思ったら、本来の目的であるシンゴを目覚めさせることが出来たという。

 ひどい暴言をしていることについて言えば正論だから言い返す事が出来ない。なにかを成し遂げたわけじゃないのでなにを言っても口だけだとヒリメオは割り切った……頭が悪いのか賢いのかよく分からねえ女だな。

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