サキュバスになったけど、エロ系の魔法でどう戦えと 作:nyasu
サーチと名付けた魔法の不思議たるや、形容しがたい。
不思議だから魔法なんだけど、こう、これが原因でこうなってるみたいな、メカニズム的なのが想像できない。
今使ってるこれなんかもそうだ。
目を閉じて、指を眉間の前にゆらゆらしてると何かあるなとか。
シャワーの時に、この辺かなでシャンプーとか見なくても見つけられるような。
何となく、目当ての男がこっちにいるみたいな感じだ。
うーん、この男漁りに特化した魔法よ。
「あー、ビンビン来てる。デッカいのいる」
で、今更になって気付いたんだが何かヤバいという感じのがこっちに来てる。
何がヤバい、分かんないからヤバいんだよ。
どうも、わざと変な方向に移動したら向こうも方向転換してるのである。
こ、怖い……目的が分からない、ストーカーに会うってこういう感じか!?
ど、どどどうしよう……あっ、止まった。
止まった、あれ、動き出した……と、止まれ!止まった……どういうことだ!?
うーん、うん、うーん、わ、訳が分からんぞ。
「ったくよぉ、転移範囲までに何回か止まんなきゃいけないクソ仕様やめろやボケが」
「………ハッ!?」
気付いたら、目の前に、オッサンがいた。
冒険者、ザ・冒険者って感じ!ジーンズだ、ジーンズあるんだ。
あと、汚れてるけど白いシャツ……今は黄ばんだ茶色だけど。
でもって剣だ、意外とデカいし重そう……刃物怖い。
遊園地のキャストとかいそう。
「だ、誰……」
「始めましてだな、何回目だよ面倒クセェ……いいか、おい、服を着ろ!用件はそれだけだ、それだけしてくれりゃ世界が救われる」
「な、何言ってんだ……服なんて」
「服なんて着れるなら着てるだろって?自分で作れんだよ!お前エロ系の魔法は大体できんだからよ!コスプレ物だっけか、衣装変わるのは作ってるからとか言ってたろ、言ってたんだよ初対面とかじゃなくて、未来とかで、あぁ、言わなくていい、もう聞き飽きた。俺が誰かって?モンドだよ、ほら服を作ってくれ」
そ、そんなこといわれても……話についてけないし、めちゃくちゃ喋るな。
コスプレ物って、あんまし見たことないジャンルだけどそんな魔法……あっ、出来るわ。
えぇ、なんか急に思い出したみたいに知らん知識があるんだけど。
「なんだろ……モデルチェンジ!服を変える魔法!よし、いま名付けた!」
変身!とポージングして思い浮かべたら、いきなり空間からブワッと布が溢れ出してくる。
それがどんどん身体をつつみはじめて、いきなり光ったら、メイド服になった。
メイド服になった……俺の知ってるコスプレ物ってメイド服しかなかったから……うわぁ。
「魔法少女みたいな変身バンク流れそう」
「よし、服着たな。この方向に真っすぐ行ったら街だ。いいか、男と寝るなよ!今はそうかもしれんが、気が変わる時もあんだよ」
「か、会話が成立してない……何この人」
「お前が男と寝ると世界が滅ぶんだ」
「えぇ……どうやって」
「エロ系魔法で女は殺して男と寝まくって、男が全滅する」
「エロ系魔法でどうやって戦えと……」
えっ、というかこの人は未来人なんだろうか。
というかエロ系魔法ってなんだよ、系ってなんだよ。
あれなの、一昔前に流行った〇〇程度の能力的な!
エロ系なら大体なんでも出来る程度の魔法、みたいな!
よく分かんねぇで使ってるけど、何となく出来そうなのは出来たりする訳だけど…
ハッ!?
「あっ、男にはなれんらしいぞ。チンコは生やせるけど」
「なれないの!?あと、チンコ言うな!」
「マジかよ、お前下ネタダメだっけ。悪かった、チンチンな」
「何も変わってないよ!」
ただのフタナリになるだけなのかよ!
あっ、畜生、本当にできる気しない!
生やすことはできそう、終わってんな!
「モンドさん、でしたっけ……未来の私と友達なの?」
「ハァ?お前何言ってんだよ、お前はメス堕ちして世界中の男共を食い漁ろうとしてたんだよ。こっちの世界で言うなら、もう魔王災害レベルだわ。俺もヤられ掛けてブチギレた仲だわ」
「えっ、チンチンが?」
「下半身の話なんかしてねぇんだよボケが!ナチュラルに頭ピンクとか淫魔かよ!サキュバスとエルフのハーフだったわクソが!」
た、たしかに……なんで、そんな発想を……魂が肉体に犯されてる。
あっ、犯されてるとか思考も下ネタ寄りで終わってる、私が私じゃないみたいでエグい。
精神汚染だろ、これ。
「俺は飽きるまで遊んで暮らしたいんだ。頼むから大人しくしてくれよ、よし後はお前が言ってたスローライフを楽しんでくれ。俺にはやらなきゃいけないことがある」
「やらなきゃいけないこと……」
「こんな時代まで来たからな、名馬が現役なんだ。行くしかないだろ、競馬」
「やっぱり未来人なんだ……でもやること競馬かよ……」
魔法があるから何でもありだな。
いや、でも、未来から競馬しに来るなよ……いや、世界を救ったのか?
ある意味勇者なんだろうか、世界を救ったあとにギャンブルする。
モンドさんはじゃあなと言った後に一瞬で消えた。
あれだ、転移魔法だ。
初めて見た、さっきまでいたのが嘘みたいだ。
マジックを見た気分でうおおおってテンション上がる。
「へ〜んしん!」
ちょっと疲れるけど、モデルチェンジの魔法で服を変える。
うんうん、分かってきたぞ魔法って奴が!
多分あれだ、こう、想像力で何でもできるんだ。
変身した姿は、魔法少女からローブと小さい杖を持った魔法使いの姿に変わった。
テーマパークにコスプレしてる人とかいる格好だな。
異世界に版権はないから大丈夫やろ、なんかこう、形から入ったら魔法も使いやすいと思う。
パロディ物のAVあるんやろなと思ったけど、出来たってことはあるんだろうな。
「おお、髑髏付いてる。ニワトコの杖だろ、これ!最強の杖だ!アバダケダブラ!相手は死ぬ!」
ビシッと杖を向けてみたが、何も起きなかった。
ちぇ、やっぱコスプレか。
まぁまぁ、別にいいですけどね。
「飛べ……ないな。出来る気しない」
大体のエロいことは出来るらしいけど、思い浮かんだ奴で出来る気がしたり、しなかったりする。
認識改変とか透明化は出来そうだけど、空を飛ぶとか無いな……まぁ、飛びながらヤるとか漫画でも特殊過ぎるもんな。
漫画……あっ、同人誌とかで超能力系のキャラは大体念力でエロいことされてるか。
「念力……テレキネシス……テネキネシス来い!うぉぉぉ!うおっ……おぉ?おぉ!」
ふわっと、ちょっとずつ身体が浮いていく。
すごい、飛べたぞ!やっぱり、念力は使えるんだ。
よしこれで……うぇ……気持ち悪くなってきた。
ちょ、ちょっとタンマ。
頭一つ分浮いただけで、ゆっくりと降下して、疲労感に頭から倒れるように地面に手をつく。
膝も崩れるように着いて、跪くみたいな感じになってる。
全力疾走したかのように息が上がる、うわしんど。
魔力的なアレが多分ないんや……めっちゃ疲れるこれ。
「結局、徒歩で行くしかないのか」
今までの時間は何だったんだと思いながら、言われたとおり街を目指して歩くことにした。
なんだよ、モンドさんとか言う未来人、私を転移魔法で運んでくれよ。
てか転移魔法ってどうやってやってんだよ、この世界って魔法があんだからダンジョンとかもあんのかな。
モンスターとかもいるんかな、あっ、ゴブリンいたわ。
ダンジョンもあったわ、冒険者も見たことあるわ。
「この身体の記憶も馴染んでないから、歩くのは丁度いいか?」
知ってたり知ってなかったり、思い出したように気付いたりするし。
そして、何日もかかるかと思ったが、半日くらいで街らしき物が見えてきた。
半日も歩くって、相当な距離なんだが、めっちゃ疲れた。
もう街の外なんか行きたくない、歩くのしんどい。
「デッ!」
「うん?」
何か人の列があった。
デカい石を積んだ壁が街をグルっと囲んでるようだった。
確かヨーロッパとかは発展した重要な街同士で戦争とかあったりしたから囲むように防壁があんだよな。
そんな価値のないとこはないらしいけど、ファンタジーの街とかでよく見るやつだ、壁のなかに巨人とかいないよな?
ちゃんと並んで、自分の番が来たので門を通ろうとしたら衛兵らしき兵が目の前に来た。
「止まれ!この街には初めてか、エルフ?街に入るなら通行料を払え」
「えっ、金……」
金、金とか要求されるのは予想外だった。
ど、どうしよう……あっ!
「認識改変!」
私の杖から一筋の光が飛び出してぶつかっていく。
「貴様、何をする!……何かしたのか?」
「私はお金を払ったよね」
「何を言って……いや、払っていたな」
よしっ!魔法ってすげーや、じゃあ入っていいよね。
周りにも見えてた筈だが、まぁ払ってたかってみんな認識してる。
すげぇや、チートだ。
「イタズラなのかもしれんが、街中で魔法は違法行為だから気を付けろよ」
「あっ、はい、すいません」