2つ目のジムを制覇し次に向かうはコガネジムがあるコガネシティ。
「ハナミヤくん、ハナミヤくん」
「なんだ?」
「あそこに巣箱があるよ!」
旅の道中に巣箱をヒリメオは見つけた。
明らかな人工物である巣箱で、ここから街までそれなりに距離がある……つーことは誰かが置いたって事だろう。
「どんな子が住んでるのかな?」
「まぁ、鳥ポケモンだろうが」
あの巣箱にどんなポケモンが住んでいるのかが気になるヒリメオ。どんなポケモンと言われても鳥系のポケモン、つまりはひこうタイプのポケモンだろう。そう言えばヒリメオはまだ空を飛べるポケモンを1体も持ってねえ……オレは既に色々とゲットしていて下手に手数増やしてもしゃあねえから余程のポケモンじゃねえとゲットしねえが……
「あ、ハナミヤ!」
「っち……」
鳥の巣箱があるから下手に手を出していいのか悪いのかが分からないで居るとサトシ一行と見たことがねえ奴が居た。
こいつらが関わると毎回ロクな事にならねえ。顔を合わせればハッキリと聞こえるレベルの舌打ちをしてやった。
「ハナミヤくん、知り合いなの?」
「ああ、知り合いだ」
知らない人と否定してもいいが、その場合だと友達だと言われかねない。あくまでもここで知り合いレベルの付き合いだという事にしておかねえとめんどくせえ。一応は知り合いだと言えばヒリメオは軽く自己紹介をする。
「それで見ねえ顔のおっさんが居るがどうしたんだ?」
「おっさんとは失敬な。ここに設置した木箱にヨルノズクが居ないのかの確認に来たんだ」
サトシ一行とは違う見ねえ顔について聞けばヨルノズクが居ないのかの確認に来たと言う。ヨルノズクと言えばジョウトじゃ非常にメジャーなポケモンだ。夜になってその辺の木を揺さぶれば出てくるし進化前のホーホーも比較的に捕まえやすい。カントーで言うところのポッポと同じ扱いだ……
「あんなもん設置しなくてもその辺のホーホー捕まえりゃ済む話だろ」
「ちっちっち、欲しいのは普通のヨルノズクじゃない……色違いのヨルノズクだ!」
「色違い……フハッ、だからこんな姑息な真似してんのか」
ポケモンはボールでゲットするのが普通だってのに稀にポケモンバトルを利用せずに道具の力に頼る奴が居る。トレーナーだったらモンスターボールの1つや2つ用意して自分が育てたポケモンでバトルを挑んでゲットすりゃそれでいいって話だ。
この辺にある植物は特定の誰かの物じゃない。買い取ることなんかは普通に可能だがそこまでだ。だからああいう巣箱みたいなのを置いてポケモンを意図的に誘き寄せるのはグレー……まぁ、中にはべにいろのたまみたいなポケモンの中でも上位に君臨する伝説のポケモンや幻のポケモンを従える事が出来る便利アイテムが存在しているが。
「こ、姑息だと!?」
「ポケモン欲しけりゃバトルしろって話だ……で、成果は上がってんのか?」
「ああ、色違いのヨルノズクは居る!」
姑息と言われれば頭に血が登るのでさっさと話題を変える。興奮をしている為にあっさりと色違いのヨルノズクの存在を認める。
バカだな。ここで君に教える義理は無いの一言でも言わねえと……トレーナーとしてヨルノズクをゲットする為に何かしらのポケモンを用意している雰囲気は無し。道具の力を利用してポケモンゲットしようとしてる奴なんざそんなもんか。
「ホー!」
「あ」
このままどうするのかと考えていれば色違いのヨルノズクが現れた。想像していたよりも小さい……小さいサイズの色違いのヨルノズクか。色違いってだけでとんでもなく珍しい。おっさんが色違いのヨルノズクが来たと喜んでいるが色違いのヨルノズクは慎重になっている……かなり賢いポケモンだな。
「ヨルノズク、覚悟!」
ヨルノズクとおっさんの目が合った。この時点でヨルノズクは罠が仕掛けられていると感づいており、おっさんはそれに感づいた。だったら先に次の行動を移せる奴の方が強いとおっさんは動いた……明後日の方向に。
「えっと……この人なにしてるのかな?」
「ヨルノズクは催眠術を使えるポケモンだ。目が合った瞬間に催眠光線を飛ばしたんだろ」
明後日の方向に向かって走り出した。ヨルノズクは巣箱の中に入っているポケモンフーズを食べているのでなにしてるんだ?とヒリメオは疑問を抱いたのでヨルノズクが催眠術を使うことが出来るポケモンだと教えて何があったのかを推理する。
「やっぱりポケモンはポケモンバトルして捕まえないと!」
「ひこうタイプのポケモンにはでんきタイプよ!」
「だったらピカチュウ、君に決めた!」
「ピカ!」
「…………あのおっさんが仕掛けた物だが」
「トリガイさんがどっかに行っちゃってゲットに失敗したし今度はサトシの番だ」
おっさんもといトリガイが仕掛けた巣箱に引っかかっている色違いのヨルノズク。
そこをサトシがゲットしていいのか?と思ったがタケシがトリガイが挑戦して失敗したから今度はサトシの番だと主張する。別に文句を言う権利はオレには無い。基本的にはポケモンゲットは早いもの勝ち……ヨルノズク……フハッ
「ヒリメオ、お前まだ空を飛べるポケモンをゲットしてなかったよな?あのヨルノズクがいいんじゃねえか」
この出来事で確信をする……このヨルノズクはサトシがゲットするヨルノズクだと。
サトシはゲットするつもりで居る。カスミからピカチュウを使うようにアドバイスを受けているからゲット自体は出来そうではいる。だからこそオレはヒリメオにアドバイスを送る……あのヨルノズクはゲットした方がいいんじゃねえのかと。
理由?決まってんだろ、サトシの戦力を落とす為だよ。色違いってのは少しは心が揺れ動くが、所詮はヨルノズクだ。似たような性能を持っているポケモンを育成した方がいい。だからオレはゲットするつもりは無い。だが、運良く偶然にもちょうどいい感じに空を飛べるひこうタイプのポケモンを戦力として手に入れていた方がお得な奴が居る。
「ヨルノズクか……よーし、ゲット……でも」
「問題はねえよ」
今からサトシがヨルノズクに対して挑む。ポケモンをゲットしようとしている奴を無視して勝手に挑むのはトレーナーとしてのマナー違反だ。流石のヒリメオもそれぐらいは理解はしている。
「ピカチュウ、10まんボルトだ!」
「ピィカ、チュウウウウ!!」
カスミのアドバイス通りピカチュウを選んだ。十八番の10まんボルトを色違いのヨルノズクに浴びせればヨルノズクはダメージを受けた。ここでヨルノズクの表情が僅かだが変わる。相手を敵だと認識した……サトシは空のモンスターボールを出して投げた。ヨルノズクは軽々と飛んで回避するとサトシは岩に向かって抱きついた。
「やったぜ、色違いのヨルノズクゲットだぜ!」
……んなわけねえだろ、バーカ……あのヨルノズク、見た目は通常のヨルノズクよりも小さいが知能がずば抜けて高いな。
サトシは色違いのヨルノズクから催眠術を受けて大岩を色違いのヨルノズクだと思った。色違いのヨルノズクはそんな事は知ったことじゃないと特に気にしてねえ……
「あの催眠術が厄介だな」
相手を眠らせるさいみんじゅつじゃなくて幻覚そのものを起こさせる催眠術。ポケモンの技とはまた違う、セレビィの時渡りやスイクンの水を清らかにする能力に似ている。色違いのヨルノズクは身の危険を感じているのでそれを惜しげもなく発揮している。
ポケモンの技のさいみんじゅつだったら幾らでも対処できるが、技とはまた違う催眠術を仕掛けている。やり方的に言えば目から出ている光線を受けて幻覚を感じるんだろうが……ポケモンバトルを受け入れてくれずにトレーナーを直接狙いに来る。目から光線を使う以上は鏡を使えば跳ね返す事が出来るが、見えないタイプの催眠光線だからな。
「ハナミヤくん……手を握ってくれないかな?」
「あ?」
「多分、あの子に挑んでもあの子は私を狙ってくる。だから私をもとに戻してくれる人が、ハナミヤくんが手を握ってくれたら」
「ったく、しゃあねえな」
ヒリメオも色違いのヨルノズクがトレーナーを狙ってくるものだと感づいた。最近好戦そのものを無効化は出来ないが受けた後に意識を取り戻すことは可能だ。その役割をオレに任せるのだとヒリメオは頼む……ゲットしろって言ったのはオレだから断る理由は無い。むしろやらなきゃならねえ理由になる。
「出てきて、ピカチュウ」
「ピ……」
「ピカチュウ、ヒリメオもピカチュウを使うのか」
「でもなんか元気無さそうね」
ヨルノズクに挑むのであればピカチュウが最適解。ピカチュウを出したヒリメオを見てタケシは興味を抱く。カスミはヒリメオのピカチュウを見たが……サトシのピカチュウと比べて圧倒的にテンションが低い。
ミブチのところのルンパッパと同じでヒリメオのピカチュウはオン・オフの切り替えが激しい。オンになれば徹底して動くが、オフの時は完全に自分の世界で生きている少し変わったピカチュウだ。
「さっきサトシくんがダメージを与えてくれたし、ここはこうそくいどうからのほっぺすりすり!」
「ピッピ!チャー」
棒読みで声を出しながらもピカチュウはヨルノズクに近付いた。サトシのピカチュウが放った10まんボルトはしっかりとヨルノズクに当たってる。ここはさらなる追撃の一手をぶつけるんじゃなくて動きを封じる搦手で行く……サトシじゃ絶対に使わない手だろう。
ヨルノズクの背中に飛び乗ったピカチュウはほっぺすりすりを使えばヨルノズクは落ちる。
「ヒリメオ」
ここまで順調だが、あのヨルノズクは通常のヨルノズクと比較して遥かに知能が高い。自分がゲットされまいとなにかしらの行動に出る。さっきまでの行動的にヒリメオに催眠術を仕掛けているのだろうと思いヒリメオの手を強く握ればヒリメオは唇の端を噛んだ。
どういう内容かは知らないが、ヒリメオは自分自身に催眠術を仕掛けられていると気付いて無理矢理脱出した。
「いけ、モンスターボール!」
そしてモンスターボールを投げた。
色違いのヨルノズクはまひ状態になっているので上手く動けない。そんな中でモンスターボールが当たり色違いのヨルノズクはモンスターボールの中に入ってモンスターボールが揺れ動き……カチリと音が鳴った。
「やった!色違いのヨルノズクゲット!」
「そ、そんな〜」
「フハッ、まぁ、そういう勝負だ」
色違いのヨルノズクの催眠術から解放されたサトシはヒリメオが色違いのヨルノズクをゲットしたのを見て落ち込んだ。
本来であればサトシがゲットする筈の色違いのヨルノズクだが、ヒリメオの物になった。サトシは現在ピジョットもリザードンも居ない。つまりはなにかがあった時に空を飛んで行動するポケモンが居ないってわけだ。サトシはトラブルに巻き込まれていて常にポケモンがなにかあった時の対応をする。特に空を飛べるポケモンならば尚更だ……これでサトシは更に弱体化を果たした。
ヒトカゲの時は少々予想外だったが今回の限っては無い。サトシはヨルノズクをゲット出来なかった……だからヨルノズクじゃねえと勝ち抜けない場面、特に4番目のジムであるエンジュジムはヨルノズクの力が無ければ勝ち抜けないとも言えるぐらいにサトシと相性が悪い。
「……ま、言っとかなきゃならねえか。ヒリメオ、ヨルノズクを回復させとけ。オレちょっとさっきのおっさん見てくる」
「うん」
サトシのピカチュウの10まんボルト、ヒリメオのピカチュウのほっぺすりすりを受けてそこそこダメージとまひ状態になっている色違いのヨルノズク。この直ぐ近くにポケモンセンターがあるならそこに預ければいいが、そう都合よくはいかない。オレからすればそれは逆に都合がいいとヒリメオに色違いのヨルノズクの回復を任せてもトリガイのおっさんを探すフリをする。
「やぁ、お久しぶりですね」
「ハナミヤ」
「ちょうどよかったわ。今からジャリボーイ達を襲うから手伝いなさい」
「申し訳ないですけど、それは出来ないですよ……1つ、忠告にやってきただけですよ」
「忠告?なんのことだニャ?」
探すフリをして見つけ出すのはロケット団の三人組。
予想通りと言うべきかサトシ達に、ついでだとヒリメオのポケモンを狙っていそうだからと先に釘を刺しておく。
「オレとヒリメオからポケモンを奪う真似は無しで……じゃないと、ボスに怒られます」
「ボスにって、なんでサカキ様が関係してんのよ?」
「ヒリメオはロケット団が見つけたあるポケモンのデータ採取の仕事をしているんですよ。もしここで貴方達がそれの妨害をしたとあれば、オレは上に報告しないと……ただでさえジョウトに入ってからまともな成果を上げる事が出来ていないんですから、その報告は嫌でしょ?」
「ま、まぁ、そうだけど……折角、色違いのヨルノズクなんてレアなポケモンを献上できるって思ったのに」
コジロウは手柄を上げるチャンスがやってきたと喜んでいた為か無理だと分かれば落ち込んだ。
確かに色違いのヨルノズクは希少価値は高い……売ればそれ相応の値段がつくだろう。
「まぁ、落ち込まないでくださいよ……いい情報を知っているんですよ」
「いい情報?」
「ええ。ポケモン考古学者のシュリー博士がなにやら不思議な力を持った石板を持っているそうなのです。擬似的にとは言え伝説のポケモンをも再現する事が可能だとか。それを上に提出すれば、きっと評価は貰えますよ」
「伝説のポケモンを!?」
「ええ……とは言え、その手の仕事はオレには出来ないので。頑張ってくださいね」
ロケット団に伝説のポケモンを餌にする……ジョウト地方に入ってから全くと言って成果を上げる事が出来ていない。
伝説のポケモンが関与しているなにかをゲットして上に献上する。少なくとも結晶塔の帝王が起きる原因を秘めている謎のオカルトパワーを持ってるんだ。そいつを研究すれば擬似的にとは言えクローンとはまた別の伝説のポケモンを生み出せる……オカルト案件だからこの三人みたいにしぶとい生命力を持ってる奴じゃねえと生き残れねえからこれでよし。