【完結】二度目の人生を自由気ままに生きる俺の図~可愛いヒロインと美食とお酒でダンジョンワイワイ~   作:雨音 休

22 / 32
エピローグ

 

 家を無事買うことに成功し、俺たちは引っ越しをした。

 

 

 晴れて借金地獄である。これからは月一で金貨一枚を支払っていかなきゃいけない。ちょっと気が重い。魔獣たちには仕事を頑張ってもらわなきゃいけないよな。本当にさ。

 

 

 早朝、いま新しい家に巫女さんに招いていた。白い羽衣(はごろも)ローブを着た黒髪ロングの女性。ダイニングの霊棚に家霊様をおろしてもらっている。霊棚に向けて彼女は正座をし、ぶつぶつと呪文をつぶやいている。まるでお坊さんの唱えるお経のようだ。両手のひらを合わせて何度もおじぎをしている。

 

 

 俺たち三人と一頭は、巫女さんの後ろで見守っていた。ピンクの髪色の少女が嬉々とした表情をしている。期待に揺れているつり目の瞳。微笑んでつりあがる頬。

 

 

「スティフ、これであたしたちも新しいスキルを覚えるかしら?」

 

「ああ、覚えると思うぞ。分からんけど」

 

「ステータスオープン」

 

「いやいやお前、ステータス出したって、いきなり覚える訳じゃないからな」

 

「覚えてないわ」

 

「そりゃあそうだ」

 

 

 ふと、霊棚の蝋燭にぼうっと青い火が灯った。家霊様がおりたのである。ちなみにこの蝋燭は火がついても減らないのだそうだ。不思議である。

 

 

 巫女さんが正座の姿勢のままこちらを振り返った。

 

 

「皆さま、家霊様が降臨しました。これからは霊棚の掃除を欠かすことの無いようにしてください」

 

「欠かすとどうなるの?」

 

 

 黒い翼に尻尾の少女が尋ねる。

 

 

「不潔にすると、家霊様が死んでしまいます」

 

「えぇ、マジなの?」

 

「はい。ですから、毎日掃除をお願いいたします」

 

「わ、分かったわ」

 

 

 掃除か。シノにでもやってもらうこととしよう。

 

 

 その後、巫女さんは仕事道具をしまって帰り支度を始めた。俺は彼女に銀貨10枚を支払う。儀式のお代金である。

 

 

 巫女さんが帰って行くと、俺たちは朝食を摂った。それにしても新しい環境である。綺麗な天井や床や壁、火のついていない暖炉、丘の下の町を覗くことができる大きなガラス窓。

 

 

「スティフ! このスープ美味しいわ」

 

「本当ですぅ」

 

「ぐるるぅ、美味いな」

 

「そうだろ。特性スープだからな」

 

 

 何てことない、とろっとしたかき玉スープである。テーブルの上には生クリームとジャムを挟んだパン。粗挽きウインナーにマリネが並んでいる。飯だけは美味いもの食わないとな。じゃないと生きているのがもったいない。

 

 

 今度の休日にはルタークとヘミリー、ベアビリーズ食堂のおとっつぁんを招いて新築祝いをするつもりだ。同時に音楽も習う。今から楽しみである。その日は気合いを入れて料理をしなければいけない。

 

 

 朝食が終わると片付けをして、俺たちは家を出た。ダンジョンへと向かう。さあ、仕事だ。気合いを入れていかないといけない。とは言っても頑張るのは魔獣たちなのであるが。

 

 

 隣を歩く赤黒ロリータ服がステータス画面を出している。パアッと素敵な顔を浮かべた。笑顔にゆるむ目尻。口の端がつりあがる。本当かわゆい。

 

 

「スティフ! あたし、新しいスキル覚えたわ!」

 

「いきなりか?」

 

「うん! 見て見て、これ!」

 

「どーれ」

 

 

 俺はステータス画面を覗く。そのスキル欄には本当に新しい文字が浮かんでいた。

 

 

「良かったな! エヴリル」

 

 

 ピンクの髪色少女の尻を俺は右手のひらでぺちんと叩く。彼女はお尻を両手で押さえて、

 

 

「どうしてお尻を叩くの!?」

 

「何となくだ」

 

「何となくで叩かないでよー! もう~」

 

 

 文句をつぶやいているが、どこか嬉しそうな顔つき。これだからガキは可愛い。

 

 

「お前には頑張ってもらわないとな」

 

「もー、スティフのエッチ!」

 

「エッチじゃないだろ」

 

「お尻を叩くなんて、エッチ!」

 

「ははは」

 

 

 楽しい気分だった。空を仰ぐ。どこまでも澄み渡るような青。良い天気だった。さあ、今日のダンジョンはどんなモンスターが待っているんだろう。だけど、どんな敵が出て来ても平気な気がした。

 

 

 俺にはエヴリルとシノとボロックがいるのだから。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。