「昨日は情けないところを見せたけど、今日は別だ!」
「これより、ヒワダジムジム戦を行います!使用ポケモン3体のシングルバトル!交代はチャレンジャーのみ可能です!」
「いけ!気は優しくて力持ち!ヘラクロス!」
「ヘラクロ!」
ヒリメオのジム戦を終えた翌日に今度は俺がジム戦に挑む。
俺は既に1つの地方を巡り終えているからツクシはジムバッジ8個集めたトレーナーと戦うポケモンで挑んでいる。
1体目のポケモンはヘラクロスだ。
ジョウトじゃメジャーな虫ポケモンだが昨日のストライク達と比べて明らかにレベルが違う。
「ハナミヤくん、頑張って!」
「……いけ、プテラ!」
「ギャウ!!」
ヒリメオは昨日のポケモンとは明らかにレベルが違うとかそう言うのを気付いていない。
まぁ、気付いていたとしても手加減をしてもらっているのは最初から分かっていることなので落ち込むことはしない。
俺の1体目はプテラ。
ひこうタイプのポケモン……ヘラクロスにとってこの上なくやりにくい相手だろう。
「試合開始!」
「ヘラクロス、ストーンエッジだ!」
「プテラ、回避しろ!」
予想通りヘラクロスはストーンエッジを使ってくる。
岩の破片を飛ばすタイプのストーンエッジでプテラは高い機動力を用いて回避する。だが、ストーンエッジの岩の破片はプテラを追尾する。
まぁ、読み通りだな展開だ。ヘラクロスの絶対的な弱点はひこうタイプ、つばめがえし辺りを受ければ高確率で負ける。
それを応用した戦術はあるが交代は出来ねえこのバトルでするのはバカがやることだ。
「プテラ、ヘラクロスに近づけ」
「無駄だよ!その手は通じない!」
ストーンエッジを追尾させるのは予想の範囲内だ。
プテラにヘラクロスに近づくように言えばツクシが狙いがなんなのかは読めているとハッキリと通じないと言う。
ギリギリまで粘ってからのストーンエッジ回避でヘラクロス自身にストーンエッジをぶつける作戦は通じない。
自分の戦術をどうにかする方法の1つや2つ考えられていて、それの攻略や対処方法も知っている……
「そんな甘い作戦なわけねえだろ。プテラ、渦を描け」
「っ……」
このストーンエッジは意外と意識を集中しないといけない。
一度追尾機能を搭載したら勝手に追尾してきてくれるという便利な機能は持ってねえ。全部手動、ヘラクロスがストーンエッジの行き先をコントロールしている。自動じゃなくて手動追尾だ。
なんとかしてプテラに当てようとするがプテラはひこうタイプの中でもトップクラスの素早さを持っている。
ストーンエッジは常に後手に周りそこにプテラがジグザグに動いたり旋回したりとすれば……ヘラクロスはストーンエッジで追いかけ回すのが難しく、ストーンエッジは途中で道が反れた。
「プテラ、おいかぜだ!」
ヘラクロスのストーンエッジが失敗に終わったのでやっとこっちの番が回ってきた。
ダブルウィングで攻めたいところだが、この一手はどんな技でも確実に決めることが出来る一手だ。欲の皮を突っ張って無理に攻撃はしない。まだ後2体控えているから後に繋げるバトルをする。
プテラにおいかぜを吹かせればツクシはしまったという顔をする。
ただでさえ速さが売りのポケモンがおいかぜを使ったことで更に速くなっちまってる。
「ヘラクロス、こらえる!」
「プテラ、ステルスロック!」
「っ!?」
「フハッ……そいつは知ってる人は知ってる有名な話なんだよ」
プテラからの攻撃が来ると察したツクシはヘラクロスにこらえるを使わせる。
この技ならばプテラの強力なひこうタイプの技を受けても耐えれる。そして来るのは接触する物理ひこうタイプの技だと読んでいる。そうなりゃ、きしかいせいが使える。
ヘラクロスがこらえるを使ってそこから怒涛のきしかいせい3連発で大逆転。
第二世代のポケモンを真面目にやっていた奴ならば知っている伝説のヘラクロスだ。
そいつは割と洒落にならねえのを知っている。
連続で使用すればこらえるは失敗に終わる時がある。逆を言えば最初の1回目は確実に成功する。
「……」
ヘラクロスはカブトムシみたいな見た目のポケモンで羽根を羽ばたかせれば飛べないことはない。
ただしそれは空をとんでいるのが当たり前のポケモンと勝負することが出来る物なのかと聞かれれば話はまた変わる。
おいかぜで素早さが増しているプテラをヘラクロスが追いかけるのは難しい。
だから考え方を変える。プテラが使ったのはステルスロックとおいかぜであり攻撃技は1つもない。むしタイプとこの上なく相性のいいひこうタイプといわタイプの技をプテラは覚える……もろはのずつきがあればそれで無双してたが運営が絶対にもろはのずつきとブレイブバードを寄越さねえからな。
「プテラ、ダブルウィング!」
ステルスロックを撒いた。ヘラクロスはステルスロックの除去をする技をなにも覚えていない。
なら後はやることは決まりだとダブルウィングで攻める。ツクシが指示を出そうとするがプテラの圧倒的な素早さとその素早さを更に加速させるおいかぜのせいで指示を出し終える前にダブルウィングが決まってヘラクロスは倒れた。
「ラクロゥ……」
「ヘラクロス、戦闘不能!プテラの勝ち!」
ヘラクロスはダブルウィングを受ければ立ち上がらなかった。
4倍弱点は流石に厳しいだろう……ツクシはあの時既に盤面が完全に詰んでいた事を理解していた為に悔しそうな顔をする。
これでツクシの1体目のポケモンは倒せた。ツクシの奴は……フハッ、顔に出しているな。まぁ、そりゃそうかとしか言えねえがな。
むしタイプのポケモンは空中戦をこなす器用さも持っているが、今のプテラを相手に空中戦を熟すのは分が悪い……だが、プテラを止めるには空中戦でいかなきゃならねえ。
トリックルームって奇策はあるにはあるが、トリックルームを使いこなすにはそれ専用のパーティ構築をしなきゃならねえ。
ヘラクロスみたいな例外は居るがむしタイプのポケモンはどうしても物足りない感じがするスペックのポケモンが多い。
「いけ!音速の壁を越えし虫ポケモンのスピードスター!メガヤンマ!」
「ヤン……ヤン!?」
プテラに対抗するポケモンが出てきたが、予想通りの展開になった。
ステルスロックを撒いていたおかげでメガヤンマは出ただけで尖った岩の破片が食い込み大ダメージを受けた。
「フハッ……コレでとんぼがえりは出来ないな」
むしタイプの技の中で最もメジャーと言うか重宝される技、とんぼがえり。
ジムリーダーが使っても問題は無い技だと認定はされているがむし、ひこうタイプのメガヤンマとステルスロックの相性はこの上なく最悪だ。ステルスロックを受けた時点で体力が半分になり次にステルスロックを受けたらその時点で戦闘不能になる。
「メガヤンマ、げんしのちから!」
「プテラ、避けろ!」
メガヤンマにげんしのちからを指示した。
ストーンエッジの時と同じ展開になるのかと考えたが、げんしのちからは軽々と避けた……追尾機能を持ってねえか。まぁ、アレは割と高度な技術だから早々に会得出来るものじゃねえんだがな。
プテラはげんしのちからを回避した。
するとメガヤンマは真っ赤なオーラを纏った…………フハッ……
「ヌルいねぇ……」
おいかぜの効果はもうすぐ切れる。
メガヤンマはそれに備えてげんしのちからで全てのステータスを上昇させる……と、見せかける。
げんしのちからで能力は確かに上がるが上がる確率は僅か10%、この10%もスパロボの90%並に信じることが出来ない数字だ。
「メガヤンマ、げんしのちから!」
「プテラ、ほのおのキバだ!」
そんな中でもげんしのちからで粘っている。
能力が上がりましたのオーラを出していてプテラとの関係性がこのままだと逆転される、そういう風に焦らせる。だが狙いはそこじゃねえのは丸わかりだ。おいかぜは切れた、ならば狙いに行くかとプテラにほのおのキバを指示すればプテラは突撃しメガヤンマのもとまで訪れてほのおのキバで攻撃をしようとした。
「メガヤンマ、避けろ」
だが、ほのおのキバが当たる前にメガヤンマは避けた。
おいかぜが切れるタイミングをずっと狙っていた……メガヤンマはプテラ以上の素早さを持っていた。
「やっぱり、か……」
「やっぱりって分かってたのハナミヤくん」
「げんしのちからが露骨なんだから読める」
メガヤンマはこの見た目で物理攻撃よりも特殊攻撃の方が強いポケモンだ。
げんしのちからは特殊攻撃で一見、正しい攻撃に見えるが違う……げんしのちからの狙いはプテラならば確実に回避する事が出来るを売りにしてプテラに攻めさせない様にした。自分は淡々と特性のかそくで確実にプテラを追い抜ける速度に上昇するのを狙って。
「メガヤンマの特性を分かっていたのか……だが、それを承知でほのおのキバを使ってきたと言う事は攻略法を見出していないな!」
「プテラ、メガヤンマの背後を奪え!」
「無駄だよ!既にメガヤンマがプテラを上回った!さぁ、おいかぜでもするがいい!」
プテラは高いパワーと素早さを持っているが耐久力は売りじゃねえ。
プテラにメガヤンマの背後を奪うように指示を出すがツクシは無駄と言いプテラよりもメガヤンマが既に後ろを取れる状況になり、プテラは背後を奪われる。
背後を奪われたのはいいがツクシはおいかぜをしろと誘いを出した。
おいかぜを出した時点で素早さの関係は再び逆転するが、その一手があれば攻撃が出来て流れを変える事が出来る……だが、それはこちらにも言えることだ。ツクシの3体目はおそらくはハッサム。はがねタイプのおかげでステルスロックのダメージは少なくなるが、それでもステルスロックがあるだけで厄介なのは変わらねえ。
きりばらいを使いたいが使えばメガヤンマはフリーになる。
ダブルウィング、ほのおのキバ、この2つのどちらかを普通に受ければメガヤンマは戦闘不能になる。
「プテラ、ステルスロックの岩まで向かえ!」
徐々に徐々にプテラとメガヤンマの距離の間隔が縮まっている。
かそくで素早さが上昇している証でコイツをどうするかでこの後の勝負が切り替わる。ステルスロックの岩の破片が出ている場所にまでプテラは向かう。
「急上昇しようとしても無駄だ!メガヤンマの加速は誰にも止められない!急上昇したその瞬間、素早さは一瞬だけ落ちる!終わりだ!」
「フハッ、だろうな!プテラ、振り向いてほのおのキバ!」
「なに!?」
かそくで加速していくメガヤンマに対してステルスロックの岩の前で一気に急上昇、それをしてもメガヤンマは加速する。
俺の狙いはそんなもんじゃない……かそくにより加速していくメガヤンマは誰にも止められない……そう、メガヤンマ自身にもだ。プテラが振り返ればメガヤンマはもうほとんど目の前に居るも同然だったがここで終わりだ。メガヤンマに対してプテラはほのおのキバを使う。メガヤンマはその圧倒的な素早さ故かブレーキが出来ずほのおのキバで噛みつかれた。
「ヤン……」
「メガヤンマ、戦闘不能!プテラの勝ち!」
メガヤンマは戦闘不能になった。
ツクシはメガヤンマがプテラの素早さを完全に上回ったものだから勝てると確信していたが、逆だった。プテラのほのおのキバに真っ向から突っ込み噛みつかれた。
「速いってのは色々とあんだよ」
ただ純粋に速いならばタイミングを合わせればそれでいい。メガヤンマはかそくで文字通り加速している。だが、読み切れないというわけじゃない。0→100、100→0を瞬時に使いこなせる敏捷性をメガヤンマは持っていなかった。
「戻れ……いけ!むしポケモンの赤き稲妻!ハッサム!」
「ハッサム!」
最後に出てきたのは読み通りハッサム……見ただけで強いと感じるポケモンだ。
この前に出会った親子のハッサムよりもレベルは上だろう……ツクシの奴はここから巻き返すつもりで色々と考えている。ステルスロックの岩が食い込んだが気にせずに考える。
おいかぜ、ほのおのキバ、ステルスロック、ダブルウィング。
プテラが使えるのはこの4つの技だ……この中でハッサムにとってこの上なく相性が最悪なのはほのおのキバだ。当たれば高確率で負ける。はがねタイプなのかと思わせるかの素早い動きをする事が出来るだろうが純粋な速さならばプテラも負けていない。下手に接近戦を持ち込めばさっきみたいに自分が攻撃に突撃する事になる……コレが試合の序盤ならばまぁ色々と戦略を練ったりは出来るだろうが、試合は既に終盤だ。
ハッサムが使える技は4つ、この4つを慎重に選ばなきゃならねえ。
俺がむしタイプ対策でプテラを出したってのは分かってるのならばほのおタイプの技を覚えているポケモンもしくはほのおタイプのポケモンがもう1体潜んでいても何らおかしくない……
「どうした?攻めないのか?」
「なわけねえだろ……もう終わりなんだよ」
この状況に追い込んだ時点でツクシの戦いは終わりだ。
ハッサムとコイツはこの上なく相性が悪い。
「審判、ベースはほのおのキバだ!」
「ベース、っ!!」
「ダイナミックフルフレイム!!」
審判になんの技をベースにするか申告し、ほのおタイプのZワザ、ダイナミックフルフレイムをぶつける。
ベースの技を申告した瞬間、ツクシは気付く。まだまだマイナーなZワザだが流石にジムリーダーは知っているみたいだ……だが、それに対する対抗手段は持っていない。
プテラのダイナミックフルフレイムがハッサムを飲み込んだ。
「ッサム……」
「ハッサム、戦闘不能!プテラの勝ち!よって勝者、チャレンジャー!」
「フハッ、こんなもんか」
リザードンを登録していたりしたが、プテラ1体だけで勝ち抜くことが出来た。
最後に関しては論外だが前半戦、もっといいバトルが出来るかと思ったが……むしタイプのポケモンは性能が極端なのが多すぎてそれだけでの統一が難しいってか。
「まさか1体も倒せないだなんて……」
「ヒリメオの時は手加減してるってのが分かってたけど、まさか俺相手にこの程度とはな」
「っ!!」
昨日のバトルは色々な制限があったがこのバトルには無い。それでも大きな差が生まれている。ジムリーダーもピンキリなところがあるとしても、ここまで歯応えがない……まぁ、ジョウトのジムリーダーだから一部は雑魚の集いだな。