『ハナミヤよ、少しいいか?』
「手短に頼む」
『私はある作戦を行おうとしていた。その作戦を行う為にAランクのロケット団員や機材を用意していた……だが、なにをするか思い出せんのだ』
「はぁ?」
エンジュジムがあるエンジュシティを目指そうとしていればサカキから連絡が入った。
なにかの仕事かと思って出てみれば相談事であり、Aランクのロケット団員を複数引き連れて更には色々と機材を用意したりして何かしらの作戦をとなったがその作戦を覚えていない。
『お前の言いたいことは分かる……極秘作戦を決行しようとしていたのだが、その極秘作戦を思い出せん』
「物忘れじゃないとなれば……ポケモンにやられたな」
自分が機材やら人員やらを動かして極秘作戦を決行するつもりだったがその極秘作戦を思い出せない。
物忘れや勘違いと言う事はありえなくもないが、一番サカキが納得する答えはポケモンがなにかをしたんだろうな。
「ポケモン図鑑に載っているポケモンの技とはまた異なる力がある……その手の力で干渉されて記憶を弄くられたってところだろうな」
『私の記憶をか……ふむ……』
「あんた1人だけじゃなくて大勢ならば物凄く上位のポケモンが記憶を弄っている……その記憶に関しては科学とオカルト、両方の分野で干渉する技術を作り上げなきゃ取り戻せないって考えていたらいいだろう」
『忌々しい……やはり金儲けに走った方がいいか』
「秩序の管理者に喧嘩を売るのはクソ面倒だからそっちの方がいい。奴等は秩序を壊さなきゃなんも言わねえ……それでも忌々しいなら、オカルトに対抗する手段を研究しておけ。俺も何かあったら送るからよ」
『ああ、そうしてくれ』
サカキ1人じゃなくて複数人以上を同時に記憶を消せるサカキが極秘作戦として動こうとしたものと言えば確実にミュウツーだろう。
ポケモンの技とはまた違うミュウツーの記憶操作能力……人間の意識とか魂とか感情とかに関しては一部は科学的に解析出来るがそうじゃない部分も存在していてそれはオカルトの力に頼らなきゃどうにもならねえ。
この世界の科学技術はオカルトの領域に足を踏み入れていたりするところもあるにはあるが、まだまだオカルトの力が強い。
「う〜ん……」
まぁ、オカルトを科学的に研究するってのは面白いだろう。
俺は科学者じゃねえからその辺については一部しか分からねえし、俺の仕事はそうじゃないからそこは置いておく。
「ミロカロスとクリスタルのイワーク、厄介だな」
ヒリメオはポケモンバトルだけでなくポケモンコンテストも出ようとしている。
ポケモンにもその事は伝えており納得はしている……そこで1つの問題が発生している。ヒリメオはそれが何なのかを理解しているから頭を悩ませており、それに対する答えを俺も持ち合わせてないからヒントを出せない。
「元からスゴいポケモンだから、それを際立たせる方法が……」
ミロカロスと言えばチャンピオンの中で最強と言われているシロナも使っているポケモンで、進化条件が明らかにコンテストの為とも言えるものだ。戦闘にも向いているしコンテストにも向いているポケモンだ。
ゲームのポケモンコンテストとこの世界でのポケモンコンテストは違う。
ゲームのポケモンコンテストはコンテスト用のステータスを高め、まずはそのポケモンを周りに見せる。そこで評価を得てから技の審査があるが技を使うだけでいい。
だがアニメのコンテストは違う。
ポケモンを出した後に技を使う一次審査と、魅せるポケモンバトルをする二次審査がある……単純にポケモンのコンディションが高ければどうにでもなるとかじゃなくてポケモンの技をコンテスト用に覚えないといけねえ。
ゲームのポケモンコンテストとは異なる……だが、やろうとしている事については飲み込める。
この世界の住人が物凄く苦戦するものではないが……ヒリメオは普通に行き詰まっている。その原因がクリスタルのイワークと色違いのミロカロスだ。
「どうしてもこれだけ?って感じちゃう……もっと上がある気がする」
色違いのミロカロスは実戦では定期的に出してはいるがここぞという時のジム戦でまだ出していない。
その理由はミロカロスの育成に満足が出来ていないから……まだまだ成長する段階でその段階で勝負するもんだと言われればそりゃその通りだと俺も頷く。だが色違いのミロカロスとクリスタルのイワークには大きな欠点がある。
「まぁ、あると思うし実際にあるだろうからな」
クリスタルのイワークと色違いのミロカロスは見た目がいい。容姿に優れていると言う範囲を超えるレベルにだ。
見た目が圧倒的に美しいポケモン……そんな物を見せられれば、そのポケモンからどんなパフォーマンスをするんだ?と言う観客や審査員達からのハードルは上がる。そこで普通のパフォーマンスをしてもウケはあまり良くねえ。
色違いのミロカロスとクリスタルのイワークは車で言うところのフェラーリやポルシェみたいな高級車として知名度が高く尚且つバカみたいな高性能を売りにしている車だ。
手に入れる難易度が無駄に高いが、それよりも手に入れた後にそれを使いこなせるかどうかだ……ヒリメオはとりあえず思いついたパフォーマンスを色違いのミロカロスやクリスタルのイワークに教えてはみるがなにかが足りない。
このなにかが生まれている理由は至ってシンプルに色違いのミロカロスとクリスタルのイワークだからだ。
見ただけで他とは格が違う、だからそれが出来る事については流石だなよりもこのポケモンの能力ならば出来ない方がおかしいと思われる。
高級車の売りは見た目とかもあるが、明らかに無駄とも言えるロマン性能なオーバースペックだ。
普通の道路を走る上では高級車のちょっとでもアクセル踏んだら法定速度超えるバカげた馬力は要らねえ。だが、ポケモンコンテストに置き換えれば話は別で色違いのミロカロスは高級車同様にちょっとでも力を入れればそれで魅了されるがそれは出来て当然で、通常個体のミロカロス以上のパフォーマンスを要求される……ポケモンバトルはポケモンを倒すと言うゴールに向かうものだが、ポケモンコンテストはスコアアタック、どれだけのハイスコアを叩き出せるかの世界だ。
類似点はあれども異なっている……まだまだヒリメオは成長するが今後のことを考えても色違いのミロカロスはコンテストでのエースになるのは確定だ。ここ一番のエースとして色違いのミロカロスは出る。ポケモンコンテストによってはダブルバトルとかもあるからもう1枚エースは必要だろうが……ミロカロスはこれがあるから中々にジム戦に出せない。
今までのジム戦でミロカロスを出そうと思えば出せたが、ミロカロスのこの辺の調整が難しくて出せない。
とは言え次のジムではミロカロスを出すという事をヒリメオは決めている……次のジムがエンジュジムで、そろそろセオリー通り以外のバトルとかも出来る様にならなきゃいけねえ……ゴーストタイプは色々と個性が尖ってるからやりやすい。
「ケロ」
ヒリメオのコンテスト関係についてはヒリメオがどうにかしなきゃならねえ。
俺はコンテストっぽいことは出来るには出来るがあくまでも遊びの延長……ヒリメオにばかり集中は出来ねえ。プラターヌ博士から貰ったケロマツを育成する。このケロマツコンテストもやれと言われればやるがポケモンバトルがいいという個体だ。
既に俺はギャラドス、パルシェン、カメックスを持っている。
この3体で充分に思えるがケロマツはこの3体とはまた違ったポケモンバトルを可能とする……プラターヌ博士に寄越せと言っておいてなんだが当たりのポケモンだろう。
最終進化系になればまだ持っていない、あくタイプのポケモンの枠になるからな。
「……ケロ!」
「え?」
「おい、どうした?」
そんなこんなでケロマツを鍛えていく。
ヒリメオとのポケモンバトルで鍛えているが……突如として変な方向に向かってみずのはどうを投げた。
ポケモンバトルにケロマツもヒリメオもミロカロスも集中している。
一手一手色々と予測して考えたりしている中で何故かケロマツはみずのはどうを変な方向に撃った……バシャンと水が弾ける音が聞こえた。
「なにか居た……としても勝手に撃つなよ」
人間が開拓し人間が整備した場所じゃねえから野生のポケモンが居てもなんにもおかしくはねえ。
ケロマツはこっちに意識を向けてきているポケモンに対してみずのはどうを向けたと考えるのが普通だろうが、勝手に撃つのはどうかと思う。
「えっと……え!?」
ケロマツのみずのはどうは当たらなかった。まだまだレベルが低いがそれでもスピードは売りのケロマツのみずのはどうを回避しら足跡は残っている。ヒリメオは偶然にも足跡を見つけたのでポケモン図鑑を開いて驚いたた。
『ライコウ いかずちポケモン 体内で渦巻く力を電撃として出しながら大地を駆け巡る荒々しいポケモン』
残っていた足跡からライコウが出てきた。
ケロマツが自分達を見ていたなにかの正体はライコウ……また随分と大層なポケモンが目をつけてくれてやがると思っていたら、遥か上空から雷が落ちた……かと思えばその落ちたところから膨大な電気が放出される。
「ハナミヤくん、行ってみよう!」
「ああ」
でんきタイプのポケモンが放っている電撃だが明らかにレベルが違う。
ついさっきヒリメオが図鑑でライコウが出たことと電撃から考えられることは1つだけだ……
「グルォオオオウ!」
ライコウが暴れている……予想通りと言うべきかライコウは暴れている。
ただ感情に身を任せてとかじゃなくてトレーナーと戦っている……そう、クロスだ。
「無駄だ!お前を想定してデスバーンを育てた!」
クロスはデスバーンを出している……ライコウは忌々しいと言う感情を含んでいないがクロスを睨んでいる。
今のところ伝説のポケモンの目撃情報はあるにはあるが直ぐに逃げると言う事は物凄く多い……デスバーンはライコウを逃さない為のくろいまなざしを覚える上にじめんタイプだから強力なでんきタイプの技が通じねえ。
「デスバーン、ちょうはつだ」
「デェス!」
「グゥ!」
「フハッ、分かってんじゃねえか」
大抵のトレーナーはコイツラを見つけ出しても即座に逃げるという事があるのを知っていて、くろいまなざしを覚えさせている。
くろいまなざしを覚えさせていれば逃げることは不可能……と思うだろうが、ライコウ達は第二の刃であるほえるを使ってきやがる。ライコウに対しては初手でくろいまなざしを使う、それで逃げられなくすればライコウは攻撃してくる……が、デスバーンはでんきタイプの技は通じねえ。デスバーンの進化条件が特殊でジョウト地方じゃまず見ねえポケモンだから流石のライコウも一発はでんきタイプの技をぶつける。それを読んでのちょうはつ、そうすることでほえるを使わせなくする。
「いけ、モンスターボール!」
ほんの一瞬、確かだが隙は生まれた。
クロスの奴はモンスターボールを取り出してライコウに向かって投げた……ライコウにモンスターボールは当たりモンスターボールの中に入った。右に左にモンスターボールは……揺れずに出た。
「グォウ!!」
「なに!?」
相手は伝説のポケモンでゲットされる意思は無い。
ゲットされるつもりがあるのならば今のでゲットすることは出来てたろうが流石にそんなに甘くはねえ。
「グォオオオウ!」
ライコウはじんつうりきを使った……デスバーンみたいなポケモンも当然対策をしていて、その手の技も会得しているか。
じんつうりきをデスバーンにぶつければデスバーンは苦しんで倒れた……
「いい線行ってたが一手足りねえな」
「お前は、ハナミヤ!」
デスバーンが倒れたからここでめでたくゲームオーバーだったのでここで声をかける。
ライコウに対して熱くなっていたクロスは俺達の存在に全くと言って気付いておらず声をかけられれば驚いていた。
「惜しいな。後、一手さえあればライコウが手に入る確率がバカみたいに上がったってのによ」
「……なにが言いたい?」
「お前にはコイツがねえ哀れなトレーナーって言いたいんだよ」
ライコウをゲットするのに必要な後一手はポケモンをゲットする際にする極普通なこと、ポケモンに攻撃して弱らせることだ。
今の流れにライコウを攻撃して弱らせるというトレーナーとしてポケモンをゲットする初歩的な事をしていれば0から可能性を生み出すことが出来ている。
ただし……ただの一撃じゃ届かない。
純粋なレベル差とかそういうのがあるからデスバーンの並大抵の一撃じゃライコウには通じねえ。通じる技はただ1つ、ZワザだけだがクロスはZワザを持っていねえ。
「っ……」
クロスはZワザを持っていない……Zワザを与えることは出来ないのだと認識されて持ってねえ。
俺の言いたいことは分かっているから頭に血が昇っている
「なんで……なんでお前みたいなクズが選ばれて俺には」
「そこで止まってたら終わりだよ」
俺みたいなクズがカプ達がZパワーリングを与える事に対して文句を言わなかった。
キヨシ達ならば選ばれたりZワザを使うことに対して問題は無いと判断をされるのは特になんの疑問も抱かねえ。だが、俺がZワザを使ってもいいよと許可を貰った事がクロスは認められない。
人間性だけで言えば俺は『悪童』の名に相応しいトレーナーだ。サトシ達をどういう風に潰すのかを考えたり自分がこの世界で面白おかしく生きていく方法を模索している……合わない奴は合わないのは自覚している上でZパワーリングを貰った。
クロスは何故と言う疑問を抱いているが、その疑問に対する答えを模索していない。そこで止まってたら終わりだ。
「……」
クロスの目には憎悪が宿っている。それを意図的に増幅させている俺はライコウを睨んだ……が、攻撃はしない。
ライコウは俺を睨んだ際に強い威圧感を飛ばしてくるが、こんなもんサカキとの会話で定期的に感じているから今更怖いとは思えねえ。
それよりもとライコウは視線をヒリメオに移した。
ヒリメオはビクッと反応する。ライコウ自身が意図せず放っているプレッシャーに気付いた。ライコウはそれに気付いたが特に何かをしてこない。
「グゥ」
ライコウは軽く鳴き声を上げた。それと同時に雷が落ちた。
眩い雷に視界を奪われて視界を取り戻せば……ライコウはそこには居なかった。デスバーンは倒したし逃げたか。
「……けるな」
「え?」
「ふざけるな!なんでお前みたいな奴が選ばれるんだ!!」
ライコウがこの場所から姿を消す前にライコウはヒリメオを見た。
トレーナーとしてのレベルとかそういうのを話題に出せば俺、クロス、ヒリメオの順番だ。ヒリメオはまだまだ磨けば光るトレーナーではあるが逆を言えばまだまだ成長段階だ。
見る価値があると興味を抱くのが俺ならばまだ飲み込める。だが、ライコウは興味を抱いたのは俺でなくヒリメオだ。
「それ以上やるってなら俺が相手になんぞ?」
クロスはヒリメオからなにか特別な物を感じ取ることが出来ない……だが、ライコウはヒリメオからなにかを感じ取った。
自分が強くなる為に、強くする為に色々な手段を尽くしているにも関わらず自分は選ばれないどころか興味すら抱かれなかった。どうしてと叫びヒリメオに八つ当たりをしようとするので俺はモンスターボールを構える。
このまま行けばヒリメオとクロスのポケモンバトルが成立するが、そこからなにも生まれない。
無駄な時間を費やしている暇はねえと俺が立ち塞がる壁になればクロスは聞こえるレベルで舌打ちをしてデスバーンをモンスターボールに戻してこの場を去っていった。
「……ねぇ、ハナミヤくん」
「その辺の話はエンジュシティについてからだ」
激怒しているクロスを見ていて震えていたヒリメオは一旦深呼吸をし気持ちを整えた。
そして俺になにかを話そうとするが、その辺の話はここでするもんじゃねえと中断していたポケモンの育成を再開した。