サキュバスになったけど、エロ系の魔法でどう戦えと 作:nyasu
いやさ、人の気配を魔法で感じて来たけどさ。
サーチなんてカッコつけて魔法に名前つけて、来たけどさ。
よく考えたら人間のオスの気配って、オスしかいない集団が森にいるってさ。
「女だ!」
「上玉だ、捕まえろ!」
「逃げたぞ!」
武器持った成人男性の集団に会うと思わねぇじゃん!
「ひぃぃぃ!」
私が会ったのはホームレスのような奴らだった。
いや、風呂とか入ってなさそうだし、なんかボロボロの服に汚れた顔してるし、痩せ細ってて武器とか持ってるし、ホームレスは言い過ぎだ、ヤク中みたいな見た目の奴らだ。
そんな奴らが武器を投げ捨てて全力疾走してくる、ゾンビ映画も真っ青な見た目でめっちゃ速い。
「フハハ、捕まえたぞ!」
「は、離せ!」
当然、短い足の俺は捕まる。
勝てるか、足が速すぎんだよ!
普通は逃げれたり、助けが来たりするもんじゃないんですかね!
ご都合主義とかないんですか!勃起してますよ!犯される!ちょっとドキドキして、ワクワクしてる自分が嫌過ぎる。
心は嫌なのに、身体は正直だぜ、種族特性がビッチ過ぎて自分が嫌い過ぎる。
「あわわわ」
「へへ、まだガキだが面は良いじゃねぇか」
「おい、何してんだ!売れそうなのに傷物にするつもりか!」
追いついていた他の奴の声がする。
いいぞ、もっと言ってやれ!
「馬鹿野郎、どうやって人買いに売りつけんだよ!護衛に切られて死ぬか、衛兵に突き出されるぞ」
「それもそうか」
「だったら俺らで抱き潰すのが一番だろうが」
「へへへ、違いねぇや」
いや、ダメだった。
山賊だか盗賊だか、取り敢えず犯罪者になるような奴は頭悪いに決まってた。
コイツら似た者同士だから文明人じゃねぇや、性犯罪者だ。
畜生、パッと浮かぶ魔法が精力増強とか不眠とか避妊の魔法とか使えないのばっかだ。
「あっ、スリープ!」
「な、なんだぁ!?ね、む……ぐぅぅぅ」
「おいどうした!」
「スリープ!」
「魔法が使えるだと!コイツ、ただの……ぐぅぅぅ」
手からビームのごとく光が出たと思ったら、バタリとオッサン達が倒れてイビキを掻く。
残りはあと2人、全部で4人もいたのか。
よし、残りも眠らせればよかったんだ。
思い出してよかったぜ。
「スリープ!」
「う、うわぁ……あっ?」
「あれ?スリープ!スリーブ!」
「ビビらせやがって!」
「ぐがっ!?」
本日二度目の衝撃が、鼻の奥に激痛を与える。
顔面のど真ん中を殴られたのだ。
痛い、しかもいつの間にか馬乗りになられて、なけなしの襤褸切れ破かれて全裸になってる。
痛いし、ダルいし、眠い。
いかん、寝たら犯される!不眠の魔法、不眠の魔法!あっ、眠気がなくなってきた!
でも、余計にダルくなってきた、なんかマズそう。
「ガキが、大人を舐めやがって!」
「おい、なんか寝てるぽい!」
「じゃあ、あれだ、魔力切れって奴だ」
魔力切れ、そうか、魔法連発してたもんな。
普通に出来るもんだと思ってたけど、何らかのエネルギー消費するわな。
さっきも多分、スリープは使えないけど眠気覚ましの魔法はMPが足りたんだろうな。
せ、せめて避妊の魔法は使えてくれ……使えろ、使えろ……頼む!
「ハァハァ、あれ、た、勃たない!」
「何やってんだよ、緊張してんのか!変われよ!」
「う、うるせぇ!そうだ、コイツの口使えば元気に、げ、んき、に……」
「おっ、押し倒して出来そうなのか?」
俺の身体の上に、汚いオッサンが倒れ込んでくる。
チンコ持ったまま、口から泡吐いてだ。
汚い、口から泡とかヤバそう、インフルで倒れた人とかで見たことあるけど。
「おい、返事しろよ……まさか!ガキ、また眠らせたのか!」
「…………」
いや、知らんがな。
いきなり倒れてきたんだが、でも言われてみたらダルくもないしMPが回復したのか?
避妊の魔法使えてたら疲れるはずなのに……使ってんだよな、今?
あっ、なんか、よく考えたら手のひらとか熱い。
オッサンの体温かなと思ったけど、触れてるところ全部カイロに触ってるみたいに、ちょっと温かい。
あと、さっきよりダルさなくなってきた。
「避妊の魔法ってそういうことか!」
「なんだ!?」
「スリィィィプ!」
「えっ、あっ……あぁ……」
綺麗な顔だろ、寝てんだぜ。
やっぱり魔力が回復した。
避妊の魔法って、多分、生命力か何かを奪う魔法だ。
精子の生命止めたりすんだわ。
だから避妊なのね……いや、人前で言い難いわ。
「そう、これはエネルギードレイン。エネルギードレインと名付けましょう」
まさかの九死に一生を得るという。
ご都合主義だ、俺は神に愛されている。
貞操の危機は去った、遭難はしてるけど。
「え、エネルギードレイン」
「あっ、あっ……」
「なんかもっと吸える気がする」
「うっ、うぐっ!はぁはぁ……んんっ……」
自分の上に倒れたオッサンに魔法を掛け続けると、何やらビクンビクン痙攣し始める。
息も荒いし、胸なんか押さえちゃって、あっ、動かなくなった。
「し、死んでる?マジかよ……」
エネルギードレインの仮説が立証されてしまった。
よいしょと、下敷きになってた身体を何とか這い出し、他の眠ってる奴らにも触れて魔法を使う。
次のオッサンは痙攣して、口から泡を出したと思ったら、しばらくして動かなくなる。
胸に耳を当てたら音はしないし、脈もなさそう。
瞳孔は見ても分からんかった。
「やっぱり死んでるかな、これ」
ただ、死ぬまでに個人差はあれど時間が掛かりそうだ。
痙攣するまでは息苦しそうにしてるけど、即死は無理そうだな。
HPを削ってMPに変換してるのかな、それなら個人差もありそうだしな。
「うわ、てかナチュラルに殺人を犯してる。俺っていつの間に、心が魔物に……サイコパスやん」
なんの躊躇もなく、罪悪感もなく、3人目を殺して、4人目に取り掛かってる段階で気付いた。
犯されそうになって興奮したり、魔法で殺害してるのに罪悪感とかないし、人間の心と裏腹にモンスターの身体は別で動いてやがる。
自分でも自分が怖い、本能的には人類の敵かよ。
「へっくし!そうだ、全裸だった」
いや、でもコイツら犯罪者だし、死んでもいいか。
汚いけど使えそうな布は奪ってナイフくらい頂戴するか。
何も持ってねぇけどな、コイツら。
「ヒール……クソがよ、女の顔殴りやがって」
「グオォォォ!」
「キャア!?スリープ!スリープ!スリープ!」
布を身体に巻き付けて、さあ行くぞというタイミングで茂みからクマが飛び乗ってきやがった。
パニクって魔法を連発したお陰で身体の上でクマが眠ったが、重すぎる。
えっ、クマだよねこれ、テレビで見たことあるけど、思ったよりデカいし、魔法なかったら死んでた。
「マジでどうなってんだよ、森とか危険過ぎだろ、エナジードレイン」
取り敢えず、弱らせて魔力を回復しつつ、寝てるクマのクビにナイフを突き立てる。
うおっ、起きたけどジタバタ暴れてるだけで勢いがない、良かったエナジードレインが聞いてて弱ってたみたいだ。
一心不乱にナイフを抜いては刺しつつ、エネルギーを奪い続ける。
ヨシ、動かなくなったし、死んだな。
「血の匂いとかで寄ってくるんだろうか、怖すぎ」
しかも、多分、チンコついてないからメスのクマだしな。
これはサーチの魔法で引っ掛からないから不意打ちされたら死ぬ。
ええい、こんなところにいられるか、私は街に帰らせてもらう!切実に、街に行きたい!
「今度こそ頼むよサーチちゃん……男しかサーチ出来ない欠陥魔法だけど」
何だったら冒険者とか見つけてくれ、いるか分からんけどさ。
あっ、そういえば。
「飯食ってないのに、謎の満腹感がある……」
エナジードレインの副次効果に気付くのだった。