「オーキド博士のポケモン講座特別生放送!MCは私、クルミと」
「やぁ、諸君。今日もポケモンの世界へようこそ!オーキド博士じゃ……今日の特別生放送のスペシャルゲストに昨年のポケモンリーグ・セキエイ大会チャンピオンのハナミヤが来ておる」
「どうもはじめましてハナミヤです……今回はちょっと変わった講座になるかもしれませんが、今日はスペシャルな放送なのでよろしくお願いします」
プラターヌ博士がリニアに乗って今頃はこっちに向かってきている中でオーキド博士のポケモン特別講座が始まった。
ヒリメオは生で見ている……あいつ、容姿とかは美少女で万人に受けるのがいいんだが天然ボケがあるせいでラジオだと扱いづらい。
「じゃあ、早速今回の特別講座!ズバリ!強いポケモントレーナーってなーに?……オーキド博士と言えばマサラタウンに研究所を構えて多くの新人トレーナーを送り出しました。ハナミヤくんもその内の1人でハナミヤくんはその年にポケモンリーグ・セキエイ大会のチャンピオンになった……この2人から強いポケモントレーナーや強さの秘訣なんかを聞いてみたいです」
「うむ!今こうしてラジオを聞いている未来のチャンピオン達はしっかりと聞いておくんじゃよ」
「いや〜強さの秘訣ですか。参ったな」
本来ならばオーキド博士とプラターヌ博士が色々と語り合うが俺とオーキド博士なので内容がポケモンバトル関係になる。
ケロマツと言うご褒美がある以上は適当にするわけにはいかねえが……強さの秘訣についての説明はどうすればいいのか。
「いきなりのことなのでまずはオーキド博士、強さの秘訣等は?」
「秘訣と言うことではないが、やはり強いトレーナーとなればポケモンについての知識は豊富じゃの。滅多な事では見られないポケモンや色違いはともかくメジャーなポケモンの知識は大体は頭に入っている」
「なるほど……ハナミヤくんは?」
「俺も同じ意見です……と言っても面白味が無いので、もう少し深いところに踏み込んでいいでしょうか?」
オーキド博士が強いトレーナーはポケモンの知識が豊富と言う1つの答えを出した。
当たり障りの無い周りが聞いて一応は納得する事が出来る答えであり俺も同じ意見ではあるがここから更に踏み込んだ内容を語ろうと決めた。
「ポケモンについて詳しい知識を持っている、コレは立派な武器ですがこの知識と言うのが非常に厄介でバトルに活用する上ではその種の特徴を覚える事が特に大事でそれがあるかないかで大きな差が生まれますね」
「ふむ……ハナミヤは具体的にはその力の差を感じる時はどういう時かの?」
「やはりポケモンリーグですね……確かに強いトレーナーは居ましたが、中には明らかにレベルが低いトレーナーが居ました。強いトレーナーと弱いトレーナーの差がハッキリとしていて、その原因は概ね理解しているつもりです」
「確かにポケモンリーグは強いトレーナーと弱いトレーナーの差がハッキリと出ますよね……しかしそれは知識が足りないからなのでしょうか?勿論それもあると思いますがもっと色々とある気が」
「簡単に言えば色々と段階を飛ばしてポケモンリーグに来てしまったですね……ポケモンリーグの出場条件は基本的にはジムバッジを8個集めることです。この8個を集めるのには苦労します……ポケモンは18タイプ存在していて物理攻撃と特殊攻撃があって補助技があってと色々な戦術を組み込める要素がありその上で相手のポケモンはと考えます。ただここが厄介で、戦術を組み立てるんじゃなくて強いポケモンの力のゴリ押しで勝てちゃう人が中には居るんですよ」
もっと深い話にするのでもっと深い話をする。強いポケモンの力のゴリ押しで勝てるというめんどくさい話を。
「知っての通りですがジムバッジを手に入れる為に挑まなければならないジムリーダーは相手に応じて手加減をしています、その上で出すタイプも偏りがあるので弱点を突いてバトルを挑むと言うのが普通なのですが別に弱点でも何でもないタイプ相性で挑む事もあります。例えば俺達が今居るコガネシティのコガネジムはノーマルタイプのジム、ノーマルタイプに強いのはかくとうタイプだけですが逆にノーマルタイプにこのタイプで挑むのは危険だと言うのが無いです」
「個人的にはノーマルタイプを相手にする上ではかくとうタイプで攻めるよりは己の持ち味を使う事をオススメするの」
「だからこそ余計に停滞するんですよ……弱点を攻める戦術でなく自分の強さを活かした戦術を組み立てる、自分ならではのポケモンバトルと言いますがそれを考えるのは個人的には良くないことですね」
「自分ならではのポケモンバトルを探すのはポケモントレーナーの課題じゃないですか」
「そうじゃないんですよ……それは作るのであって何処かにあると探すものではないんです」
ピラミッドキングのジンダイがトレーナーに与える自分ならではのポケモンバトルを見つけろ、言いたいことは分かるがそれを探させるのは厄介だ。クルミはトレーナーの課題じゃないのかと聞いてくるので探すものじゃないという。
「自分ならではのとなれば他には無い特別ななにか、特に今みたいに強さの秘訣なんかを外に求める傾向にあります……勿論、強さの秘訣、仕組みがある強いトレーナーはいます。ただし、それはその仕組みを作ったトレーナーが手に入れた強さであり強さを求めているトレーナーにとってはただの他人が成功した一例を聞いただけになります」
「それを真似すればその人には勝てなくても上に上がれるんじゃ」
「勿論それに関しては否定はしません。ただ、答えを先に見てしまったと言うのが厄介です……自分ならではのポケモンバトルと言うものを既に持っているトレーナーを真似した場合、そのポケモンバトルのなにが良くてなにがダメなのかについて作り上げたトレーナーと比較し理解が足りない。しかしそれでもある程度は勝ててしまう……そうなれば、どうしてそのトレーナーが強いのか?と言うのとその強いトレーナーと比較して自分はトレーナーとして何が足りないやなにが劣っていてこの先に何をどうすればいいのかを言葉にして説明出来ません」
「ほのおタイプはくさタイプのポケモンに、くさタイプはみずタイプのポケモンに、みずタイプはほのおタイプのポケモンに強いと言う基本的なセオリーは存在しておる。そのセオリーに則って自分になにが足りないのかを考える……基本と言えば基本じゃが、この基本と言うのが上手く出来ておらんトレーナーが意外にも多いんじゃ」
オーキド博士もセオリーはあるがそのセオリーを守れない、基本的な事が出来ていないトレーナーが多いと言う意見を述べる。
サトシに対して依怙贔屓しているとこもあんが……だからこそサトシに足りないものがなんなのか分かっているか。
「確かに早くに上に上がりたいと思う気持ちはわかる、その為にポケモンを強くする為に正しい育成をするのでなく最初から強いポケモンを求める者が増えている。元から強いポケモンは確かに強い、しかしそのポケモンは決して絶対無敵でも全戦全勝の負け知らずではない。そのポケモンが勝てない相手が出てきたのならばその勝てない相手にどういう風に立ち向かい勝利するかをトレーナーが考えなければならん。しかし最初から強いポケモンでバトルをしていれば具体的に何をどうすればいいのかが分からないと言う状況に陥りやすい」
「セオリーを破ったりするトレーナーもそれが多いですね。突拍子も無い事をする事で格上に勝てる事はありますが、そうなると色々と見直さないといけない基礎がどうしても疎かになる。この場合の基礎と言うのはそのポケモンはなにが出来てなにが得意でどういうバトルをさせたらより勝てるのか等で、それが疎かになると言うことはポケモンの能力を引き出すのでなくトレーナーが持っているポケモンを勝利に導く能力に依存していて本来の力を正しく引き出せていないし伸ばすことも出来ていない」
「……なにか特別な事をするのでなく普通の事を続けるのが……そうなると先にトレーナーになった人が必然的に強くなるんじゃないんですか?」
極々普通の事を言っているのでそうなれば最初にスタートした人が強いのでは?と意見を述べるクルミ。
「うむ、先にスタートした方が強いのは極々普通の事……じゃが知っての通り殆どの地方のチャンピオンや四天王がワシの様な爺さんではない。トレーナーになって普通に鍛えていけば絶対にある程度の成果は形になるものでジムバッジやポケモンリーグ出場がまさにそうじゃ。そして何処かで停滞をする……それをどうにかするのがトレーナーの仕事じゃ」
「なるほど……それが出来なかった人達は中には。特に昨年現れた無冠の五将の様な天才が居ますよね。そういう人達以外に対してなにか?」
「勝者が居る以上は敗者が居る。勝負の世界とはそういう物じゃ……しかし、才能がある者しか勝てないと言うわけではないし何を基準に才能があると言えるかはそのトレーナー次第……己の持ち味を活かすのが大事じゃ」
「それを聞いてもしっくりと来ない人が多いのでオーキド博士に質問で無冠の五将に関する質問が来てますから、それを回答すれば少しは胸のつっかえが取れると思うんですよ」
最終的に戻るのは己の持ち味を活かせ!と言うことになるので色々と迷走している状態だ。
それを聞いても悩んでしまう奴等が多い、真面目に仕事してたらケロマツを貰えるんだから今回は深く踏み込む。
クルミが質問を読む。
「オーキド博士、こんにちは」
「こんにちは」
「昨年、ポケモン界に無冠の五将と呼ばれる5人の天才が現れました。彼等はとても強いトレーナーですが5人が同格なのがどうにも引っかかります。地方リーグを優勝してチャンピオンリーグに出ているから強いのは分かるんですが、どうにも納得が出来ません。彼等の強さについて分かることはありませんか?……とのことです」
「……いや〜……真っ向から言われたら凹みますね」
「この質問を送ってきてくれた子は『剛力』のネブヤくん、『雷獣』のハヤマくん、『夜叉』のミブチくんが強いというのは分かるけれども『鉄心』のキヨシくんと『悪童』のハナミヤくんの強さがよく分からないそうです」
あの3人と比較すんじゃねえよ……オーキド博士が己の持ち味を活かせと言っているから……
「この子はポケモントレーナーじゃない感じかの?……ハナミヤ、お前さんは3人について説明は出来るかの?」
「ええ……『剛力』のネブヤはその名の通り圧倒的なパワー、一般的なサイズよりもポケモンを大きくなるように育てていてそのポケモン達のパワー勝負をしています」
「大きければ出せるパワーは大きくなるという考えは間違いではないの」
「『雷獣』のハヤマはスピードが売りのポケモンバトルをします……常に己のスピードで戦っている。相手のペースを作らせない乗らない、自分の速度で戦い自分の速度に無理矢理相手を合わせる」
「空の様に静かに雷の様に速く、獣の如く荒々しく……まさに『雷獣』の名に相応しいスタイル」
「『夜叉』のミブチは技術……ガンガン攻める物理攻撃の『地』100%の力を発揮する無駄が無い特殊攻撃の『天』、そしてなにもさせない『虚空』の3つを使い分ける……この3人は観客席やテレビで見ても分かる強さですっと、ここからはオーキド博士の講座でお願いしますよ」
キヨシと俺の戦闘スタイルはテレビで見ても分かり辛い。
勿論それについては説明をすることは可能だがここはオーキド博士のポケモン講座だからオーキド博士に話を回さなきゃならねえ。
「キヨシとハナミヤじゃが見るのでなく実際に戦うことで強さが分かる……先ほど述べた無冠の五将の3人はポケモントレーナーとして優れている、優れてはいるがポケモンが目立っておる」
「ポケモントレーナーならば自分のポケモンを強く鍛え上げる事が仕事じゃないですか」
「勿論クルミくんの言うとおりじゃ……しかしの、決して彼等だけが努力をしているわけではない。今こうしてこのラジオを聞いている未来のチャンピオン達はこの質問から何かを掴み取ろうと努力はしている。中には真似をする者も居る。ポケモンバトルで上を目指す以上は戦い続ければ必然的に強い相手と当たる。そうなれば相手も何かしらの強いと言える物を持っておる……ネブヤ、ハヤマ、ミブチはそんな相手と互角以上に戦えるポケモン達を育成し使いこなす能力を持っている。キヨシとハナミヤはそういう相手に対して勝つことが出来る能力が秀でている」
「えっと……?」
「オーキド博士、混乱してますよ」
「すまんの、なにせお前さんとキヨシは理解は出来ても言葉にしづらい学者泣かせのトレーナーじゃからの」
強い相手に戦えるポケモンを育成し、強い相手と互角以上に渡り合える。
ミブチ達はそういう感じの強さを持っていて、俺とキヨシは少しだけ違っている……オーキド博士はそれについて言葉で説明しているつもりだがクルミが理解出来ていない。
「ポケモンバトルは相性だけではどうにもならん時は確実にやってくる。特に相手を追い詰めたら相手は起死回生の一手を狙う、逆に自分が追い詰められたら自分も起死回生の一手を狙う……その際に色々な駆け引きをすることになり、その場合に限ってはポケモンよりポケモントレーナーが如何に優れているかで大きく変わる。『鉄心』の異名を持つキヨシは純粋に強い上でその異名の通り、強靭なメンタルを持って起死回生の一手を狙う相手に対する駆け引きが実に上手い……トレーナーが迷いを見せればポケモンにも大きな影響を及ぼす。特に試合中ならば尚更の」
3人に比べて分からないキヨシの売り、と言うか強いところ。キヨシは純粋にトレーナーとして強いがその中で土壇場での駆け引きが突出して強い。キヨシのジョウトリーグの決勝戦の相手は地方リーグ優勝経験者、格上の相手だ。そういう相手に対して駆け引きの勝負に持ち込む。
コイツに関しては試合を見ている側じゃ分からねえ……あの野郎、平然と耐久ゲーとか防御主体の戦闘してこっちを揺さぶるからな。
ハピナスで耐久ゲーをして相手を焦らす……涼しい顔して平然とエグい手を使うからな。
「そしてハナミヤじゃが、キヨシと同様にシステムがある強さでなく普通に強く、突出したポケモンよりポケモントレーナーとして優れている所が目立つ。そして具体的に何処に優れているかと言えば知略に長けておる……対戦相手と自分のポケモンの特徴を理解しておりそれに合わせたバトルを展開している」
「それは……地味と言うか普通の事じゃ」
「鍛え上げた強いポケモンや戦術を用意しているのは自分だけでない、対戦相手もしていることじゃ。そうなれば実戦でどうしても練習では起きなかった様々なズレが生まれる。ポケモンに関する知識に長けたり入念な準備をしているトレーナーはこの実戦時にしか起こらない分からないズレが原因で負ける事が多いんじゃがハナミヤの場合はリアルタイムでズレに対して計算し問題が起きないように処理しておる。キヨシが土壇場の駆け引きをするのが上手いのならばハナミヤはその土壇場の駆け引きに行き着くまでの試合運びが上手いんじゃ」
「…………ピンと来ないですね」
ポケモンが優秀よりもポケモントレーナーが優秀、そう言われてもクルミはあまりピンと来ない。
ネブヤ達みたいな見たわかる派手な強さがどうしても目立つのは分かる……だがなにもそれだけが強さじゃねえ。
「使用ポケモンが1体だけのポケモンバトルならばネブヤ達に俺が劣っている事は自覚しています……ですから少しだけ意識を変えてください。剛速球や魔球を投げるピッチャー相手にホームランを取るバッターは確かに強いですが、それだけで野球は出来るでしょうか?スポーツには色々なポジションがあり同じ競技でも覚えないといけない動きは異なります。ネブヤ達は点を取るのが上手い、俺は誰かに点を取らせるのが上手いと言う感じです」
ネブヤ達と同じようには見えないという意見に対して答えは単純、方向性が違う。
最終的に勝利するがそれに至るまでの過程が違う。ネブヤ達は点を取って勝利を作る、俺は点を取らせる様に動いて勝利を作る。
どうしても俺の絵面が地味になるが……その分好きに出来るからありがてえよ。
「いや〜よかったよ。数字」
「今回だけですよ」
そんなこんなで生放送を終えればディレクターが生放送の数字が良かったことを嬉しそうに言ってくる。
オーキド博士の名前と俺が去年優勝したからでなんとかなってるから今回しかいい数字は叩き出せない……
「サトシならば緊張でガチガチになりそうじゃが流石はハナミヤじゃ」
「ありがとうございます」
「ハナミヤよ……今回は無冠の五将について触れる内容じゃったからサトシとシゲルについて触れなかった。お前さん、サトシとシゲルが今以上に強くなれる方法について知っておるかの?」
喉を酷使したのでコーヒーを飲んでリフレッシュしているとオーキド博士が声をかけてきた。
プラターヌ博士と学会での打ち合わせでもしとけよと思ったが、サトシとシゲルが今以上に強くなれる方法について聞いてきた。
「ええ、知っていますよ」
サトシとシゲルが今以上に強くなれる方法については知ってはいる。
そしてその事を言葉にして説明をすることが出来る。
「サトシとシゲル、どちらも考えは異なるが考えそのものは間違っていないトレーナーであり強くなろうとしておる。じゃが強くなる方法を言葉することは難しい」
「アドバイスはしませんよ。自分達の事で手一杯なんですから」
サトシもシゲルも言葉で説明するよりも感覚で掴み取らないといけないステージに足を運んでいる。
俺はそれを言葉にして説明することが出来る、特にサトシみたいな突拍子もない事が出来る奴を言葉として説明が出来る……それをすればサトシもシゲルも大きく伸びるが、んなことしてたまるかよ。
「それは構わん……じゃがアドバイスは可能という事はどうやらお前さんは更に先のステージに足を運んでいるみたいじゃの」
2人を更に伸ばせる方法について知っている。
アドバイスを送れとはオーキド博士は言わず、俺はアドバイスを送るつもりは無い事を言えばオーキド博士は俺がサトシ達が今目指しているステージよりも更に先のステージに足を運んでる事について理解した。
爺さん、人の腹を探って嬉しいか?
プラターヌ博士はラジオを聴いていて、よかったと言ってくれてケロマツを貰った。