『ハナミヤ、トンチキな物を送ってきて……明らかに手順を間違えば即死の呪物ではないか』
「フハッ、意外と物分かりいいじゃねえか」
ロケット団ことあの3人組は一応はエリートだ。サトシを追わなきゃそれ相応の成果を出せる。
アンノーン文字が記されている謎パズルを奪って上に献上しろと指示を出せばあっさりとこなした……そして上がやらかした。そのことについてサカキが文句を言ってくる。
「ミュウツーの一件で少しは分かったみたいだな」
シュリー博士が持っているアンノーン文字が記されている石板、その正体は俺もよく分からねえ……が、神秘的な道具である事には変わりはない。
ポケモンが関与しているがポケモンそのものじゃない神秘的な何かは文明が発達した今でも残っている……べにいろのたまとあいいろのたま、あかいくさり、いでんしのくさびとポケモンに直接関与するものもあればそうでないものもある。
「本気で世界狙うんだったら、それの研究は避けては通れねえだろ」
この世界がけいおんやラブライブみたいに魔法とか神秘的なものが存在していない世界ならばサカキの今のやり方でどうにかなる。だが、この世界は科学で魔法の領域に足を踏み入れる事が可能だ。そして魔法と言う言葉で片付けれる超常的な現象を起こせる既存の技術では不明な不思議な科学がある。
今まではポケモンを送りつけたり色々としていたがロケット団として組織を大きくするにはその辺を学ばなきゃならない。オカルトな技術を現代の科学技術で解明し、それを組織に何かしらの形で変換する。少なくともシュリー博士が持っていたアンノーン文字が記されている石板は特別な素質を持っているわけではない子供の願いを歪な形で叶える厄介な能力を持っている。コイツを解析してなにかに繋げれば使えるだろう。
『まぁいい……ポケモンと言う存在の研究は中途半端で、まだこの手の特級呪物の製造や処理、制御する技術に関しては確立していない。素人目でも分かる特級呪物を送ってきた事に対して色々と言ってやりたいが、この手のオカルトグッズは今の時代に至るまでに滅んでいる、もしくは既に既存の技術で完全に同じ事が再現出来る物が多く、そうじゃない物が残っていても重要指定文化財として扱われていて簡単に手に入らないオーパーツだ』
「そうか……んじゃ、その辺の研究をしといてくれよ」
あくまでも俺はポケモンに対して色々と指示を出しているだけで俺自身には何かしらの特別な力は無い。
波動使いだ超能力者だ選ばれし英雄の末裔だとオカルトじみた存在が探せば普通に見つかる世界どころか明らかに人間よりも上位に君臨する生物ことポケモンがこの世界には存在している。そして……そういう物に対する防衛技術は確立しなきゃならねえ。
ファンタジーなアニメや漫画の内容は頭に入っている。
そしてその手の話の大半、ファンタジーな力に対してはファンタジーな力で挑まなきゃいけねえ。
相手の慢心や多対一と様々な敗北する要素が加わればファンタジーな力をどうにかする事が出来る力を持ってない人間でもファンタジーな力を持っている人間にはギリギリ勝てる。だがそれは極端な一例もしくは特例で基本的にはオカルトに対しては正しい対抗手段を持たないといけない。
『さて、お前に対する小言についてはここまでにしておこう……例の物は届いているだろう?』
「ああ……まさかこんなに即座に作り上げるとは思わなかったぜ」
『それだけコレに価値があると言う事だ……テストしろ』
「へぇへぇ、わーりましたよ」
俺に対する小言を言い終えた後にサカキとの通話を切った。
今俺が居る場所はコガネシティの道中であり、まだコガネシティまで距離がある……テストするにはうってつけだ。
「ハナミヤくん、コレってなんなの?」
「感情的になったりして興奮しているポケモンを落ち着かせる為のアイテムだ」
サカキとの通話は大事な通話……一応は俺はロケットコンツェルンの人間という設定でもあるからヒリメオには聞かせられない話をしているでサカキと話し合っていた。その話をする前にロケット団のデリバードが送ってきたSFに出てきそうな銃をヒリメオは興味深そうに見ていた。
そう、ポケスペのエメラルドが使っているポケモンを鎮める事が出来るE・シューターだ……ミュウが住んでいるさいはてのことうの土を使えばどんな出身のポケモンでも鎮める事が可能という事について興味を抱いていた。
「今回はこの道具のテスターになれって話だ……成果に応じてちゃんと金は入る」
「やった……でも、怒っているポケモンって見つかるの?オコリザルみたいに元から怒っているポケモンじゃなくてなにかがあって怒っているポケモンって……流石に意図的に怒らせるのはまずいよ」
さいはてのことうの土を使ったE・シューターが正しい効果を発揮するものかどうか調べる仕事を入れるがヒリメオはそれを使う相手はいるの?と最もらしい疑問をぶつけた……変な所でそういう頭が動く奴だな。流石に意図的に怒らせるつもりはねえ。
「獣道に入りゃ興奮しているポケモンはそれなりに見れる」
コガネシティに行くまでの道は人が開拓した道だ……だが、少しでもズレた道を歩めばポケモンが独自に生態系を作り上げている場所がある。それを作っているのは人間と関わりを今の段階では持とうとしないポケモン達だ。そういうポケモン達は顔を合わせるだけで襲ってくる事は多い。
「とは言えだ……ちゃんと調べろって言われてる事は一応ある。そこで確実にE・シューターは使う」
そこでしっかりと効果を発揮する事が出来ればE・シューターの開発は成功したと言える。
調べろと言われている事について纏められたデータを見る。ヒリメオにも見せていい物なので見せればポケモンの写真が載っているのでヒリメオはポケモン図鑑を開いた。
『データ無し。このポケモン図鑑では該当しない』
「この音声が出る時は確か……他の地方の図鑑なら対応出来るポケモンだったよね」
「ああ……厄介な外来種かどうか調査しなきゃならねえ」
ヒリメオの図鑑はカントー地方とジョウト地方のポケモンならば対応をしているがそれ以外は対応をしていない。言うまでもないがここはジョウト地方、出てくるポケモンは基本的にはジョウトとカントーのポケモンの筈だ……が、例外がある。
「ポケモンを逃がした奴が居る……逃がすなとは言わねえが適当な場所に逃がしたせいで本来は生息しない区域で野生化しやがった」
自分の好みに合わない理想に届かないとポケモンを逃がす奴が居る。鳥系のポケモンならば飛んで空に羽ばたき自由自在に動ける。水中を自由に行き来する事が出来るポケモンならば川や海を経由して他の地域に行ける。だがポケモンの大半は陸上で生きるのが多い。
ゲームじゃポンポンと今いる街から次の街へと移動する事が出来るがこの世界はそうはいかねえ。ゲームじゃ数分あれば簡単にヒワダタウンからコガネシティに行くことが出来るがこの世界じゃ一週間以上費やすしゲームには登場しない数々の街やジムもある。そして俺の様に他の地方出身の人間が他の地方のポケモンを引き連れており逃がす。
ポケモンの繁殖方法はタマゴだ。繁殖させたいポケモンの♀と同じグループのポケモンの♂を用意して相性が良ければ気付けば現れる。物理的に引き剥がさない限りは繁殖してしまう……そうなるとオダマキ博士の様なフィールドワークを主体としている博士が見出したポケモンの生態系とかが崩れる。
現実でも外来種の生物を飼ったのはいいが扱いきれなくて捨てた。その結果、勝手に繁殖して本来の生態系を壊したって話はよくある話だ。
「よし、出てきてヨルノズク!」
「ホ〜!」
「ヨルノズク、みやぶるでこのポケモンが居ないか探してみて!」
本来はこの辺に生息していないポケモンに関する調査が始まる。
ポケモン図鑑を片手に闇雲に探しても意味は無いのは分かっているのでヒリメオはこの前ゲットしたばかりの色違いのヨルノズクの力を借りる。色違いのヨルノズクに資料に載っているポケモンは居ないかどうか探してくる様に頼めば色違いのヨルノズクは飛んでいった。
「……便利だな」
サトシ達の様に定期的にロケット団に襲撃されているわけでも事件に巻き込まれているわけでもない。
道に迷わない様に正しい進路を取っているから変なところに行くことは無い。だからヨルノズクみたいな空を飛べるポケモンの機動力を活かしてなにかを調べるのは無いに等しい。戦闘は物足りないがヨルノズクはこういう雑用で輝く事が出来るな。流石は鳥ポケモンだ。
「ホー!」
「もう見つかったんだね」
ヨルノズクに探索を依頼すればあっという間に見つけた。
何処にそのポケモンが居るのかと案内をしてもらえば………ヒトツキが岩に突き刺さっていた。
「カロスのポケモン……ここじゃ早々にお目にかかれねえな」
岩に見事に突き刺さっているヒトツキに対して図鑑を開いた。こんな所で出会えるのはいいことだからな。
ヒトツキは……眠っている……突き刺さったまま眠っているとは随分とまた器用なことが出来る。
「う〜ん……抜きたくなるね」
岩に突き刺さったヒトツキを遠目で見れば選ばれし者にしか引き抜けないタイプの剣に見えなくもない。ヒリメオの言いたいことは分からなくもない。
「お前あれゴーストタイプだぞ。聖剣じゃなくて妖刀とか魔剣の類だろう」
だが、ヒトツキはゴーストタイプのポケモンだ。魔とか闇とかの負の側面を強く持っているタイプの武器……そういえばゴーストタイプとあくタイプと言う負の側面を持っているタイプはあれども聖なる力とか光属性をイメージする事が出来る特定のタイプはねえな。
ドラゴンとか言うプラスにもマイナスにもイメージできるタイプはあるんだが……フェアリーは少し毛色が違う。
「ヒトツキは……うん……」
「明らかだ」
この辺は鉱山とかではなく、草原と林がある区域だ……鉱物系のポケモンであるヒトツキが住み着くことは早々に無い。
ヒトツキはカロスのポケモンでカロス地方で探せば見つかるが……このジョウトで見つかったと言う話はない。ヒトツキはイーブイレベルの稀少なポケモンじゃない。見かけるところではしっかりと見かけるポケモンだ。
誰かがヒトツキを捨てた……ヒリメオはヒトツキに向かって歩き……手を翳す。
「この子、トレーナーの事が大好きだったみたい……でも、トレーナーを怪我させて……そっか……」
手を翳したヒリメオはヒトツキがなんでここに居るのかを読み取った。
ヒトツキはトレーナーにゲットされていたポケモンでトレーナーを怪我させた……ヒトツキの見た目は剣だ。今は岩に突き刺さっているが本来は鞘に入っている。戦闘時はその鞘から出て刀身を剥き出しにする。殺意が高いポケモンで……刀身を剥き出しにしている状態はシンプルに振り回すだけで凶器になりうる危険性を秘めている。
なにかの拍子で怪我をした……ポケモンが持っている危険性を感じてしまい扱いきれずに逃がしたってところか。
「よっこいしょっと」
ヒリメオは悲しそうな顔をしたが直ぐに両頬を叩いた。
なにかを躊躇う事も迷うこともしない。ヒトツキを突き刺さっている岩から抜こうとする
「キンッ!!」
そんな事をすりゃ眠っているヒトツキは当然、目を覚ました……が、突き刺さった岩から出ない。
俺はE・シューターを取り出してヒトツキに向かって撃った。撃たれた後のヒトツキをヒリメオは引っ張って突き刺さった岩から引っこ抜いた。
「…………効果はあったみたいだな」
ヒトツキに直接触れれば呪われたり生命力を奪われたりする。だがE・シューターをぶつけたことでヒトツキが鎮まったのか岩から抜こうとしたヒリメオの生気は吸われていない。ヒリメオはヒトツキから手を離した。ヒトツキはプカプカと浮かんでヒリメオを見つめる。
「よし」
「……お前はトレーナーとして活動をしている。ゲットしたいなら好きにすればいいがゲットした時点でお前には責任が発生する」
サトシの様に物凄く少ないゲットはこの先では勝ち抜けない。シゲルの様に物凄い数のゲットじゃ確実に日の目を浴びない奴が出る。
ヒトツキ以外にもまだ何体かこの地方じゃ見ない遠い地方のポケモンがいる。ポケモン達に向かって慈愛だか慈悲だか向けてゲットするのは構わねえが、今のお前はトレーナーだ。トレーナーである以上はゲットしたポケモン達が何かをすれば責任を持つ者で、ゲットしたのに何もしないのはただの生殺しだ。
「……まだ他にも居るよね」
こいつ……ヒトツキ以外のポケモンも迷いなくゲットするつもりだな。
今回はE・シューターの効果があるかどうかの確認……この世界じゃ早々に見ない外来種の駆除が仕事じゃねえ。
外来種に対して同情か、それとも慈悲の心かあるいは両方を向けている。この辺で見かけたという話がある外の地方のポケモン、イワンコ、ワルビル、ジュラルドンも見つけた。俺達と顔を合わせた瞬間に問答無用で攻撃してくるのでE・シューターをぶつければ鎮まり話を聞く耳ぐらいは持った。ヒリメオは少しだけポケモン達と会話をした後にポケモンをゲットした。
「マグマラシ、ヨルノズク、クリスタルのイワークは常時手持ちに入れておいて後は色々と試してみるよ」
ポケモンが増えるという事は選択肢が増える、手元に置けるのは6体。コレはそういう決まりだ。
クリスタルのイワークは常時手持ちに入れないといけずヒリメオにとってのはじめてのポケモンでここぞという時に頼りにしているマグマラシ、そしてなにかあった時のヨルノズクをレギュラー化して後は色々と試行錯誤。次に挑むジムやコンテスト、進化させる事や新しい技を覚えさせる時などで変えていくつもりみたいだ……サトシはコレが出来ないから手持ちが貧弱だ。