さて、最早覚えていた人がどれだけいたでしょうか。
久しぶりの更新です。待っていてくれた方には本当に申し訳ないです。
色々時間が経って思うところもあったので、毛色を少し変えたりしてます。
紅魔郷がswitchでリメイクされるという爆弾情報で私の心臓はキュッとしてドカーンしてしまって魔女化してしまいました。
ナノカが案内した地下室は、その場所を知る者にとっては見覚えが無いものであった。
「……暖かい?」
「そりゃあ、今は季節的には暖かいのは当然でしょ?」
「そうじゃない。ここは本来、魔女として処刑された少女たちと、殺害された少女が凍らされて保存されていた、冷凍室なんだ。」
「それにしてはがらんとしてるわね?」
紫の指摘通り、保存されているという少女たちの姿も見当たらない。
「お姉ちゃん、お姉ちゃんはどこ……!?」
ナノカはかなり憔悴した様子で、ずんずんと奥に進んでいく。
それにセナたちは慌てて付いていく。
「待ってよナノカちゃん、さっき一体何を見たの?」
「私が見た未来は……お姉ちゃんが何かに呑まれる姿だった……!!」
「何だって!?」
慌てて周囲を見回すも、何も気配は感じられない。
何かを察知したのは紫とセナだった。
「ねえ紫さん、ここ……何か感じない?」
「あら奇遇ね。空間系能力者同士通じるものがあるのかしら。」
「私の魔法って空間系って言えるのかな……?」
「2人とも、何か見つけたのか?」
「見つけたというか……私には何となくだけど。」
「この壁、奥に空間があるわね。」
紫が軽く拳を打ち付けている壁は、一見すると何の変哲もない壁だ。
いや、というよりも
「…!そこにいるのね、お姉ちゃん!」
ドゴォォォォン
「ナノカくん!?焦る気持ちは分かるけど、一旦落ち着いて!」
「でもっ、おね、お姉ちゃんが、早く、急がなきゃ…!」
「ほい落ち着け。」
「あだっ!?」
放っておくと、銃弾を全て使い果たしてしまいそうな勢いのナノカの首筋に軽くチョップを入れて、魔理沙は紫に不満げな表情を向けた。
「私がどうにかできるかやってみましょうか?」シェリーさんは大人しくしておいてくださいまし!!
「あのなぁ紫、私たちだって伊達に異変解決長くやってねえんだ。その壁からは全く異質な雰囲気を感じないぜ?」
「私の勘もだんまりね。気のせい、ってやつじゃないの?」
「うーん。変ねぇ……確かにあるはずなのに、繋がらないわ。」
「『それは何もないからではないのか?』」
紫は能力を駆使して壁に腕を突っ込んだり引っ込ませたりしているが、特に成果を挙げられていない。
「セナが感じ取れているくらいだし、私が手繰れないわけないのだけれど……。」
「紫さん、私に少し任せてくれないかな。」
意味も無いように見えるほど同じことを繰り返す紫に、セナが一つ思いついたように声を掛けた。
直後、眼前の壁が溶けるように消え、代わりに奥に続く通路と――
「――!!」
「……オイオイ2人とも、なんかとてつもなくやばい気がするぞ!!」
「これは、かなり厄介な相手のようね。」
「うわわ、何だか突然、体がぶわわーってなったよー!?」
「ひ、ひぃぃぃぃ!?おじさん、もう帰っちゃダメかな!?」
「あらあら。そもそもここから帰るためには、この先に進まないといけないんじゃないかしら?」
通路の先から感じ取れる、膨大な魔力が一同を震撼させた。
「お姉ちゃん…今行くからね!!」
が、ナノカはそれでも迷うことなく通路に駆け出して行った。
「待っててね、お姉ちゃん、もう二度と、辛い思いなんて、しないでほしい、の……チッ、中々距離が、縮まらないわ、ね……。」
「……紫さん、遊んでないで止めてあげてよ。」
ナノカは進んでも進んでも、先に辿り着くことはできなかった。
紫がスキマで同じ場所を永遠と繋げていたからだ。
「~~~~~~~~~~!!」
「ごめんなさい、あまりに無鉄砲だったから止めるついでに、ね?」
「ね?じゃないの、だけれ、ど……はぁ、はぁ……。」
羞恥と激しい運動の後で顔を赤らめているナノカに、霊夢は呆れたような目を向けた。
「あのねぇ、いくら姉が心配だからって一人で猪突猛進するとか、あんた死にたいの?向こうにいるであろう存在が、面倒な奴ってことくらい感じ取れたでしょうに。」
「面目、ないわね……。」
「それにしてもセナちゃん、私が繋げられなかった空間をどうやって?」
「この壁、意思があったみたい。いや、と言うよりは誰かの意志で存在してたみたい。」
「私の能力を妨害してきたってことね。分かってはいたけど、一筋縄ではいかなそうねぇ。」
「でも、私相手ならあっけなく道を開いた。これってつまり……」
「まるで、君が来るのを待っていたとでも言いたげだな。」
横からヒロが口を挟んだ。
「相手の意志で、君を招いたということだろう。理由は肝心の君が記憶喪失なことから、推測は難しいがな。」
「何でもいいわよ。時間が残っているかも分からないんだし、さっさと向かうわよ。」
「私らが先頭に立つから、お前らは後ろについてきな。」
「魔理沙ちゃん、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫、ヘーキヘーキ。私たちはこんなこと、今まで散々片づけてきたんだ。今回だって上手くやれるって。」
「今回ほどの規模は初めてだけどね?」
「はいそこネガティブ発言禁止!!」
紫、霊夢、魔理沙の先導の下、少女たちは奥の方へ進んでいった。
どこまでも続くかのように思えた通路は、不意に聞こえた大きな声と共に終わりを告げた。
その声が響いた瞬間、少女らの周りの空間が一変したのだ。
「はぁ……!?ちょっと待てよ、あてぃしらいつの間に奥の部屋に辿り着いてたんだよ!?」
「いや違ぇ、今の馬鹿デケェ声がした直後に、ウチらのいた通路が開けたように今みたいに変化しやがった!」
かつて通路だったそこは、ただっ広い大広間へと姿を変えていた。
「ど、どういうこと……?それに、さっき聞こえた大きな声って、一体…?」
「出てきなさい黒幕、姿も現さないなんて臆病者みたいなことはしないことね!!」
「…おいおい霊夢、流石にそんな見え見えの挑発に引っかかる奴がいるかよ。」
直後、何の予兆も無く一人の女性が姿を現した。
その容姿は、まるでお伽噺に出てくるような魔女のようだ。
「どうやら、一人いたみたいね?」
「……。」
ズガァァァァン
最早補足するまでもないであろうが、ナノカがその女性に銃弾を放った。
「……え?」
命中したはずの銃弾は、女性ではなく床に埋まっていた。
「う、うわぁ。弾丸が、すり抜けて行っちゃったよー?不思議~。」
「どうやら、ホログラムのようなものみたいだ。」
「それはそうでしょう?一体、どんな愚か者がこの場に生身で現れるというのです?あぁ、申し遅れました。私、見ての通りの魔女、ダルク・センセドーラと申します。以後お見知りおきを。」
「何をご丁寧に挨拶してるのよ……!早く、お姉ちゃんを返しなさい!」
「あなたの挨拶は失礼極まりないものだったけれど……お姉ちゃん?よく分からないけどこの中にいるかしら?」
ダルクがパチンッと指を鳴らすと、気絶しているように見える大量の少女たち――恐らく元々冷凍室で閉じ込められていた者たちだろう――が出現した。
その中に、白い病人服を着た白髪の少女の姿もあった。
「お、お姉ちゃん!!」
ナノカは駆け出して姉に触れようとするも、その手はどうやっても空を切るばかりだった。
「無駄ですよ。みすみす捕まえた見習いたちを、獲られるわけにはいかないですから。」
「この外道め!貴様の狙いは何だ!!」
「私、皆を仲間にしたいのですよ。」
「仲間…?もしや、私たちの魔法が戻ってきているのも、幻想郷に閉じ込められているのも、全てあなたのせいでやがりますの!?」
「あら、察しが良いですね。」
「でもでも、何で私たちに目を付けたんですか?そもそもあなた、私たちのことを一方的に知ってたりしたんです?」
「私たちからしたら、見知らぬ人に監禁されていい迷惑なんだけれど?」
「良い質問です。実は、私はあなた方を見てきたのですよ。と言うのも、私は元々魔界の最深層に封印されていまして。強い魔力反応に引っ張られて覗いてみたら、何やら久しぶりに同族を見つけたもので、観察させていただきました。」
「強い魔力反応……ユキのことか。」
「でも、何でその、魔界?だっけ。そこに封印されていたのに、どうして今出てこられてるの?」
「だから言ったでしょう。これは実体ではないと。」
「恐らく、魔界からわざわざ魔力を飛ばして映し出しているのでしょう。魔力消費はとんでもないでしょうね。」
「いいえ?それほどでもありません。生憎、私には有り余るほどの魔力がありますので。」
「あぁもう、長ったらしいわね!結局は、何が言いたいのよ!」
「そうですね、端的に言いますと……。」
その発言は、主に牢屋敷メンバーを戦慄させるものだった。
「あぁ安心してください。そちらの意味の『魔女』ではなく、私のような魔女ですから。」
「そうじゃねぇ、魔女ってのは現世では存在を否定された存在だろ?つまりそれは、ウチらがずっとここから出れなくなるってことじゃねえか!!」
「はぁ!?ふざけんなし、てめぇの都合であてぃしらを巻き込むんじゃねー!」
「それはまあ……仕方のないということで。」
「冗談じゃないわ。あんたには、幻想郷の存亡が危ぶまれる異変を起こした落とし前を付けてもらうから。」
「あ、それで一つ。他の皆様はもうお待ちしておりますよ。」
「他の……?」
「工桐セナ。あなたが来て、ようやくゲームを始められます。」
「……やっぱり、私を待っていたのね。」
「それに、ゲームって言うのは?」
「この部屋の周りには、6つほど扉があります。そちらの方で6人の魔女を元に戻すことができれば、あなた方の勝ち。幻想郷に全てをお返ししましょう。できなければ、幻想郷を破壊して私は外の世界に進出します。」
「封印されているというのに、随分強気ですねー?」
「昔の封印だから、今の私にはそれほど効力がありませんから。」
「尚のこと不思議ねえ。効力の無い封印に甘んじて、どうして遠回しな手段をとるのかしら。今すぐにでも滅ぼせばいいのに。」
「あら、あなたなら分かるでしょう、紫?私のことを誰よりも分かってるくせに。」
「……紫、あんたこいつと顔見知りなの?」
「ま、色々あったのよ。」
「色々?」
「色々は色々よ。」
「この期に及んで、大事なことはまたぼかす気かぁ?」
「…………下手に刺激したくないからね。」
「ふふ、殊勝な心がけと言ったところかしら。それじゃ、せいぜい頑張って頂戴。」
気味の悪い微笑を最後に浮かべて、ダルクは消えていった。
「んだよ…また趣味の悪ぃことに巻き込まれたってのかよ……!」
「不幸体質な人でもいるんですかねー。」
「呑気なこと言ってる場合じゃねーですわよ!」
「もうおじさんには何が何だか……。」
少女たちが各々に口を開く中、セナは1人考え込んでいた。
「セナちゃん、どうかしたのかしら?」
「ああマーゴちゃん。私、別にあの人と面識があるわけじゃないんだ。なのに、私をキーパーソンに置く意味が分からなくて……。」
「私も同じことを思ったわ。彼女がずっと見てきたのは私たちのはずで、あなたはいなかったもの。」
「ま、そういうことは解決してから分かることよ。」
「そうそう。それより、6つの扉があるって言ってたが……あぁ、あれとかのことか。」
大広間を見渡すと、大きな扉が目に入る。
「これって順番とかあるのかな?」
「特に言及されてなかったし、そんなことは無いと思うが……。」
「順番より、メンバーを決めるのが大事でしょう。あなたたちだけで危険な場所に行かせるわけにはいかないし。」
「私と魔理沙、セナは当然として……残りは2人ずつで丁度良いんじゃない?交代制で。」
「アリよりのアリ。じゃ、誰が行くの?」
「……私が行く。」
ナノカがすぐに手を挙げた。
「これ以上、お姉ちゃんを誰かの手で弄ばれたくないの。」
「あら、なら私も同行するわ。」
「良いの?先鋒だから、何があるか手探りだけど。」
「慎重になってもいいのだけれど……誰かが動かないといけないのだから、大胆に行こうと思ったの。」
「思ったよりあっさり決まったな。そんじゃ、初めはナノカとマーゴってことで良いか?」
「ああ、構わないよ。」
「皆肝が据わってるわねえ。じゃ、残りのメンバーは人間の里に待機してて。紫、任せたわよ。」
「ええ、そっちも首尾よくやるのよ。」
手をひらひらと振って、紫たちはスキマの中に消えていった。
「……さてと。」
軽く伸びをして、霊夢は一番傍の扉に目を付けた。
「行くわよ、4人とも。」
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