「ブランコって一生楽しいと思うんだよね。中原中也もなんか書いてたじゃん、「ブランコ楽しいぜ!」みたいなやつ」
「「サーカス」をブランコについての本だと捉えてるの最高に頭悪いですね、脳も腐ってんですか」
「えっ違うの?図書館で一応読んだんだけどなぁ、アタシ国語苦手だからなぁ」
「国語以外も苦手ですよね」
「いや体育は出来るし」
「座学の方は?」
「苦手どころじゃないね」
堂々と、宮永の目をしっかり見て言う。
「国語はまだマシな部類でしたか」
目を瞑り、「やれやれ……」とでも言いたげにため息を付く。
「あっ!今気づいたよ、また悪口言ってる。脳腐ってないし、
ようやく宮永の「脳も腐ってんですか」に反応する。体育は得意だが、反復横跳びは苦手だったのだろうか。
「とんでもなくマイペースな思考ですね。貴方いくつですか」
「宮永ちゃんが先に――」
「百四十七歳です」
翰林の「情報聞くならお前が先に言え」理論を早々に理解し、先回りする。
「先回りするとはやるね。アタシは死体に魂ぶち込んで二十六年だよ」
「赤ちゃんじゃない!!……最近の若者は〜って小言でも吐いてやろうかと思いましたが、若者の前段階じゃないですか……」
大分驚いたのか、ガシャッと乱暴な音を立ててブランコから立ち上がり、へたり込む様に座り直す。
「んん……それはバカにされてるの?わかんないからストレートに言ってよ」
「褒めてます」
「そうなの?やったー」
雑な返しも翰林には分からず、素直に「褒められた」という言葉だけの事実を受け取る。京都人の攻撃が効かなそうだ。
「てかさー、なんで一回人間って嘘付いたの?ガッツリ吸血鬼じゃん。正直者が弱点?」
「いくら吸血鬼に弱点が多いからってそんな訳ないでしょう。馬鹿にしてますか?」
「する訳ないでしょー、宮永ちゃんとアタシは違うんだから。先に質問に答えてよ、なんで嘘付いたの」
「言うといつも「えー意外〜!血吸わないでね〜笑」……的な反応されるのがダルいんですよ」
「ギャルばっか周りにいるの?」
宮永のアイデンティティである卑屈で暗い顔がパッと明るくなり、いわゆる陽キャの様な話し方を真似た後は前より暗い顔で重たいため息を落とす。
「ウザイのが大体こういう馬鹿なんですよ。貴方もそれと同類かと思ってたので嘘言いました」
全く悪びれる様子もなく、事実だけを淡々と伝えるのを見るに、彼女が嫌われる理由が分かる気がする。
「マジ〜?アタシギャルだと思われてたの?一人称?一人称アタシだからギャルだと思ってたの?」
漕ぐのをやめたので、ブランコの振れ幅が徐々に落ちる。
「流石に一人称では決めませんね。雰囲気って言うか、距離の詰め方がめっちゃギャルなんですよ」
倉庫での会話を思い出し、うんざりとした様子で呟く様に言う。
「それ宮永ちゃんにだけ〜!アタシ宮永ちゃんにだけギャルるからぁ!」
今日一の明るい笑顔と声色で嬉しそうに伝えた。
「ギャルは動詞じゃないですよ」
眩しい笑顔から顔を逸らす様に立ち上がる。少し口角が上がっているように見受けられたが、気のせいかもしれない。
「マジレスおつぅ」
そんな空気は読まない主義の翰林、
「私、僵尸の血を飲んだこと無いんですよね」
「うぇ!?美味しくないよ!」
キャラのプロフィールを少し
翰林 成都:僵尸だけど日本生まれ日本育ち
宮永 空:嫌いなヤツの血を吸って貧血にしてる