「ポケモン相撲ね……」
ズシンズシンと五月蝿い音が聞こえていればなんだと思えばポケモン相撲が開催される。
ポケモンの技じゃなくて純粋なフィジカルで物を言わせる勝負
「あ、ハナミヤくんこれ優勝賞品高級プロテイン入りのポケモンフーズ1年分だよ!出なきゃ!」
「ああ、コイツは悪くねえ」
ポケモン相撲優勝賞品が何なのかを確認すれば高級プロテイン入りのポケモンフーズ1年分だった。
ヒリメオはコレは出なきゃ!と使命感に駆られるが……ヒリメオのポケモンで出れそうなのは誰だ?一応は体重制限があるし、パワータイプのポケモンじゃねえとダメだ。
「この手のバトルはパワーが大事だからね。カイロスで行くよ」
「カィ!」
通常よりも遥かに大きなオヤブン個体のカイロス……相撲におけるデカいのとパワーを持っているの2つを両立させている。
カイロスはまた出番が来たとジャキンとハサミを鳴らしている……
「んじゃ、俺はカイリキーで行くか」
「今、手持ちにいないんじゃ」
「こういうところは飛び入り参加自由だから交換出来るところぐらいあんだよ」
こういうフィジカル勝負とか純粋な肉弾戦とかならばカイリキーだ。
カイリキーはそういう風に育成している……ニドキングは逆にポケモンバトルらしさ、様々な技が使えるを売りにしている。
『うむ、カビゴンは無事に転送されたようじゃな』
「……っち……」
「あ、ハナミヤ!」
ポケモンを交換する場所があったがそこには先客が、サトシが居た。
オーキド博士とテレビ電話をしていてカビゴンを送ってもらっているってことは出るつもりで俺が聞こえるレベルの舌打ちをしたらサトシは振り向いて俺の存在に気付く。
「お前がここに居るって事はやっぱり出るのか?」
「ああ、そうだよ……そういや、道順的にもエンジュシティを通らなきゃならねえがどうだった?」
「この通りだ!」
「なにがこの通りよ。1回負けてて、カビゴンでゴリ押ししたじゃない」
サトシが本来ゲットする筈の色違いのヨルノズクをヒリメオにゲットさせた。
ヨルノズクが居なければエンジュジムは厳しい……どういう風に攻略したのかが気になるから聞けばエンジュジムを制した証であるファントムバッジを見せるがカスミが呆れる。カビゴンでゴリ押ししたと……大方、さいみんじゅつやシャドーボールが通じねえからカビゴンでどうにかなった、そんなところだな。
「フハッ、ゴリ押ししなきゃ勝てねえって相変わらず貧弱だな」
「なんだと!」
「まぁまぁ、落ち着け……ハナミヤ、ここに居るって事はオーキド博士にポケモンを送ってもらうんだろ?」
「ああ……オーキド博士、カイリキーをお願いします」
『うむ』
何時もの様にサトシを煽ればタケシが宥めここに居る目的を果たす様に話題を変える。
幸いにもテレビ電話は繋がっているからそのままオーキド博士にカイリキーを送ってもらう……カイリキーは無事に転送されたからポケモン図鑑を取り出してデータの確認をする。特に問題は無い。
「ハナミヤはカイリキー……コイツは強敵だぞ」
「お前等は出ねえのか?」
「体重制限の80kgを越えてて二足歩行のポケモンを私達は持ってないのよ」
サトシしかポケモン相撲に出場しないことを聞けば、条件である80kg超えのポケモンを持っていないとカスミとタケシは頷く。
タケシは80kg超えを持ってるだろうが、他の条件、二足歩行とかそういうのを満たしてない。ゴローニャでも持ってねえのか?と思ったが持っていたとしてもジムのポケモンであって自分のポケモンじゃねえな。
「リッキ!」
オーキド博士に送ってもらって今から相撲大会があることを伝えればカイリキーはやる気を見せる。
やる気があることは何よりだ……体重計に乗って体重審査を行うが特に問題は無い。ヒリメオのカイロスも問題無く通った……
「カンビ」
「た、体重計が壊れた!?」
「ご、合格!」
「……」
サトシのカビゴンの番が来た体重計に乗せれば体重計が壊れた。
流石はカビゴンだと置いてえが……カビゴンは寝ている……カビゴンは種族全体を通してマイペースなポケモンで大食いポケモンだ。この大会ではダークホースになるだろうが……ありゃダメだな。
「ちょっとちょっと」
「……ニャース先輩、何しているんですか?」
「そういうおミャーこそ何してるニャ?」
「いや、大会に出るんですよ……ここで先輩特権とか無しですからね」
注目すべきダークホースが他に居ないかの確認をしていればニャースに声をかけられる。
サトシが居る以上はロケット団が居てもなにもおかしくはねえ……怪しげな格好とこういう場所だから確実にロクな事をしねえなと思いながらも先輩特権とか無しと先に釘を刺しておく。立場上先輩だけど、俺の方が上の地位だからな。
「ちゃんとポケモン相撲をしてくださいね……じゃあ、失礼」
ロケット団と余計な会話をしてパワハラされるのは普通に嫌だから、コレ以上は関わらねえ。
ミルタンクに見えるが明らかにミルタンクの着ぐるみを着ている別のポケモンが体重計に乗ればギリの80kgを満たしているが違和感を感じている。
「ねぇ、ハナミヤくん、アレってさ」
「……上手く処理出来るか?」
「うん……リキキリン、ちょっとサイコキネシスを」
確実になんかやらかすなと思っていればヒリメオは不正に気付いた。俺がやれば色々とうるさいだろうからヒリメオにバレない様にやる様に言えばヒリメオはリキキリンを出してサイコキネシスを指示すれば……ミルタンクの中から鉄アレイが出てきた。そういえばソーナンスは見た目より軽いポケモンだったな。当然、失格になりムサシ達は抗議するが普通に反則だ……フハッ、バカだな。
「西〜カビゴン、東〜リングマ」
一悶着があったものの、普通にポケモン相撲は行われる。
最初の出番はサトシのカビゴン…………
「ったく、相変わらず使えねえトレーナーだな」
カビゴンとリングマの相撲はあっさりと決着がついた。
リングマがカビゴンに向かって突撃してきたがカビゴンの自慢のお腹が弾いた……カビゴンは呑気にあくびをしていて自分が何をしているのかが全くと言ってわかってねえ。いや、この場合は気にしてねえのが正しいか?
「西〜ゴローニャ、東〜カイリキー」
「カイリキー、ハナミヤくん、頑張れ!」
カビゴンに関しては気にするほどじゃねえなと思いながらも自分の番がやってくる。
相手はゴローニャ……ポケモンの中でトップクラスに重たいポケモンでカイリキーと対して体格が変わらねえ。俺のカイリキーは150kgだが向こうは余裕で300kgを超えている。
「カイリキー、パワー勝負だが剛力だけがパワー勝負じゃねえ……分かってんだろ?」
「リキ!」
相手はゴローニャだ……いわタイプのポケモンだから当然物理攻撃に強い。
カイリキーがかくとうタイプのポケモンでポケモンの技が使用禁止の純粋な相撲勝負だとしても倍以上の重さがある相手はまともに相手に出来ない。ならやる事は単純だ。
はっけよいの言葉は相撲が成立したという証だ。
ゴローニャはこの日のためにと突撃してくる……カイリキーは真っ向から受けず流しからの上手の出し投げをした……
「つ……強い……流れる様にやってた」
「フハッ……下手な小細工はカイリキーにはねえんだよ」
純粋な格闘技能に特化させて育成をしているカイリキーは近距離物理戦になれば強い。
純粋に四本の腕、鍛え抜かれた足腰、地味ながらの摺り足……そういう基礎はしっかりとこなしている。俺が相手をバカにする為の努力は怠ってねえ。人をバカにするには自分は出来ますよと煽れるようにならなきゃならねえからな。
「西〜カイロス〜、東〜サイドン」
今度はヒリメオの番が来る。相手はサイドンだ……体格では見劣らないが重さではどうだか。
はっけよいの言葉が出たので勝負は成立し……カイロスは迷いなく頭から突っ込んだ。普段の相手ならキン肉マンのバッファローマンのハリケーンミキサーみたいな感じになってるが、今回は全員が重量級だ……サイドンはガッツリとカイロスの角を掴んで勢いを殺すんじゃなくて捻ってバランスを崩す。
「あ……負けちゃった……」
「あくまでもカイロス基準でデカくて重いだからな……他を基準にしたら話が変わる」
ヒリメオのカイロスはオヤブン個体で重くて大きいがそれはあくまでもカイロス基準でだ。
他の重量級のポケモンじゃ当たり前の体重でサイドンにとってはそこまで……今回はポケモンバトルじゃなくてポケモン相撲、ポケモンバトルなら勝てたな。
「……」
「あのカビゴン、強いけどだね」
ヒリメオは1回戦で敗れたが俺は勝ち進み……サトシも勝ち進んでいる。
順調に指示を出しているってわけじゃなくカビゴンはただ立っている。その弾力性のあるお腹に突撃してポヨンと弾かれる。最低80kgの世界のポケモン達がそれなりに勢いをつけてるってのにポヨンと弾いている。
あのカビゴンはレベルがとても高いとヒリメオは判断するがそこで言葉が詰まっている。
カビゴンは確かにレベルが高い。俺の目で見ても間違いはねえがボーッとしている。リザードンとは方向性が異なるがカビゴンを正しく使うことが出来てねえ。
「西〜オーダイル。東〜カイリキー」
順調に駒を進めて準決勝、決勝戦で待ち受けるのはサトシのカビゴンだ。
相手のオーダイルは強い……ポケモンバトルじゃなくてポケモン相撲の特訓をしている。
「君のカイリキー、中々にやるな……きっと金の卵なんだろうね」
「まぁまぁだ……土俵の上は誇りの殺し合いだから言葉じゃなくて行動で示せよ」
「ああ、そうだな」
対戦相手のトレーナーが俺のカイリキーを褒めるが褒めたところでなにも出ねえ。土俵の上では心の生死をかけた殺し合いだ。
カイリキーとオーダイルは見合う……コクリと頷いた。互いに闘志をメラメラと燃やしている。
「はっけよい!」
「悪いな、コレがカイリキーの売りだ」
相撲が成立すればオーダイルとカイリキーは突き押しをする。
そうすればどちらが上なのか?確かにオーダイルは物理が強いポケモンだがこっちはかくとうタイプ、体を動かす系はカイリキーの方が上で手数が多い
「どうしたオーダイル!お前なら耐えれる筈だ!」
「無理だよ……カイリキーの突きは相撲の突きじゃないから」
オーダイルが徐々に徐々に押されていっている。突きはしっかりと当たっているのにも関わらずだ。
突き押しはこっちが数が上だがそんなことは関係無いと気合いを見せるように言うが、ヒリメオは無理だとボソリと呟く……パンチってのは大抵の格闘技に存在している。どれも同じパンチに見えるが腰の使い方や腕の動きがやや異なる。
カイリキーには空手、中国拳法、柔術、ムエタイの動きを混ぜ込んだものを教えている。
相撲には無い独自のリズムや突き方が混ざっていて相撲の突きには耐えれても他の武術の動きには耐えられない。
「オーダイル……っく、1年が……」
独自のリズムを持っている突き押しによる突き出しでオーダイルは負けた。
1年間必死になって鍛え上げたがカイリキーの前にやられてしまって悔しそうな顔をする。
「リッキ!」
「落ち着けよ……って、おい!」
強い相手と戦えて満足だがまだもう1試合残っている。カイリキーは興奮しながらカビゴンの元に向かった。
かくとうタイプのポケモンでこういう場所だからか血気盛んになってる……ドサイドンにすりゃよかったか?あいつアレでも紳士的な性格だしよ。
「決勝の相手はハナミヤか……あのカイリキー、独特の体捌きがあって動きが読みにくいぞ」
「大丈夫だ!俺のカビゴンならやってくれるさ!」
「カンビ……カビ?」
タケシが俺のカイリキーが独特の動きを持っている事に気付く。危険だと釘を刺しているが相変わらずのサトシ。
カビゴンはのほほんとしている中、カイリキーが目の前に現れた……カイリキーはギロリとカビゴンを睨むがカビゴンはボーッとしている。
「カイリキー、喧嘩売るんじゃねえよ」
「リキ!」
「……カンビ?」
「……リッキィ!!!」
「あ?」
カイリキーがなにか熱く言っていると思えば異常なまでにリアクションが薄いカビゴン。
それでカイリキーは怒っているが……なんだ?カビゴンがリアクションが薄いのは分かってるがなにに怒ってる?
「サトシくんのカビゴン、やる気が無いのを怒ってるみたい」
取りあえずカビゴンから引き剥がしたのでヒリメオになんで怒ってるのかを聞いてみた。
カビゴンがポケモン相撲を真面目にやらない、至ってシンプルな理由で怒っている……!……フハッ!
「カイリキー、お前にいい作戦を教えてやるよ」
「リキ?」
サトシの無能さをより見たいからこの作戦は是非ともやってほしい。
カイリキーに作戦を伝えればそれは面白そうだと汚い笑みを浮かべあげた。
「見合って見合って……」
「リッキィ!」
「カンビ」
「キィ!?」
「やった!ハナミヤのカイリキーに」
「待った!」
決勝戦だと土俵の上に上がるカイリキーとカビゴン。
行司が顔を見合わせる様に言って緊迫している空気が流れている中でカイリキーがぶちかましてカビゴンのお腹に弾かれる。サトシは優勝だ!俺に勝てた!と喜んだが待ったが入った。
「サトシ、相撲が成立する前……ハナミヤのカイリキーは早くに動き過ぎて相撲が成立してないから無効なのよ」
相撲が成立する前に動いたのでカイリキーは負けていない……もう一度仕切り直しだった。
カスミが相撲が成立していないことを伝えればサトシは直ぐに納得した。
「カビゴン、決勝戦を勝つんだ!勝ってポケモンフーズを手に入れるんだ!」
「カンビ?……カンビ!!」
サトシがカビゴンを鼓舞すればなんの話かとカビゴンはポケモンフーズの存在にここで気づいてやる気を出した。
今日はじめてカビゴンがやる気を出している……だが、もうおしまいだ。
「待った!」
「ちょっとコレで何回目よ!」
相撲が成立する前にカイリキーはぶちかます。
カビゴンの自慢のお腹に弾き飛ばされるがそれでも相撲が成立していないから負けにはならない。何度も何度も何度も待ったをかけられておりカスミの奴が怒った。
「カンビィ!!」
「あんた、明らかにカビゴンを挑発してるでしょ!」
「おいおい、人聞きの悪いことは言わないでくれよ。カイリキーは焦ってんだ……よく見てみろよ、カビゴンと倍以上の体重差があんだぜ?」
「いいえ、絶対わざとよ!」
後1つ勝利すればポケモンフーズが食べられる、そんな状況で焦らされていてカビゴンは苛立ちを覚える。
カスミが抗議をしている。周りも色々と意見を言っているし審判達も色々と審議している
「次にやったらカビゴンの優勝にするから、いいね」
「ええ、分かりました」
わざとやっていると判定されてコレ以上すれば負けにするとの通告を受けた。
カビゴンは苛立っているが、コレ以上はもう無い。サトシもまたやられれば自動的にカビゴンの勝利になると言われたのでカビゴンにその事を伝えればカビゴンは気持ちを落ち着かせようとし……俺は指を鳴らした
「は?」
それを言ったのはサトシだった。
さっきまで何度も何度も突撃しているにも関わらずカイリキーが取った行動、それは背中を見せることだ。やっとカビゴンが勝負に対してやる気を出した。それなのにも関わらずカイリキーは背中を見せた。
「カンビィイイ!!」
今まで何度も何度も焦らされていた事から溜まっていたストレス等が爆発した。
カビゴンはその巨体に似合わない速度で突撃してくるのでカイリキーは綺麗に振り向き、猫騙しをすればカビゴンは怯んでカイリキーはそのまま八艘跳びで後ろに回り込み、カビゴンを押し出した。
「行司さん」
「カ、カイリキーの押し出し!」
「物言いは?」
空気が止まった……だが俺は気にしねえと行司に声をかければ行司は判定を下す。
異議を唱える物言いがあるかと思ったが特にそんなことは無かった。ただそのやり方が汚いだけで、反則じゃねえ。作法に対して無礼だったがあくまでもそれだけでそれ以上は何もない。
「カビゴン、大丈夫か?」
「カンビ……カンビ……」
「フハッ……準優勝おめでとさん……無様だな」
「ハナミヤ!卑怯な真似をしてそんなやり方をして嬉しいのか!!」
「嬉しいね!なにせお前のカビゴン、全くと言って使い物になんねえポンコツだって見れたんだからよ!!」
「なんだと!!」
俺のやり方が卑怯だとハッキリとサトシは言うが、俺はそれに心が痛むことなんて全くと言って無い。
カビゴンが使い物になんねえポンコツだってのがわかったんだ。コレ以上にスカッとすることなんてココ最近は見ねえわ。
「お前のカビゴン、見てたが何してんだよ?最初から準決勝までただボーッとしてて、優勝賞品を見てやる気をやっと出して……思考パターンがお粗末過ぎて読めんだよ。ちょっと煽って変化したらおしまいだ……言っとくがそのカビゴンは優秀なカビゴンだ。お前が無能で使いこなせてないおかげであっさりと優勝出来た」
「っ……お前……」
「フハッ、俺はお前がヘボなのを見たかったんだよ……決勝戦でカッコよく悪を成敗じゃなくて無様に醜態を晒してくれてありがとよ!」
「あんた、何処まで性根が腐ってるのよ!」
「何処までもだ……おっと、俺を倒す以前に戦いに出てない奴は文句言うなよ」
カスミは俺の態度に怒るが、どうでもいいとなにも言えない状況にする。
サトシはカビゴンを馬鹿にしているのでなくサトシ自身を馬鹿にしている事が分かり、カビゴンがやる気を出したのは自分じゃなくて優勝賞品のポケモンフーズの為だと分かっているからなにも言い返せない……相変わらず三流だな。
「っと、コレで1年分か……ヒリメオと割っても問題無く使えるな」
「え、いいの?」
「経費節約だ」
プロテイン入りのポケモンフーズを俺は手に入れたからヒリメオと半分こ、経費節約だ。
ヒリメオが優勝していたら?それだったら全部ヒリメオの物だ……サトシの無様な姿を見れたからスッキリしたぜ。